中学受験国語【過去問】〜出典&テーマ解説〜完全まとめ
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中学受験国語の本文出典作品を【年度×学校】ごとにまとめました
こちらの記事では、中学受験国語過去問の分析を行っています。
出題作品
出題テーマ
という2つの軸で分析を行なっています。最新の出題作品から過去の出題作品まで膨大なデータを閲覧可能です。過去に出題されたテーマについて解説も行なっています。
テーマ解説の事例
(ラーサル中学校の過去問の例)
令和08年度(2026年度)大問1「文化系のための野球入門/中野慧」
テーマ
「高校野球で燃え尽きなくてよく、スポーツは一生続けて楽しむものだという考え方」
読み取りのポイント
「高校野球は青春を燃やしつくすもの」という見方が、なぜ問題だと筆者が考えるのかをつかみましょう。
筆者がスポーツの価値をどうとらえているか、「再創造(リ・クリエイション)」という考え方を読み取りましょう。
学生時代のスポーツ経験が、大人になってからどんな形で生き続けるのが理想とされているかを整理しましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
スポーツは若いうちに燃え尽きるものではなく、大人になっても自分に合った形で楽しみ続けられるものである。
具体例
高校や大学で野球を終えたあとも、草野球で続ける人がいる。
具体例
学生時代に経験がなくても、大人になってから始めて実力をつける人がいる。
具体例
自分でプレーするだけでなく、学生チームを支える形で関わる人もいる。
結論・メッセージ
スポーツは、普段の生活から一度はなれて気分転換をし、新しい力を取り戻すという大切な役目がある。
具体例
仕事や勉強から離れて体を動かすと、心がリフレッシュされる。
具体例
気分転換をすると、日常にもどったときに新しい発想が生まれやすくなる。
本文を対比関係で整理
燃え尽きるまでやる高校野球↔︎一生続けて楽しむ野球
勝利と努力だけを重んじる見方↔︎いろいろな価値に気づく見方
進学や就職の評価につなげる見方↔︎自分が楽しむための関わり方
仕事に打ち込むだけの大人の生活↔︎気分転換で力を取り戻す生活
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
高校野球で完全燃焼する必要はなく、野球は一生続ければよい。
それを支える根拠
燃え尽きることを理想にすると、若い頃だけを高く評価して、その後の長い人生が軽く見られてしまうから。
結論・テーマ
スポーツは、日常の暮らしを元気にする「再創造」の手段である。
それを支える根拠
普段の生活から一度はなれることで気分が切りかわり、創造性が高まって、日常で力を発揮しやすくなるから。
文章の要約
高校野球では、全力を出して燃え尽きることがよいとされる考えが広まっています。しかし筆者は、若いうちに完全燃焼する必要はなく、その後も野球を続ければよいと考えます。学生時代の経験が「いい大学、いい会社」の評価だけに結びつくのは、野球の価値をせまく見ているからです。筆者は、スポーツを、日常から離れて気分転換をし、新しい力を取り戻す「再創造」の手段ととらえ、野球を一生楽しむものとして見直すように呼びかけています。
テーマ解説
「高校野球は青春を燃やしつくすもの」という見方は、ニュースなどでよく聞かれます。しかし筆者は、若いうちに完全燃焼しなくてもよいと考えます。勝つために苦しい練習をして燃え尽きる形だけが、スポーツの価値ではないからです。学校の部活は、「いい大学、いい会社」に進むための材料として見られがちですが、本来スポーツは楽しむためのものです。そこで筆者は、スポーツを「再創造(リ・クリエイション)」ととらえます。勉強や仕事から一度はなれて気分転換をすると、疲れた心が元気になり、新しい発想も生まれやすくなります。この見方なら、野球を大人になってからも、自分に合った形で一生続けられます。
+αで覚えておきたいこと
アマチュアリズム:もともと、お金や名声ではなく、楽しむことを目的にスポーツをする考え方のことです。
燃え尽き症候群:長い間、強い意欲で打ち込んだあとに、急に気力がなくなってしまう状態のことです。大きな目標を達成した直後におこりやすいとされます。
生涯スポーツ:年齢や体力に関わらず、一生を通して楽しめるスポーツのことです。ウォーキングや草野球などがあり、健康だけでなく、人とのつながりをつくる効果もあります。
レクリエーションの本来の意味:「レクリエーション」は、単なる遊びではありません。「再び(re)つくる(create)」という言葉から生まれ、疲れた心と体を元にもどして、新しい力をつくり出すことを指します。
部活動の変化:先生の負担や子どもの数の減少などから、近年は部活動を学校だけでなく地域でも支える動きが進んでいます。学校の部活だけが、スポーツに親しむ場ではなくなりつつあります。
異なる作品でも「共通のフレームワーク」を用いて分析を行なっております。特に注目いただきたいのは、「言い換え関係」「対比関係」「因果関係」を軸に文章を構造的に分解して解説しているという点です。再現性のある国語力を養成するための資料としてお使いください。

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出題文一覧
令和08年度(2026年度)
男子校
令和08年度(2026年度)
大問1/論理的文章/論説「文化系のための野球入門/中野慧」
本文文字数:2250文字/設問文文字数:1950文字/記述想定文字数:240文字
大問2/文学的文章/小説「海は忘れない/村上しいこ」
本文文字数:3700文字/設問文文字数:2800文字/記述想定文字数:220文字
令和08年度(2026年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「ほくほくおいも党/上村裕香」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:3400文字/記述想定文字数:100文字
大問2/論理的文章/論説「遊びと利他/北村匡平」
本文文字数:3650文字/設問文文字数:2550文字/記述想定文字数:120文字
令和08年度(2026年度)
大問1/論理的文章/随筆「石畳の小径/石井美保」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:220文字
令和08年度(2026年度)
大問1/文学的文章/小説「天使の足跡/荒木あかね」
本文文字数:8650文字/設問文文字数:3900文字/記述想定文字数:290文字
令和08年度(2026年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「ヒカリノオト/河邉徹」
本文文字数:7000文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:220文字
大問4/論理的文章/論説「文化財の未来図 〈ものつくり文化〉をつなぐ/村上隆」
本文文字数:3400文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:130文字
令和08年度(2026年度)
大問2/文学的文章/小説「二度目の海/小池水音」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:90文字
大問3/論理的文章/論説「抱え込まない子育て ――発達行動学から見る親子の葛藤/根ヶ山光一」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:2050文字/記述想定文字数:70文字
令和08年度(2026年度)
大問1/論理的文章/説明「子どもの文化人類学/原ひろ子」
本文文字数:1700文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:220文字
大問2/文学的文章/小説「声の地層/瀬尾夏美」
本文文字数:2000文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:280文字
令和08年度(2026年度)
大問1/文学的文章/小説「植物少女/朝比奈秋」
本文文字数:6400文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:440文字
令和08年度(2026年度)
大問1/文学的文章/小説「七十八年目の手紙/柊サナカ」
本文文字数:7700文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:600文字
女子校
令和08年度(2026年度)
大問1/文学的文章/小説「うまねむる/河崎秋子」
本文文字数:6800文字/設問文文字数:2800文字/記述想定文字数:60文字
大問2/論理的文章/随筆「出会う/永井玲衣」
本文文字数:900文字/設問文文字数:350文字/記述想定文字数:250文字
令和08年度(2026年度)
大問1/論理的文章/論説「九回裏の「捨てる」考/藤原辰史」
本文文字数:3900文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:440文字
大問2/文学的文章/小説「月の子/木村綾子」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:600文字
令和08年度(2026年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「父のビスコ/平松洋子」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:160文字
大問2/論理的文章/論説「俳句部、はじめました/神野紗希」
本文文字数:1900文字/設問文文字数:2700文字/記述想定文字数:110文字
令和08年度(2026年度)
大問1/論理的文章/随筆「月と散文/又吉直樹」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:340文字
大問2/論理的文章/随筆「トットの欠落帖/黒柳徹子」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:190文字
共学校
令和08年度(2026年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「能力主義をケアでほぐす/竹端寛」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:160文字
大問2/文学的文章/小説「雲を紡ぐ/伊吹有喜」
本文文字数:4000文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:100文字
令和08年度(2026年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「物語化批判の哲学〈わたしの人生〉を遊びなおすために/難波優輝」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:3300文字/記述想定文字数:80文字
大問2/文学的文章/小説「夜の蝉/北村薫」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:160文字
令和08年度(2026年度)
大問1/文学的文章/小説「居残りの彼女/津村記久子」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:2200文字/記述想定文字数:-
大問2/論理的文章/論説「自炊者になるための26週/三浦哲哉」
本文文字数:2600文字/設問文文字数:800文字/記述想定文字数:110文字
令和07年度(2025年度)
男子校
令和07年度(2025年度)
A日程
大問2/論理的文章/論説「料理人という仕事/稲田俊輔」
本文文字数:3150文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:70文字
大問3/文学的文章/小説「一線の湖/砥上裕將」
本文文字数:5250文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/随筆「反対語から考えを深める/塩瀬隆之」
本文文字数:3750文字/設問文文字数:850文字/記述想定文字数:230文字
大問2/文学的文章/小説「アルプス席の母/早見和真」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:190文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/説明「自然に学ぶ「甘くない」共生論/椿宜高」
本文文字数:2700文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:190文字
大問2/文学的文章/小説「あつあつを召し上がれ/小川糸」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:600文字/記述想定文字数:240文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「革命前夜/小川哲」
本文文字数:4650文字/設問文文字数:3050文字/記述想定文字数:80文字
大問2/論理的文章/随筆「句点。に気をつけろ/尹雄大」
本文文字数:2900文字/設問文文字数:2800文字/記述想定文字数:110文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「百年の子/古内一絵」
本文文字数:6600文字/設問文文字数:350文字/記述想定文字数:190文字
大問2/論理的文章/随筆「世界の適切な保存/永井玲衣」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:550文字/記述想定文字数:200文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「今日も誰かの誕生日/二宮敦人」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:130文字
大問3/論理的文章/論説「電話恐怖症/大野萌子」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問4/文学的文章/小説「手で見るぼくの世界は/樫崎茜」
本文文字数:5550文字/設問文文字数:2650文字/記述想定文字数:40文字
大問5/論理的文章/論説「ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ/奈倉有里」
本文文字数:4550文字/設問文文字数:4700文字/記述想定文字数:20文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「光の粒が舞いあがる/蒼沼洋人」
本文文字数:3150文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:410文字
大問2/論理的文章/随筆「くちびるに歌を/信長貴富」
本文文字数:1500文字/設問文文字数:850文字/記述想定文字数:180文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「天使のにもつ/いとうみく」
本文文字数:9300文字/設問文文字数:2750文字/記述想定文字数:300文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「寂しがり屋の森/村松旭」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:50文字
大問2/論理的文章/随筆「世界の適切な保存/永井玲衣」
本文文字数:4000文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「アルプス席の母/早見和真」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:40文字
大問4/論理的文章/論説「「上から目線」の構造/榎本博明」
本文文字数:3650文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:120文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問4/文学的文章/小説「殻割る音/中村汐里」
本文文字数:4050文字/設問文文字数:3700文字/記述想定文字数:-
大問5/論理的文章/論説「龍の起源/荒川紘」
本文文字数:2750文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:60文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問2/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:2550文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:90文字
大問3/文学的文章/小説「毎日のグミ(『今日のかたすみ』所収)/川上佐都」
本文文字数:3400文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:180文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/論理的文章/随筆「孫のトリセツ/黒川伊保子」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:220文字
大問4/文学的文章/小説「カラフル/阿部暁子」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:1400文字/記述想定文字数:270文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「透明なルール/佐藤いつ子」
本文文字数:7800文字/設問文文字数:2450文字/記述想定文字数:240文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「砂の城と子どもの心/旅だから出逢えた言葉/佐々木閑/伊集院静」
本文文字数:2600文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:170文字
大問3/文学的文章/小説「少年と犬/馳星周」
本文文字数:2050文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「柳生但馬守宗矩/他者の靴を履くアナーキック・エンパシーのすすめ/堀江敏幸/ブレイディみかこ」
本文文字数:7500文字/設問文文字数:5200文字/記述想定文字数:320文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「客観性の落とし穴/村上靖彦」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:2600文字/記述想定文字数:30文字
大問3/文学的文章/小説「ふるさと銀河線 軌道春秋/高田郁」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:2600文字/記述想定文字数:110文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「本が紡いだ五つの奇跡/森沢明夫」
本文文字数:6500文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:110文字
大問4/論理的文章/随筆「見えないキノコの勤勉な日々/永井佳子」
本文文字数:3700文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:130文字
令和07年度(2025年度)
大問2/文学的文章/小説「百年の子/古内一絵」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:70文字
大問3/論理的文章/随筆「口の立つやつが勝つってことでいいのか/頭木弘樹」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「見つけたいのは、光。/飛鳥井千砂」
本文文字数:6200文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:40文字
大問2/論理的文章/論説「生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ/戸谷洋志」
本文文字数:4700文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「働かないアリ 過労死するアリ ヒト社会が幸せになるヒント/村上貴弘」
本文文字数:2950文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:150文字
大問3/文学的文章/小説「真実の口/いとうみく」
本文文字数:3000文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:170文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/論説「どんとこい、貧困!/湯浅誠」
本文文字数:1600文字/設問文文字数:600文字/記述想定文字数:290文字
大問2/論理的文章/随筆「美しいってなんだろう?/矢萩多聞」
本文文字数:1600文字/設問文文字数:350文字/記述想定文字数:150文字
大問3/文学的文章/詩「小さな嘘/東田直樹」
本文文字数:150文字/設問文文字数:150文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「「矛盾」と書けない大学生/内田樹」
本文文字数:3850文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:160文字
大問2/文学的文章/小説「旅への誘い/織田作之助」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:2150文字/記述想定文字数:-
大問3/文学的文章/詩「犬を呉れる/西條八十」
本文文字数:250文字/設問文文字数:650文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「あと少し、もう少し/瀬尾まいこ」
本文文字数:2500文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:-
大問3/論理的文章/論説「SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ/戸谷洋志」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:1050文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
1日目
大問1/論理的文章/随筆「いつかマックで(『記憶を食む』所収)/僕のマリ」
本文文字数:2600文字/設問文文字数:800文字/記述想定文字数:30文字
2日目
大問1/論理的文章/論説「あなたを変える行動経済学/福翁自伝/大竹文雄/福沢諭吉」
本文文字数:1800文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:220文字
大問2/文学的文章/小説「まだまだ、(『つぼみ』所収)/宮下奈都」
本文文字数:2000文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:250文字
大問3/文学的文章/詩「プラネタリウム/三角みづ紀」
本文文字数:150文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:120文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「いのちをはぐくむ農と食/小泉武夫」
本文文字数:3700文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:90文字
大問3/文学的文章/小説「ソノリティ はじまりのうた/佐藤いつ子」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/随筆「タイトル不祥/幸田文」
本文文字数:5600文字/設問文文字数:700文字/記述想定文字数:450文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「社会学をはじめる 複雑さを生きる技法/宮内泰介」
本文文字数:4950文字/設問文文字数:1300文字/記述想定文字数:70文字
大問3/文学的文章/小説「スピノザの診察室/夏川草介」
本文文字数:6000文字/設問文文字数:1850文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「藍を継ぐ海/伊与原新」
本文文字数:7400文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:600文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「野生生物は「やさしさ」だけで守れるか? 命と向きあう現場から/朝日新聞取材チーム」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「訂正する力/東浩紀」
本文文字数:3700文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:20文字
大問2/文学的文章/小説「春、出逢い/宮田愛萌」
本文文字数:5800文字/設問文文字数:1300文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「雪だるまの雪子ちゃん/江國香織」
本文文字数:2350文字/設問文文字数:650文字/記述想定文字数:40文字
大問2/文学的文章/小説「アルプス席の母/早見和真」
本文文字数:2150文字/設問文文字数:650文字/記述想定文字数:30文字
大問3/論理的文章/随筆「「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出/角野栄子」
本文文字数:1400文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:-
女子校
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「風をとおすレッスン 人と人とのあいだ/田中真知」
本文文字数:4750文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:250文字
大問2/文学的文章/小説「ぼくと師匠の夏/如月かずさ」
本文文字数:4750文字/設問文文字数:1300文字/記述想定文字数:120文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「幻年時代/坂口恭平」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:3200文字/記述想定文字数:20文字
大問2/論理的文章/論説「建築家のアタマのなか/小堀哲夫」
本文文字数:1300文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:240文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「シンデレラはどこへ行ったのか ――少女小説と「ジェイン・エア」/廣野由美子」
本文文字数:4950文字/設問文文字数:3850文字/記述想定文字数:30文字
大問2/文学的文章/小説「エヴァーグリーン・ゲーム/石井仁蔵」
本文文字数:9450文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:10文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問2/文学的文章/小説「あの空の色がほしい/蟹江杏」
本文文字数:5100文字/設問文文字数:2350文字/記述想定文字数:60文字
大問3/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:3550文字/設問文文字数:3650文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「ぼくの色、見つけた!/志津栄子」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:2950文字/記述想定文字数:140文字
大問3/論理的文章/説明「共生と進化をめぐる16話/渡辺政隆」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:2750文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/文学的文章/小説「光の粒が舞いあがる/蒼沼洋人」
本文文字数:5550文字/設問文文字数:950文字/記述想定文字数:500文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「ぼくの色、見つけた!/志津栄子」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:50文字
大問2/論理的文章/説明「私の職場はサバンナです!/太田ゆか」
本文文字数:3750文字/設問文文字数:4000文字/記述想定文字数:60文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「読む力は生きる力/脇明子」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:2550文字/記述想定文字数:160文字
大問2/文学的文章/小説「透明なルール/佐藤いつ子」
本文文字数:3900文字/設問文文字数:3150文字/記述想定文字数:160文字
令和07年度(2025年度)
1日目
大問3/文学的文章/詩「初心者のための詩の書き方/松下育男」
本文文字数:1750文字/設問文文字数:950文字/記述想定文字数:30文字
大問4/文学的文章/小説「八秒で跳べ/坪田侑也」
本文文字数:3650文字/設問文文字数:2550文字/記述想定文字数:40文字
大問5/論理的文章/随筆「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:3150文字/設問文文字数:2050文字/記述想定文字数:40文字
令和07年度(2025年度)
第2回
大問1/文学的文章/小説「手で見るぼくの世界は/椎崎茜」
本文文字数:5350文字/設問文文字数:650文字/記述想定文字数:150文字
大問2/論理的文章/論説「心理学者の茶道発見/岡本浩一」
本文文字数:2400文字/設問文文字数:850文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「ボーダレスガール/水野瑠見」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:50文字
大問4/論理的文章/説明「ひっくり返す人類学 生きづらさの「そもそも」を問う/奥野克巳」
本文文字数:4000文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:20文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/随筆「現代詩入門(「一枚の絵」の章)/吉野弘」
本文文字数:5450文字/設問文文字数:3900文字/記述想定文字数:40文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/論説「〈弱いロボット〉から考える——人・社会・生きること/岡田美智男」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:540文字
大問2/文学的文章/小説「イザベラ・バードと侍ボーイ/植松三十里」
本文文字数:5600文字/設問文文字数:350文字/記述想定文字数:500文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「ヒカリノオト/河邉徹」
本文文字数:9750文字/設問文文字数:5950文字/記述想定文字数:180文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:3850文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:100文字
大問2/文学的文章/小説「遠い町できみは/高遠ちとせ」
本文文字数:5500文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:170文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「アオナギの巣立つ森では/にしがきようこ」
本文文字数:7800文字/設問文文字数:3100文字/記述想定文字数:130文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「マナティーがいた夏/エヴァン・グリフィス」
本文文字数:5100文字/設問文文字数:2550文字/記述想定文字数:60文字
大問3/論理的文章/随筆「野生生物は「やさしさ」だけで守れるか? 命と向きあう現場から/朝日新聞取材チーム」
本文文字数:4350文字/設問文文字数:2050文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「二人目の私が夜歩く/辻堂ゆめ」
本文文字数:6300文字/設問文文字数:2150文字/記述想定文字数:80文字
大問2/論理的文章/論説「客観性の落とし穴/村上靖彦」
本文文字数:4650文字/設問文文字数:3200文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「オオカミのこと/星野道夫」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:2800文字/記述想定文字数:220文字
大問2/文学的文章/小説「桜の木が見守るキャフェ/標野凪」
本文文字数:2400文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:110文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/論理的文章/随筆「建築という対話 僕はこうして家をつくる/光嶋裕介」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:100文字
大問2/文学的文章/小説「透明なルール/佐藤いつ子」
本文文字数:6450文字/設問文文字数:1300文字/記述想定文字数:280文字
令和07年度(2025年度)
大問2/文学的文章/小説「もういいよ/東直子」
本文文字数:6900文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:80文字
大問3/論理的文章/論説「顔に取り憑かれた脳/中野珠実」
本文文字数:2900文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/文学的文章/小説「カラフル/阿部暁子」
本文文字数:3100文字/設問文文字数:4050文字/記述想定文字数:10文字
大問2/論理的文章/論説「君はどう生きるか/鴻上尚史」
本文文字数:3750文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:30文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/説明「民俗学入門/菊地暁」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:3950文字/記述想定文字数:110文字
大問2/文学的文章/小説「なずな/堀江敏幸」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「ぼくの色、見つけた!/志津栄子」
本文文字数:3550文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:240文字
大問2/論理的文章/説明「世にもあいまいなことばの秘密/川添愛」
本文文字数:2750文字/設問文文字数:350文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「資本主義に出口はあるか/荒谷大輔」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:300文字
大問2/文学的文章/小説「うそコンシェルジュ/津村記久子」
本文文字数:5350文字/設問文文字数:2450文字/記述想定文字数:330文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/文学的文章/小説「アドリブ/佐藤まどか」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:120文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:2350文字/記述想定文字数:100文字
大問2/文学的文章/小説「文豪中学生日記/小手鞠るい」
本文文字数:7000文字/設問文文字数:1900文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「あの空の色がほしい/蟹江杏」
本文文字数:6350文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:70文字
大問2/論理的文章/随筆「野生生物は「やさしさ」だけで守れるか? 命と向きあう現場から/朝日新聞取材チーム」
本文文字数:4350文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:30文字
大問3/論理的文章/随筆「迷子手帳/穂村弘」
本文文字数:1450文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:10文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/説明「日本語を作った男 上田万年とその時代/山口謠司」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:3500文字/記述想定文字数:120文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「要の台所/落合由佳」
本文文字数:5050文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:120文字
大問2/論理的文章/説明「「弱いロボット」から考える 人・社会・生きること/岡田美智男」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:2800文字/記述想定文字数:150文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「君が夏を走るとき/瀬尾まいこ」
本文文字数:5550文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:90文字
大問2/論理的文章/論説「客観性の落とし穴/村上靖彦」
本文文字数:2500文字/設問文文字数:1650文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/文学的文章/小説「お探し物は図書室まで/青山美智子」
本文文字数:10150文字/設問文文字数:3450文字/記述想定文字数:350文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「いつか、あの博物館で アンドロイドと不気味の谷/朝比奈あすか」
本文文字数:9500文字/設問文文字数:1000文字/記述想定文字数:170文字
大問2/論理的文章/論説「わたしが芸術について語るなら/千住博」
本文文字数:3850文字/設問文文字数:550文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/論説「不幸な国の幸福論/加賀乙彦」
本文文字数:3350文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:160文字
大問2/文学的文章/小説「鍋セット/角田光代」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:750文字/記述想定文字数:160文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/論理的文章/論説「森の声、ゴリラの目 人類の本質を未来へつなぐ/山極寿一」
本文文字数:4000文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:240文字
大問4/文学的文章/小説「ピカリノオト/河邉徹」
本文文字数:4950文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:150文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/説明「野生生物は「やさしさ」だけで守れるか? 命と向きあう現場から/朝日新聞取材チーム」
本文文字数:4050文字/設問文文字数:1900文字/記述想定文字数:60文字
大問3/文学的文章/小説「トモルの海/戸部寧子」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「「みんな違ってみんないい」のか? 相対主義と普遍主義の問題/山口裕之」
本文文字数:5750文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:220文字
大問2/文学的文章/小説「藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房/高森美由紀」
本文文字数:6700文字/設問文文字数:1200文字/記述想定文字数:190文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。/川上和人」
本文文字数:4950文字/設問文文字数:2850文字/記述想定文字数:60文字
大問2/文学的文章/小説「息のかたち/いしいしんじ」
本文文字数:5250文字/設問文文字数:2850文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:600文字/記述想定文字数:70文字
大問2/文学的文章/小説「透明なルール/佐藤いつ子」
本文文字数:6350文字/設問文文字数:1400文字/記述想定文字数:140文字
令和07年度(2025年度)
大問1/論理的文章/随筆「羊の歌/加藤周一」
本文文字数:2900文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:260文字
大問2/文学的文章/小説「小さな町の風景/杉みき子」
本文文字数:2650文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:210文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺/田牧大和」
本文文字数:7300文字/設問文文字数:850文字/記述想定文字数:300文字
大問2/論理的文章/説明「世にもあいまいなことばの秘密/川添愛」
本文文字数:1500文字/設問文文字数:400文字/記述想定文字数:160文字
共学校
令和07年度(2025年度)
1日目
大問1/論理的文章/論説「「むなしさ」の味わい方/きたやまおさむ」
本文文字数:4450文字/設問文文字数:1150文字/記述想定文字数:110文字
大問2/文学的文章/小説「この夏の星を見る/辻村深月」
本文文字数:6500文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:130文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問3/論理的文章/論説「悪いことはなぜ悪いのか/戸谷洋志」
本文文字数:5100文字/設問文文字数:3600文字/記述想定文字数:60文字
大問4/文学的文章/小説「物語を継ぐ者は/実石沙枝子」
本文文字数:4450文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/論理的文章/論説「「美味しい」とは何か 食からひもとく美学入門/源河亨」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:50文字
大問4/論理的文章/随筆「窓ぎわのトットちゃん/黒柳徹子」
本文文字数:2700文字/設問文文字数:3250文字/記述想定文字数:60文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「スルメを見てイカがわかるか!/養老孟司・茂木健一郎」
本文文字数:3050文字/設問文文字数:1150文字/記述想定文字数:110文字
大問3/文学的文章/小説「透明約束/川上健一」
本文文字数:3150文字/設問文文字数:750文字/記述想定文字数:190文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/論理的文章/論説「みんな違ってみんないいのか? 相対主義と普遍主義の問題/山口裕之」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:60文字
大問2/文学的文章/小説「風神雷神 Jupiter, Aeolus/原田マハ」
本文文字数:4450文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:4700文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:50文字
大問3/文学的文章/小説「鳥と港/佐原ひかり」
本文文字数:4450文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「銭湯を営む家の男たちは皆「正」という漢字が名前につけられていてそれを誰がいつ決めたのか誰も知らなかった/柴崎友香」
本文文字数:5850文字/設問文文字数:3650文字/記述想定文字数:100文字
大問3/論理的文章/随筆「物語の役割/小川洋子」
本文文字数:4550文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「路傍の石/山本有三」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:2950文字/記述想定文字数:40文字
令和07年度(2025年度)
B日程
大問1/文学的文章/小説「私たちの世代は/瀬尾まいこ」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:3600文字/記述想定文字数:110文字
大問2/論理的文章/論説「恋する身体の人間学/小浜逸郎」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:2950文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「ぼくの色、見つけた!/志津栄子」
本文文字数:8200文字/設問文文字数:2750文字/記述想定文字数:100文字
大問4/論理的文章/論説「「むなしさ」の味わい方/きたやまおさむ」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:100文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「ネットはなぜいつも揉めているのか/津田正太郎」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:950文字/記述想定文字数:50文字
大問2/文学的文章/小説「あの空の色がほしい/蟹江杏」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:1750文字/記述想定文字数:60文字
令和07年度(2025年度)
1日目
大問2/文学的文章/小説「教室のゴルディロックスゾーン/こざわたまこ」
本文文字数:5600文字/設問文文字数:1850文字/記述想定文字数:70文字
大問3/論理的文章/論説「知の編集術/松岡正剛」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「ケイロン人社会と「囚人のジレンマ」問題(『断絶への航海』解説)/山本弘」
本文文字数:5250文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:300文字
大問2/文学的文章/小説「少女ABCDEFGHIJKLMN/愛は全部キモい/最果タヒ」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:150文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問1/論理的文章/説明「世にもあいまいなことばの秘密/川添愛」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:40文字
大問2/文学的文章/小説「いつか、あの博物館で アンドロイドと不気味の谷/朝比奈あすか」
本文文字数:4300文字/設問文文字数:3250文字/記述想定文字数:110文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:300文字
大問2/論理的文章/随筆「かぞえる/森田真生」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問3/論理的文章/説明「海獣学者、クジラを解剖する。/田島木綿子」
本文文字数:4550文字/設問文文字数:1900文字/記述想定文字数:170文字
大問4/論理的文章/論説「自分力を高める/今北純一」
本文文字数:4250文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「つながらない覚悟/岸見一郎」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:70文字
大問3/文学的文章/小説「フランドン農学校の豚/宮沢賢治」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:3600文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「小田くん家は南部せんべい店/髙森美由紀」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:150文字
大問3/論理的文章/随筆「カタツムリのように/森田真生」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:1400文字/記述想定文字数:50文字
大問4/文学的文章/詩「夕方の三十分/黒田三郎」
本文文字数:950文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「お小遣いの成果/高瀬隼子」
本文文字数:7800文字/設問文文字数:4950文字/記述想定文字数:70文字
大問2/論理的文章/論説「〈公正〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か/朱喜哲」
本文文字数:5200文字/設問文文字数:3750文字/記述想定文字数:130文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「水中の哲学者たち/永井玲衣」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:90文字
大問2/文学的文章/小説「球の行方/安岡章太郎」
本文文字数:4100文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:150文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/説明「コミ力は「副詞」で決まる/石黒圭」
本文文字数:3550文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:50文字
大問3/文学的文章/小説「ふれあいサンドイッチ/谷瑞恵」
本文文字数:3050文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:4650文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:100文字
大問3/文学的文章/小説「きのうのオレンジ/藤岡陽子」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
B日程
大問3/論理的文章/論説「ひっくり返す人類学 生きづらさの「そもそも」を問う/奥野克巳」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:100文字
大問4/文学的文章/小説「鬼ばばあ/江國香織」
本文文字数:4650文字/設問文文字数:2150文字/記述想定文字数:10文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/説明「魚も鏡の姿がわかる(『生きものは不思議』所収)/幸田正典」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:60文字
大問2/文学的文章/小説「カラフル/阿部暁子」
本文文字数:5350文字/設問文文字数:3550文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第2回
大問2/論理的文章/論説「「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性/信原幸弘」
本文文字数:4350文字/設問文文字数:3100文字/記述想定文字数:60文字
大問3/文学的文章/小説「向かい風で飛べ!/乾ルカ」
本文文字数:5050文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「五郎丸の生涯/三浦明博」
本文文字数:6950文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:210文字
大問2/論理的文章/論説「やらかした時にどうするか/畑村洋太郎」
本文文字数:3350文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:230文字
令和07年度(2025年度)
第2回
大問1/論理的文章/論説「鷹狩りへの招待/波多野鷹」
本文文字数:3050文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:30文字
大問2/文学的文章/小説「木工少女/浜野京子」
本文文字数:3050文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問3/論理的文章/随筆「つながる読書 10代に推したいこの一冊(「ひとりずもう」を紹介した文章)/宮崎智之」
本文文字数:1150文字/設問文文字数:250文字/記述想定文字数:10文字
大問4/論理的文章/説明「終わりなき侵略者との闘い/五箇公一」
本文文字数:8000文字/設問文文字数:1650文字/記述想定文字数:100文字
大問5/文学的文章/小説「私たちの世代は/瀬尾まいこ」
本文文字数:6150文字/設問文文字数:2250文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
大問2/文学的文章/詩「奈々子に/吉野弘」
本文文字数:1000文字/設問文文字数:900文字/記述想定文字数:20文字
大問3/論理的文章/随筆「黄色い服/向田邦子」
本文文字数:1550文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:30文字
大問4/論理的文章/論説「「友だち」から自由になる/石田光規」
本文文字数:3350文字/設問文文字数:600文字/記述想定文字数:20文字
大問5/文学的文章/小説「ややの一本 剣道まっしぐら!/八槻綾介」
本文文字数:5150文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「17シーズン 巡るふたりの五七五/百舌涼一」
本文文字数:6600文字/設問文文字数:3800文字/記述想定文字数:120文字
大問3/論理的文章/論説「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方/岸見一郎」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:2700文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「透明なルール/佐藤いつ子」
本文文字数:3350文字/設問文文字数:2350文字/記述想定文字数:-
大問2/論理的文章/随筆「ひとりになること 花をおくるよ/植本一子・滝口悠生」
本文文字数:2100文字/設問文文字数:650文字/記述想定文字数:130文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「負けない構えの美しさをゴリラから学ぶ/「言葉」が暴走する時代の処方術/山極壽一」
本文文字数:3550文字/設問文文字数:4150文字/記述想定文字数:70文字
大問3/文学的文章/小説「靴/石川結貴」
本文文字数:3450文字/設問文文字数:3450文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
大問1/文学的文章/小説「春、出逢い/宮田愛萌」
本文文字数:5550文字/設問文文字数:2600文字/記述想定文字数:30文字
大問2/論理的文章/論説「悪いことはなぜ楽しいのか/ルールはそもそもなんのためにあるのか/戸谷洋志/住吉雅美」
本文文字数:5450文字/設問文文字数:3600文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「勉強の価値/森博嗣」
本文文字数:3800文字/設問文文字数:2150文字/記述想定文字数:50文字
大問2/文学的文章/小説「風は山から吹いている/額賀澪」
本文文字数:7150文字/設問文文字数:3500文字/記述想定文字数:40文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「神様(『星の光は昔の光』所収)/川上弘美」
本文文字数:7850文字/設問文文字数:5850文字/記述想定文字数:-
大問2/論理的文章/論説「はじめてのジェンダー論/加藤秀一」
本文文字数:5550文字/設問文文字数:6000文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「花屋が言うことには/山本幸久」
本文文字数:5350文字/設問文文字数:2150文字/記述想定文字数:50文字
大問2/論理的文章/論説「失敗学のすすめ/畑村洋太郎」
本文文字数:2550文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:60文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「猫のお告げは樹の下で/青山美智子」
本文文字数:6050文字/設問文文字数:3500文字/記述想定文字数:30文字
大問3/論理的文章/説明「言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか/今井むつみ・秋田喜美」
本文文字数:3450文字/設問文文字数:1250文字/記述想定文字数:40文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「沈黙/村上春樹」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:60文字
大問3/論理的文章/論説「子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か/森口佑介」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:3350文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「「占いは「アリ」か。──確率と人生のあいだ」/石井ゆかり」
本文文字数:2650文字/設問文文字数:3650文字/記述想定文字数:-
大問2/文学的文章/小説「神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。/行田尚希」
本文文字数:2900文字/設問文文字数:4600文字/記述想定文字数:-
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「リカバリー・カバヒコ/青山美智子」
本文文字数:5200文字/設問文文字数:3600文字/記述想定文字数:-
大問3/論理的文章/論説「ネットはなぜいつも揉めているのか/親ガチャの哲学/津田正太郎/戸谷洋志」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:30文字
令和07年度(2025年度)
A日程
大問2/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:4350文字/設問文文字数:2600文字/記述想定文字数:50文字
大問3/文学的文章/小説「ぼくの色、見つけた!/志津栄子」
本文文字数:4050文字/設問文文字数:2050文字/記述想定文字数:50文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「悪いことはなぜ楽しいのか/戸谷洋志」
本文文字数:5000文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:150文字
大問3/文学的文章/小説「俺たちの箱根駅伝/池井戸潤」
本文文字数:6600文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:200文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「墨のゆらめき/三浦しをん」
本文文字数:7050文字/設問文文字数:1550文字/記述想定文字数:100文字
大問2/論理的文章/随筆「生命のよろこび(ドリトル先生にまなぶ)/高田宏」
本文文字数:4350文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「カラフル/阿部暁子」
本文文字数:5500文字/設問文文字数:1650文字/記述想定文字数:80文字
大問2/論理的文章/論説「世界は経営でできている/岩尾俊兵」
本文文字数:5300文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:90文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「思考の庭のつくりかた はじめての人文学ガイド/福嶋亮大」
本文文字数:11550文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:330文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「私とは何か 「個人」から「分人」へ/ネット・メディアと仲間関係(『変容する子どもの関係』所収)/平野啓一郎/土井隆義」
本文文字数:5150文字/設問文文字数:2550文字/記述想定文字数:50文字
大問3/文学的文章/小説「ダッシュ!/村上しいこ」
本文文字数:4450文字/設問文文字数:3250文字/記述想定文字数:70文字
令和07年度(2025年度)
第1回
大問2/文学的文章/小説「世界から守ってくれる世界/塚本はつ歌」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:50文字
大問3/論理的文章/論説「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか/森博嗣」
本文文字数:2750文字/設問文文字数:2750文字/記述想定文字数:80文字
令和07年度(2025年度)
第2回
大問3/文学的文章/小説「古本食堂/原田ひ香」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:190文字
大問4/論理的文章/論説「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:1400文字/記述想定文字数:140文字
令和06年度(2024年度)
男子校
令和06年度(2024年度)
大問1/論理的文章/随筆「ことばのくすり/稲葉俊郎」
本文文字数:2650文字/設問文文字数:750文字/記述想定文字数:220文字
大問2/論理的文章/論説「「みんな違ってみんないい」のか?/山口裕之」
本文文字数:4500文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:250文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「墨のゆらめき/三浦しをん」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:4150文字/記述想定文字数:70文字
大問2/論理的文章/論説「熟達論/為末大」
本文文字数:3300文字/設問文文字数:2950文字/記述想定文字数:80文字
令和06年度(2024年度)
大問1/論理的文章/論説「時速250kmのシャトルが見える/佐々木正人」
本文文字数:2700文字/設問文文字数:400文字/記述想定文字数:110文字
大問2/文学的文章/小説「鵺の森/千早茜」
本文文字数:6500文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:200文字
令和06年度(2024年度)
大問1/文学的文章/小説「きみの話を聞かせてくれよ「タルトタタンの作り方」/村上雅郁」
本文文字数:8650文字/設問文文字数:3000文字/記述想定文字数:310文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問2/論理的文章/随筆「山火事(『幼き日のこと・青春放浪』所収)/井上靖」
本文文字数:3550文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:80文字
大問3/論理的文章/論説「「池の水」抜くのは誰のため?暴走する生き物愛/小坪遊」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1950文字/記述想定文字数:100文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問3/文学的文章/小説「すきだらけのビストロ うつくしき一皿/冬森灯」
本文文字数:6500文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:110文字
大問4/論理的文章/論説「友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観/戸谷洋志」
本文文字数:3400文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:130文字
令和06年度(2024年度)
大問2/文学的文章/小説「うつろいの秋/西川美和」
本文文字数:4800文字/設問文文字数:2450文字/記述想定文字数:60文字
大問3/論理的文章/論説「ものがわかるということ/養老孟司」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:2100文字/記述想定文字数:80文字
令和06年度(2024年度)
大問1/論理的文章/説明「カブトムシの謎をとく/小島渉」
本文文字数:1000文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:170文字
大問3/文学的文章/小説「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集/斉藤倫」
本文文字数:2300文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:270文字
令和06年度(2024年度)
大問1/文学的文章/小説「随筆と小品/島木健作」
本文文字数:5400文字/設問文文字数:450文字/記述想定文字数:370文字
令和06年度(2024年度)
大問1/文学的文章/小説「やさしいの書き方/宮下みこと」
本文文字数:8000文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:500文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問3/論理的文章/論説「「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性/信原幸弘」
本文文字数:2800文字/設問文文字数:1150文字/記述想定文字数:120文字
大問4/文学的文章/小説「ふえ/今鏡(下)/小島政二郎/竹鼻績(全訳注)」
本文文字数:3350文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:120文字
女子校
令和06年度(2024年度)
大問1/文学的文章/小説「兵隊宿/竹西寛子」
本文文字数:7400文字/設問文文字数:3400文字/記述想定文字数:-
大問2/論理的文章/論説「考え方のコツ/松浦弥太郎」
本文文字数:1500文字/設問文文字数:850文字/記述想定文字数:260文字
令和06年度(2024年度)
A日程
大問2/文学的文章/小説「僕はジャングルに住みたい/江國香織」
本文文字数:3950文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:20文字
大問3/論理的文章/論説「勉強する気はなぜ起こらないのか/外山美樹」
本文文字数:3400文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:160文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「文通小説/眞島めい」
本文文字数:5950文字/設問文文字数:2500文字/記述想定文字数:130文字
大問2/論理的文章/論説「ものがわかるということ/養老孟司」
本文文字数:3750文字/設問文文字数:1650文字/記述想定文字数:80文字
令和06年度(2024年度)
大問1/論理的文章/随筆「恋できみが死なない理由/最果タヒ」
本文文字数:3900文字/設問文文字数:200文字/記述想定文字数:580文字
大問2/文学的文章/小説「百年の藍/増山実」
本文文字数:5500文字/設問文文字数:400文字/記述想定文字数:520文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/論理的文章/随筆「その日の墨/篠田桃紅」
本文文字数:1100文字/設問文文字数:2200文字/記述想定文字数:210文字
大問2/論理的文章/随筆「見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:110文字
令和06年度(2024年度)
大問1/文学的文章/小説「ゆずゆずり―仮の家の四人/東直子」
本文文字数:2650文字/設問文文字数:1400文字/記述想定文字数:180文字
大問2/論理的文章/随筆「子どもたちの日本/長田弘」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1100文字/記述想定文字数:320文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問2/論理的文章/随筆「世界を、こんなふうに見てごらん/日髙敏隆」
本文文字数:4850文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:100文字
大問3/文学的文章/小説「夜明けをつれてくる犬/吉田桃子」
本文文字数:7100文字/設問文文字数:2200文字/記述想定文字数:280文字
共学校
令和06年度(2024年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「都市のくらしと野生動物の未来/世界を人間の目だけで見るのはもう止めよう/高槻成紀/鈴木孝夫」
本文文字数:5750文字/設問文文字数:2200文字/記述想定文字数:30文字
大問3/文学的文章/小説「ビニール水泳服実験/庄野潤三」
本文文字数:5950文字/設問文文字数:2850文字/記述想定文字数:70文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「サクラ咲く/辻村深月」
本文文字数:4200文字/設問文文字数:1600文字/記述想定文字数:160文字
大問2/論理的文章/論説「瞬間で判断する力 私が宇宙飛行士として磨いた7つのスキル/若田光一」
本文文字数:3200文字/設問文文字数:1700文字/記述想定文字数:130文字
令和06年度(2024年度)
大問2/論理的文章/論説「うしろめたさの人類学/松村圭一郎」
本文文字数:3000文字/設問文文字数:550文字/記述想定文字数:20文字
大問3/文学的文章/小説「むすびめ/森絵都」
本文文字数:9350文字/設問文文字数:1350文字/記述想定文字数:90文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「ジェンダーの社会学入門/戦争は女の顔をしていない/江原由美子・山田昌弘/スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ」
本文文字数:5500文字/設問文文字数:1800文字/記述想定文字数:80文字
大問2/文学的文章/小説「流人道中記/浅田次郎」
本文文字数:4000文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:70文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/論理的文章/論説「「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性/信原幸弘」
本文文字数:3600文字/設問文文字数:1900文字/記述想定文字数:80文字
大問2/文学的文章/小説「或る朝/志賀直哉」
本文文字数:3000文字/設問文文字数:2000文字/記述想定文字数:150文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性/信原幸弘」
本文文字数:4600文字/設問文文字数:1450文字/記述想定文字数:110文字
大問3/文学的文章/小説「ハーベスト/花里真希」
本文文字数:5250文字/設問文文字数:1500文字/記述想定文字数:140文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問1/文学的文章/小説「Kの話/山川方夫」
本文文字数:6050文字/設問文文字数:5300文字/記述想定文字数:70文字
大問2/論理的文章/論説「思考停止という病理/榎本博明」
本文文字数:1600文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:20文字
令和06年度(2024年度)
大問1/論理的文章/随筆「インセン/須賀敦子」
本文文字数:2750文字/設問文文字数:2400文字/記述想定文字数:10文字
大問2/論理的文章/説明「ゼロからの「資本論」/斎藤幸平」
本文文字数:2600文字/設問文文字数:500文字/記述想定文字数:100文字
令和06年度(2024年度)
第1回
大問2/論理的文章/論説「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形/稲田豊史」
本文文字数:3450文字/設問文文字数:1650文字/記述想定文字数:70文字
大問3/文学的文章/小説「宇宙のみなしご/森絵都」
本文文字数:4400文字/設問文文字数:2300文字/記述想定文字数:60文字

中学受験国語の勉強法とおすすめ参考書については、「【完全版】中学受験国語〜合格までの勉強法と最強テキストまとめ〜(新しいタブで開きます)」にて解説しています。
【男子校】出題文テーマ解説
筑波大学附属駒場中学校
令和08年度(2026年度)/大問1「子どもの文化人類学/原ひろ子」
テーマ
「学び方は文化によってちがい、自分で見て覚える方法と教わる方法があります。」
読み取りのポイント
自分で見て考えて覚える学び方と、先生から教わる学び方のちがいに注目しましょう。
折り紙の例で、子どもが学ぶ相手や紙とどうかかわるのかを読み取りましょう。
学び方のちがいが、得意な分野やなじみやすい学校の仕組みにどう関係するかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
自分で見て考えて覚える学び方↔︎先生に教わって覚える学び方
見て再現するのが得意な分野↔︎教わる方が能率的な分野
手工などの作品づくり↔︎機械や技術の学習
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
学び方は、育った文化によって変わります。
それを支える根拠
自分で見て覚える社会と、教わる役割の人がいる社会では、学ぶ習慣がちがうからです。
結論・テーマ
教わる仕組みの学校では、なじみにくい子が出ます。
それを支える根拠
自分で納得するまで考えて覚える子は、先生の説明を待つ方式に合いにくいからです。
文章の要約
筆者は、カナダの狩猟採集民ヘヤー・インディアンの子どもたちに折り鶴を折って見せます。子どもたちは、教えてほしいとは言わず、自分で見て考えて、折り方を再現しました。筆者は、これを「自分で覚える」学び方だと考えます。一方、同じ北極圏のエスキモーの子どもは、教わるのが得意だと言われます。学校の中でも、手工は自分で覚える子が上手で、計算は教わる方式の子が進みが早いなど、ちがいがありました。学び方には文化ごとの特色があり、どちらがすぐれているとは言えません。
テーマ解説
人が何かを覚える方法は、一つではありません。ある社会の子どもたちは、先生に教わるのを待たず、自分で見て、考えて、まねをして覚えます。別の社会では、教える役割の人から一定の順序で教わるのがふつうです。どちらも長い暮らしの中で身についた学び方で、優劣はありません。ただし、学校のように教わる形が決まった場所では、自分で納得するまで進まない子が、うまく力を発揮できないことがあります。このことは、学び方にはちがいがあると知り、相手の学び方を認める大切さを教えてくれます。
+αで覚えておきたいこと
文化人類学
世界のさまざまな民族の暮らしや考え方を調べ、人間のちがいと共通点を考える学問です。
狩猟採集民
狩りや漁、木の実などを集めて食べ物を得る暮らしをする人たちです。決まった畑を持たず、自然の中で必要な知恵を身につけます。
観察学習
人のやり方をよく見て、まねをすることで学ぶ方法です。言葉で教わるより、見て覚える割合が高い社会もあります。
教育の形
学校のように、決まった内容を、決まった順序で教える仕組みは、世界の長い歴史の中では比較的新しいものです。
自分の学び方を知る
読んで覚える人、聞いて覚える人、手を動かして覚える人など、人によって得意な方法がちがいます。
ちがいを認める
自分の学び方が合わないとき、能力が低いのではなく、方法が合わないだけのこともあります。
令和08年度(2026年度)/大問2「声の地層/瀬尾夏美」
テーマ
「大切な人を失った悲しみは、聞く人がいることで受けつがれ、忘れられません。」
読み取りのポイント
津波で多くを失った人が、亡くなった人について語ることの重みに注目しましょう。
話を聞く旅人が、何もできない自分と向き合う気持ちの変化を読み取りましょう。
悲しみを聞き、受けとめて、次へ伝えていくという行動の意味をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
生き残った人のつらさ↔︎亡くなった人のつらさ
何も見ていない生き残り↔︎語られた話を聞く旅人
悲しみが消えていく時間↔︎悲しみを受けついでいく意志
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
悲しみは、語られ、聞かれることで受けつがれます。
それを支える根拠
おばあさんの語りを旅人が聞き、その話を大切にすると約束するからです。
結論・テーマ
本当に何もできないのは亡くなった人たちです。
それを支える根拠
犠牲になった人は、自分の状況も家族の様子も知れないままだからです。
登場人物
おばあさん/女性/高齢/津波から逃れ、高台の一軒家に一人で暮らす。亡くなった人たちの話を人から聞いて語る。
旅人/性別不明/大人(年齢不明)/各地を巡り、災害の話を聞いて回る。おばあさんの語りに心を動かされる。
死んだ人/性別不明/年齢不明/津波で亡くなった人。おばあさんのところを訪ね、自分の知らなかったことを聞く。
赤ん坊/性別不明/乳児/途中で見つかる。旅人が連れて旅を続けることにする。
文章の要約
海を見下ろす高台に、津波から逃れたおばあさんが一人で暮らしています。そこへ、遠くから来た旅人と、津波で亡くなった人が訪ねてきます。旅人は、おばあさんから災害のことを聞こうとしますが、おばあさんは自分は何も見ていないと言います。その代わり、人から聞いた遺族や被災者の苦しみを、静かに語りはじめます。亡くなった人は、知りたかった家族の様子を聞き、やがて涙を流します。旅人は、聞いた話を大切にすると約束し、風の中で見つけた赤ん坊を連れて、旅を続けることにします。
テーマ解説
大きな災害が起きたとき、いちばん苦しいのは亡くなった人と、その家族です。生き残った人にも、助けられなかった後悔や、言葉にできない悲しみが残ります。この話では、おばあさんが人から聞いた話を語りつぐことで、亡くなった人も旅人も、悲しみに少しふれることができます。ここで大切なのは、何もできない自分を知りながら、それでも話を聞き、受けとることです。聞いた人が次の人へ伝えれば、悲しみや出来事の記憶は、時間がたっても消えません。人は、すべてを解決できなくても、誰かの話に耳をかたむけることで、力になれるのです。
+αで覚えておきたいこと
東日本大震災
2011年3月11日に起きた大地震と津波です。東北地方を中心に、多くの人が亡くなり、住まいや仕事を失いました。
災害の記憶の継承
災害から時間がたつと、体験した人が少なくなります。語り部の活動や記録を通じて、体験を次の世代へ伝える取り組みが続いています。
語り部
自分の体験や、聞いた話を、人々に語って伝える人のことです。話を聞く人も、伝える役割を持つことがあります。
風化
大きな出来事の記憶が、時間とともにうすれていくことです。忘れないために、記念の場所を作ったり、話し合ったりします。
傾聴
相手の話を、評価せず、最後までていねいに聞くことです。悲しみを抱える人にとって、聞いてもらうこと自体が支えになります。
グリーフ(悲嘆)
大切な人を失ったときの深い悲しみのことです。悲しみ方や回復の速さは、人によってちがいます。
令和07年度(2025年度)/大問1「どんとこい、貧困!/湯浅誠」
テーマ
「必要と甘えの線引きは決めきれず、誰もが人間らしく生きられる社会が大切です。」
読み取りのポイント
「ハングリー精神」と「ぬるま湯」が、それぞれ人の努力にどう関わるのかに注目しましょう。
「必要」と「甘え」の区別を、誰がどうやって決めるのかというむずかしさを読み取りましょう。
線引きができないとき、筆者が社会のあり方としてどう考えるのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
飢えが必死さを生むこと↔︎甘やかすとやる気が出ないこと
必要な条件をそろえること↔︎必要以上に与えてしまうこと
人が決める線引き↔︎誰もが人間らしく生きられる状態
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
必要と甘えの線引きは、誰も決めきれません。
それを支える根拠
人によって考えがちがい、誰かが決めても、反対する意見が出るからです。
結論・テーマ
誰もが人間らしく生きられる社会を目ざすべきです。
それを支える根拠
結果を出せない人は生きるなという考え方は、人間らしさを守れないからです。
文章の要約
「ハングリー精神」とは、飢えているからこそ必死になる気持ちです。反対に、気持ちのいい場所でぬくぬくしていると、「ぬるま湯」でチャレンジ精神が生まれません。しかし、必死にがんばるためには、食べるなどの必要な条件はそろっている必要があります。それでは、どこまでが「必要」で、どこからが「甘え」なのでしょうか。筆者は、この線を誰かが決めようとすると、必ず反対が出て混乱すると述べます。そして、誰もが人間らしく生きられる社会を目ざすことが、大事だと考えます。
テーマ解説
人は、困っているとき、助けてもらうことで楽になります。でも、助けすぎると「甘やかしている」と言われ、反対に助けないと「冷たい」と言われます。どこまでが必要な助けで、どこからが甘えなのかは、人によって考えがちがいます。筆者は、必要なものを客観的に決める線は、実は引けないと考えます。だから、一人が決めても、誰もが納得しません。そこで、筆者は、誰もが人間らしく生きられる状態を、社会の目標にするべきだと考えます。そうすれば、助けるかどうかを、人の評価ではなく、人間らしい生活を基準に考えることができます。
+αで覚えておきたいこと
ハングリー精神
英語のハングリー(飢えている)から生まれた言葉で、苦しい状況をばねにして成功しようとする強い気持ちを指します。
ぬるま湯
熱くも冷たくもない、気持ちのよい温度の湯のことです。そこから、緊張感のない、居心地のよい環境のたとえになります。
貧困
生活に必要なお金やものが足りない状態です。お金だけでなく、住まいや食事、教育の機会など、暮らしのさまざまな面に影響します。
自己責任論
うまくいかないのは、その人の努力不足が原因だと考える立場です。社会の仕組みや運も関係するため、批判もあります。
セーフティネット
病気や失業などで生活が苦しくなったときに、生活を支える社会の仕組みです。生活保護や、各種の補助制度があります。
必要と甘え
何が必要で何が甘えなのかは、時代や社会によって変わります。だからこそ、話し合って考え続けることが大切です。
令和07年度(2025年度)/大問2「美しいってなんだろう?/矢萩多聞」
テーマ
「手で書いた文字には人の個性や温かみがあり、整った文字とはちがう美しさがあります。」
読み取りのポイント
筆者が子どものころ、自分の字をはずかしく思っていた理由に注目しましょう。
インドで見た手書きの文字と、パソコンの文字との感じ方のちがいを読み取りましょう。
整った文字と、味わいのある文字の、それぞれのよさをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
整って読みやすい活字↔︎ゆがんでいても生き生きした手書き文字
人にほめられる字↔︎自分らしい味のある字
はずかしいと思った字↔︎あこがれの対象になった字
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
手書きの文字には、書いた人の個性や温かみが現れます。
それを支える根拠
線が少しゆがんでいても、書く人の気持ちや息づかいが伝わるからです。
結論・テーマ
整った文字だけが、美しいわけではありません。
それを支える根拠
筆者は、インドで見た手書き文字や、描き文字に、強い魅力を感じたからです。
文章の要約
筆者は、小学校の書道の先生がきらいで、自分の字をはずかしく思っていました。成長して、インドで暮らしたとき、あちこちに手書きの文字があふれているのを見ます。看板やステッカーなどの文字は、整っていなくても、声が聞こえるような生き生きした力がありました。日本に帰って、筆者は、パソコンの文字にはない手書きの魅力を、あらためて感じます。のちに、本のデザインの仕事で、描き文字をつくる甲賀さんと出会い、手で書く文字のよさをさらに知ります。
テーマ解説
文字には、「正しく整っている」というよさがあります。パソコンの文字は、誰が使っても同じようにきれいで、とても読みやすいです。でも、手で書いた文字は、線の強さや形のゆがみに、書いた人の気持ちが現れます。インドの看板や、日本のデザイナーの描き文字には、整っていないからこそ生まれる力がありました。字がうまいか下手かだけで、美しさは決まりません。人の個性や、その場の空気が伝わるものも、美しいと言えます。美しさを、一つのものさしで決めないで、いろいろな見方を持つことが大切です。
+αで覚えておきたいこと
活字
金属などでつくられた、印刷用の文字のことです。今は、パソコンのフォントとして、整った文字が使われます。
フォント
パソコンなどで使う文字の形のデザインです。明朝体やゴシック体など、さまざまな種類があります。
書道
筆と墨で文字を書く日本の伝統文化です。字の形だけでなく、線の力強さや、余白の取り方も、表現の一部になります。
手書き文字の看板
インドなどでは、今も看板を職人が手で描く町があります。文字の形に、描いた人の個性が出ます。
ブックデザイン(装丁)
本の表紙や、カバーの図案をつくる仕事です。題名の文字の形は、本の印象を大きく左右します。
美しさの基準
何を美しいと感じるかは、人や文化、時代によって変わります。一つの答えを決めつけず、いろいろな美しさを楽しむ姿勢が大切です。
令和07年度(2025年度)/大問3「小さな嘘/東田直樹」
テーマ
「小さなうわさ話の積み重ねが、人が人をおとしめる世の中を作ってしまいます。」
読み取りのポイント
誰かのついた小さな嘘が、うわさになって広がっていく流れに注目しましょう。
うわさ話を聞いて、怒る人や、泣く人が出てくる変化を読み取りましょう。
小さな嘘の積み重ねが、最後にどんな大きな問題になるかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
小さな嘘↔︎大きな嘘
ささいなうわさ話↔︎人が人をおとしめる世の中
笑う人・怒る人↔︎泣く人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
小さな嘘が重なると、世の中をゆがめる大きな嘘になります。
それを支える根拠
嘘がうわさとなって広がり、人を傷つける連鎖が生まれるからです。
結論・テーマ
人が人をおとしめる世の中は、まちがっています。
それを支える根拠
何が正義で何が悪かが分からないまま、誰かが傷つくからです。
文章の要約
誰かが、小さな嘘をつきました。それを笑う人がいて、さらにうわさが広がります。うわさを聞いて、怒る人が出てきて、その人が話した、つまらない話を聞いた別の誰かは、泣きます。そうなると、何が正義で、何が悪なのか、分からなくなります。やがて、人が人をおとしめる世の中ができあがります。その世の中そのものが、とても大きな嘘だと、詩は語ります。
テーマ解説
この詩は、ほんの小さな嘘から始まります。嘘は、笑う人、怒る人と、人から人へとうつり、少しずつ形を変えて広がります。広がるうちに、最初の嘘は見えなくなり、何が本当かも分からなくなります。そして、誰かが傷つき、泣くことになります。一つ一つは小さなことでも、積み重なれば大きな力になります。人を責めたり、おとしめたりする世の中は、もともとの小さな嘘の積み重ねかもしれません。だからこそ、うわさや話を聞くとき、すぐに信じたり、広めたりしないことが大切です。
+αで覚えておきたいこと
うわさ話
確かめられていない話が、人から人へと伝わることです。伝わるうちに、内容が変わったり、大げさになったりします。
フェイクニュース
事実とちがう、うその情報のことです。インターネットでは、短い時間で広い範囲に広まります。
同調
まわりの人と同じ意見や行動をとることです。うわさを笑ったり、広めたりする人が多いと、同調して加わる人も増えます。
いじめと言葉
言葉は、人を勇気づける一方、傷つける力も持っています。悪意がなくても、軽い気持ちの一言が人を苦しめることがあります。
情報を確かめる習慣
情報を見たとき、出どころを確かめ、ほかの情報とくらべる習慣が、うその拡散を防ぎます。
東田直樹
自閉症のある作家で、言葉を通じて、自分の見方や感じ方を詩や文章に表現しています。
令和06年度(2024年度)/大問1「カブトムシの謎をとく/小島渉」
テーマ
「オスの角は勝つための武器で、作るコストと得られる利益の差で進化しました。」
読み取りのポイント
カブトムシのオスの角が、樹液場の争いでどう使われるのかに注目しましょう。
オスだけが大きな角を持つ理由を、メスとの役割のちがいから読み取りましょう。
武器を作るのに必要な費用と、そこから得られる利益の関係をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
大きな角を持つオス↔︎角を持たないメス
武器を作る費用↔︎武器から得られる利益
多くの子を残せるオス↔︎卵の数を増やしたいメス
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
オスは、争いに勝つために大きな角を進化させました。
それを支える根拠
樹液場を守るオスほど、多くのメスと交尾して、子を残せるからです。
結論・テーマ
メスは、大きな武器を進化させませんでした。
それを支える根拠
武器を作るコストが、産卵数の減少という不利になるからです。
文章の要約
カブトムシのオスの大きな角は、樹液場でライバルのオスと戦うための武器です。相手の体の下に角を入れて、すくい上げて引きはがします。樹液場を勝ち取るオスは、多くのメスと交尾して、より多くの子を残せます。一方、メスは樹液場で争う必要がありません。大きな武器を作るには、たくさんのエネルギーが必要で、メスにとっては産卵数の減少につながり、不利になります。そのため、オスだけが武器を進化させたのです。
テーマ解説
生き物の体の特ちょうは、生き残って子を残すうえで、役に立つかどうかで進化します。カブトムシのオスは、樹液場での争いに勝つと、多くのメスと出会えます。そのため、大きな角という武器を持つ利益が大きいのです。ただし、武器を作るにはたくさんのエネルギーが必要です。オスは、精子の数が少し減っても、多くの子を残せるので、武器を作る方が得です。反対にメスは、卵を作るエネルギーを減らしたくありません。だから、武器を進化させず、オスだけが角を持つようになりました。
+αで覚えておきたいこと
進化
生き物の体や行動が、長い時間をかけて、少しずつ変わっていくことです。生き残りや子孫を残すのに有利な特徴が、残りやすくなります。
性選択
メスをめぐる争いに勝つ、あるいはメスに選ばれる特徴が、進化していく仕組みです。クジャクの羽やシカの角も、その例です。
コストと利益
生き物の特徴には、作るための費用(エネルギー)と、得られる利益があり、利益が上回るとき進化します。
カブトムシの生活
夏に成虫になり、樹液に集まります。幼虫は土の中で、腐葉土を食べて育ちます。
クワガタムシとの違い
クワガタのオスの大あごは、相手をはさんで投げるのに使われ、カブトムシの角とは使い方がちがいます。
身近な観察
昆虫の行動を観察すると、生き残りの工夫が見えてきます。理由を考えながら見ると、発見が増えます。
令和06年度(2024年度)/大問3「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集/斉藤倫」
テーマ
「作者の気持ちが分からなくても、分からないまま考え続けることに意味があります。」
読み取りのポイント
国語のテストで「作者の気持ち」を答えさせることへの、二人の考えのちがいに注目しましょう。
詩を読んで、はっきり分からなくても、何かを感じ取る気持ちを読み取りましょう。
「正解」が分からないとき、どう向き合えばよいかという考えをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
作者の気持ちを当てるテスト↔︎分からなくてもいい詩の読み方
正解に近づこうとする姿勢↔︎分からないまま感じる姿勢
言葉通りの意味↔︎言葉の外にある気持ち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
作者の気持ちは、完全には分からなくてもよいのです。
それを支える根拠
作者本人でも、全てを分かっているとは限らないからです。
結論・テーマ
詩を読むとき、自分の心が動くことが大事です。
それを支える根拠
「きみ」は、詩の中のうしろで落ちたものに、同じように気づけたからです。
登場人物
ぼく(おじさん)/男性/大人(年齢不明)/「きみ」の家に来る。国語や詩について、きみと話す。
きみ/性別不明/小学生くらい/テストの「作者の気もち」を答える問題が気になる。詩を読んで、ぼくと話す。
きみのお母さん/女性/大人(年齢不明)/きみに朝ごはんのことなどを話しかける。
文章の要約
「きみ」は、国語のテストが返ってきたと、「ぼく」に話します。テストには、「作者の気もちを答えなさい」という問題がありました。「ぼく」は、作者だって、自分の気もちが分かっていないかもしれないと言います。二人は、母親の「きょうのオムレツ、どう」という言葉の意味などを考えます。やがて、「うしろで何かが落ちる」という詩を読み、「きみ」は、何かが落ちたことを、はっきり分からないまま感じとります。分からなくても、考え続けることに意味があると、二人は気づきます。
テーマ解説
国語のテストでは、「作者の気もち」を答える問題がよく出ます。でも、作者本人も、自分の気もちをはっきり分かっているとは限りません。詩や物語は、言葉の外にある気もちや、まだ言葉になっていない思いを表すことがあります。この話では、「きみ」が詩を読んで、何かが落ちた気がすると感じます。正解が分からなくても、感じること、考え続けることに価値があります。分からないことをすぐ答えにせず、ああでもない、こうでもないと考える時間が、読む力や、考える力を育ててくれます。
+αで覚えておきたいこと
詩の読み方
詩は、言葉を少なくして、気持ちや景色を表します。一つの正しい意味を探すより、感じたことを大切に読みます。
言外の意味
言葉にしていないけれど、相手に伝わる意味のことです。「オムレツどう」という問いが、嫌みを含むこともあります。
行間を読む
文章に書かれていない気持ちや事情を、前後の流れから想像して読み取ることです。
テストの国語と読書の国語
テストでは、決まった答えを探しますが、読書では、自分なりの感じ方で自由に楽しめます。
作者と作品
作品は、書かれたあとは読む人のものでもあります。作者が思っていなかった意味を、読者が見つけることもあります。
わからないを大切にする
すぐに分からないことでも、時間をかけて考えると、あとで意味が見えてくることがあります。
灘中学校(1日目)
令和08年度(2026年度)/1日目大問1「幸あれ、知らんけど/平民金子」
テーマ
「大好きな先生との別れを経験しながら、子どもが成長していくこと」
読み取りのポイント
子どもが大好きな先生との別れをどのように知り、どう受け止めていくのかに注目して読み取ります。
悲しむ子どもに別れをどう伝えるか迷う、見守る親の切ない気持ちを読み取ります。
別れの場面での子どもの涙や行動から、子どもが少し成長した様子を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 子どもは、大好きな人との別れという悲しい出来事を通して成長する。
具体例 学校を去る先生の知らせを聞き、大好きな担任の先生との別れにショックを受ける。
具体例 先生が去る式で、花束をわたす大役を引き受ける。
具体例 泣きながらも、最後まで先生に花束をわたしきる。
本文を対比関係で整理
別れの知らせにとまどう子↔︎花束をしっかりわたす子
伝え方に悩む親↔︎成長を静かに見守る親
先生と別れる悲しさ↔︎大役をやりとげた誇らしさ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 親は、子どもの成長をあたたかく見守る気持ちになる。
それを支える根拠 子どもは大好きな先生との別れに泣きながらも、花束をわたす役を最後までやりとげたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 すると
解説 帰結を表す接続語です。出来事から生まれた次の展開や、子どもの反応を読み取る目印になります。
本文の表現 そして
解説 並列を表す接続語です。別れの式で起きたことが順に重ねられ、場面が盛り上がっていく流れをつかめます。
本文の表現 だが
解説 逆接を表す接続語です。多くの子が上手にこなす中で、うまくできない子の様子を強調しています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
小学2年生の子が、学校を去る先生の知らせを聞いた。その中には子が大好きな担任の名前もあり、筆者はどう伝えるか悩む。子は先生から、式で花束をわたす役を頼まれるが、わたす相手が担任だとはまだ知らない。式の日、子は涙を流しながらも、先生に花束をわたしきる。筆者はその姿を見て、悲しい別れを受け止めて成長していく子どもを見守る。
テーマ解説
この文章は、子どもが「大好きな人との別れ」に出会う場面を、親の目から書いたものです。大人にとって先生の異動は、よくあることかもしれません。でも子どもにとっては、毎日会っていた安心できる人がいなくなるという、大きな出来事です。親はその悲しみを知っているので、どう伝えればいいか迷います。
けれども子どもは、悲しみの中でも自分の役目をはたそうとします。泣いてしまうことは弱さではなく、それだけ相手を大切に思っている証拠です。人は、つらい経験を一つ一つのりこえることで、少しずつ心が育ちます。親は、手助けしすぎず見守ることで、その成長を支えているのです。
+αで覚えておきたいこと
子どもが成長するとき、親や周りの大人がどんな役割を持つかを知っておくと、似た文章が読みやすくなります。
まず、悲しみや不安を感じることは、成長に必要な経験だと考えられています。うれしいことだけでなく、別れや失敗を経験することで、人の気持ちを思いやる力が育つからです。
次に、大人の役割には「先回りして守る」ことと「待って見守る」ことがあります。何でも先に助けてしまうと、子どもが自分で乗りこえる機会がなくなります。そのため、あえて手を出さずに見守ることも大切な愛情のかたちです。
また、文章を読むときは、「だれの目から書かれているか」を意識しましょう。この文章は親の目から書かれているので、子ども本人が感じたことは、行動や言葉からしか分かりません。見えている行動から気持ちを想像する練習につながります。
令和07年度(2025年度)/1日目大問1「いつかマックで(『記憶を食む』所収)/僕のマリ」
テーマ
「幼い子の記憶力のすごさと、思い出が相手の心に残るうれしさ」
読み取りのポイント
幼い子どもが、大人が忘れてしまうような細かいことまでよく覚えているという、おどろきに注目して読み取ります。
筆者が、小さな姪との会話が増えて、関係が深まっていくことをうれしく感じている様子を読み取ります。
筆者が、自分との思い出を相手が覚えていてくれたらという願いを、どのように持つのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 幼い子どもの心には、大人が思う以上にたくさんの思い出が残り、それは大人にとって大きなよろこびになる。
具体例 三歳の姪は、一年前のできごとや、ビデオ通話で話したことを細かく覚えている。
具体例 会話ができるようになり、姪が自分から誘いや質問をしてくるようになる。
具体例 姪が筆者との約束を覚えていてくれたら、とてもうれしいと筆者は思う。
本文を対比関係で整理
細かいことまで覚えている子↔︎大人が忘れてしまうこと
赤ちゃんのころの姪↔︎話しかけてくる今の姪
姪の中で小さい筆者の存在↔︎思い出に残りたい願い
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、姪にいつか自分との約束を覚えていてほしいと願う。
それを支える根拠 姪が小さな出来事までよく覚えていて、会話を通して二人の心の距離が近づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 というのも
解説 理由を表す言葉です。筆者が姪の記憶力にどれほど感心したのか、その根拠が示される目印です。
本文の表現 しかし
解説 逆接を表す接続語です。前に書かれた内容と反対の気持ちや事実が、このあとに続くことを示します。
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。直前の理由から、筆者が考えた結論やねがいにつながる流れを読み取れます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、三歳の姪が細かいことまでよく覚えていることにおどろく。ビデオ通話では、姪は筆者との過去の出来事を話してくれる。実際に会うと、姪は筆者を「マック」に誘うなど、会話ができるようになっている。筆者は、姪の世界では自分の存在が小さいかもしれないと感じつつ、いつか二人でお茶をする約束を覚えていてくれたら、とてもうれしいと思う。
テーマ解説
この文章のテーマは、「記憶」とそれが人の心をつなぐ力です。小さな子どもは、まだ何も分かっていないように見えます。でも実際は、まわりで起きたことをびっくりするほど細かく覚えていることがあります。大人が見落とすようなことも、子どもにとっては大切な出来事なのです。
筆者は、そのことに気づき、姪が自分との思い出も心に残してくれるか気になります。思い出は、一人で持つものではなく、相手と分け合うことで二人の絆になるものです。だから、自分が覚えているだけでなく、相手も覚えていてくれることが、大きなよろこびになるのです。
+αで覚えておきたいこと
「記憶」について、いくつか知っておくと文章が読みやすくなります。
人の記憶には、「出来事の記憶」があります。うれしい、おどろいた、こわいなど、心が大きく動いた出来事ほど強く残りやすいと言われます。小さな子どもにとっては、毎日が新しい発見の連続なので、出来事が心に深く残りやすいのです。
また、人は大きくなると、小さい頃のことをあまり思い出せなくなります。これを「幼児期健忘」といいます。つまり、子どもの頃の思い出は、本人は忘れても、まわりの大人が覚えていることがあるのです。だから筆者のように、思い出を親や親せきが話して伝えることも大切だと考えられています。
さらに、文章を読むときには「家族」や「世代」の関係に注目しましょう。筆者と姪は親せきですが、毎日会うわけではありません。会う回数が少なくても、思い出を重ねることで関係は深まるという考え方は、他の文章にも出てきます。
令和06年度(2024年度)/1日目大問1「桃を煮るひと/くどうれいん」
テーマ
「本物とちがっても、期待どおりの『らしさ』にこそよさがある」
読み取りのポイント
ぶどう味のお菓子の味が、本物のぶどうの味とどのようにちがうのかに注目して読み取ります。
お菓子の味や見た目が、「ぶどうらしさ」を目指して変化してきたことを読み取ります。
筆者が、本物そっくりでないお菓子に、どんな魅力を感じているのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ お菓子に求めているのは本物そっくりの味ではなく、「らしさ」を感じられるうれしさである。
具体例 むらさき色の包み紙から期待する味と、飴を口に入れたときの味にはちがいがある。
具体例 ぶどう味のお菓子は、本物のぶどうではなく「ぶどうあじ」というお菓子らしい味になっている。
具体例 絵のない包み紙より、ぶどうの絵がかかれた包み紙の飴のほうが「やっぱりぶどう!」と喜べる。
本文を対比関係で整理
本物のぶどうの味↔︎お菓子の「ぶどうあじ」
包み紙から期待する味↔︎飴の実際の味
本物そっくりの味↔︎「らしさ」のうれしさ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、本物とずれたお菓子の「ぶどうあじ」を好ましく思う。
それを支える根拠 お菓子は、本物の味ではなく「ぶどうらしさ」を目指して変化し、そこにしかない魅力が生まれているから。
重要コアフレーズ
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。お菓子が「ぶどうあじ」を目指して変化した結果、今のお菓子の味になっていることがつながります。
本文の表現 とりわけ
解説 例示を強調する言葉です。たくさんの例の中で、筆者が特に注目しているお菓子や考えを示します。
本文の表現 ぶどうそのもの/ぶどうあじ
解説 本物と「らしさ」を対比する、この文章の重要な言葉です。二つの言葉の差が、そのままテーマになっています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、むらさき色の包み紙の飴を口に入れ、その味が本物のぶどうの味とちがうことを思い出す。子どもの頃から、ぶどう味のお菓子は、本物のぶどうよりも「ぶどうあじ」と言うべき、お菓子らしい味に進化してきた。筆者は、本物を完全に再現できない不器用さも魅力だと感じ、飴に求めているのは、「やっぱりぶどう!」と思えるくらいの「らしさ」で十分だと考える。
テーマ解説
この文章は、お菓子の「ぶどう味」を通して、「本物」と「らしさ」の関係について考えています。私たちは、「ぶどう味」と聞くと本物のぶどうの味を思い浮かべます。でも実際のお菓子は、本物とは少しちがう味です。それでも私たちは、「ぶどうだ!」と感じて楽しめます。
それは、お菓子が本物の再現ではなく、「ぶどうらしさ」を表す別のものだからです。筆者は、本物そっくりでなくても、期待したイメージに近づけてくれるだけで、うれしさがあると考えます。完璧でなくても、そこにしかない魅力があるという見方がこの文章の中心です。
+αで覚えておきたいこと
「本物」と「らしさ」の関係について、知っておきたいことをまとめます。
世の中には、本物をそのまま使うのではなく、本物の特ちょうを取り出して、イメージを作ったものがたくさんあります。たとえば、イチゴ味のお菓子は、イチゴの香りと甘さのイメージを表現したものです。味や香りを再現するために「香料」を使うこともあります。
また、人は味を舌だけで感じているのではありません。色、形、香り、包み紙の絵などの情報も合わさって、味の印象が決まると言われています。むらさき色を見ただけで「ぶどう味だ」と感じるのは、そのためです。
さらに、「期待」と「現実」のちがいも、文章を読む上で大切です。期待より現実がよければ「うれしい」、悪ければ「がっかり」となります。でもこの文章では、ちがいがあっても、それを楽しむという見方が書かれています。小さな日常のできごとから、ものの見方を広げる随筆の読み方として覚えておきましょう。
令和05年度(2023年度)/1日目大問1「文にあたる/牟田都子」
テーマ
「校正者は、書き手の意図を大切にしつつ、文章を正しく読者に届ける」
読み取りのポイント
文章を出版前に確かめる「校正」という仕事が、どのような役割をもつのかに注目して読み取ります。
「事実としての誤り」と「書き手があえて書いた表現」のちがいを、筆者がどう考えているのかを読み取ります。
校正者が、書き手や編集者と協力して文章を支えていることを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 校正者は、事実を確かめつつ、書き手の意図をそこなわないよう、文章を整える仕事をしている。
具体例 地名や数字などの事実が正しいかを、辞書や資料で調べて確かめる。
具体例 誤りに見える表現でも、書き手があえて選んだ表現であれば、そのまま残すことがある。
具体例 書き手や編集者と話し合い、「採る」か「採らない」かを書き手が決められるように指摘する。
本文を対比関係で整理
事実を正しく確かめる↔︎書き手の意図を尊重する
校正者の指摘↔︎書き手が最終的に決める
ただの誤りに見える表現↔︎あえて書いた表現
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 校正者は、事実の確認と、書き手の意図の尊重を両方大切にして仕事をする。
それを支える根拠 文章には、事実の誤りだけでなく、書き手があえて選んだ表現もあり、判断を誤ると書き手の考えをそこねるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 でも
解説 逆接を表す接続語です。事実どおりにする考えと、書き手の意図を守る考えとのちがいを読み取る目印になります。
本文の表現 とりわけ
解説 例示の中でも特に大切なものを示す言葉です。校正の仕事の中で注目される点が、強調されています。
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。読者の考えから、校正者が「改めねばならない」と判断する理由につながります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、有名な本の書き出しを例に、校正者が文章の間違いを正し、足りない点を補う仕事であることを説明する。校正者は、地名や数字などの事実を調べて確かめるが、すべてを「事実」に合わせて直すのではない。書き手があえてそう書いた場合もあるので、指摘は書き手や編集者に伝え、書き手が決められるようにする。こうした手間が、活字を支えている。
テーマ解説
この文章は、本が出る前に文章を読んで確かめる「校正者」という仕事を紹介しています。校正者は、まちがった漢字や、事実とちがう数字を見つけて直す仕事です。でもそれだけではありません。書き手が、わざとふつうと違う書き方をしている場合もあります。そこで大事なのが、事実を確かめることと、書き手の意図を守ることの両立です。
たとえば、ある表現が間違いに見えても、書き手には考えがあるかもしれません。そのため校正者は、勝手に直さず、「こうではありませんか」と提案するだけにとどめます。最終的に決めるのは書き手です。こうして、読者に正確で、かつ書き手らしい文章が届くのです。
+αで覚えておきたいこと
文章が本になるまでの流れや、言葉の考え方を知っておくと、似た文章が読みやすくなります。
本は、書き手が書いただけでできるわけではありません。書き手のほかに、編集者、校正者、デザイナー、印刷や製本をする人など、たくさんの人が関わっています。校正者は、本が出る前の「最後の読者」として、間違いを防ぐ役割をもっています。
また、「校正」と似た言葉に「校閲」があります。校正は、文字や表記のまちがいを直すこと、校閲は、内容の事実や意味に誤りがないかを確かめることと、区別されることがあります。ただ、今は両方をまとめて「校正」と呼ぶことも多くあります。
さらに、言葉には「正しい」と「ふさわしい」の二つの考え方があります。辞書に載っている使い方が正しくても、場面や書き手の気持ちによって、あえて別の表現を選ぶことがあります。文章を読むときは、「なぜこの表現なのか」と考える習慣を持つと、筆者の考えをつかみやすくなります。
令和04年度(2022年度)/1日目大問1「日高敏隆選集V 動物はなぜ動物になったか/日高敏隆」
テーマ
「自分の土地の草を許さない考えは、自然を大切にする気持ちと食い違う」
読み取りのポイント
人が「雑草は悪いもの」と考え、自分の土地から取りのぞこうとする姿勢に注目して読み取ります。
筆者が、この考えの根っこにある「管理の思想」をどのように説明しているのかを読み取ります。
「野山に緑を」と言いながら、身近な草をきらうことの矛盾を、筆者がどう見ているのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人は、自分の管理下にある土地に、勝手に生える草を許さない考えを持っている。
具体例 研究室の近くでも、住宅でも、人々は除草剤をまいたり、草刈りをしたりして雑草をなくそうとする。
具体例 手入れされた花だんや芝生はよく思われ、自然に伸びる雑草は悪いものとされる。
具体例 「野山に緑を」と言いながら、自分の家のまわりでは雑草を退治しようとする。
本文を対比関係で整理
自分で管理する土地↔︎自然に生える草
手入れされた花だんや芝生↔︎自由にのびる雑草
野山には緑を求める↔︎身近な雑草は退治する
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 身近な雑草をきらう人の考え方は、自然を大切にしたい気持ちと食い違っている。
それを支える根拠 人は、自分の土地にあるものはすべて管理するべきだと考え、土地の植物が自由に生えるのを許さないから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれど
解説 逆接を表す言葉です。身近な出来事の話から、「根本にある考え」へと話が深まっていく目印です。
本文の表現 なぜなら
解説 理由を表す言葉です。「雑草は悪いものだ」と思う理由が、ここから説明されます。
本文の表現 だが
解説 逆接を表す接続語です。「野山に緑を」という言葉と、実際の行動のずれを際立たせています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、研究室の近くで雑草を取りのぞこうと、除草剤をまいたり草刈りをしたりする人々の様子を述べる。そこには、「雑草は悪いもの」という考えがある。筆者は、その根っこに、自分の管理する土地には自由に草を生やさせないという「管理の思想」があると指摘する。そして、「野山に緑を」と言いながら、身近な雑草を退治しようとする感覚は、おかしいのではないかと問いかける。
テーマ解説
この文章は、「雑草」をきらう私たちの気持ちを入り口に、人間の考え方を見つめ直しています。道ばたや庭に草が生えると、私たちは「じゃまだ」「かっこ悪い」と感じて、すぐ取りのぞこうとします。でも筆者は、そこには「自分の土地は自分が管理する」という考えがあると指摘します。
ところが同じ人が、「自然を守ろう」「野山に緑を」とも言います。身近な草はいやがり、遠くの自然は大切にしたいというのは、よく考えると食い違っています。この矛盾に気づかせることが、文章のねらいです。私たちが「当たり前」と思っている考え方を疑ってみることが、大切だと言えます。
+αで覚えておきたいこと
「自然」と「人間」の関わり方について、いくつか知っておきましょう。
まず、「雑草」という種類の草があるわけではありません。雑草とは、人間が「ここにはいらない」と決めた草のことです。同じ草でも、畑にあれば雑草、花だんで大事に育てれば花になることがあります。つまり、「雑草」という見方は、人間の都合でつくられたものです。
また、人が手を入れて整えた自然を「里山」といいます。人の手が入ることで保たれてきた自然もありますが、それは人が自然とつき合いながら、バランスをとってきた結果です。何でもコントロールしようとするのとは、ちがいがあります。
さらに、環境問題を考えるときに大切なのは、言葉と行動が一致しているかという視点です。「自然を大切に」と言うだけでなく、身近な暮らしでの行動が、その言葉に合っているかを考えることが必要だと、この文章は教えてくれます。
令和03年度(2021年度)/1日目大問1「モノ申す人類学/長谷川眞理子」
テーマ
「人は物事を二つに分けたがるが、単純に分けると本質を見失う」
読み取りのポイント
人間が、物事を二つのグループに分けて考えたがる習性をもっていることに注目して読み取ります。
二つに分けて考えることの便利さと、その危うさがどう説明されているかを読み取ります。
インターネットの世界で、二分法で単純な意見が広まりやすいという筆者の心配を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人間は物事を二つに分けることを好むが、単純に分けると本質を見失うおそれがある。
具体例 「陰と陽」「男と女」など、多くの文化に二分法の考え方がある。
具体例 商品を買うとき、情報が多すぎると、「買う」か「買わない」かの二つで決めたくなる。
具体例 学問でも、複雑な問題を二つに分けて整理してきた。
具体例 インターネットでは、単純明快な主張で人々が決着をつけたがる。
本文を対比関係で整理
二つに分ける考え方↔︎複雑さをそのまま見る
情報が少ないと困る↔︎情報が多いと迷う
昔の社会にあった歯止め↔︎歯止めがないネット
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 二分法に頼りすぎると、物事の本質を見失い、社会に歯止めがなくなる。
それを支える根拠 人間は、複雑なことを考えるのを面倒に感じ、単純でわかりやすい説明を好むから。
重要コアフレーズ
本文の表現 ところが
解説 逆接を表す接続語です。二分法の便利さを述べた後で、その危うさへと話が転じる合図になります。
本文の表現 ところで
解説 話題の転換を表す言葉です。身近な買い物の例から、人間の心のはたらきへと話が変わる境目を示します。
本文の表現 少なくとも少し前までは~。しかし、今は~
解説 昔と今を対比する構文です。ネットの時代になって、歯止めがなくなったという筆者の主張を支えます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
人間は、天気予報や商品選びなどで、物事を二つに分けて決めるのが好きだ。決める情報が多すぎると、迷ってしまうからである。学問の世界でも、複雑な問題を二つに分けて整理してきた。しかし単純に分けると、本質を見失う。以前は、じっくり考える習慣が歯止めになっていたが、今のインターネットでは、わかりやすく極端な意見が広まりやすく、歯止めがなくなっている。
テーマ解説
この文章のテーマは、「二分法」、つまり物事を「Aか、Bか」の二つに分けて考えることです。「味方か敵か」「好きかきらいか」と分けると、頭の中が整理されて、決めやすくなります。人間は複雑なことを考えるのが大変なので、わかりやすく二つに分けたくなるのです。
けれども、現実の世界は、二つにきれいに分けられないことがたくさんあります。無理に分けると、大事な部分が見えなくなってしまいます。特にインターネットでは、短くて強い言葉が好まれるため、二分法の意見が広まりやすくなっています。だから筆者は、立ち止まってじっくり考える大切さを伝えています。
+αで覚えておきたいこと
「二分法」や「単純化」は、評論文によく出てくる大切な考え方です。
「二分法」は、物事を二つの対立する考えに分ける方法です。便利ですが、その間にある「どちらでもない部分」や「両方が混ざった部分」を切り捨ててしまうという弱点があります。たとえば、「勝ち」と「負け」だけで考えると、「引き分け」や「健闘」が見えなくなります。
似た言葉に、「ステレオタイプ」があります。人や物を、決まりきったイメージだけで見てしまうことです。「〇〇人はこうだ」「若者はこうだ」と決めつけるのが例です。二分法と同じく、考える手間を省くので広まりやすいですが、見落としが出てきます。
また、インターネットの普及で、短い言葉で多くの人に意見を伝えられるようになりました。その一方で、強い言葉や極端な意見ほど注目されやすいという特徴も生まれました。情報を受け取るときは、「これは単純に分けすぎていないか」と自分に問いかける習慣が大切です。
令和02年度(2020年度)/1日目大問1「日本の言葉の由来を愛おしむ/高橋こうじ」
テーマ
「正しいかどうかは、まず自分が何を基準にするかを考えて決める」
読み取りのポイント
「正しい」という言葉のもとの意味が、どんな成り立ちで生まれたのかに注目して読み取ります。
昔の日本と今の日本で、「正しさ」を決めるものがどうちがうのかを読み取ります。
筆者が、迷ったときに何を考えるべきだと述べているのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 何が正しいかを決めるときは、まず自分が何を基準にするかを考えることが大切である。
具体例 「ただ」という言葉は、「そっくりそのまま」という意味から生まれ、「正しい」はそれに「しい」がついた言葉である。
具体例 昔の日本は、住む人のほとんどが同じ基準に従う村社会で、基準を省略しても問題がなかった。
具体例 現代は、人々の価値観がさまざまで、絶対的な基準がない。
本文を対比関係で整理
昔の日本↔︎現代の日本
みんなが同じ基準に従う社会↔︎価値観がさまざまな社会
正解は一つとする考え↔︎基準を自分で考える姿勢
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 現代では、何を基準にするかを自分で考えて、正しさを決める必要がある。
それを支える根拠 現代には、だれもが従う絶対的な基準がなく、基準を選ばなければ行動や発言を正しく評価できないから。
重要コアフレーズ
本文の表現 すなわち
解説 言い換えを表す接続語です。難しい語や例を、別の言葉でわかりやすく言い直す目印になります。
本文の表現 しかし、現代の日本は、状況が異なります
解説 逆接を使った、昔と今の対比です。この後に、筆者が最も伝えたいことが続くと予想できます。
本文の表現 なのに
解説 逆接を表す言葉です。基準がなくなったのに、一つの正解を求めてしまうという、人々の矛盾を指摘します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
「正しい」という言葉は、「ただ」に「しい」がついて、「そっくりそのまま、あるものにあてはまる」という意味で生まれた。そのためには、まず基準が必要だった。昔の日本は、みんなが同じ基準に従う村社会だったので、基準を省略しても問題はなかった。しかし現代は、価値観がさまざまで、絶対的な基準がない。だから筆者は、迷ったときは、自分が何を基準にするかをまず考えるべきだと述べる。
テーマ解説
この文章は、「正しい」という言葉のもとの意味から、「正しさ」は何かを基準にして決まることを説明しています。たとえば、テストの答えが「正しい」のは、教科書という基準に合っているからです。昔の日本は、みんなが同じ決まりの中で暮らしていたので、基準を意識しなくても、正しさが決まりました。
けれども現代では、人によって考えや大切にしているものがちがいます。そのため、「だれにとっても正しい答え」はなかなか見つかりません。それなのに、「よく考えれば正しい答えがあるはずだ」と思いこんでしまうと、いつまでも迷います。だから筆者は、まず「自分は何を基準にするのか」を考えることを勧めています。
+αで覚えておきたいこと
「正しさ」や「基準」について、知っておきたいことをまとめます。
この文章で出てくる「基準」と似た言葉に、「ルール」や「規範」があります。規範とは、人が行動するときの「手本」や「決まり」のことです。法律のように書かれたものもあれば、「あいさつはしよう」のように、暗黙のうちに共有されるものもあります。
また、日本の「近代」は、明治時代から始まったと言われます。それより前の日本は、同じ地域の人たちが長く一緒に暮らす社会でした。そこでは、みんなが同じ習慣や考え方を共有していたので、わざわざ基準を確かめる必要が少なかったのです。
さらに、「多様性」という言葉も大切です。多様性とは、人や考え方がさまざまにちがうことです。多様な社会では、ちがいを認め合うことが大切ですが、その分、「何を基準に判断するか」を自分で考える力も必要になります。言葉のもとの意味を知ると、現代の問題を考えるヒントになることを、この文章は教えてくれます。
灘中学校(2日目)
令和07年度(2025年度)/2日目大問1「あなたを変える行動経済学/福翁自伝/大竹文雄/福沢諭吉」
テーマ
「取り戻せない費用にとらわれず、これからのことだけを考えて選ぶ」
読み取りのポイント
すでに使ってしまって戻らないお金や時間を、これからの選択でどう扱うべきかに注目して読み取ります。
「もったいない」という気持ちが、判断をゆがめてしまう仕組みを読み取ります。
長く学んだことが役に立たなくなったように見えても、実は別の場面で生きるという考えを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 取り戻せない費用は、これからの選択では考えに入れなくてよい。
具体例 映画を借りたとき、お金を払ったかどうかに関係なく、これからの時間の使い方だけで選ぶほうが合理的である。
具体例 福沢諭吉は長く学んだオランダ語が通じず落胆したが、すぐに英語の勉強へ切りかえた。
結論・メッセージ それまでの学びは無駄になるとは限らず、新しい学びに生きる。
具体例 水泳と木登りのように、見た目はちがっても、共通する力や考え方がある。
本文を対比関係で整理
払ったお金を気にする↔︎これからだけを考える
長く学んだオランダ語↔︎新しく学ぶ英語
無駄になったという見方↔︎共通して生きるという見方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 過去の費用を気にせず選ぶと、よりよい判断ができる。
それを支える根拠 取り戻せない費用は、どの選択をしても返ってこないから。
結論・テーマ 新しい分野を学ぶときに、それまでの努力を無駄だと考えなくてよい。
それを支える根拠 以前の学びの中に、新しい学びと共通する考え方や力があるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。むずかしい説明を、短く言い直して要点をまとめる目印になります。
本文の表現 もちろん~ですが、…
解説 譲歩の構文です。いったん相手の考えを認めたうえで、筆者が本当に言いたいことを後ろに置いています。
本文の表現 しかし
解説 逆接を表す接続語です。多くの人の直感的な考えと、筆者の考えがちがうことを示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
映画のレンタルの例で、すでに払ったお金は取り戻せないので、これからのことだけを考えて選ぶのが合理的だと説明される。この考え方は「サンクコスト」と呼ばれる。福沢諭吉は、長く学んだオランダ語が通じないと分かり落胆したが、すぐ英語へ切りかえた。しかも、オランダ語の学びは完全に無駄ではなく、新しい学びにも生きたと筆者は述べる。
テーマ解説
この文章のテーマは、「すでに使ってしまったものにこだわらないで、これから何をするかを考えよう」ということです。お金を払ったり、長く努力したりすると、人は「やめたらもったいない」と感じます。でも、使ってしまったものはどの選択をしても戻ってきません。だから、選ぶときは、これから得られるものだけを比べるのがよいのです。
さらに筆者は、努力してきたことも、新しいことに挑戦すれば全部が無駄になるわけではないと伝えます。見た目がちがう勉強でも、考え方や学び方は共通して生きることがあるからです。
+αで覚えておきたいこと
お金や行動の選び方を研究する学問を、行動経済学といいます。人は計算どおりに動くとは限らず、気持ちや思いこみで判断が変わることに注目します。
すでに払って取り戻せない費用をサンクコスト(埋没費用)といいます。たとえば、食べ放題で元を取ろうとして、おなかがいっぱいなのに無理に食べるのは、サンクコストにとらわれた行動です。こうした行動をすると、体を悪くするなど、新しい損が生まれることもあります。
ただし、「過去は気にしなくていい」と言っても、反省や経験から学ぶことまで無視するわけではありません。失敗の理由を考えて次に生かすことと、取り戻せないものにしがみつくことは、別のことです。
江戸時代の終わり、日本は外国との交流を広げ、横浜などの港が開かれました。それまで多くの人が学んでいたオランダ語(蘭学)から、世界で広く使われる英語へと、学ぶ中心がうつっていきました。世の中が変わると、必要な知識もかわることを、この時代は教えてくれます。
令和07年度(2025年度)/2日目大問2「まだまだ、(『つぼみ』所収)/宮下奈都」
テーマ
「型を身につけることは、自分らしさを生む土台になる」
読み取りのポイント
主人公が、決まりきった「型」にしたがうことに、疑問をもつ気持ちを読み取ります。
家族の経験から、型が人を助けてくれるという考えに変わっていく流れを読み取ります。
型を身につけたあとで、自分らしさを出していきたいという主人公の思いを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 型は、自由をうばうものではなく、自分らしい表現を支える土台である。
具体例 祖母は毎朝のラジオ体操という型に助けられ、つらい日々を乗りこえてきた。
具体例 姉は将棋より囲碁のほうが、長い歴史の定石があるため気持ちが楽だと言う。
具体例 主人公は、古くて大切な知恵を型から受け取り、自分の花を活ける準備をしたいと考える。
本文を対比関係で整理
型どおりに活ける花↔︎自分の心のままの花
型にしばられる不自由さ↔︎型に助けられる安心
今は型を身につける時↔︎いつか型を破る時
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 主人公は、まず型を身につけようと決める。
それを支える根拠 家族の話から、型には先人の知恵がつまっていて、自分を助けてくれると気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれど
解説 逆接を表す言葉です。型に反発していた気持ちが、反対の考えに変わるきっかけを示します。
本文の表現 ~ではなく、むしろ…
解説 否定と換言の構文です。型は「しばるもの」ではなく「助けるもの」だという主人公の考えの変化を表します。
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。気づいたことから、主人公が決めた行動へつながる部分を読み取れます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
紗英(さえこ)/女性/高校生/活け花を習い、型どおりに活けることに疑問を持つ主人公
朝倉くん/男性/高校生/活け花教室の同級生で、見事な花を活ける
祖母/女性/高齢/毎朝ラジオ体操をして、生活を支えている
姉/女性/年上の姉妹/将棋と囲碁の経験から、定石の大切さを語る
文章の要約
高校生の紗英は、活け花教室で型どおりに花を活けることに疑問を持ち、型を無視して花を活けてみたが、先生にひどく怒られる。祖母や姉の話から、型は人を助けてくれる古くて大切な知恵だと気づく。紗英は、今は型を身につけ、いつか型を破るために練習しようと決める。ある日、同級生の朝倉くんと川へ行き、自分の花を活けたいという思いを強める。
テーマ解説
この小説は、「型」と「自分らしさ」の関係を描いています。型とは、昔から受けつがれてきた決まった形ややり方のことです。最初、主人公は「型どおりでは、だれが活けても同じだ」と感じ、型は自分らしさをうばうものだと考えます。
でも、家族の話を聞くうちに、型にはたくさんの人の知恵と経験がつまっていて、迷ったときに自分を助けてくれると気づきます。そして、型を身につけたからこそ、いつか型を破って自分らしさを出せるのだと考えるようになります。
+αで覚えておきたいこと
日本の伝統的な習いごとには、「守・破・離(しゅ・は・り)」という考え方があります。最初は師匠の教えや型を守り、次に型を破って工夫し、最後に型から離れて自分の道をつくるという段階です。この小説の主人公の考え方も、この流れに近いと言えます。
また、型は習いごとだけでなく、スポーツの基本動作、料理の手順、勉強の解き方などにもあります。基本の型を身につけると、考えなくても体が動き、余裕が生まれて、新しい工夫に力を使えるようになります。
小説を読むときは、登場人物の考えがどんなきっかけで変わったかに注目します。きっかけは、人との会話や、見聞きした出来事であることが多く、変化の前後で言葉づかいや気持ちがどうちがうかを比べると、主題をつかみやすくなります。
令和07年度(2025年度)/2日目大問3「プラネタリウム/三角みづ紀」
テーマ
「まぶしくて直視できないほど、気になる人を強く思う気持ち」
読み取りのポイント
「あの子」の姿を星や流れ星にたとえた表現から、話し手の見方や気持ちを読み取ります。
「直視できない」という言葉に、あこがれと照れくささがこめられていることを読み取ります。
夜の場面と次の日の場面を比べて、「あの子」への思いが続いていることを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 話し手は、「あの子」をまぶしい存在として、強く意識している。
具体例 「あの子」の顔に星が散りばめられているようで、見つめると目が痛くなる。
具体例 自転車で追いこされた一瞬のできごとが「流れ星」のように心に残る。
具体例 夜、ベッドで思い浮かべると、頭の中が星で満ちる。
本文を対比関係で整理
見つめたい気持ち↔︎直視できない気持ち
一瞬で過ぎる出会い↔︎心に残り続ける思い
夜の頭の中の星空↔︎翌日に会う楽しみ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 話し手は、「あの子」をまっすぐ見られない。
それを支える根拠 「あの子」が、目が痛くなるほどまぶしく感じられるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 から
解説 帰結や理由を表す助詞です。「見られない」「眠れない」などの気持ちの理由が、直前に書かれています。
本文の表現 のように・たとえる表現(星・流れ星)
解説 比喩を使った表現です。「あの子」の印象を、星のまぶしさとはかなさで伝えています。
本文の表現 は
解説 主語を示す助詞です。「あの子」と「私」の関係や、行動する人物を整理する目印になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
「あの子」の顔には星が散りばめられているようで、まぶしくて直視できない。自転車で帰る途中に追いこされた一瞬は、流れ星のようだった。夜、ベッドで「あの子」を思いうかべると、頭の中が星でいっぱいになる。明日も「あの子」に会うが、あのまぶしさは直視できそうにない。話し手は、気になる人への思いを星にたとえて表している。
テーマ解説
この詩は、気になる人への思いを星やプラネタリウムにたとえて表しています。強く心を動かされる人は、まぶしくて、まっすぐ見つめられないものです。それは、好きだという気持ちや、あこがれ、はずかしさがまじっているからです。
また、自転車で追いこされた一瞬が「流れ星」と表現されているように、短い時間でも心に強く残る出来事があります。夜に何度も思い出してしまうのは、その印象がそれだけ強かった証拠です。
+αで覚えておきたいこと
詩では、気持ちを直接書かず、比喩(たとえ)で表すことがよくあります。この詩の「星」や「流れ星」も、人の印象や出会いのはかなさを、目に見えるものにたとえています。何と何が似ているのかを考えると、作者の気持ちがつかめます。
また、詩には、行を分けることで読むリズムをつくる、同じ言葉をくり返して強調するといった特徴があります。「いつも」のような言葉がくり返されるときは、その気持ちが続いていることを表している場合が多いです。
詩の読み方としては、言葉を無理にむずかしく考えず、「だれが」「いつ」「何を思っているか」を順に整理することが大切です。夜と昼、見る前と見たあとなど、場面の変化に注目すると、気持ちの動きが見えてきます。
令和06年度(2024年度)/2日目大問1「普通という異常 健常発達という病/兼本浩祐」
テーマ
「いじわるを通した人との関わりは、集団で生きる技術を学ぶ面をもつ」
読み取りのポイント
子ども同士の間で起こる「いじわる」が、どのようなコミュニケーションの形になりうるのかに注目して読み取ります。
いじわるをうまく使えない子が、集団の中で孤立しやすいという心配を読み取ります。
筆者が、いじわるの上手な使い方を、文化や対人技術の面から説明していることを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ いじわるは、人との距離をつくる技術として、集団の中で学ばれる面がある。
具体例 小学校の女の子の間では、意地悪と親切を使い分けて、相手の気を惹こうとすることがある。
具体例 幼稚園や小学校の低学年では、ジャブ打ちのような軽いいじわるで、相手の反応を探る。
具体例 いじわるに対応する技術を身につけていない子は、集団から孤立するおそれがある。
本文を対比関係で整理
意地悪な働きかけ↔︎親切な働きかけ
技術を身につけた子↔︎身につけていない子
軽いいじわる↔︎相手を傷つける暴力
本文を因果関係で整理
結論・テーマ いじわるへの対応力がない子は、集団で孤立しやすい。
それを支える根拠 子どもは、いじわるを使って関わり方や地位を探るので、それに応じられないと関係が築けないから。
重要コアフレーズ
本文の表現 しかし
解説 逆接を表す接続語です。いじわるの一見よくない面と、筆者が見ている別の面とを切りかえる目印です。
本文の表現 ~ではなく、むしろ…
解説 否定と換言の構文です。いじわるを単なる悪意ではなく、関わり方の一つと見る筆者の見方を示します。
本文の表現 特に/とりわけ
解説 例示を強調する言葉です。多くの例の中で、筆者が重要だと考える場面を示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
空色のランドセルを持つAちゃんは、同じクラスの女の子Bちゃんからいじわるをされる。Bちゃんは、親切と意地悪を使い分けて、Aちゃんの気を惹こうとする。Aちゃんは青虫の件などを通じて、Bちゃんの働きかけに困りながらも、やがて対応を学んでいく。筆者は、いじわるを通じた関わり方が、集団での地位を決める面もあり、うまく対応できない子は孤立しやすいと述べる。
テーマ解説
この文章は、子ども同士の「いじわる」を、人との関わり方の勉強という面から見ています。子どもは、思ったことをそのまま言えない場面で、意地悪をしたり、急に優しくしたりして、相手の反応を確かめながら距離をつくることがあります。
こうした関わりにうまく応じられると、集団の中で自分の居場所を作りやすくなります。逆に、慣れていない子は、相手の意図が分からず、孤立してしまうおそれがあると筆者は考えます。ただし、これは「いじわるをしてよい」という意味ではありません。
+αで覚えておきたいこと
「いじわる」と「いじめ」は、似ていますが同じではありません。いじわるは、相手がいやな気持ちになる行動ですが、それが続いたり、強くなったりすれば、「いじめ」になることがあります。相手が苦しんでいるなら、軽く考えずに、先生や家の人に相談することが大切です。
人は、成長にともない、相手の気持ちを読む力(共感力)や、自分の気持ちを言葉にする力(表現力)を身につけます。これらがまだ発達途中の子どもは、行動で気持ちを表そうとして、乱暴な形になることもあります。
また、集団には、目に見えない上下関係や役割が生まれることがあります。学校のクラスでも、発言力のある子とそうでない子ができることがあります。こうした仕組みを知っておくと、人間関係の悩みを客観的に見ることができます。
令和06年度(2024年度)/2日目大問2「軍艦島にて/桜木紫乃」
テーマ
「感情を抑えて事実を伝える語りは、聞く人の心に深く届く」
読み取りのポイント
筆者が、実際に島に上陸できるかどうか迷う中で、期待と不安がどう変わるのかを読み取ります。
廃墟になった場所で、昔そこに人が生きていたという事実を、筆者がどう感じたのかを読み取ります。
案内人が、感情をおさえて事実を伝える話し方から、筆者が受けた印象を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 感情をおさえた事実の語りは、聞く人に、受け止め方を委ね、深い思いをもたせる。
具体例 島に上陸するまでは天候に左右され、やっと上陸できたときの喜びは大きい。
具体例 廃墟を前にして、かつてそこで人が命をかけて働いていたという事実に気づく。
具体例 案内人は、島の今と昔を淡々と語り、感想を押しつけない。
本文を対比関係で整理
島の今の廃墟↔︎かつて人が生きた場所
感情をこめた語り↔︎事実を伝える語り
案内人が語る内容↔︎聞き手が受け止める思い
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、案内人の語りに深く心を動かされる。
それを支える根拠 案内人は感情をおさえて事実を伝え、聞き手が自分で感じ取れるようにしていたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 が(逆接)
解説 逆接を表す「が」です。期待していたこととちがう状況が、直後に書かれることを示します。
本文の表現 ~ではなく、…
解説 否定の構文です。案内人の語りが、「感情的な語り」ではなく「事実の語り」であることを強調します。
本文の表現 つまり/すると
解説 換言や帰結を表す接続語です。筆者の発見や気づきが、まとめられる位置の目印です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、長崎の軍艦島に上陸するために旅をするが、天気が悪く、上陸できないかもしれないと不安になる。やっと上陸できた島は、廃墟になっており、かつて多くの人が炭鉱で働いて暮らしていた場所だった。案内人は、感情をおさえて今と昔を事実として語る。筆者は、その語り方に心を動かされ、受け止め方を聞き手に委ねる語りのよさを感じる。
テーマ解説
この文章は、「どう伝えるか」についての発見を書いています。人は、悲しい場所や歴史を伝えるとき、つい「かわいそう」「すごい」などの感想を言いたくなります。でも案内人は、感情をおさえて、事実だけを語りました。
すると、聞いている人は、自分の頭で想像し、自分の気持ちでその場所を感じることができます。筆者は、受け止め方を相手に委ねる語りのほうが、かえって深く心に残ると気づきました。
+αで覚えておきたいこと
軍艦島(正式には端島)は、長崎県の沖にある小さな島で、かつては海底の炭鉱で栄えました。エネルギーが石炭から石油に変わると閉山し、住む人がいなくなりました。現在は「明治日本の産業革命遺産」の一つとして、世界遺産に登録されています。
こうした場所は、「負の遺産」や「産業遺産」と呼ばれ、昔の人の苦労や、社会の変化を学ぶ大切な場です。歴史を伝えるときには、事実をそのまま伝えることと、感想や評価をどう扱うかのバランスが大切になります。
また、文章を読むときは、書かれていない部分にも注目します。感情をあえて書かない場合、それは「何も思っていない」のではなく、読み手に考えさせたいという工夫である場合があります。
令和06年度(2024年度)/2日目大問3「夜の舟/細見和之」
テーマ
「幼い子を寝かしつける夜の大変さと、それを乗りこえる家族の姿」
読み取りのポイント
夜中に泣く小さな娘と、なだめる両親の様子から、子育ての大変さを読み取ります。
「舟」や「海」などのたとえが、親の気持ちや状況をどう表しているかを読み取ります。
詩の最後の場面から、つらい夜をやりとげた安心感を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 幼い子を寝かしつける夜はたいへんだが、家族で力を合わせて乗りこえる。
具体例 午前二時、娘が泣き出し、妻も起きてなだめ始める。
具体例 「船だよ」とさまざまな言葉をかけて、娘を落ち着かせようとする。
具体例 「私」は眠気に負け、気づくと朝の港にたどりついている。
本文を対比関係で整理
泣いて拒否する娘↔︎なだめる両親
終わらない長い夜↔︎無事に迎えた朝
疲れ果てた親↔︎穏やかに眠る娘
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 親にとって、幼い子を寝かしつける夜はつらいものである。
それを支える根拠 子どもは何を言っても受け入れず、泣き続けるため、親は正解も分からず疲れ果てるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれども
解説 逆接を表す言葉です。娘の様子と、「私」が感じていることとのちがいを際立たせます。
本文の表現 ~ように/たとえる表現(舟・海)
解説 比喩の表現です。夜の寝かしつけを、舟の旅にたとえて、つらさや心細さを表しています。
本文の表現 それでも
解説 逆接を表す接続語です。つらくても、夜が明けて朝にたどりついたことを強調します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
午前二時、二歳の娘が泣き出し、妻も起きて娘をなだめ始める。娘は何を言ってもなかなか納得せず、両親は「船だよ」など、さまざまな言葉をかけて寝かしつけようとする。「私」は、妻が行く先のわからない舟を漕いでいるように感じながら、いつのまにか眠りに落ちる。目を覚ますと朝になっており、娘はおだやかに眠っていた。
テーマ解説
この詩は、子育ての夜のたいへんさを、舟の旅にたとえて表しています。二歳くらいの子どもは、自分の気持ちをうまく言えず、何でも「いや」と言うことがあります。親はなだめますが、正解がなく、先の見えない夜が続くように感じます。
それでも、朝が来ると、娘は静かに眠り、親も無事に朝の港にたどりつきます。つらい夜も、家族で乗りこえれば、やがて終わるという安心が、最後の場面で表されています。
+αで覚えておきたいこと
二歳ごろの子どもは、自分の意思が強くなり、何でも「いや」と言う時期があります。これを「イヤイヤ期」(第一次反抗期)と呼ぶことがあります。これは、自分でやりたいという気持ちが育っているしるしで、悪いことではありません。
詩では、ある場面を別のものにたとえる比喩がよく使われます。この詩では、夜の寝かしつけを「舟」にたとえています。同じ場面でも、たとえ方が変わると、読み手が受ける印象が変わることを覚えておきましょう。
また、詩の中の時間の流れ(夜から朝へ)は、気持ちの変化を表すことがあります。暗い夜が終わって朝が来るのは、不安から安心への変化を表現する、よく使われる方法です。
令和05年度(2023年度)/2日目大問1「ポケットの種から/鎌田裕樹」
テーマ
「農業を通して自然や季節を体で感じ、暮らしと仕事をつなげる」
読み取りのポイント
筆者が、農業を始めたきっかけが、偶然の出会いの積み重ねだったことを読み取ります。
畑仕事を続けて、距離や広さなどを自分の体で感じ取れるようになっていく変化を読み取ります。
農業と生活が切れ目なくつながるという考えを、筆者がどう受け止めたかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 農業は、自然や季節を体で感じ、仕事と生活がつながる生き方を教えてくれる。
具体例 筆者は、ポケットに入れていた種をきっかけに、有機農業を営む知人の仕事を紹介される。
具体例 畑仕事を続けることで、自分の体を物差しにして、畑の広さや距離を具体的に感じられるようになる。
具体例 近所の人から、季節ごとの知恵を教えてもらい、暮らしの中で生かしていく。
本文を対比関係で整理
書店で働いていた日々↔︎畑で働く日々
頭だけで考える知識↔︎体で感じ取る感覚
仕事と暮らしの区別↔︎切れ目なくつながる暮らし
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、農業をする暮らしに魅力を感じ、続けている。
それを支える根拠 畑仕事を通じて、自分の体で自然や季節の変化を感じ、暮らしの知恵を学べるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 それから
解説 並列や時間の流れを表す言葉です。筆者の経験が、順に重なって深まっていく流れを読み取れます。
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。具体的な経験を、筆者の考えとしてまとめる目印です。
本文の表現 ~ではなく、…
解説 否定の構文です。頭の理解ではなく、体で感じる学びが大切であることを示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、大学進学を機に京都に来て、本屋で働きながら暮らしていた。ある日、ポケットに入れていたナスの種がきっかけとなって、有機農業を営む知人の話を聞き、農業の仕事をするようになる。畑仕事を続けるうちに、自分の体を物差しにして畑の広さや距離を感じられるようになる。筆者は、農業と生活が切れ目なくつながって、季節の知恵を学べることに喜びを感じる。
テーマ解説
この文章のテーマは、「農業を通して体で学ぶこと」です。本の知識は頭で理解するものですが、畑では自分の体を使って、距離、広さ、季節の変化を感じ取ります。最初は分からなかった畑の広さも、歩いたり測ったりするうちに、自然と体で分かるようになります。
また、農業では仕事と生活が切れ目なくつながっています。季節ごとの暮らしの知恵を、人から教わりながら身につけていく生き方に、筆者は豊かさを感じています。
+αで覚えておきたいこと
人間の学び方には、本や話から学ぶ「知識としての学び」と、実際にやって覚える「体験としての学び」があります。自転車に乗る方法は、説明を読むだけではできるようになりませんが、何度も乗ることで体が覚えるようになります。
日本には、季節の変化をこまかく表す二十四節気という言葉があります。立春、夏至、冬至などがその例で、農業のよい時期を知るために役立てられてきました。季節の知恵は、長い経験の積み重ねから生まれたものです。
農薬や化学肥料にたよらずに作物を育てる方法を、有機農業と呼びます。自然の力を生かす方法ですが、手間もかかります。農業は、食べものをつくるだけでなく、自然との付き合い方を学ぶ仕事とも言えます。
令和05年度(2023年度)/2日目大問2「本を読んだら散歩に行こう/村井理子」
テーマ
「相手のために作る料理に、自分の思いを押しつけすぎない」
読み取りのポイント
筆者が、料理を作ることをどのような気持ちで続けてきたのかを読み取ります。
「相手のため」という気持ちが、かえって自分や相手を苦しめてしまうことを読み取ります。
筆者が、もう一度料理に向き合うために考え方をどう変えたかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 料理は、相手のためだけでなく、自分も楽しめる形で続けることが大切である。
具体例 筆者は、子どもの頃に楽しくなかった料理を、家族のために作るようになる。
具体例 「おいしい」と言われても素直に喜べず、腹が立つ自分に気づく。
具体例 シンプルで自分も楽しめる料理を増やして、気持ちを軽くする。
本文を対比関係で整理
相手のために作る料理↔︎自分も楽しむ料理
手間をかけた豪華な料理↔︎シンプルな料理
念をこめすぎた皿↔︎気楽に出せる皿
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、料理への向き合い方を変えようと決める。
それを支える根拠 「相手のため」という思いが強すぎて、自分も相手も苦しくなっていると気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。筆者の気づきを、短い言葉で言いかえて要点をまとめる目印です。
本文の表現 ~ではなく、むしろ…
解説 否定と換言の構文です。「相手のため」ではなく、「自分のため」でもあるという考えを示します。
本文の表現 けれど
解説 逆接を表す言葉です。「おいしい」と言われたのにうれしくないという、気持ちのずれを示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、長い間、家族のために料理を作り続けてきた。しかし、家族から「おいしい」と言われても、素直に喜べず、腹が立つ自分に気づく。それは、「あなたのために作ったのだから喜ぶのは当然だ」という気持ちを、無意識に押しつけていたからだった。筆者は、気持ちを軽くして、シンプルで自分も楽しめる料理を作ることで、もう一度、料理に向き合おうと決める。
テーマ解説
この文章のテーマは、「相手のため」という気持ちの落とし穴です。人は、大切な人のために何かをしたいと思います。でも、その気持ちが強すぎると、「こんなにしてあげたのだから、感謝してほしい」という思いがまじってしまうことがあります。
そうなると、「おいしい」と言われても、思ったように喜べず、自分もつかれてしまいます。筆者は、気持ちを軽くして、自分も楽しめる形に変えることで、料理との関係を取りもどそうとします。
+αで覚えておきたいこと
人に何かをしてあげるとき、見返りを求めすぎると、自分も相手も苦しくなることがあります。心理学では、他人のために行うことでも、自分の満足や楽しさがないと、長く続けにくいと考えられています。
家事や料理は、毎日続くものなので、「完ぺきを目指さない」ことも大切です。市販のものを使ったり、簡単な料理にしたりすることは、手を抜くのではなく、無理なく続けるための工夫です。
また、家族の中で、「してもらって当たり前」という気持ちが生まれやすいことにも気をつけましょう。感謝の気持ちを、言葉にして伝えることで、お互いの負担が軽くなることがあります。
令和05年度(2023年度)/2日目大問3「あなたに(『生きものたち』所収)/秋村宏」
テーマ
「年を重ねて丸くなっても、夢や理想を持ち続けたい」
読み取りのポイント
「カドがとれる」という言葉が、年を重ねた人のどんな変化を表しているかを読み取ります。
夢や希望を語らなくなった自分に気づく、話し手の迷いを読み取ります。
「あなた」に見つめられることで、理想を思い出そうとする気持ちを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 話し手は、年を重ねても、夢や理想を忘れずにいたいと願っている。
具体例 「ずいぶんカドがとれましたね」と言われ、自分の変化に気づく。
具体例 夢や希望を話す声が小さくなっていないかと不安になる。
具体例 「あなた」に見つめられることで、理想や未来を思い出そうとする。
本文を対比関係で整理
丸くなった今の自分↔︎夢を語った昔の自分
世間の誘惑↔︎人間の豊かさや理想
声が小さくなる↔︎夢を声にする
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 話し手は、理想を忘れずにいたいと願う。
それを支える根拠 年を重ねて現実的になり、夢や希望を語る声が小さくなっていることに気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 なぜ(~のか)
解説 疑問を表す呼応の表現です。話し手が自分に問いかけていて、考えの中心になる部分を示します。
本文の表現 でも/それでも
解説 逆接を表す接続語です。現実の状況と、話し手がもつ思いとのちがいを示します。
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。話し手の気づきから、最後の願いへ結びつく部分を読み取れます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
話し手は、ある人から「ずいぶんカドがとれましたね」と言われ、年を重ねた自分の変化に気づく。そして、夢や希望を語る声が小さくなっていないかと、自分に問いかける。話し手は、「あなた」にじっと見られることで、世間の誘惑ではなく、人間の豊かさや理想的な未来を思い出そうとする。最後には、「あなた」と話しながら生きる意味を考え続けたいと願う。
テーマ解説
この詩は、年を重ねることで変わっていく自分を見つめています。「カドがとれる」とは、性格がやわらかく、おだやかになることです。これは、よい変化でもありますが、夢や理想を語る力がなくなっていないかという不安にもつながります。
話し手は、お金や物の誘惑に流されず、豊かさや理想的な未来を忘れずにいたいと願います。「あなた」は、そのことを思い出させてくれる大切な存在として描かれています。
+αで覚えておきたいこと
「カドがとれる」のように、人の性格を物の形にたとえる表現は、日本語にたくさんあります。「丸くなる」「とがっている」「かたい人」などです。形から、その人の雰囲気や心の状態を想像できます。
人は、大人になるにつれて、現実を見て、夢と現実のバランスをとるようになります。それは悪いことではありませんが、夢を持ち続けるためには、自分に問いかける時間や、理想を思い出させてくれる人の存在が助けになります。
詩を読むときは、「あなた」が誰を指すかを考えることも大切です。具体的な一人の人を指すこともあれば、読者や、自分の心の中の理想を指すこともあります。
令和04年度(2022年度)/2日目大問1「生物はなぜ死ぬのか/小林武彦」
テーマ
「生き物の寿命は、その生き方や環境に合わせて決まってきた」
読み取りのポイント
ネズミの仲間でも、寿命が大きくちがうことに注目して読み取ります。
天敵の多さや暮らす環境が、寿命の長さとどう関係するのかを読み取ります。
長生きなネズミが、体の仕組みや社会の仕組みでどう工夫しているかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 生き物の寿命の長さは、環境や生き方に合わせて進化してきた。
具体例 ハツカネズミは天敵が多く、短い期間でたくさんの子を残して、生き残りやすくなった。
具体例 ハダカデバネズミは、地下で暮らし、天敵が少ないため、長生きに進化した。
具体例 ハダカデバネズミは、女王を中心とした分業によって、仕事の負担を減らして長生きになった。
本文を対比関係で整理
天敵が多い環境↔︎天敵が少ない環境
早く子を多く残す↔︎ゆっくり長く生きる
短命なハツカネズミ↔︎長寿なハダカデバネズミ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ ハダカデバネズミは、ほかのネズミより長生きになった。
それを支える根拠 地下で天敵から守られ、省エネな体質や分業の仕組みで、体への負担が少ないから。
重要コアフレーズ
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。むずかしい生物の説明を、分かりやすくまとめる位置の目印です。
本文の表現 なぜなら
解説 理由を表す言葉です。長生きの原因となる環境や体質の説明が、ここから続きます。
本文の表現 一方
解説 対比を表す接続語です。短命な生き物と長生きな生き物の特徴を比べる場面を示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
ハツカネズミは生後すぐに成熟し、たくさん子を産むが、天敵に食べられやすく、寿命は短い。ヒトは天敵が少なく、老化して死ぬ。ネズミの仲間でも、ハダカデバネズミは地下で暮らし、天敵が少ないため長生きになった。体は省エネで活性酸素が少なく、一匹の女王が子を産み、ほかの個体が仕事を分ける社会の仕組みもあり、寿命がさらに延びている。
テーマ解説
この文章のテーマは、「寿命の長さは、生き物ごとの生き方で決まる」ということです。天敵が多い生き物は、長生きしても食べられてしまうので、早く大人になって、たくさん子どもを残すほうが有利です。
反対に、地下の安全な場所で暮らす生き物は、天敵が少ないため、ゆっくり長生きするように進化しました。寿命は、ただ体が弱るかどうかだけでなく、どんな環境で生きるかと深く関係しているのです。
+αで覚えておきたいこと
生き物が環境に合わせて、長い時間をかけて体や性質を変えていくことを進化といいます。進化は、生き物が自分で選ぶのではなく、その環境で生き残りやすかった性質が、子孫に受けつがれることで起こります。
ミツバチやアリのように、女王を中心に、働きバチや働きアリが仕事を分け合う社会を「真社会性」といいます。ハダカデバネズミは、哺乳類としてはめずらしく、この仕組みをもつことで知られています。役割を分担すると、一匹の負担が減るという利点があります。
体の中では、酸素を使ってエネルギーを作るときに、活性酸素という物質が生まれます。これは細胞を傷つけることがあり、老化に関係すると考えられています。体質によって、活性酸素の少ない生き物ほど長生きになる傾向があります。
令和04年度(2022年度)/2日目大問2「臆病な詩人、街へ出る。/文月悠光」
テーマ
「人と比べず、結果も求めない趣味は、心を支えてくれる」
読み取りのポイント
筆者が、これまで「趣味」と呼べるものを持てなかった理由を読み取ります。
ギターを習い始めて、うまくなくても楽しめるという発見を読み取ります。
仕事と趣味のちがいや、人と比べない気楽さに気づく筆者の考えを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人と比べず、結果を求めない趣味は、心を楽にしてくれる。
具体例 筆者は、創作によいかどうかという基準で、行動を決めていた。
具体例 ギターは、文章にならなくても、自分が楽しむためだけに続けられる。
具体例 下手でも楽しいと思えることで、ほかの人のペースと並ぶ必要はないと気づく。
本文を対比関係で整理
結果を求める創作↔︎結果を求めない趣味
人と比べる世界↔︎自分のペースで楽しむ世界
上達を目指す練習↔︎下手でも楽しむ練習
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、ギターを楽しめるようになった。
それを支える根拠 創作に役立つかどうかという基準から離れ、人と比べずに自分のペースで弾けるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれど
解説 逆接を表す言葉です。うまくなくても楽しいという、筆者の発見が示される場所の目印です。
本文の表現 ~ではなく、…
解説 否定の構文です。上達や結果よりも、楽しむことに価値があるという考えを示します。
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。筆者の経験を、考えとしてまとめる目印になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、詩人として活動する中で、創作によい刺激になるかどうかを基準にして行動し、趣味を持たなかった。ギターを始めてみると、うまく弾けなくても楽しく、文章にしなくてもよいことに気づく。ギターの練習は、物書きの世界の競争や比較から離れて、自分のペースで楽しめる時間になった。筆者は、趣味が人を支えてくれることを実感する。
テーマ解説
この文章のテーマは、「結果を求めない楽しみ」の大切さです。筆者は、仕事で人と比べられることが多く、「これは役に立つか」という基準で動いていました。でも、ギターを始めて、うまくなくても楽しいという経験をしました。
趣味は、お金や評価のためではなく、自分が楽しむためにやるものです。だから、人と比べずに、自分のペースで続けることができます。そのことが、心の余裕や支えになるのです。
+αで覚えておきたいこと
「趣味」と「仕事」には、目的のちがいがあります。仕事は、お金や成果を求められることが多いですが、趣味は、楽しむこと自体が目的です。この二つがあると、心のバランスがとりやすくなります。
人は、無意識に他人と比べて、自分の価値を決めてしまうことがあります。他人との比較は、努力を支える面もありますが、行きすぎると苦しくなります。比べない時間をもつことは、心の健康にも役立ちます。
「下手の横好き」ということわざがあります。上手ではないのに、それを好んでやることを表します。昔は少し悪い意味でも使われましたが、楽しみとしての価値を見直す考え方も広がっています。
令和04年度(2022年度)/2日目大問3「大根の種まき(『野あざみの栞』所収)/森文子」
テーマ
「種をまいて芽が出るのを待つ中で、生きる力や季節の変化を感じる」
読み取りのポイント
種まきの動きと、季節の様子が、どのように重ねて書かれているかを読み取ります。
種の芽が出るのを待つ気持ちから、生きる力への期待を読み取ります。
最後の場面で、見えない未来を思いうかべる話し手の気持ちを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 種まきは、自然の力と自分の生きる活力を感じさせてくれる。
具体例 風が立ちはじめた秋に、大根の種をまく儀式のように土をととのえる。
具体例 三日と待たずに芽を出す大根の力強さに、おどろきを感じる。
具体例 まいた先に、彼岸花も咲く秋の風景を思いうかべる。
本文を対比関係で整理
まいたばかりの小さな種↔︎のびていく芽
自分の思いどおりにならない芽↔︎自然にまかせる気持ち
今見えている景色↔︎これから咲く花の姿
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 話し手は、種をまくと元気がわいてくる。
それを支える根拠 すぐ芽を出す大根の生命力に触れ、自分も生きる力をもらえるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 のに
解説 逆接を表す助詞です。思いどおりにならないことと、そのときの気持ちとのずれを示します。
本文の表現 だから
解説 帰結を表す接続語です。見えないものを信じる気持ちが、行動につながる流れを表します。
本文の表現 は(主語)
解説 主語を示す助詞です。「私は好きだ」のように、話し手の気持ちを強く出す位置を確認できます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
風が立ちはじめた秋、話し手は大根の種をまくことにする。土をととのえ、種をまくと、三日もしないうちに芽を出してくれる。話し手は、まいた種が思いもよらない早さで育つ力に驚き、自分も元気をもらう。目の前の景色の先に、彼岸花が咲くころの風景を思いうかべながら、これから生まれる命に期待をふくらませる。
テーマ解説
この詩は、種をまくという小さな行動の中に、生きる力を見つけています。大根の種は、まいてから三日もたたずに芽を出すことがあります。そのすばやい成長は、見ている人にも元気を与えてくれます。
また、種をまくことは、まだ見えない未来を信じる行動でもあります。咲く花や育つ野菜の姿を思いうかべながら待つ時間は、気持ちを明るくしてくれます。
+αで覚えておきたいこと
日本には、季節を表す言葉(季語)があり、俳句や詩でよく使われます。「彼岸花」は秋の花で、秋分の日ごろ、田んぼのあぜ道などに赤い花を咲かせます。季節の言葉を知っておくと、場面の時期や雰囲気がつかめます。
種まきは、自然の力を信じて待つ作業です。水や日光があっても、芽が出る時期や育ち方は、天気や土によって変わります。思いどおりにならない部分があることも、自然とつき合う大切な学びです。
詩では、身近な行動や植物を通して、生きること、命のつながり、時間の流れを表すことがあります。「何を見たか」だけでなく、「それを見てどう感じたか」に注目しましょう。
令和03年度(2021年度)/2日目大問1「脳はすこぶる快楽主義/池谷裕二」
テーマ
「人は火を使った調理で栄養を得やすくなり、特別な生き物になった」
読み取りのポイント
ヒトが食べものを調理することが、動物の中では特別であることに注目して読み取ります。
調理によって、体が受け取れる栄養が増える仕組みを読み取ります。
「おいしい」という感覚が、生き物にとって役立つ理由を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ ヒトは、火を使った調理により、栄養を効率よく得られるようになった。
具体例 調理は、手順の多い複雑な作業を同時に進める、高度な行動である。
具体例 チンパンジーも、ポテトを加熱すると、より好むことが実験で示された。
具体例 加熱された食材は、消化しやすく、体が使える栄養量が増える。
本文を対比関係で整理
生の食材を食べる動物↔︎調理するヒト
生のままの食材↔︎加熱した食材
食べるだけで栄養をとる↔︎調理で栄養を増やす
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 調理は、ヒトの進化に大きく役立った。
それを支える根拠 加熱により、消化しやすく栄養が増え、体や脳の発達に必要なエネルギーを得やすくなったから。
重要コアフレーズ
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。調理の効果を、筆者が分かりやすくまとめている位置を示します。
本文の表現 ~というわけです
解説 まとめを表す表現です。実験や例から導かれる結論の部分に使われています。
本文の表現 ~だけ/ヒトだけが
解説 限定を表す表現です。調理するのはヒトだけという、特別さを強調しています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
調理は、同時にいくつもの手順を進める、高度な作業である。野生の動物の中で、調理をするのはヒトだけだ。チンパンジーも、加熱したポテトのほうを好むことが実験で分かった。加熱すると、食材が消化しやすくなり、使える栄養が増える。「おいしい」という感覚は、栄養の多いものを選ぶために役立つ。火の使用は、ヒトの進化に大きな影響を与えた。
テーマ解説
この文章のテーマは、調理が人類の進化を助けたということです。生の食べものは、かたくて消化に時間がかかります。でも火を通すと、食べものがやわらかくなり、体が栄養を取り入れやすくなります。
体に入るエネルギーが増えると、体や脳を大きくする余裕が生まれます。「おいしい」と感じるのも、栄養の多いものを選ぶための仕組みだと考えられています。火を使って調理することは、ヒトを特別な生き物にした大きな力なのです。
+αで覚えておきたいこと
人類が火を使い始めたのは、今から数十万年から百万年以上前と考えられています。火は、食べものを加熱するだけでなく、夜を照らす、寒さをしのぐ、動物から身を守るなどにも使われました。
食べものを火で加熱すると、でんぷんやたんぱく質が変化して、消化しやすくなることがあります。また、食べものの中の菌や毒がへることもあり、安全に食べやすくなります。
人の脳は、体全体のエネルギーの約五分の一を使う、とても燃費の悪い器官です。栄養をたくさん得られるようになったことは、脳が大きくなって、考える力を伸ばすことに役立ったと考えられています。
令和03年度(2021年度)/2日目大問2「空が香る/三宮麻由子」
テーマ
「点字の本には、作った人の思いやぬくもりがこもっている」
読み取りのポイント
目が見えない筆者が、本を読むときの感覚や、読書の楽しさをどう感じているかを読み取ります。
手作りの点字本から、作った人の優しさや苦労を感じ取る筆者の気持ちを読み取ります。
筆者が子どもの頃の図書委員の経験から、本を通した人とのつながりを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 手で打たれた点字の本には、作った人の優しさや温かさがこもっている。
具体例 手打ちの点字本は、打ちまちがいがあっても、それも人の手が作ったあたたかさとして残る。
具体例 筆者は小学生のころ、図書委員として、点字の本を友だちに貸し出す仕事をした。
具体例 見知らぬ少女が作った点字本から、本を作った人への親しみを感じる。
本文を対比関係で整理
機械で作られる本↔︎手打ちで作られる本
目で読む文字↔︎指でたどる点字
見知らぬ作り手↔︎心でつながる友だち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、点字の本に特別な温もりを感じる。
それを支える根拠 点字本には、作った人の優しさや苦労が、打ちまちがいなども含めて、そのまま残っているから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれども
解説 逆接を表す言葉です。不便な面と、筆者が感じる魅力とを切りかえる目印になります。
本文の表現 つまり
解説 換言を表す接続語です。筆者が、感じたことを短い言葉でまとめる位置を示します。
本文の表現 ~ではなく、…
解説 否定の構文です。点字の本に感じる魅力が、情報を得るだけのものではないことを強調します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
目が見えない筆者は、紙の本を指でたどって読む感覚を大切にしている。点字の本は、ボランティアの人が一文字ずつ手で打って作るもので、打ちまちがいも含めて、作った人の優しさや苦労が残っている。筆者は子どもの頃、図書委員として点字の本を貸し出していた。そしてある日、見知らぬ少女が打った点字の本に出会い、友だちのような親しみを感じる。
テーマ解説
この文章のテーマは、手作りの点字本に込められた人の温かさです。点字は、紙に打たれた小さな点を指でたどって読む文字です。機械で作られた本ではなく、人が一文字ずつ打った本には、作った人の苦労や気持ちが残ります。
筆者は、点字の打ちまちがいさえも、人の手で作られた証として、温かく感じています。本を通して、会ったことのない人ともつながれるという気づきが、文章のもとになっています。
+αで覚えておきたいこと
点字は、六つの点の組み合わせで、文字や数字、記号を表す仕組みです。十九世紀にフランスのルイ・ブライユが考えた方法をもとにしていて、世界中で使われています。日本語の点字も、同じ原理で作られています。
目の見えない人が本を読む方法には、点字のほかに、音声で読み上げる録音図書や、パソコンで読み上げる方法などがあります。それぞれに長所があり、目的や気持ちに合わせて選ぶことができます。
こうした本づくりを支える人の中には、無償で活動するボランティアが多くいます。見えない場所で、人の役に立つ仕事があることを知ると、身のまわりのものを見る目が変わります。
令和03年度(2021年度)/2日目大問3「駅伝(『朝の線香花火』所収)/村田好章」
テーマ
「親から子へ命がつながっていくことへの思い」
読み取りのポイント
自転車に乗った大学生に追い越される場面から、話し手が感じたことを読み取ります。
父との思い出と、自分が年を重ねたことが、どのように重ねて書かれているかを読み取ります。
「タスキ」という言葉が、何を表しているかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 命は、親から子へと、リレーのように受けつがれていく。
具体例 大学生が自転車で追い越していった場面で、若さや未来を感じる。
具体例 年をとった自分が、外で父に会う気はずかしさを思い出す。
具体例 夕陽の中で、息子の背中に「タスキ」がゆれているように見える。
本文を対比関係で整理
若い息子↔︎年をとった自分
見送る側の親↔︎見送られる側の親
過去の父との日々↔︎これからの息子の人生
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 話し手は、命がつながることを実感する。
それを支える根拠 父から自分へ、自分から息子へと、タスキがわたされているように感じられたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 ~のだろうか
解説 疑問を表す呼応の表現です。話し手が、自分の気持ちの理由を問いかけている位置を示します。
本文の表現 ~ような(たとえる表現)
解説 比喩を表す表現です。出来事を、別のものにたとえることで、気持ちを伝えます。
本文の表現 は(主語)
解説 主語を示す助詞です。「私」「息子」「父」の関係を整理する目印になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
話し手は、歩いているときに、自転車に乗った大学生に追い越される。その背中に、自分が若かったころや、父と外で会ったときの気まずさを思い出す。やがて、話し手は大人になり、父を見送り、息子が生まれた。夕陽の中で、息子の背中に「タスキ」がゆれているように見える。命が親から子へ受けつがれることを、駅伝のタスキにたとえて表している。
テーマ解説
この詩は、命のつながりを、駅伝のタスキにたとえています。駅伝では、走者がタスキをつないで、ゴールを目指します。この詩では、父から自分へ、自分から息子へと、命や思いがわたされていくように感じられています。
夕陽の中で見える息子の背中は、未来へ向かう命の姿です。自分の人生にも終わりがあることを思いながら、次の世代に思いをたくす気持ちが表されています。
+αで覚えておきたいこと
「タスキ」のように、目に見えないものを、目に見えるものにたとえるのは、詩でよく使われる方法です。命、時間、思いなど、形のないものを、具体的なものにたとえると、読み手が想像しやすくなります。
家族のつながりは、世代という言葉で表されます。祖父母、親、子、孫のように、時間がたつと人が入れかわり、命や文化が受けつがれます。この仕組みを意識すると、自分も大きな流れの一部だと分かります。
また、詩では、夕陽、朝日、季節のような時間の言葉が、人生の段階を表すこともあります。夕陽は一日の終わりを表し、人生の後半や、別れを思わせる場合があります。
令和02年度(2020年度)/2日目大問1「読書の価値/森博嗣」
テーマ
「新しい考えを生むには、日常から離れた刺激が大切で、読書がその役に立つ」
読み取りのポイント
アイデアや発想が、どのような仕組みで生まれるのかに注目して読み取ります。
「日常から離れた刺激」が、なぜ新しい発想にとって大切なのかを読み取ります。
読書が、日常から離れた視点を与えてくれる点で、どう役立つかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 新しい発想は、日常から離れた刺激から生まれやすく、読書はその代表的な方法である。
具体例 旅行に行くと、ふだんと違う風景から連想が働き、アイデアが浮かぶことがある。
具体例 本を読むと、自分以外の人の視点で、ものを見る経験ができる。
具体例 分からない本を読む体験を通して、勉強したいという気持ちが生まれる。
本文を対比関係で整理
日常から近い刺激↔︎日常から遠い刺激
知識がある状態↔︎知識がない状態
分かることの喜び↔︎分からないことの発見
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 新しいアイデアのためには、日常から離れた刺激が必要である。
それを支える根拠 ふだんの刺激には慣れてしまっていて、連想のきっかけになりにくいから。
重要コアフレーズ
本文の表現 すなわち
解説 換言を表す接続語です。むずかしい言い方を、別の言葉で言いかえる目印になります。
本文の表現 しかし
解説 逆接を表す接続語です。知識がいらないという考えと、筆者の主張とのちがいを示します。
本文の表現 ~だけではなく、…
解説 並列と強調の構文です。読書の価値が、知識を得るだけではないことを示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
アイデアが豊かな人は、好奇心があり、積極的にインプットをしている。新しい発想は、知識があって初めて生まれ、何かの刺激で連想が働き、考えを重ねてたどり着くものだ。刺激には、日常から離れたものが大切で、旅行や読書がその例になる。特に読書は、自分以外の人の視点を持てる点で役に立つ。分からないことを知る経験も、勉強する動機につながる。
テーマ解説
この文章のテーマは、新しい考えは、日常から離れた刺激で生まれるということです。アイデアは、何もないところから急に出てくるのではありません。すでに知っていることに、新しい刺激が加わって、頭の中で結びつくことで生まれます。
ふだんの生活だけでは、刺激が少なく、同じ考えをくり返しがちです。そこで読書のように、日常から離れた世界や、他の人の視点にふれることが役に立ちます。また、分からないことがあると知ることも、学びたい気持ちにつながります。
+αで覚えておきたいこと
頭の中に情報を入れることをインプット、考えたことを言葉や形にして外へ出すことをアウトプットといいます。よいアウトプットのためには、質のよいインプットが必要です。インプットが少ないと、考えがかたよりやすくなります。
私たちの脳は、連想の力で考えを広げます。たとえば「海」から「夏」「旅行」「波の音」などを思いつくように、言葉や記憶がつながって、新しい発想が生まれます。ふだん見ないもの、聞かないものにふれるほど、連想の幅は広がります。
「知らない」「分からない」と気づくことは、悪いことではなく、成長のきっかけです。分からないことを知ったとき、人はそれを調べたり、学んだりしたくなります。このことを知的好奇心といい、勉強の力になります。
令和02年度(2020年度)/2日目大問2「むこう岸/安田夏菜」
テーマ
「人を見下す心は、自分に自信がなく比べて安心したいことから生まれる」
読み取りのポイント
主人公が、ある同級生に興味を持ったことを母に話したときの、母の反応に注目して読み取ります。
母が、弱い立場の人を応援する人だと思っていたのに、ちがう面を見せたことの衝撃を読み取ります。
主人公が、自分も同じ気持ちをもっていたことに気づく場面を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人は、自分に自信がないと、他人と比べて優越感を持ち、見下してしまうことがある。
具体例 母は、生活保護を受ける家庭の子との交際を聞いて、強い拒否反応を示す。
具体例 主人公は、母に失望しつつ、自分も同じ気持ちを持っていたと気づく。
具体例 主人公は、他人と比べて安心する自分の気持ちを「優越感」と言いかえる。
本文を対比関係で整理
弱い人の味方という考え↔︎見下してしまう本音
理想の母親の姿↔︎本当の母親の姿
他人を見下す気持ち↔︎自分の自信のなさ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 主人公は、母にも自分にも、見下す心があると気づく。
それを支える根拠 母の言葉に失望した後、自分も同じように優越感で支えられていたと気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 けれども
解説 逆接を表す言葉です。母への期待と、実際の反応とのちがいを示します。
本文の表現 建前⇔本音
解説 評論用語です。「弱い人の味方」という建前と、見下してしまう本音のずれを読み取る手がかりになります。
本文の表現 ~のに
解説 逆接を表す助詞です。期待していたこととちがう結果にがっかりする気持ちを表します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ぼく(和真)/男性/中学生(十二、三歳)/名門私立中を退学して公立中に転校し、社会の仕組みに関心を持つ主人公
母/女性/中年/優しい母だが、生活保護を受ける家庭へ偏見を見せる
佐野さん/女性/中学生/生活保護を受けている家庭の同級生
父・おばあちゃん/男性・女性/父は中年・祖母は高齢/主人公の家族で、母の考え方にも関係している
文章の要約
名門私立中学を退学した「ぼく」は、公立中学に転校し、同級生の佐野さんと交流して、生活保護などの社会の仕組みに関心を持つ。ある日、母にそのことを話すと、母は「ぼく」の予想に反して、強い拒否の反応を示す。「ぼく」は母に失望するが、自分も同じように、他人を見下す気持ちを持っていたと気づく。そして、その気持ちは自信のなさの裏返しだと考える。
テーマ解説
この小説は、人の心の中にある「見下す気持ち」を見つめています。主人公は、優しいと思っていた母が、生活保護を受ける家庭の子を差別的な目で見たことにショックを受けます。でも、そのあとで、自分にも似た気持ちがあったことに気づきます。
筆者は、人を見下す心は、自分に自信がないことから生まれると考えています。他人と比べて、自分のほうが上だと思うことで、安心しようとするのです。この気づきが、主人公の成長のきっかけになっています。
+αで覚えておきたいこと
生活保護は、病気や失業などで、生活に困った人が、最低限度の生活を送れるように、国が助ける制度です。日本国憲法には、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)があると書かれています。
知らない人や集団に対して、思いこみで決めつけることを偏見といいます。偏見は、相手をよく知らないことから生まれやすく、知ることで変えられると言われています。知らない相手には、まず事実を知ることが大切です。
また、人は、自分の価値を、他人と比べて決めてしまうことがあります。これを社会的比較と呼ぶことがあります。他人と比べず、自分の中で価値を見つけることで、心の安定につながります。
令和02年度(2020年度)/2日目大問3「台風/池井昌樹」
テーマ
「過ぎ去った家族との時間を思い出して感じる、なつかしさと寂しさ」
読み取りのポイント
台風が過ぎたあとの静けさと、話し手の思い出の場面が重ねられていることを読み取ります。
幼い自分が両親の会話を聞いていた記憶と、現在の自分との差を読み取ります。
父が亡くなっていることなど、時間がたって変わってしまったことへの思いを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ もう戻らない家族との時間を、話し手は静かに思い出している。
具体例 台風が過ぎた朝に、両親の話し声をふとんの中で聞いていたことを思い出す。
具体例 幼かった「ぼく」は大人になり、父はすでに亡くなっている。
具体例 母のそばで、かつての母や家族のことを思い浮かべる。
本文を対比関係で整理
幼かった頃の自分↔︎大人になった今の自分
父母が話していた朝↔︎父がいない今の朝
台風が来ていた時↔︎台風が過ぎたあと
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 話し手は、過ぎ去った時間への寂しさを感じている。
それを支える根拠 幼い自分や父がもういないという、時間の流れを実感したから。
重要コアフレーズ
本文の表現 もう~ない
解説 否定の表現です。戻らないものや、失ったものへの気持ちを強める働きがあります。
本文の表現 そのようですね
解説 会話の言葉のくり返しです。しずかに同意するやりとりで、家族の穏やかな時間を表します。
本文の表現 は(主語)
解説 主語を示す助詞です。「ちち」「はは」「ぼく」の変化を整理する手がかりになります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
台風が過ぎた明け方、話し手はふとんの中で、両親が「台風も過ぎたようだな」「そのようですね」と話す声を聞いている。しかし、それは昔の記憶で、幼かった「ぼく」は大人になり、父はすでに亡くなっている。母は隣でまだ眠っていて、家族で過ごした時間はもう戻ってこない。話し手は、静かな朝に、過ぎ去った時間への思いをかみしめている。
テーマ解説
この詩は、台風が過ぎた静けさを通して、過ぎ去った時間について描いています。台風が去ると、ほっとする一方で、すべてがおさまったあとのさびしさも感じられます。
話し手は、幼いころに聞いた両親の会話を思い出します。でも、そのころの自分も、父も、もういません。もう戻らない家族の時間を思うことで、なつかしさと寂しさが同時にわいてきます。
+αで覚えておきたいこと
日本では、台風は秋の季語です。台風が来る九月ごろは、季節の変わり目で、昔から自然の力への畏れや、過ぎたあとの静けさが、詩や俳句の題材になってきました。
詩の中で、ひらがなを多く使うと、やわらかく、おさない印象になります。この詩でも、ひらがなが多いことで、子どもの頃の記憶のような雰囲気が出ています。漢字とひらがなの使い分けにも、作者の意図が表れます。
また、詩には「余韻」と呼ばれる、読み終わったあとに残る気持ちがあります。この詩は、はっきりした結論を言わず、静かな寂しさを読み手に感じさせて終わることで、深い印象を与えています。
開成中学校
令和08年度(2026年度)/大問1「石畳の小径/石井美保」
テーマ
「土地の人から聞いた記憶を、自分の言葉で書き留め、見知らぬ誰かへ手渡します。」
読み取りのポイント
ある土地で語られた過去の話が、目の前の景色の見え方をどう変えるのかに注目しましょう。
語る人の声や身ぶりが、言葉だけでは伝わらない記憶を運ぶことを読み取りましょう。
当事者ではない人が出来事を書き残す意味と、その限界、そして誰に向けた祈りなのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
目に見える今の景色↔︎語られて浮かぶ過去の景色
当事者として体験した人↔︎話を受け取る他人
伝えきれない限界↔︎それでも書き残す試み
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
語りを聞くと、同じ景色が重なり合う別の景色に変わって見えます。
それを支える根拠
語る人の声や身ぶりが、土地に刻まれた出来事の記憶を呼びおこすからです。
結論・テーマ
当事者でない人が書き残すことには、意味があります。
それを支える根拠
受け取った言葉を自分の中でくぐらせて伝えれば、記憶は消えずに受けつがれるからです。
文章の要約
筆者は、沖縄の集落で案内人の湧上さんと石畳の小径を歩きます。湧上さんは、今はさとうきび畑になっている場所がかつて水田で、戦争中は戦場だったと語ります。その話を聞くと、筆者の目の前の景色は、青々とした田んぼや、少年たちが遊ぶ姿、焼けこげた地面などに重なって見えてきます。筆者は、語られた言葉とまなざしを自分の中で受けとめ、書き留めたいと思います。当事者ではない自分には限界があると知りつつ、亡くなった人々と、まだ出会っていない誰かへ、宛先のない祈りのように書き残そうとします。
テーマ解説
私たちが見ている景色は、いまの姿だけではありません。その場所で起きた出来事を知ると、同じ景色がまったくちがって見えることがあります。ここでは、土地の人の語りが、田んぼや戦場という昔の景色を目の前に重ねました。この記憶は、文字にした情報だけでなく、語る人の声や表情、身ぶりといっしょに伝わります。聞いた人は、それを自分の言葉でとらえなおして書き残します。もちろん、体験した本人ではないので、すべてを正しく伝えることはできません。それでも、受け取った人が少しずつ言葉をつないでいくことで、出来事の記憶は、時をこえて未来の誰かへ届いていきます。
+αで覚えておきたいこと
沖縄戦
1945年に、沖縄でアメリカ軍と日本軍が戦った地上戦です。一般の住民も巻きこまれ、多くの人が亡くなりました。今も、各地の集落に戦争の記憶が残っています。
オーラルヒストリー(口述の歴史)
文書に残りにくい出来事を、体験した人の語りから記録する方法です。語りには、声の調子や間など、文字では消えてしまう情報も含まれます。
記憶の継承
戦争を体験した人が少なくなる中、体験していない世代が話を聞き、記録して伝えていく取り組みが大切になっています。聞き手は「自分は当事者ではない」ことを自覚しながら、受け取る姿勢が求められます。
さとうきび畑
沖縄では、さとうきびは大切な作物です。昔は水田だった場所が畑に変わるなど、土地の使われ方は時代とともに変化します。
フクギ
沖縄の集落で、風や潮から家を守るために植えられた高い木です。家の周りに並ぶフクギの並木は、沖縄らしい集落の景色の一つです。
当事者と他者
出来事を体験した人を当事者といい、それ以外の人を他者といいます。他者だから分からないことも多いですが、他者だからこそ、広く伝える役割ができることもあります。
令和07年度(2025年度)/大問1「百年の子/古内一絵」
テーマ
「子どもを一人の人間として認める考えはまだ新しく、大人は考え続ける必要があります。」
読み取りのポイント
「子どもとは何か」を、大人がどのように考えてきたのか、その歴史の短さに注目しましょう。
戦争で孤児になった人が、「かわいそうな子」と見られることをどう感じるのかを読み取りましょう。
子どもを信じ、甘い結末にしない書き手のまじめさがなぜ大切なのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
子どもを家の持ち物と見る考え↔︎子どもを一人の人として見る考え
百万年の人類の歴史↔︎人権を認めたここ百年
心地よい結末の物語↔︎現実を見すえる物語
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
子どもを一人の人間と認める考えは、まだ百年ほどの新しいものです。
それを支える根拠
人類の歴史は長いのに、子どもの人権が認められたのは最近だからです。
結論・テーマ
児童文学は、子どもを信じてごまかさずに書く必要があります。
それを支える根拠
子どもの能力や個性を引き出すには、大人が「子どもとは何か」を考え続ける必要があるからです。
登場人物
野山彬/男性/年齢不明(若い大人)/出版社「文林館」の編集者。学年誌を担当し、児童文学作家の話を聞きに来た。
佐野三津彦/男性/年齢不明(大人)/児童文学作家。戦争で親を失った孤児だった。子どもを一人の人間として考える立場を持つ。
戸塚/男性/大人(年齢不明)/漫画家。彬が仕事で関わる有名な人。
君嶋織子/女性/大人(年齢不明)/現在活やくしている児童文学作家。三津彦が作品をほめる。
松永/男性/大人(年齢不明)/文林館の総務課長。彬の頭に浮かぶ人物。
文章の要約
昭和四十三年、出版社の編集者の彬は、児童文学作家の三津彦に話を聞きに行きます。三津彦は、学年誌の仕事が「一人で学ぶことの楽しさ」を伝えているかと問い、子どもを一人の人間として認める考えは、まだ百年の歴史しかないと語ります。三津彦は戦争で親を失った孤児で、世間が孤児を「かわいそう」と片づけるのを、お手軽だと批判します。また、戦後の物語の中で、子どもを信じて甘い結末にしない君嶋織子の誠実さを、高く評価します。彬は、三津彦の言葉に心を動かされます。
テーマ解説
私たちは、子どもを一人の人間として大切にするのを当たり前と思っています。でも、これは人類の長い歴史から見ると、とても新しい考え方です。昔は、子どもは家の持ち物や働き手として扱われることが多く、子どもにも能力や個性があるとは考えられていませんでした。だから大人は、「子どもとは何か」を考え続ける必要があります。また、戦争で親を失った子どもたちを「かわいそうな子」と一まとめにすると、その子たち一人ひとりの気持ちを見失ってしまいます。子どもを信じて、現実から目をそらさずに向き合うことが、子どものための物語にも求められます。
+αで覚えておきたいこと
児童の権利に関する条約
1989年に国連で採択された、子どもの人権を守る国際的な約束です。日本は1994年に批准しました。子どもは「守られる存在」であると同時に、「意見を言う権利」を持つ人として扱われます。
近代的な子ども観
「子ども期」を大人とは別の大切な時期とみなす考え方は、近世から近代のヨーロッパで広まりました。日本でも明治以降に学校制度が整い、少しずつ定着しました。
戦災孤児
太平洋戦争で親や家族を失った子どもです。戦後の日本には、10万人以上いたとされます。駅や街で暮らさざるを得ない子もいて、「浮浪児」と呼ばれ、差別も受けました。
児童文学の役割
子どもに向けた文学には、楽しませるだけでなく、子どもを一人の読者として信頼し、現実の厳しさや人間のあり方を伝える役割があります。
戦後の学年誌
小学生向けの月刊の雑誌で、学年ごとに内容が分かれていました。戦後は子ども文化の大切な担い手でした。
「かわいそう」という見方
相手を助ける気持ちから出る言葉ですが、見る側が上に立ってしまい、相手の本当の気持ちを見落とすことがあります。
令和07年度(2025年度)/大問2「世界の適切な保存/永井玲衣」
テーマ
「気持ちを伝えることは相手の心に入りこむことで、伝わらなくても届くことがあります。」
読み取りのポイント
「伝わらない」ことが、悲しいことでも、おかしいことでもある理由に注目しましょう。
伝えることは、なぜ相手の心に入りこむことになり、とんでもない試みと言えるのかをつかみましょう。
伝わらないと知りつつ、それでも届くことがあるという筆者の考えを読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
心があって閉じられる人間↔︎まぶたがなく閉じない魚
伝えたいという思い↔︎相手に踏みこむ怖さ
原理的に伝わらない↔︎それでも届くことがある
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
伝えるとは、相手の心の領域に入りこむことなので、とんでもない試みです。
それを支える根拠
わたしが相手のところへ歩いて行けば、相手の魂の中へ入ってしまうからです。
結論・テーマ
伝わらなくても、思いが届いてしまうことがあります。
それを支える根拠
人は心があるので、痛みを感じたり、相手の思いに触れたりできるからです。
文章の要約
筆者は、国際シンポジウムで、日本語で話す先生が、日本語が分からない人に「英語でないと困りますか」と聞くのを見ます。誰も手をあげず、伝わらない様子が悲劇であり、おかしくもあると感じます。また、検収センターに行ったとき、場所を示す地図が建物の内側に貼られていた出来事もあります。筆者は、まぶたのない魚との対比で、人間が心を持ち、閉じることができる生き物だと考えます。伝えるとは相手の心に入りこむことであり、とんでもない試みです。それでも届いてしまうことがあるのだと書きます。
テーマ解説
人は、自分の思いが相手に伝わると、つい信じてしまいます。でも、ことばや行動が相手にそのまま伝わる保証はありません。伝わらないことは、悲しいと同時に、少しおかしい出来事でもあります。さらに、筆者は、伝えるという行動が、相手の心に入りこむことでもあると考えます。人は心があるので、相手の言葉を拒むこともできます。魚は目を閉じられませんが、人間は目を閉じ、心を閉じることもできるのです。だから、伝えるときには、相手を傷つけるかもしれないことを意識します。それでも、時には思いが届くことがあります。
+αで覚えておきたいこと
コミュニケーションの難しさ
伝える側が「伝えた」と思っても、受け取る側がそう感じるとは限りません。相手の知識や立場、そのときの気持ちによって、同じ言葉でも意味が変わります。
ハイコンテクストとローコンテクスト
言葉に出さなくても通じる文化を高文脈、言葉ではっきり伝える文化を低文脈といいます。日本語は、文脈に頼ることが多いといわれています。
共感と配慮
相手の気持ちを想像し、言い方や場面を考えて伝えることを配慮といいます。ただし、配慮したつもりが、かえって相手を傷つけることもあります。
ことばの暴力
悪気がなくても、伝える側の押しつけで、相手を傷つける言葉があります。自分の考えを伝えるときは、相手が受け取れる状態か考えることも大切です。
対話(ダイアログ)
自分の考えを一方的に述べるのではなく、相手と考えを交わして、新しい理解を作っていく話し方です。
エッセイ
筆者の体験や考えを、自由な形で書いた文章です。比喩や具体例が多く、筆者の感じ方を読み取ることが大切です。
令和06年度(2024年度)/大問1「時速250kmのシャトルが見える/佐々木正人」
テーマ
「環境が行動を可能にする力を見つけて活かすことが、スポーツの面白さです。」
読み取りのポイント
「アフォーダンス」とは、環境が人や動物に行動の可能性を与える性質だと理解しましょう。
視覚障害のある人が、空気の振動や音などから周りの環境を感じ取る様子を読み取りましょう。
スポーツが、厳しい環境の中にわずかな自由を見つけて活かす営みだという点をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
不自由さ↔︎わずかな自由
見えないこと↔︎音や振動を感じること
環境が与える可能性↔︎身体が探り出す動き
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
スポーツは、厳しい環境の中の「わずかな自由」を活かすことで成り立ちます。
それを支える根拠
選手は困難な環境を探り、その環境が与える行動の可能性を使いこなしているからです。
結論・テーマ
人は環境に合わせて、新しい動きを作り出せます。
それを支える根拠
プールで下半身を失った人も、水がもつ性質を利用して、新しい泳ぎを見つけたからです。
文章の要約
筆者は、水中で足を失った人が、魚のように背や腰をくねらせて泳ぐ話を紹介します。これは、水という環境が、動きの可能性を与える「アフォーダンス」の例です。次に、目が見えなくなった男性の歩行訓練に付き添った体験を語ります。男性は、空気のかすかな変化や音を手がかりに、周囲を感じ取って歩きました。筆者は、その歩行に同行して、空気や音に満ちた環境の豊かさを実感します。スポーツの選手も、わざと厳しい環境を作り、その中のわずかな自由を活かして、苦しさを歓びに変えているのだと述べます。
テーマ解説
私たちの身のまわりの環境は、ただの背景ではありません。環境には、人や動物にできる行動を与える性質があり、これを「アフォーダンス」といいます。たとえば水は、体を横にゆらすと進める性質を持っています。足がなくなった人も、この性質を使って新しい泳ぎ方を見つけました。目の見えない人は、見えない分、空気の動きや音の変化から周りを知ります。そこには、見える人が気づかない豊かな世界があります。スポーツは、わざと難しい環境を作り、その中のわずかな自由を探して活かす活動です。苦しさをも楽しみに変える点に、スポーツの面白さがあります。
+αで覚えておきたいこと
アフォーダンス
アメリカの心理学者ギブソンが作った言葉で、「与える」という意味の英語に由来します。たとえば、イスは「座れる」、取っ手は「握れる」と、物が使い方を教えてくれる性質のことです。
環境と身体の関係
人は頭で考えて動くだけでなく、周りの様子に合わせて、体で動きを調整しています。上手な選手は、環境の変化をすばやく感じ取っています。
視覚障害者の歩行
白い杖で地面の変化を感じたり、音の反響や風の向きを手がかりにしたりして歩きます。目が見えなくても、音や触覚、においなど、ほかの感覚がはたらきます。
パラスポーツ
障害のある人が、ルールや用具を工夫して行うスポーツです。限られた条件の中で、自分の体に合った動きを見つけることが、競技の面白さにつながっています。
ハードルのある環境
スポーツは、わざと不自由な条件を設ける点が、日常の活動と違います。サッカーでは手を使えない、というルールがその例で、この制限が工夫や技を生みます。
一つの感覚に頼らない
人は、目だけでなく、耳、皮ふ、鼻など、いくつもの感覚を組み合わせて世界を感じています。
令和06年度(2024年度)/大問2「鵺の森/千早茜」
テーマ
「周りと違っても、人の評価に振りまわされず、自分らしく堂々と生きることが大切です。」
読み取りのポイント
転校を重ねた「僕」が、まわりに合わせて目立たないよう生きてきた気持ちに注目しましょう。
よそ者として、似た立場の翔也を見て、安心し、ねたむ「僕」の複雑な気持ちを読み取りましょう。
翔也が語る「鵺」の姿から、「僕」の考えがどう変わったのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
まわりに合わせて目立たない↔︎違いを受け入れて堂々と生きる
人にどう見られるかを気にする↔︎自分らしさを大切にする
一人になる恐れ↔︎一人でも生きる強さ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
周りと違っても、堂々と生きれば、他人の評価には振りまわされません。
それを支える根拠
翔也は、異質だと嫌われても、一人で森の鵺を見て、恐れずに生きてきたからです。
結論・テーマ
まわりに合わせてばかりいると、自分の気持ちを見失います。
それを支える根拠
「僕」は、よそ者としてうとまれないように、本当の自分を隠していたからです。
登場人物
堤(僕)/男性/約27歳(回想の中では小学校高学年)/転校が多く、まわりに合わせて生きてきた。翔也に会って、過去を思い出す。
翔也/男性/約27歳(回想の中では小学校高学年)/ハーフで、見た目が目立つ。絵や工作が上手。僕に秘密をばらされ、いじめられる。
僕の母/女性/大人(年齢不明)/息が詰まる家庭で、僕に不満をぶつける。
翔也の父/男性/大人(年齢不明)/ヤクザと噂される人物。刺青がある。
遠藤さん/女性/小学生/同級生。翔也の模型を見て、ほめる。
文章の要約
転校が多かった「僕」は、小学生のとき、まわりの空気を読んで目立たないよう気をつけていました。同じクラスの翔也は、ハーフで目立ち、よそ者扱いされていました。僕は、翔也が自分より冴えないことに安心していました。ある日、翔也は僕に、いじめを避けるために鵺という鳥の絵を描いていると、秘密を打ち明けます。僕はその秘密をつい口にしてしまい、翔也は周りから無視され、転校していきます。十五年以上たって再会した翔也は、鵺の森に入ったときの体験から、一人になっても堂々と生きられると語ります。
テーマ解説
人は、周りとちがう自分を隠したり、まわりに合わせたりして生きることがあります。目立たないようにすれば、仲間はずれにならずにすむからです。でも、その生き方を続けると、自分の本当の気持ちを見失ってしまいます。この話の翔也は、見た目も好みもちがう「異質」な子でした。まわりから避けられ、ひとりぼっちになりましたが、そこで孤独を恐れず、自分のままで生きる強さを手に入れました。一方の「僕」は、翔也をねたみながらも、強く生きる翔也にひかれます。人の評価ばかり気にせず、自分の気持ちを大切にして堂々と生きることの意味が、物語の中心です。
+αで覚えておきたいこと
同調圧力
まわりと同じようにふるまうことを、暗黙のうちに求める空気です。日本の学校や職場で、よく話題になります。違いを認めにくい点が問題といわれます。
いじめの構造
いじめは、加害者と被害者だけでなく、見て見ぬふりをする人や、はやし立てる人など、まわりの人たちも関わります。自分が標的になるのを恐れる気持ちが、いじめを広げることもあります。
鵺(ぬえ)
日本の伝説に登場する想像上の生き物です。顔は猿、体は狸、尾は蛇、手足は虎とされ、不気味な声で鳴くといわれます。正体が分からないものの象徴にも使われます。
異質なものへの見方
人は、自分と違うものを見ると、怖がったり避けたりしがちです。でも、違いは個性でもあり、新しいものを生み出す力にもなります。
孤独と孤立
孤独は「一人でいる気持ち」、孤立は「周りとのつながりが切れた状態」です。孤独をおそれず、同時につながりも持つことが、心の安定につながります。
ハーフ(ミックスルーツ)
親の国籍や文化が異なる人を指します。見た目の違いから、いやな思いをする人もいます。多様な背景を認め合う社会が求められています。
麻布中学校
令和08年度(2026年度)/大問1「七十八年目の手紙/柊サナカ」
テーマ
「考えや立場が違っても、気持ちを伝え合えば友情は守れ、思いは時をこえて届きます。」
読み取りのポイント
考えや立場の違いが、人と人の仲をどのように引きさいてしまうのかに注目しましょう。
戦争のような大きな出来事の中で、友情を持ち続けることがどれほど難しかったのかを読み取りましょう。
手紙という手段が、時間や国の違いをこえて人の心をつなぐ様子をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
立場の違いを理由に争うこと↔︎違いを知って理解し合うこと
国の方針や集団の考えに従うこと↔︎一人ひとりの思いを大切にすること
気持ちを伝えられなかった過去↔︎思いが届いて通じ合えた現在
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
立場や考えの違いは、話し合わなければ人の仲を引きさいてしまいます。
それを支える根拠
同じ遊びでもルールが違うと争いが起き、戦争中は考えの違いで日系人の仲間が分かれたからです。
結論・テーマ
思いを伝え続ける行動は、時代や国をこえて友情をつなぎます。
それを支える根拠
七十八年前の友だちへの手紙が、多くの国の人の手を経て届き、返事になったからです。
登場人物
越智仁美/女性/小学5年生(10〜11歳)/主人公。病気のひいおばあちゃんのために、読めない手紙の意味を調べ、友だちとの仲直りも経験する。
君枝/女性/約86歳/仁美のひいおばあちゃん。入院している。子どものころ、日系アメリカ人のマサコと友だちだった。
マサコ/女性/君枝と同じ年ごろ/日系アメリカ人二世。戦争中に収容所で暮らし、君枝と暗号の手紙を交わしていた。
仁美の母/女性/大人(年齢不明)/仁美を支え、ヤギとの連絡や調べものを一緒に進める。
花/女性/小学5年生/仁美の親友。ケンカで絶交するが、手紙のやりとりで仲直りする。
ヤギ/女性/大人(仁美の母より少し年上)/アメリカ生まれの日系四世。マサコの日記と手紙を見つけて仁美に送る。
文章の要約
小学5年生の仁美は、病気のひいおばあちゃんに届いた読めない手紙を、近所の外国の人びとの力を借りて読もうとします。同じころ、ケンカして絶交した親友の花に手紙で謝り、仲直りします。やがて手紙は、戦時中にアメリカの収容所で暮らした友人マサコが、暗号で書いたものだと分かります。戦争の中で二人の家族は考えが分かれ、手紙は途絶えていました。仁美は暗号を解き、最後に届いた「ずっと友だち」という返事を、急いでひいおばあちゃんに届けにいきます。
テーマ解説
人にはそれぞれ育ちや立場があり、考えもちがいます。ちがいがあること自体は悪くありませんが、話し合わずに相手を敵だと決めつけると、仲の良かった人どうしでも心が離れてしまいます。戦争中、アメリカにいた日系の人びとは、住まいをうばわれて収容所に入れられました。その中でも「アメリカに忠誠をちかう」人と「自分は日本人だ」と考える人に分かれ、友だちや家族が引きさかれました。だれかが悪かったというより、時代が人を分けてしまったのです。それでも、気持ちを手紙で伝えようとした行動は、七十八年たっても人の心を動かしました。思いを伝えることの大切さと、立場がちがってもお互いを理解しようとする姿勢が、このテーマの中心です。
+αで覚えておきたいこと
日系アメリカ人の強制収容
1941年に日本がアメリカの真珠湾を攻撃して戦争が始まると、アメリカ政府は1942年に、西海岸などに住む日系人約12万人を、住まいや仕事から引きはなして収容所に送りました。その3分の2ほどは、アメリカで生まれたアメリカ市民でした。
一世・二世・三世・四世
日本からアメリカへ移った人を一世、その子どもを二世、孫を三世、ひ孫を四世と呼びます。二世以降はアメリカの国籍を持つ人が多く、日本語を話せない人も増えました。
忠誠をたずねる質問
1943年、収容所の人びとに「アメリカに忠誠をちかうか」などを問う調査が行われました。答え方をめぐって人びとの考えが分かれ、収容所の中でも対立が起こりました。
日系人の部隊
二世の志願兵がつくった部隊は、ヨーロッパで大きな活やくをしました。自分たちがアメリカの一員であることを行動で示そうとした人たちがいました。
戦後の謝罪と補償
1988年、アメリカ政府は強制収容を誤りだったと認めて謝罪し、生きている被害者に補償金を支払いました。
多様な立場を知る力
自分と違う考えを見たときは、すぐ「まちがい」と決めず、その人の置かれた状況をたずねることが、争いを減らす第一歩になります。
令和07年度(2025年度)/大問1「藍を継ぐ海/伊与原新」
テーマ
「生まれた場所を離れても、そこで育った記憶はなくならず、心のふるさととして残ります。」
読み取りのポイント
「ふるさと」とは何か、生まれた土地に残る人と離れていく人が、その土地とどうつながるのかに注目しましょう。
自然の中で、生き物や人が世代をこえて「めぐる」ようにつながっていく様子を読み取りましょう。
旅立つことへの不安と、それでも進んでいく勇気とのゆれ動きに注目しましょう。
本文を対比関係で整理
生まれた土地に残ること↔︎外の世界へ旅立つこと
手をかけて守り育てること↔︎自然の力を信じて見守ること
実際にその場所へ帰ること↔︎記憶や思い出でつながり続けること
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
ふるさととは、そこにいるかどうかではなく、記憶やつながりで心に残るものです。
それを支える根拠
ウミガメは遠くへ旅立っても生まれた浜に帰ってくるし、人も遠い祖先の土地を思う気持ちを受けつぐからです。
結論・テーマ
自然の中では、命も栄養も人間もめぐり、またもとの場所へ戻っていきます。
それを支える根拠
サケが森を育て、森の木が人にも使われ、やがて海へ流れ出るというくり返しがあるからです。
登場人物
沙月/女性/13歳/主人公。祖父と二人暮らし。四年前に子ガメを育てて海へ放した。故郷を出るか迷っている。
永井佐和/女性/70代/ウミガメ監視員。長年ウミガメの保護にかかわり、沙月を見守っている。
ティム/男性/大人(年齢不明)/カナダ出身で、今は滋賀県に住む。海辺で漂着物を拾う趣味があり、母がハイダ族。
祖父/男性/高齢/沙月と二人で暮らしている。
未月/女性/年齢不明(沙月と年の離れた姉)/四年前に都会へ出た。
文章の要約
徳島県の海辺の町に住む中学生の沙月は、姉が都会へ出てから、祖父と二人で暮らしています。沙月は四年前、浜で見つけた子ガメを育てて海へ放しましたが、そのことをウミガメ監視員の佐和に隠していました。ある夜、佐和やカナダ人のティムと一緒に、卵からかえった子ガメたちが海へ向かうのを見守ります。ためらわずに波へ飛びこむ姿に、沙月は、故郷を出ることへの自分の不安を重ねます。そして、離れても記憶は残り、いつか帰ってこられるのだと感じます。
テーマ解説
「ふるさと」とは、生まれた場所のことだけではありません。そこで見た景色、出会った人、育った思い出が心に残り、自分の一部になったものがふるさとです。たとえばウミガメは、生まれた浜から遠くへ旅立っても、何十年も後にその浜へ帰ってくると言われます。人間も、生まれた土地から離れて生きることがあっても、その記憶まで失うわけではありません。外の世界へ出ることは不安ですが、それは生き物が旅立つときも同じです。自分がどこにいても、ふるさとで育った時間は消えず、いつか形を変えて戻ってくる。このことを知ると、旅立ちを少し前向きに考えられます。
+αで覚えておきたいこと
母浜回帰(ぼひんかいき)
ウミガメのメスは、生まれた浜に大人になってから戻って卵を産む習性があります。地球の磁気を手がかりにしているという説が有力ですが、くわしい仕組みはまだ分かっていません。
ウミガメの育ち方
卵は砂の中で約2か月でかえります。性別は砂の温度で決まり、高温だとメス、低温だとオスが多くなります。子ガメは、水平線の明るい方向へ進んで海に入ります。海で無事に大人になれるのは、ごくわずかだとされています。
黒潮と親潮
黒潮は日本の南側を流れる暖かい海流で、栄養が少なく、透明度が高いため、濃い藍色に見えます。北から来る親潮は栄養が豊かです。
ハイダ族とトーテムポール
ハイダ族は、カナダ西海岸の島々に住む先住民です。トーテムポールは、一族の紋章や伝説を木に彫った柱で、朽ちて自然に還っていくことも自然の一部と考えられています。
サケが森をつくる
川をのぼって産卵し死んだサケは、森の動物や土の栄養になり、木を育てます。海と森が、サケを通して養分でつながっているのです。
ビーチコーミング
浜辺に流れ着いた貝殻や漂流物を拾い集める活動です。漂着物から、海流や遠い国のようすが分かることもあります。
保護の考え方
絶滅しそうな生き物を守るとき、人が育てて放すこともありますが、自然のくらしにまかせて見守る考え方もあります。どちらにも、よい点と難しい点があります。
令和06年度(2024年度)/大問1「やさしいの書き方/宮下みこと」
テーマ
「やさしさに決まった形はなく、自分の気持ちに素直に向き合い、自分なりに表現することが大切です。」
読み取りのポイント
「みんなにやさしくする」という決まりに従うだけのやさしさと、自分の気持ちから生まれるやさしさの違いに注目しましょう。
人にどう思われるかを気にして行動する状態から、自分の思いで動けるようになる変化をつかみましょう。
うまく言葉にできない気持ちを、絵などの別の方法で表す意味を考えながら読みましょう。
本文を対比関係で整理
周りの評価を気にして行動する↔︎自分の思いに従って行動する
だれとも深く関わらないやさしさ↔︎だれもこばまず受け入れるやさしさ
言われた基準で判断する↔︎自分で感じ考えて表現する
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
やさしさは、与えられた基準ではなく、自分の中にある気持ちで決まります。
それを支える根拠
「みんなにやさしく」という基準で動いていた人が、だれもこばまない人のやさしさを見て、自分との違いに気づいたからです。
結論・テーマ
自分の思いのままに表現すると、気持ちが晴れて世界が広がります。
それを支える根拠
おこられないことを基準に生きていた人が、自分の思いに従えば世界を広げられると気づいたからです。
登場人物
田口守/男性/小学3年生(8〜9歳)/主人公。学級委員。母の「みんなにやさしく」という言葉を基準に行動している。
ユリ先生/女性/大人(年齢不明)/3年2組の担任。いつも笑顔の先生。
山田達哉/男性/小学3年生/運動ができる人気者で、だれにでもやさしい。事故で骨折し、林間学校に来られない。
里中さん/女性/小学3年生/守が去年同じクラスだった子。星空を見て「空と地面をひっくり返したみたい」と言う。
翔吾/男性/小学3年生/クラスで避けられている。守と同じ班。
唯人/男性/小学3年生/教室では本ばかり読んでいる。守と同じ班。守に「みんなにやさしいんだね」と言う。
早見先生/男性/大人(年齢不明)/林間学校で男子部屋を担当する先生。
守の母/女性/大人(年齢不明)/在宅勤務。守に「みんなにやさしく」「一人だけと仲良くしてはだめ」と言う。
文章の要約
小学3年生の守は学級委員になります。母から「みんなにやさしくして、一人とだけ仲良くしてはいけない」と言われ、その決まりを守って過ごしていました。林間学校では班長として、にんじんを忘れた翔吾にも怒りませんでした。けれど、人気者の達哉のやさしさが自分とは違うことに気づきます。自由時間に青空の絵を描いた守は、絵を全部青で塗った理由をうまく説明できず、先生に注意されて涙を流します。その涙で、評価ばかり気にしていた自分に気づき、晴れやかな気持ちになります。
テーマ解説
やさしさには、温度のようなちがいがあります。「みんなにやさしくしなさい」と言われて、だれとも深く関わらないことで、全員に同じように接するやさしさもあれば、だれもこばまず、みんなをそのまま受け入れるあたたかいやさしさもあります。前者は公平に見えますが、ある意味で人を遠ざけています。また、先生や親におこられないように、人の評価ばかり気にして行動していると、自分の本当の気持ちが見えなくなります。大切なのは、自分は何を感じ、何を伝えたいのかを知ることです。言葉でうまく言えないときは、絵や行動など、別の方法で表してもかまいません。自分の思いに素直になったとき、世界は広がります。
+αで覚えておきたいこと
「優しい」の漢字
「優」は、にんべん(人)に「憂」(うれい、心配する)を組み合わせた字です。もとは、人の悲しみや苦しみに寄りそう心を表しているといわれます。「優れる」という意味もあります。
八方美人
だれからも悪く思われないように、どんな相手にも調子よくふるまう人のことです。よい意味では使われません。みんなにやさしいことと、気持ちが本当にこもっていることは、同じではありません。
受け入れる(受容)
相手の考えや存在を、まず否定せずに認めることです。賛成することとは違います。
自己表現
自分の思いや考えを、言葉・絵・音楽・動作などで外に出すことです。言葉にならない気持ちも、別の方法なら伝えられることがあります。
他人の評価と自分の基準
人にほめられることを目標にし続けると、自分が本当にしたいことが分からなくなります。評価は参考にしつつ、最後は自分の基準で考えることが大切です。
色を混ぜる表現
水彩絵の具は、いろいろな色を混ぜると濁った色になります。まよいや複雑な気持ちを、色の混ざり方にたとえる表現が、物語ではよく使われます。
武蔵中学校
令和08年度(2026年度)/大問1「植物少女/朝比奈秋」
テーマ
「植物状態の母の以前の姿を知り、とまどいながら、今の母に安心を感じる子の心の動き」
読み取りのポイント
植物状態の母に対し、看護師、医師、家族がそれぞれどんな態度で接しているかの違いに注目します。
元気だったころの母を知った子の気持ちが、苦しさや期待を経てどう変わっていくかを読み取ります。
何も話さない母のそばで、子が安心を感じるのはなぜか、その理由をつかみます。
本文を対比関係で整理
元気に話し動いていた以前の母↔動かず話さない今の母
目覚めを待ち続ける父や祖母↔今の母が当たり前の子
以前の母を知ったときの苦しさ↔今の母のそばにいる安心
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
子は、動かず話さない今の母を、安心できる存在として受け入れている。
それを支える根拠
母は何も言わず、産んだことへの後悔も感じさせず、そばで呼吸を合わせていると、子の心が落ち着くから。
結論・テーマ
子は、以前の母を知って、母が多くのものを失った人だと感じ、胸が苦しくなった。
それを支える根拠
写真や話を通して、目を開けて話し笑う母の姿を知り、今の母と同じ人だと気づいたから。
登場人物
美桜(みお)/女性/小学5年生(10〜11歳くらい)/植物状態の母のもとへ毎日通う語り手。母が生まれつきその状態だと思っていた。
深雪(みゆき)/女性/30代半ば(推定)/美桜を産むときの脳出血で植物状態になった母。意識がなく、動くことも話すこともできない。
父/男性/年齢は本文に記載なし/母が目覚めるのではと期待してしまうため、朝と夜は母に会いに来られない。
祖母/女性/年齢は本文に記載なし/父と同じく、母が眠っているだけに見えてしまう。美桜に母の昔の写真を見せる。
吉田さん/女性/年齢は本文に記載なし/母の看護をする主任の看護師。美桜が母に触れることを温かく見守る。
文章の要約
小学5年生の美桜は、出産の際の脳出血で植物状態になった母の病室へ毎日通っています。看護師は、美桜が母に触れることを温かく見守ります。ある朝、美桜は写真を見て、目を開けて話す元気な女性が母だと気づき、胸が苦しくなります。父や祖母のように、母が目覚める姿を思い浮かべますが、その期待もやがて消えます。美桜は、何も言わず、後悔も感じさせない母のそばで呼吸を合わせ、安心して静かに過ごします。
テーマ解説
この文章は、植物状態の母と、その娘の心の動きを描いています。植物状態とは、意識がなく、自分の意志で体を動かせない状態のことです。娘は生まれたときから母がこの状態だったので、元気に話す昔の母が、同じ人だとは思えませんでした。しかし、同じ人だと気づくと、母が多くのものを失ったのだと感じて苦しくなります。父や祖母は、今の母を深く眠っているだけのように感じ、目覚めを期待してしまいます。娘も一時は同じ見方をしますが、やがて、何も言わず後悔も見せない母に安心を感じ、今の母をそのまま受け入れるようになります。
+αで覚えておきたいこと
植物状態と脳死は、別の状態です。脳は、考えたり感じたり体を動かしたりする大脳と、呼吸や心臓の動きなど命を保つはたらきをする脳幹に分けられます。植物状態では、大脳が大きく傷ついて意識がなくなっても、脳幹は働いているので、自分で呼吸をして心臓も動きます。一方、脳死は、脳幹を含む脳全体のはたらきが止まり、元にもどらない状態です。人工呼吸器がなければ、呼吸も続けられません。
植物状態の人は、痛みを受けると手を引くなどの反射を示すことがあります。反射とは、意識や意志とは関係なく、刺激に対して体が自動的に反応することです。反応があっても、本人が痛みを感じているとは限りません。
家族が、体はそこにあるのに、以前の心や人柄が失われたように感じるつらさは、あいまいな喪失と呼ばれます。亡くなったわけではないので、悲しみに区切りをつけにくく、期待と苦しさの間で気持ちが揺れ続けることがあります。物語を読むときは、病気の説明よりも、家族が相手をどう受け止めようとするかに注目するとよいです。
令和07年度(2025年度)/大問1「作品名不明/幸田文」
テーマ
「動物の気持ちを決めつけず、動物の身になって考えようとする、飼育係の態度」
読み取りのポイント
動物を飼育する人が、自分の体験を語るときに、言葉づかいを慎重にする理由に注目します。
動物が人間の態度をまねたり、人間の感情に敏感に反応したりする場面から、人間と動物の関わり方を読み取ります。
動物の行動を人間の考えで決めつけず、動物の立場で理由を想像する態度の大切さをつかみます。
本文を対比関係で整理
断定して語る話し方↔経験から控えめに語る話し方
動物を見るだけの人↔動物と毎日暮らす飼育係
人間の考えで決めつける見方↔動物の立場で想像する見方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
飼育係は、動物の気持ちを決めつけず、動物の身になって考えている。
それを支える根拠
自分の経験でしか知らないことは「と思う」と控えめに語り、動物の行動にも、人間とは別の理由があると考えるから。
結論・テーマ
動物は、人間の態度を映し出す存在である。
それを支える根拠
人がつばを吐きかけると動物もまねをし、人の強い怒りにはおびえて、身を守ろうとするから。
文章の要約
筆者が動物園の類人猿舎を訪れ、飼育係から聞いた話をまとめた文章です。飼育係は、自分の経験でしかわからないことを話すとき、「と思う」と控えめに言います。それは、事実と推察を分ける学問の態度に似ています。また、動物は人の気持ちをよく見ていて、人がつばを吐けばまねをし、強い怒りを向けられればおびえて身を守ります。檻を出て客の間を歩いたゴリラの後ろ姿に、飼育係は行き場のない淋しさを感じ取りました。飼育係は、動物の身になって考えられる人たちです。
テーマ解説
この文章は、動物と深く関わる人の考え方を紹介しています。動物は人間とは違う生き物なので、気持ちを人間の考えで決めつけることはできません。飼育係は、自分の経験でしか知らないことを話すとき、「と思う」と控えめに言い、事実と推測を分けて語ります。また、動物は人間の態度をよく見ていて、人間がすることをまねしたり、強い感情におびえて身を守ったりします。つまり、動物の行動は、人間の態度が表れたものでもあります。飼育係は、長い間そばで見ているので、動物の立場に立って理由を想像できます。この文章は、相手を決めつけず、立場に立って考える大切さを伝えています。
+αで覚えておきたいこと
動物の行動を人間の気持ちに当てはめて考えることを擬人化といいます。擬人化は、動物を身近に感じさせる効果がありますが、動物の本当の理由を見のがす危険もあります。たとえば、動物が人の指をかむとき、人間なら怒りを思いますが、動物にはおどろきや恐怖から身を守る理由があることも多いです。動物の行動を研究する分野を動物行動学といい、行動をくわしく観察して理由を調べます。
文章には、事実と推測を区別して書く習慣があります。「〜である」は確かな事実に、「〜と思う」「〜らしい」は推測や自分の経験にもとづく考えに使います。この区別は、説明文や論文でも大切です。
動物園には、動物を見て楽しむ以外に、種の保存、研究、教育という役割もあります。飼育係は、動物の健康を守るために、観察を毎日続ける人たちです。
令和06年度(2024年度)/大問1「随筆と小品/島木健作」
テーマ
「同じ境遇の相手が自分以上の才能を見せたとき、勝ちたい気持ちと認めたい気持ちが同時に生まれること」
読み取りのポイント
貧しい育ちの子が、豊かな家の子ばかりの学校で、引け目を感じながら努力する様子に注目します。
自分と似た境遇の相手に才能で負けたとき、くやしさと親しみが同時に生まれる心の動きを読み取ります。
相手を負かしたい気持ちと、相手の才能を認めたい気持ちの両方を持つ複雑さをつかみます。
本文を対比関係で整理
豊かな家の子の多い学校↔貧しい家の子である自分
勝ちたいという競争心↔認めたいという親しみ
目立っていた自分の得意↔それを上回った相手の才能
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
主人公は、相手に勝ちたいと思う一方で、相手を認めたい気持ちも持った。
それを支える根拠
貧しさに引け目を感じていた主人公は、勉強で勝つしかないと考えていたが、同じ境遇の相手が自分以上の才能を見せたから。
結論・テーマ
主人公は、相手が豊かな家の子たちを圧倒する姿に、小気味よさを感じた。
それを支える根拠
相手も自分と同じ貧しい育ちで、豊かな子たちへの引け目を、才能の力でくつがえしてくれたから。
登場人物
私/男性/小学4年生くらい/貧しい家に育ち、途中から附属小学校へ転校した語り手。勉強で勝つことで引け目をまぎらわしていた。
桜田(もい)/女性/小学4年生くらい/貧しい身なりで転校してきた同級生。絵と作文にすぐれた才能を持つ。
母/女性/年齢は本文に記載なし/貧しい寡婦。授業料の高い附属小学校でも、息子の転校を望んだ。
長山先生/性別・年齢は本文に記載なし/教育実習の先生。桜田の絵の才能を見抜き、作品を高く評価した。
高山武雄/男性/小学4年生くらい/教授の息子。私が競争相手として意識していた同級生。
文章の要約
北海道の小学校に通う少年の「私」は、貧しい家の子でしたが、役人や学者の子が多く通う附属小学校へ途中から転校します。引け目を感じた私は、勉強で勝つしかないと考え、作文や絵で目立つ生徒になりました。そこへ、貧しい身なりの女子の桜田が転校してきます。桜田は、絵や作文で私を上回る才能を見せ、私は一番の立場を失います。私は桜田に勝ちたいと思う一方で、境遇の似た彼女と仲良くなりたい気持ちや、豊かな子たちを才能で圧倒する小気味よさも感じました。
テーマ解説
この文章は、貧しい家の子が、豊かな家の子の多い学校で感じる引け目と、そこから生まれる競争心を描いています。主人公は、引け目をまぎらわすために、勉強や作文、絵で勝つことを目指します。ところが、同じように貧しい相手が、自分以上の才能を見せたとき、くやしさだけでなく、親しみや小気味よさも感じます。相手は、自分と同じ立場で、豊かな子たちを才能で圧倒してくれる存在だからです。つまり、主人公にとって相手は、倒したい競争相手であると同時に、心を寄せたい仲間でもあります。この文章は、一人の相手に対して複数の気持ちが同時に生まれる、人の心の複雑さを描いています。
+αで覚えておきたいこと
人の気持ちは、一つだけとは限りません。友達に負けたとき、くやしいと感じながら、同時に友達をすごいと思うことがあります。このように、反対に見える気持ちが同時に生まれることを複雑な心情と呼びます。小説を読むときは、登場人物の気持ちを一つに決めつけず、どんな気持ちが重なっているかを考えることが大切です。
引け目とは、自分が相手より劣っていると感じて、気後れする気持ちです。貧しさや育ち、能力の差などが理由になることがあります。引け目を持つ人は、それを打ち消そうと努力することがあり、その努力が競争心につながることもあります。
ライバルとは、同じ目標を目指して競い合う相手のことです。よいライバルは、くやしさを与えながら、自分を成長させてくれる存在にもなります。
海城中学高等学校
2026年度/第1回 大問1「ほくほくおいも党/上村裕香」
テーマ
「ボランティアを通して、災害で失われた町と人々の思いを知ること」
読み取りのポイント
被災地へ手伝いに行く若者は、被災した人にどう接すればよいか分からず、何が正しいのか迷っています。
津波で町がなくなった土地を見つめて「町はあったんだよ」と話す被災者の、失われた暮らしへの強い思いを読み取ります。
迷っていた若者が「腰は強いほうなので」と伝える場面から、自分にできる手助けを必死に示そうとする気持ちを読み取ります。
文章の要約
東北の大学で野球をしている康太郎は、仮設住宅に住むマネージャーの真由美にたのまれて、水にひたった家の片づけを手伝いに行きます。つかれても、いやな気持ちにはならず、ボランティアに心がひかれていきます。真由美は、SNSで被災地をからかう書きこみを見て、おこります。康太郎は、何が正しいのか分からずにいます。ある日、花屋の武井さんと海の近くへ行くと、何もない広い土地が広がっていました。武井さんは、そこにあった店の思い出を話し、「町はあったんだよ」と言います。康太郎は、「困ったら呼んでください」と、しぼり出すように伝えます。
テーマ解説
この物語は、東日本大震災のあとの東北が舞台です。津波で町が流され、今は何もない広い土地になっている場所があります。ボランティアに来た人は、泥を出したり片づけたりして役に立ちたいと思いますが、被災した人の気持ちはなかなか分かりません。自分は「よそ者」なのに、何を言えばいいのか、何をしてはいけないのかと、迷ってしまいます。「町はあったんだよ」という言葉は、今は何もなくても、そこには店や家があり、人々が笑って暮らしていたことを伝えています。作者は、体を動かして手伝うだけでなく、その土地の人の思い出や気持ちを知ろうとすることが大切だと伝えようとしています。
+αで覚えておきたいこと
東日本大震災は、2011年3月11日に東北地方の沖で起きた、とても大きな地震です。地震のあと、大きな津波が海ぞいの町をおそい、たくさんの人が亡くなったり、家や仕事を失ったりしました。
家を失った人たちは、仮設住宅という、一時的に住むための家でくらしました。町を新しく作り直すことを復興といい、道路や住宅を整える工事のほか、人々のくらしや心を支える取り組みも続いてきました。
ボランティアは、お金をもらうためではなく、自分から進んで人の役に立つ活動です。震災のときは、全国から多くの人が集まり、泥のかき出しや家の片づけ、食事の準備などを手伝いました。1995年の阪神・淡路大震災でも大勢のボランティアが活躍したため、この年は「ボランティア元年」とよばれています。
ボランティアでは、助ける側の思いこみで動かず、被災した人が何を望んでいるかを聞くことが大切だといわれます。また、災害のあとは、まちがった情報やうわさが広がりやすく、そのせいで傷つく人もいます。情報を見聞きしたときは、本当かどうかを確かめる習慣が必要です。
2026年度/第1回 大問2「遊びと利他/北村匡平」
テーマ
「早く、むだなく進める生活の中で、偶然の出会いを大切にすること」
読み取りのポイント
動画を早送りや倍速で見ると、作品を味わうよりも、たくさん見ることや情報を集めることが目的になりやすい、という問題を読み取ります。
「早く、むだなく」を求める見方は、作った人の工夫を無視して、自分は変わらないままになるという筆者の考えを読み取ります。
インターネットは好みの情報ばかり見せるので、新聞や日常の偶然の出会いで、知らない世界に触れる大切さを読み取ります。
文章の要約
読書は旅に似ていて、目的地に早く着くことよりも、道のりを味わうことが大切だと筆者は言います。ところが今は、映画を早送りで見たり、ダイジェストだけ見たりする人が増えました。早く多くの作品に触れることが目的になり、作品をじっくり味わいにくくなっています。こうした見方は、作った人の工夫を無視して、自分の都合で作品を変えてしまいます。一方で、作品を別のやり方で味わい直す見方もあります。インターネットは好みの情報ばかりを見せるので、新聞のような古くからあるメディアや、日常の中の偶然の出会いを、意識して取り入れることが大切だと筆者は述べています。
テーマ解説
この文章のテーマは、「効率」と「偶然」です。効率とは、少ない時間とむだの少ないやり方で、早く目的に着くことです。今は、動画の倍速視聴のように、短い時間でたくさんの情報を取り入れる人が増えています。それは便利ですが、作品の味わいや、作った人の思いをじっくり受け取る時間が減ってしまいます。また、インターネットは、見た履歴から、好みに合う情報だけを選んで見せてくれるので、知らないことや意見のちがう人に出会いにくくなります。筆者は、そんな時代だからこそ、思いがけない出会いや回り道を、生活の中に取り入れようと呼びかけています。
+αで覚えておきたいこと
タイパは、「タイムパフォーマンス」を縮めた言葉で、かけた時間に対して、どれだけ満足できたかを表します。短い時間で多くの内容を知ることが得だと考える人が増え、動画を倍速で見たり、要点だけをまとめた動画を見たりする習慣が広がりました。
ファスト映画は、映画を短くまとめて、持ち主の許可なくインターネットに公開した動画です。作った人の権利をおかす行為で、著作権法に反するとして問題になり、実際に逮捕された人もいます。
インターネットのサービスは、アルゴリズム(コンピューターが情報を選んで並べるための決まり)を使って、見た履歴に合うものを表示します。その結果、自分の好みに合う情報ばかりに囲まれ、ちがう意見や新しい情報が目に入りにくくなる状態をフィルターバブルといいます。
思いがけない出会いによって、探していなかった大切なものを見つけることをセレンディピティといいます。図書館や本屋さんで、たまたま手にとった本が好きになる、といった経験がその例です。
利他は、自分の得よりも、他の人のためを思って行動することです。反対に、自分の利益を第一に考えることを利己といいます。
2025年度/第1回 大問1「革命前夜/小川哲」
テーマ
「ほめ合う仕組みが行きすぎると、本当の感謝が分からなくなること」
読み取りのポイント
クラスで「ほめること」や「感謝を書くこと」を数で競わせると、ほめられるためだけの行動が増えてしまうことを読み取ります。
感謝の気持ちが、カードの数という数字で表彰される仕組みを、語り手が気持ち悪いと感じている理由を読み取ります。
みんなが喜ぶ明るい雰囲気になじめなかった語り手の気持ちと、大人になった今の考えを読み取ります。
文章の要約
小学6年生のとき、新しい担任の須磨先生は、おこらずに、ほめることでクラスを立て直しました。みんなは先生を「スマイル」と呼ぶようになります。先生は、いいことをした人をほめる「ホメホメ係」や、感謝を書く「感謝カード」を始めます。すると、カードの数を競って、ほめられるために動く子が増え、感謝は数をかせぐ手段になっていきました。「僕」はその雰囲気になじめず、クラスの中でういていました。大人になった「僕」は、善意でいっぱいの社会で小説家には何ができるのかと考えています。
テーマ解説
この物語では、「ほめる」「感謝する」というよいことが、仕組みになって数字で比べられるようになります。先生が、ほめることでクラスを明るく変えたのは確かです。けれども、ほめられた回数や感謝カードの数が表彰されると、子どもたちは、ほめられるためや、数をふやすために行動するようになります。心がこもっていない感謝や、見せかけのよい行いが広がり、本当の気持ちはどこかに消えてしまいます。作者は、みんなが「いいこと」だと信じている明るい雰囲気の中にも、ぎこちなさやうそが入りこむことがあると描いています。
+αで覚えておきたいこと
善意は、人のためによかれと思う気持ちです。偽善は、よいことをしているふりをして、本当は自分をよく見せようとすることです。行いが同じでも、心の中がちがえば、意味が変わってしまいます。
ごほうびや評価のためにやる気を出すことを外発的動機づけ、おもしろさや興味から自然にやる気が出ることを内発的動機づけといいます。ほめて育てる方法は教育で広く使われ、認められるとやる気が出ることがあります。一方で、ごほうびや評価ばかりが目当てになると、やること自体の楽しさが小さくなる場合があるといわれます。
数字で評価すると、数字を上げること自体が目的になってしまうことがあります。たとえば、読んだ本の冊数だけを競うと、内容を味わわずに、うすい本ばかりを選ぶ人が出てきます。
同調圧力は、まわりの人がみんな同じ考えや行動をしているとき、ちがう意見を言いにくくなる、目に見えない力のことです。みんなが「いいこと」だと思っている場面ほど、おかしいと感じても口に出しにくくなります。
2025年度/第1回 大問2「句点。に気をつけろ/尹雄大」
テーマ
「共感を気にしすぎず、自分が本当に感じたことを大切にして話すこと」
読み取りのポイント
辛いカレーの例で、生徒たちが「リスク」という言葉を使い、自分の感じたことを言わずに話を無難にまとめる様子を読み取ります。
筆者が、「共感」を大事にしすぎて、自分の感じたことをそのまま言いにくくなっていることを問題にしている点を読み取ります。
本当のことを言うと仲間外れになるとおそれず、自分の感覚をもとに考えて行動することが大切だという主張を読み取ります。
文章の要約
筆者が高校で授業をしたとき、「友だちが辛いカレーを『おいしいよ』とすすめてきたら、どう答えますか」と聞きました。生徒たちは「正直に言うのはリスクがあります」と、すらすら答えました。ところが、「リスクがなければ言えますか」とたずねると、答えにつまってしまいました。筆者は、生徒たちが自分の感じたことより、もめない話し方を選んでいると考えます。今は「共感」が大切にされ過ぎて、自分の気持ちをそのまま言いにくくなっています。筆者は、自分の感覚で考えて動くべきだと言います。
テーマ解説
この文章のテーマは、「共感」と「自分の感覚」です。共感とは、人の気持ちに「そうだね」と寄りそうことです。大切なことですが、相手に合わせることを優先しすぎると、自分が本当は何を感じているのかが分からなくなります。たとえば、辛いカレーを「おいしいよ」とすすめられたとき、本当は辛すぎると感じていても、「リスクがある」と考えて言わずにすませてしまう人がいます。筆者は、それでは自分の感覚を使わなくなってしまうと考えます。怒りや悲しみや喜びを感じる自分の力をおそれず、感じたことを言葉にしてみようと呼びかけています。
+αで覚えておきたいこと
主観は、自分が感じたり思ったりしたことです。反対に客観は、自分の気持ちを入れずに、外から見たときの考え方です。学校や会社では、客観的で整った話し方が求められる場面が多いですが、自分が何を感じているかを知らなければ、自分の意見は作れません。
共感は、他の人の気持ちを、自分のことのように感じることです。同調は、自分の考えがちがっていても、まわりに合わせることです。見た目は似ていますが、共感は心の動き、同調は行動の合わせ方、という点がちがいます。
空気を読むとは、その場の雰囲気を感じとって、それに合わせた言動をすることです。人間関係をなめらかにする面がありますが、読みすぎると、本当の気持ちを言えなくなることがあります。
自己開示は、自分の考えや気持ちを、相手に打ち明けることです。心理学では、少しずつ自己開示をすると、相手との信頼が深まるといわれます。
「生きづらい」のように、多くの人が使う便利な言葉は、人それぞれちがうはずのつらさを、同じものとしてまとめてしまうことがあります。自分の言葉で、感じたことを表す練習が大切です。
2024年度/第1回 大問1「墨のゆらめき/三浦しをん」
テーマ
「書道は、字の奥にある気持ちを想像して、自由に表す楽しさがある」
読み取りのポイント
書道の先生が、手本を押しつけず、夏の「風」を実際に感じてから書かせることで、子どもたちの字が変わる様子を読み取ります。
初めて教室を訪れた人が、にぎやかでいいかげんに見える教室におどろきつつ、先生の教え方に引きこまれていく心の変化を読み取ります。
「そのとき感じたことを思いうかべて書く」習慣が、字で気持ちを自由に表す力につながるという考えを読み取ります。
文章の要約
ホテルで字を書く仕事をしている「俺」は、亡くなった書道の先生の教室をつぐ遠田薫をたずねます。教室の子どもたちは遠田とふざけ合い、書道教室とは思えないにぎやかさでした。遠田は、「風」の字を書かせる前に、窓を開けて夏の風を感じさせ、「そのとき感じたことを思いうかべて書け」と言います。すると子どもたちの字は、生き生きとして、一人ひとりちがう「風」になりました。「俺」は、書道がこんなに自由で楽しいものなのかと感心します。
テーマ解説
この物語のテーマは、字で気持ちを表すことです。書道というと、お手本そっくりに書く練習を思いうかべる人が多いでしょう。けれども、この教室の先生は、お手本を守らせることより、子どもたちが感じたことを字にこめることを大切にしています。「風」と書くときも、すずしい風、強い風、ふるえる風など、人によって思いうかべる風はちがいます。その思いが、線の太さや勢いにあらわれます。字は、ただの記号ではなく、書いた人の気持ちが見える表現です。書道を楽しいと思えるきっかけを子どもたちに教える先生の姿が、描かれています。
+αで覚えておきたいこと
習字は、お手本をまねて、整った字を書く練習です。書道は、筆で字を書くことで、自分の気持ちや考えを表す芸術という面もあります。
書道では、筆・墨・すずり・紙の4つの道具を文房四宝といいます。筆の動かし方や力の入れ方で、線の太さや強さ、かすれ具合が変わります。
書道を学ぶときは、まず臨書といって、昔の名人の書をお手本に、そっくりに書く練習をします。基本を身につけたうえで、自分らしい表現を見つけていきます。日本の芸の世界では、型を守り、それを破り、やがて離れるという成長の段階を「守破離」といいます。
字の書き方には、一画ずつていねいに書く楷書、少しくずして書く行書、大きくくずして書く草書などがあります。書の作品では、字の形だけでなく、墨の濃さや線の勢い、余白の美しさも味わいます。
2024年度/第1回 大問2「熟達論/為末大」
テーマ
「夢中になって上達する道では、ひとりの時間が自分らしさを育てる」
読み取りのポイント
機械が人間をこえつつある中で、人間にしかできないこととして、体で感じて夢中になる体験があることを読み取ります。
人は群れで生きるので、他の人に認められたいと思い、まわりに合わせてしまう性質があることを読み取ります。
夢中で上達する道には孤独がつきまとうが、その時間が独創的な考えを生み、孤独も気にならなくなる点を読み取ります。
文章の要約
機械が人間をこえつつある今、人間にしかできないことは何かと筆者は考えます。それは、体で世界を感じ、夢中になって上達していく体験だといいます。夢中になる道を進むと、孤独がついてきます。人は仲間に認められたいと思うので、集団の中では、まわりに合わせてしまいがちです。他の人の評価を追いかけると、何が正しいか分からなくなり、ふり回されます。ひとりになってはじめて、自分の内側に目を向け、自分だけの考えが生まれます。そして夢中になると、孤独はこわくなくなります。
テーマ解説
この文章のテーマは、「夢中になること」と「孤独」の関係です。今は、機械がいろいろな仕事を人間より上手にこなせるようになってきました。そこで筆者は、人間にしかできないことは、体で世界を感じて、夢中になって上達していく体験だと考えます。ただ、ひとりで上達の道を進むと、まわりから認められない孤独がついてきます。人は仲間と生きる生き物なので、まわりに合わせたくなるからです。それでも、ひとりの時間があるから、自分の内側に目を向けられ、自分だけの考えが生まれます。夢中になると、孤独そのものが気にならなくなると筆者は言います。
+αで覚えておきたいこと
熟達とは、ある技術やことがらに、時間をかけて上達し、くわしくなることです。スポーツや楽器、将棋などの世界では、基本をくり返し練習して身につけたうえで、自分なりの工夫を加えていきます。
心理学者のミハイ・チクセントミハイは、時間を忘れるほど集中している状態をフローと名づけました。フローに入ると、まわりの目や時間の長さが気にならなくなり、やっていること自体が楽しくなるといわれます。
人間は群れで助け合って生きてきた生き物なので、仲間から認められたいという気持ちや、仲間はずれになることをおそれる気持ちを、もともと強く持っているといわれます。認められたいという気持ちを承認欲求といいます。
独創的とは、人まねではなく、自分で考え出したことを指します。新しいアイデアは、集団の考えから少し距離をとった、ひとりの時間から生まれることが多いといわれます。
孤独には、さびしいという意味のほかに、ひとりで考えたり、何かに打ちこんだりする大切な時間という面もあります。また、人工知能(AI)が発達して、機械がさまざまな作業をこなせるようになったことで、人間にしかできないことは何かが、広く話し合われています。
駒場東邦中学校
令和08年度(2026年度) 大問1「天使の足跡/荒木あかね」
テーマ
「いつか別れが来るとわかっていても、人や動物を愛することには意味があります。」
読み取りのポイント
大切な相手を失う悲しさを知っている人が、別れが来るとわかっている相手を愛せるのか、という悩みを読み取ります。
子どもが成長して親から離れていくことを、親がさみしさと喜びの両方で受けとめる様子を読み取ります。
別れを経験した人の考え方が、会話や行動を通して、どう変わっていくのかを読み取ります。
本文を対比関係で整理
別れが悲しいから愛さない↔別れても愛したい
悲しみに取り残される親↔別れを受けとめて進む子
子が離れていくさみしさ↔成長を見守る喜び
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
いつか別れても、愛することには意味がある
それを支える根拠
愛した相手がいなくなっても、愛した気持ちは心に残り続けるから
結論・テーマ
子どもの成長は、親にとって喜びでありさみしさでもある
それを支える根拠
子どもは少しずつ親から離れて、自分の力で生きていくようになるから
登場人物
明日香/女性/40代と考えられます/看護師。夫と飼っていたペットを亡くし、悲しみを抱えながら娘を育てている母親。
来海(くるみ)/女性/高校1年生(15〜16歳)/明日香の娘。明るく、好きなものにまっすぐで、命のかぎりがある相手でも関わりたいと考える。
夫/男性/年齢は不明/明日香の夫で来海の父親。5年前に病気で急に亡くなった。
メル/オス/11歳/一家が飼っていたミニブタ。去年亡くなったが、家族にとって大切な存在だった。
文章の要約
看護師の明日香は、高校生の娘・来海と暮らしています。5年前に夫を、去年は飼っていたミニブタのメルを亡くしました。お盆のころ、来海は「メルが帰ってきた」と言い、明日香は娘が成長したことと、さみしさの両方を感じます。やがて来海は、年老いた保護犬を飼いたいと言い出します。明日香は別れの悲しさを心配しますが、来海は「好きになっても、いつか別れてもいい」と答えます。その言葉で明日香は、たとえ相手がそばにいなくなっても、愛する気持ちは変わらず残ると思えるようになります。
テーマ解説
人でも動物でも、命にはかぎりがあります。大切に思う相手とも、いつかは必ず別れる日が来ます。別れはとてもつらいので、「それなら深く関わらないほうがいい」と考える人もいます。しかし、別れがあるからといって、愛した時間や気持ちが消えるわけではありません。相手がそばにいなくなっても、大切に思った気持ちは心の中に残り続けます。この文章では、つらい別れを知っている人が、それでも愛することを選べるようになるまでの心の変化が描かれています。また、子どもが成長して親から少しずつ離れていくことも、さみしいけれど喜ばしい「小さな別れ」です。悲しみやさみしさを抱えながらも、人は相手を愛し続けられるのです。
+αで覚えておきたいこと
大切な存在を失った悲しみは、人でも動物でも、だれにでも起こる自然な気持ちです。ペットを亡くしたあとに強い悲しみが続くことは「ペットロス」と呼ばれ、めずらしいことではありません。悲しさは、それだけ相手を大切にしていた証拠です。無理に忘れようとせず、思い出を話したり、写真を見たりしながら、時間をかけて少しずつ気持ちを整理していくことが大切だといわれています。悲しみ方や立ち直るまでの時間は人によってちがいます。
人といっしょに暮らす犬やねこの寿命は、およそ十数年です。人間より短いため、飼い主は多くの場合、ペットの最期を見送ることになります。だからこそ、飼うと決めたら最後まで責任をもって世話をすることが大切です。
中学生や高校生のころは、親から少しずつ自立していく時期です。親の前で他人行儀になったり、照れたりするのは、成長して自分の世界をもちはじめたしるしでもあります。親の側にも、子どもが離れていくさみしさと、成長への喜びが同時に生まれます。
小説では、気持ちが言葉で説明されないことが多くあります。行動や持ちもの、何げない会話に気持ちが表れるので、出来事の前後で人物の考えがどう変わったかに注目して読むとよいでしょう。
令和07年度(2025年度) 大問1「天使のにもつ/いとうみく」
テーマ
「子どもは愛されたくて、さみしさをかくして笑います。まわりが気づいて寄りそうことが大切です。」
読み取りのポイント
愛されたい子どもが、嫌われないように本当の気持ちをかくして笑う様子と、その気持ちを読み取ります。
自分には人を守る力がないと感じた人が、その気持ちにどう向き合い、何ができると考えたのかを読み取ります。
大人のちょっとした言葉や態度が、子どもにどう受け止められているのかを読み取ります。
本文を対比関係で整理
本当はさみしい気持ち↔平気なふりで笑う態度
相手を守る大きな力がない↔今できることをする
見ているだけの周囲↔気持ちに寄りそう人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
子どもは愛されたくて、さみしさをかくして笑う
それを支える根拠
親に嫌われたくなく、愛されたい気持ちが強いから
結論・テーマ
大きな力がなくても、相手の気持ちを受けとめることには意味がある
それを支える根拠
そばにいて信頼に応えることで、相手に愛情が伝わるから
登場人物
斗羽風汰(とばふうた)/男性/中学2年生(13〜14歳)/職場体験で保育園に行く。まっすぐな性格で、子どもや動物を気にかける。
しおん君/男性/4歳/保育園の園児。母親が大好きで、さみしくても笑顔でいようとする。
しおん君のお母さん/女性/年齢は不明/しおん君の母親。いそがしく、子どもに冷たく見える態度をとる。
林田/不明/保育園の先生/風汰を指導する保育士。子どもたちの様子を気にかけている。
まーくんセンパイ/男性/高校生(16〜18歳)/風汰と同じ団地に住む。気さくで、風汰をからかいながら気づかう。
文章の要約
中学2年生の風汰は、保育園で職場体験をしています。園児のしおん君が夜に一人でマンションの前にいたのを見かけ、気にかかります。風汰は「きっと大丈夫」と自分に言い聞かせますが、不安を消せません。最終日、しおん君は母親に冷たくされても笑顔で手を振って見送り、風汰は、しおん君が愛されたくて平気なふりをしていることに気づきます。自分には守る力がないと感じる風汰でしたが、しおん君の手をにぎり返し、抱き上げて大好きだと伝えます。
テーマ解説
子どもは、親や身近な大人に愛されたいと強く願っています。そのため、嫌われたくない気持ちから、さみしさや悲しさをかくして笑うことがあります。笑顔だけを見ると、大丈夫そうに見えるかもしれません。でも、その笑顔は心の苦しさをおさえた「強がり」であることもあります。この文章では、子どもの笑顔の裏にある本当の気持ちに気づいた人物が、自分には何かを解決する力がないことに悩みます。それでも、相手を信じて、気持ちを受けとめるだけでも、愛情は伝わると気づきます。大きなことができなくても、いまできることをするのが大切だというメッセージが込められています。
+αで覚えておきたいこと
子どもの強がりは、見のがされやすいサインです。「いい子」でいようとする子ほど、自分の気持ちを言葉にできず、まわりに心配をかけまいとします。表情がおだやかでも、ふだんの行動や言葉のちょっとした変化に気持ちが表れることがあります。
子どもにとって、家族から愛されることは、安心して生きるための土台です。もしその土台がゆらいでいるように見えるときは、家族だけでなく、学校や保育園、近所の人など、まわりの大人が見守ることも大切です。気になることがあれば、信頼できる大人や専門の窓口に相談する方法もあります。児童相談所の全国共通ダイヤル「189」は、子どもの困りごとや心配を相談できる窓口です。
人のためにできることは、大きな行動だけではありません。話を聞く、手をにぎる、名前を呼ぶといった小さな行動でも、相手には大きな支えになります。「自分には何もできない」と感じるときも、そばにいて気持ちを受けとめることには価値があります。
小説では、人物が口に出した言葉と、心の中で思っていることが食いちがうことがよくあります。言葉と態度のずれに注目すると、本当の気持ちが読み取りやすくなります。また、登場人物の気持ちが変わった場面では、何がきっかけだったかを確かめましょう。
令和06年度(2024年度) 大問1「きみの話を聞かせてくれよ「タルトタタンの作り方」/村上雅郁」
テーマ
「『男らしさ』『女らしさ』の決めつけにとらわれず、自分らしく生きたい気持ちを大切にします。」
読み取りのポイント
「男の子はこう」「女の子はこう」といった決めつけが、人をどのように苦しめるのかを読み取ります。
自分らしくいたいのに、まわりのイメージを守るため好きなことをかくす人の悩みを読み取ります。
同じ悩みをもつ人と出会い、考え方がどう変わって自分らしく生きようとするかを読み取ります。
本文を対比関係で整理
性別で決めつける世間の見方↔一人ひとりの自分らしさ
まわりに合わせて好きをかくす↔好きなものを堂々と好きと言う
好意でも決めつけに傷つく↔自分を守るために強くなる
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
決めつけは、たとえ好意からでも人を傷つける
それを支える根拠
人は勝手な名前やイメージをおしつけられると、自分を否定された気持ちになるから
結論・テーマ
自分らしくいるためには、強い心が必要である
それを支える根拠
まわりの言葉に負けず、好きなものを好きと言うには、ゆれない気持ちが必要だから
登場人物
轟虎之助(とどろきとらのすけ)/男性/中学1年生(12〜13歳)/剣道部。ケーキ作りが趣味で、背が低く、顔つきは女子っぽいと言われる。
祇園寺羽紗(ぎおんじうさぎ)/女性/中学3年生と考えられます/生徒会長で剣道部の副部長。かっこよく人気があるが、本当は甘いものや絵が好き。
黒野/男性/中学2年生(13〜14歳)/虎之助より1学年上の剣道部員。祇園寺先輩と仲がよく、二人を引き合わせる。
轟龍一郎(とどろきりゅういちろう)/男性/高校1年生くらい(15〜16歳)/虎之助の兄。サッカー部のキャプテンだった優等生。
文章の要約
中学1年生の虎之助の趣味はケーキ作りです。ある日、人気者の生徒会長・祇園寺先輩に、タルトタタンの作り方を教えてほしいと頼まれます。先輩は、かっこいい王子というイメージを守るために、好きなお菓子づくりをかくしていました。いっしょにタルトタタンを作り、先輩は、女の子らしいものから距離をおくようになった過去を話します。帰り道、虎之助は、「人が何と言おうと関係ない」とは言えないと考えます。後日、同じクラスの女子に、ケーキを作ることをからかわれると、虎之助は大声でさけんで、自分が自分であるために闘える強さがほしいと思います。
テーマ解説
「男の子はこう」「女の子はこう」という「らしさ」は、世の中のあちこちにあります。しかし、「らしさ」は人によってちがい、性別で決められるものではありません。ほめ言葉のつもりでも、「らしくない」「らしい」と言われるだけで、自分をわくに入れられたように感じて苦しくなる人もいます。この文章では、自分らしくいたいのに、まわりのイメージを守るために好きなことをかくしてしまう人物が登場します。同じ悩みをもつ人に出会って、「人から決めつけられても負けない強さがほしい」と思うようになる変化が、物語の中心です。
+αで覚えておきたいこと
固定観念とは、「こういうものだ」と思いこんでいる考え方のことです。性別についての固定観念は、気づかないうちに身についていることが多く、悪気がなくても人を傷つけることがあります。
このような決めつけの背景には、むかしからの社会の考え方があります。たとえば、「料理や家事は女性」「力仕事や外で働くのは男性」といった役割の分け方は、今では見直されてきています。性別にかかわらず、自分の好きなことや得意なことをのばしてよいという考え方が広がっています。
人は、まわりの目を気にして、本当の自分と、見せている自分を使い分けることがあります。それが長く続くと、疲れてしまったり、自分らしさがわからなくなったりします。反対に、同じ気持ちを共有できる相手と出会うと、安心して自分を出せるようになります。
「自分らしく」とは、わがままに行動することではありません。自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちも大切にすることです。「人が何と言おうと関係ない」と言うのは簡単ですが、実際にはとても勇気のいることです。
ラ・サール中学校
令和08年度(2026年度)大問1「文化系のための野球入門/中野慧」
テーマ
「高校野球で燃え尽きなくてよく、スポーツは一生続けて楽しむものだという考え方」
読み取りのポイント
「高校野球は青春を燃やしつくすもの」という見方が、なぜ問題だと筆者が考えるのかをつかみましょう。
筆者がスポーツの価値をどうとらえているか、「再創造(リ・クリエイション)」という考え方を読み取りましょう。
学生時代のスポーツ経験が、大人になってからどんな形で生き続けるのが理想とされているかを整理しましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
スポーツは若いうちに燃え尽きるものではなく、大人になっても自分に合った形で楽しみ続けられるものである。
具体例
高校や大学で野球を終えたあとも、草野球で続ける人がいる。
具体例
学生時代に経験がなくても、大人になってから始めて実力をつける人がいる。
具体例
自分でプレーするだけでなく、学生チームを支える形で関わる人もいる。
結論・メッセージ
スポーツは、普段の生活から一度はなれて気分転換をし、新しい力を取り戻すという大切な役目がある。
具体例
仕事や勉強から離れて体を動かすと、心がリフレッシュされる。
具体例
気分転換をすると、日常にもどったときに新しい発想が生まれやすくなる。
本文を対比関係で整理
燃え尽きるまでやる高校野球↔︎一生続けて楽しむ野球
勝利と努力だけを重んじる見方↔︎いろいろな価値に気づく見方
進学や就職の評価につなげる見方↔︎自分が楽しむための関わり方
仕事に打ち込むだけの大人の生活↔︎気分転換で力を取り戻す生活
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
高校野球で完全燃焼する必要はなく、野球は一生続ければよい。
それを支える根拠
燃え尽きることを理想にすると、若い頃だけを高く評価して、その後の長い人生が軽く見られてしまうから。
結論・テーマ
スポーツは、日常の暮らしを元気にする「再創造」の手段である。
それを支える根拠
普段の生活から一度はなれることで気分が切りかわり、創造性が高まって、日常で力を発揮しやすくなるから。
文章の要約
高校野球では、全力を出して燃え尽きることがよいとされる考えが広まっています。しかし筆者は、若いうちに完全燃焼する必要はなく、その後も野球を続ければよいと考えます。学生時代の経験が「いい大学、いい会社」の評価だけに結びつくのは、野球の価値をせまく見ているからです。筆者は、スポーツを、日常から離れて気分転換をし、新しい力を取り戻す「再創造」の手段ととらえ、野球を一生楽しむものとして見直すように呼びかけています。
テーマ解説
「高校野球は青春を燃やしつくすもの」という見方は、ニュースなどでよく聞かれます。しかし筆者は、若いうちに完全燃焼しなくてもよいと考えます。勝つために苦しい練習をして燃え尽きる形だけが、スポーツの価値ではないからです。学校の部活は、「いい大学、いい会社」に進むための材料として見られがちですが、本来スポーツは楽しむためのものです。そこで筆者は、スポーツを「再創造(リ・クリエイション)」ととらえます。勉強や仕事から一度はなれて気分転換をすると、疲れた心が元気になり、新しい発想も生まれやすくなります。この見方なら、野球を大人になってからも、自分に合った形で一生続けられます。
+αで覚えておきたいこと
アマチュアリズム:もともと、お金や名声ではなく、楽しむことを目的にスポーツをする考え方のことです。
燃え尽き症候群:長い間、強い意欲で打ち込んだあとに、急に気力がなくなってしまう状態のことです。大きな目標を達成した直後におこりやすいとされます。
生涯スポーツ:年齢や体力に関わらず、一生を通して楽しめるスポーツのことです。ウォーキングや草野球などがあり、健康だけでなく、人とのつながりをつくる効果もあります。
レクリエーションの本来の意味:「レクリエーション」は、単なる遊びではありません。「再び(re)つくる(create)」という言葉から生まれ、疲れた心と体を元にもどして、新しい力をつくり出すことを指します。
部活動の変化:先生の負担や子どもの数の減少などから、近年は部活動を学校だけでなく地域でも支える動きが進んでいます。学校の部活だけが、スポーツに親しむ場ではなくなりつつあります。
令和08年度(2026年度)大問2「海は忘れない/村上しいこ」
テーマ
「戦争は人々の暮らしと心を壊し、その傷は時代をこえて残るということ」
読み取りのポイント
戦争で家庭を壊された少女が、戦争を劇のテーマにすることをなぜ嫌がったのかを読み取りましょう。
自分の暮らしを友だちに見せたことで、その少女の気持ちがどう変わったかを整理しましょう。
今の時代の高校生が過去の暮らしにふれて、戦争をどうとらえるようになったかをつかみましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
戦争は、戦場に行かない人の暮らしや心も壊し、その傷は長く残る。具体例
恵美子の父は、国にすすめられて買った券が戦争のあとで価値を失い、和菓子屋を継ぐ夢も失って酒におぼれた。具体例
恵美子の母は、家計を支えるためにお酒を出す店で夜まで働き、昼間は疲れて眠っている。具体例
家はせまくて物も少なく、友だちを呼べないほど貧しい暮らしになった。
結論・メッセージ
戦争を考えるときは、決めつけず、自分の身に引きつけて考え続けることが大切である。具体例
「絶対勝てる」と信じこむ考えが、人々を引き返せなくした。具体例
何もできないと感じても、劇を作って思いを伝えようとする人がいる。具体例
遙は昭和の人々の苦しさにふれ、戦争を身近に感じはじめた。
本文を対比関係で整理
戦争をためらう恵美子↔︎自分たちの戦争劇を作る恵美子
戦争を知らない令和の遙↔︎戦争の傷の中で暮らす昭和の人々
言葉で語ろうとする説明↔︎暮らしを見せて伝える方法
「絶対」と言い切る考え↔︎決めつけず考え続ける姿勢
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
恵美子は、友だちと戦争劇に前向きに取り組むようになった。
それを支える根拠
戦争で家庭が壊れたつらさを、親友に暮らしを見せて理解してもらえ、女優を目指す夢も応援されたから。
結論・テーマ
遙は、戦争を身近で正体のわからないものだと感じた。
それを支える根拠
昭和の貧しい暮らしに入りこみ、戦争が人々を苦しめ、それでも当たり前のように続く世の中を知ったから。
登場人物
晴子(実際は遙)/女性/高校生/昭和33年の演劇部員。川でおぼれて意識を失い、その体に令和7年の遙の意識が入っている。
遙/女性/高校生/令和7年の女子高校生。晴子の体を借りて昭和33年を生きている。
恵美子/女性/高校生/演劇部員。戦争で家庭が壊れたつらさから、戦争を劇のテーマにすることをためらっている。
紗代/女性/高校生/演劇部員。恵美子の友だちで、恵美子の家を一緒に訪ねる。
恵美子の父/男性/大人/もとは腕のいい和菓子職人。戦争で店と夢を失い、酒におぼれている。
恵美子の母/女性/大人/家計を支えるために、お酒を出す店で働いている。
文章の要約
昭和33年、川でおぼれた晴子の体に、令和7年の女子高校生・遙の意識が入りこんでいます。演劇部の恵美子は、次の劇で戦争を取り上げることに反対します。遙と紗代が恵美子の家を訪ねると、父は戦争で和菓子屋を失って酒におぼれ、母は夜の店で働くなど、家は貧しさにあふれていました。恵美子は戦争で家庭が壊れたつらさを抱えていたのです。親友に暮らしを見せ、女優になる夢を応援された恵美子は前向きになり、三人で戦争劇を作ろうと決めます。遙は、戦争を身近で正体のわからないものだと感じます。
テーマ解説
この文章は、戦争が人々の暮らしと心に残す傷を描いています。戦争は戦場にいない人の暮らしにも深い傷を残します。恵美子の父は戦争で店と夢を失い、母は家計を支えるために夜も働きました。恵美子はそのつらさを言葉にするより、自分の暮らしを友だちに見てもらうことで伝えようとします。友だちがそれを受けとめ、夢を応援したことで、恵美子は戦争劇に前向きになりました。また、「絶対」と言いきる考えは自分をしばり、ほかの見方を考えられなくします。令和の遙は、昭和の暮らしを通して、戦争を遠い昔の話ではなく身近な問題として感じはじめます。
+αで覚えておきたいこと
戦時国債:戦争の費用を集めるために、国が国民からお金を借りる形で発行した券です。戦争に負けたあとの混乱で、その価値は実質的にほとんど失われました。
昭和30年代の日本:戦争が終わって十数年がたち、テレビなどの電化製品が広まって、豊かさが見えはじめた時代です。一方で、戦争で家や家族を失った人の暮らしには、まだ苦しさが残っていました。
戦時中の情報のあつかい:戦争中は、国が新聞やラジオを管理し、「日本は勝っている」と信じさせました。正しい情報が伝わらず、多くの人が疑う機会を失ったと言われています。
「絶対」という言葉の注意点:「絶対」と言いきると、ほかの可能性を考えなくなります。情報をうのみにしないためにも、決めつけない姿勢が大切です。
戦争体験を受けつぐ方法:戦争を体験した人が少なくなるなか、語り部の話や日記、写真、劇などを通して、次の世代に伝える取り組みが行われています。
令和07年度(2025年度)大問1「反対語から考えを深める/塩瀬隆之」
テーマ
「反対の言葉を考えると言葉の意味がはっきりし、考えが深まり行動につながる」
読み取りのポイント
「反対の言葉」を考えることが、言葉の意味をどのようにはっきりさせるのかを読み取りましょう。
自分から取り組む言葉と、人にしてもらう言葉のちがいが、考え方にどう関わるかを整理しましょう。
身近な言葉で考える習慣が、社会の問題を自分の行動につなげることをどう助けるかをつかみましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
反対の言葉を考えると、ふだんあいまいに使う言葉の意味がはっきりし、考えを深められる。具体例
「平和」の反対を「戦争」と答えるだけでは、平和を自分の言葉で説明できない。具体例
「まなぶ」の反対を「教わる」と答えた人がいて、「まなぶ」が自分から取り組む行動だとわかった。
結論・メッセージ
社会の問題は、身近な言葉で考えると、自分にできる行動が見えてくる。具体例
「すてる」の反対を専門的な仕組みの言葉だけで考えると、仕組みにまかせきりになりやすい。具体例
「すてる」の反対を「ゆずる」「大切に使う」などと広げると、自分で選べる行動が増える。
本文を対比関係で整理
受け身の「教わる」↔︎自分から取り組む「まなぶ」
仕組みにまかせる考え↔︎自分が主体的に行う行動
あいまいに使う言葉↔︎反対語で輪郭が見える言葉
専門的な言葉で考える↔︎身近な言葉で考える
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
反対の言葉を考えることは、考えを深めるために役立つ。
それを支える根拠
反対の言葉と比べることで、ふだん意識しない言葉の意味に気づけるから。
結論・テーマ
一人ひとりが自分の言葉で考え、行動することが大切である。
それを支える根拠
身近な言葉で考えると、自分にできることが見え、新しいアイデアも生まれやすくなるから。
文章の要約
筆者は、絵本作家の展覧会に関わるワークショップで、「平和」の反対の言葉を考えました。「戦争」と答えるだけでは、平和を自分の言葉で説明できません。反対の言葉を考えると、言葉の意味がはっきり見えてきます。ある高校生は「まなぶ」の反対に「教わる」と書き、「まなぶ」が自分から取り組む行動だと気づきました。また、「すてる」の反対を身近な言葉で広く考えると、自分にできる行動が増えます。筆者は、こうして平和に向き合う力を育てたいと述べています。
テーマ解説
「ある言葉の反対の言葉を考える」と、その言葉の意味がくっきり見えてきます。たとえば「まなぶ」の反対を「教わる」と答えた人がいました。この答えから、「まなぶ」は自分から取り組む行動だという意味がはっきりします。また、「すてる」の反対を専門的な仕組みの言葉だけで考えると、社会のしくみにまかせきりになりがちです。身近な言葉で考えると、「ゆずる」「大切に使う」など、自分にできる行動が見えてきます。このように、反対の言葉を考えることは、考えを深めて行動につなげる練習になります。筆者は、同じやり方で「平和」についても、自分の言葉で考え続けようと呼びかけています。
+αで覚えておきたいこと
反対語(対義語):意味が反対になる言葉のことです。反対語は一つとは限らず、考える角度によっていくつも思いつくことがあります。
消極的平和と積極的平和:戦争がない状態だけを平和とする考え方を消極的平和、貧しさや差別などの暴力もない状態を平和とする考え方を積極的平和といいます。
持続可能な社会:今の世代だけでなく、将来の世代も困らないように、環境や資源を守りながら続いていく社会のことです。
3R:ごみを減らすための3つの行動です。リデュース(ごみを出さない)、リユース(くり返し使う)、リサイクル(資源として再利用する)があり、この順に優先すると効果が高いとされます。
能動と受動:自分から行うことを能動的、人から何かをされることを受動的といいます。「学ぶ」は能動的、「教わる」は受動的な行動です。
令和07年度(2025年度)大問2「アルプス席の母/早見和真」
テーマ
「周りの期待に流されず、自分の将来のために自分で決めて進むことが大切」
読み取りのポイント
周りの大人から強い期待を向けられたとき、中学生がどんな気持ちで試合にのぞむのかを読み取りましょう。
母親が、息子を心配しながら見守り、最後に何を伝えたのかを整理しましょう。
「チームのため」と「自分のため」のどちらを大切にするかを、登場人物がどう考えているかをつかみましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
周りの期待に応えることよりも、自分の将来のために自分で決めて行動することが大切である。具体例
監督は「チームのために思いきり投げろ」と求めるが、息子は自分の進路のために投げようとしている。具体例
母は、息子が自分の将来をしっかり見すえているとわかり、「自分のためだけにがんばりな」と伝える。具体例
息子は母の言葉を受けとめ、「悔いのないようにやってくる」と答える。
結論・メッセージ
親は、子どもの気持ちを尊重して、見守ることが大切である。具体例
母は、息子の表情から心の中を読み取ろうとするが、はっきりとはわからない。具体例
母は、息子に言いたいことを言いすぎずに、静かに背中を押す。
本文を対比関係で整理
チームのために投げる↔︎自分の将来のために投げる
監督の強い期待↔︎母の「自分のために」という励まし
息子を心配する母↔︎先を見すえる息子
周りに合わせる考え↔︎自分で決める考え
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
母は、息子に「自分のためだけにがんばりな」と伝えた。
それを支える根拠
息子が周りの言葉に流されず、自分の将来を見すえているとわかり、うれしくなったから。
結論・テーマ
息子は、悔いのないように投げようと決意した。
それを支える根拠
周りの期待ではなく、自分のために投げてよいと母に認めてもらえたから。
登場人物
菜々子/女性/大人/航太郎の母。息子を心配しながら、見守っている。
航太郎/男性/中学3年生/野球クラブのエース投手。強豪校からのスカウトを目指している。
大竹/男性/大人/航太郎のチームの監督。チームのために投げるよう、航太郎に強く求める。
内田/男性/大人/強豪校の野球部の監督。航太郎の試合を見に来る。
原/男性/中学3年生/相手チームの投手。航太郎と同い年で、実力のある選手。
健夫/男性/大人/菜々子の夫で航太郎の父。すでに亡くなっている。
文章の要約
中学最後の大会で、エース投手の航太郎は、進学したい強豪校の監督に実力を見てもらう機会を迎えます。チームの監督は、みんなのために思いきり投げるよう強く求め、母の菜々子はそのやり方にモヤモヤします。決勝の前夜、強豪校の監督が試合に来ると知り、航太郎は相手の投手より自分が上だと示そうと心を決めます。菜々子は「チームのためでなく、自分のためだけにがんばりな」と伝え、航太郎は「悔いのないようにやってくる」と答えました。
テーマ解説
この物語では、周りの期待と自分の気持ちの間で悩む中学生が描かれます。野球チームの監督は、チームのために全力を出すように求めます。けれど、本人は進学の道を切りひらくために、自分の将来を見すえて投げようとしています。母親は、監督の言葉が息子にプレッシャーをかけていることにモヤモヤしながら、息子を見守ります。そして、息子が周りの言葉に流されず自分で考えているとわかると、うれしくなって「自分のためだけにがんばりな」と背中を押します。人は、周りの期待を受けとめながらも、最後は自分で決めて行動することが大切だという場面です。
+αで覚えておきたいこと
プレッシャー:期待や責任が心の重みになって、実力を出しにくくなる状態のことです。適度な緊張は集中力を高めますが、強すぎると体がかたくなります。
内発的動機づけと外発的動機づけ:自分の内側から出る「やりたい」という気持ちで行動することを内発的動機づけといいます。ごほうびや周りの評価のために行動することは外発的動機づけといいます。内発的な動機は長く続きやすいとされます。
中学生のクラブチーム:学校の部活動とは別に、地域の団体が運営するチームのことです。野球では「シニア」「ボーイズ」などと呼ばれる硬式のクラブチームがあります。
スカウト:高校や大学、チームなどが、優れた選手に声をかけて、入学や入団にさそうことです。
見守る関わり方:子どもが自分で決めるのを待ち、必要なときに支える関わり方です。指示や命令だけで動かすよりも、本人の自信と責任感を育てやすいとされます。
令和06年度(2024年度)大問1「ことばのくすり/稲葉俊郎」
テーマ
「あえて迷子になることで感覚がリセットされ、世界が新しく見えるということ」
読み取りのポイント
いつもの習慣の中で暮らすと、人の感覚がどうなってしまうのかを読み取りましょう。
「無意識の寄り道」と「意識的な寄り道(迷子)」のちがいを整理しましょう。
道に迷う体験が、心や感覚にどんな変化を生むのかをつかみましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
あえて迷子になることは、ふだん使わない感覚を開き、世界を新しく感じさせてくれる。具体例
古書店に何気なく入ると、予想もしなかった本や時間に出会える。具体例
初めての町を地図に頼らず歩くと、思いがけない景色や店に出会える。具体例
行き先を知らされないミステリーツアーのように、事前情報をあえて得ない旅をする。
結論・メッセージ
迷子の体験は、弱い自分と強い自分が協力して、新しい自分に出会う機会になる。具体例
不安を感じながらも、自分の感覚をたよりに道をさがす。具体例
知らない人に道を教えてもらい、他人のありがたみを感じる。具体例
日常にもどったとき、観察力や洞察力がきたえられている。
本文を対比関係で整理
無意識の寄り道↔︎意識的な寄り道(迷子)
事前に情報を集める旅↔︎あえて情報を得ない旅
慣れた道を歩く日常↔︎知らない道を歩く体験
不安を感じる弱い自分↔︎力を出す強い自分
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
迷子になることは、感覚のリセットになる。
それを支える根拠
事前情報がないと、その場の景色や人から直接感じ取るしかなく、ふだん使わない感覚が働くから。
結論・テーマ
迷子の体験は、人を成長させる。
それを支える根拠
不安な中で自分で考えて進むうちに、弱い自分と強い自分が手を組み、観察力などが育つから。
文章の要約
筆者は、古書店めぐりなどの体験から、「寄り道」には二つの種類があると考えます。慣れた場所でなんとなく行う無意識の寄り道と、あえて迷子になる意識的な寄り道です。後者は、事前の情報に頼らず、自分の感覚で道を探すため、ふだん使わない感覚が開かれ、世界が新しく見えます。迷子になると不安になりますが、弱い自分と強い自分が手を結び、観察力や洞察力が育ちます。筆者は、いつもの帰り道とちがう道を、ためしに歩いてみるようすすめています。
テーマ解説
いつも同じ道を通っていると、まわりをよく見なくても動けるようになり、感覚を使わなくなります。筆者は、あえて道に迷ってみることをすすめます。地図や事前情報に頼らずに歩くと、その場の景色や人の様子を自分の感覚でとらえるようになります。すると、ふだん使わない感覚が目ざめて、同じ町でも新しい発見があります。迷子になると不安になりますが、道を探すうちに、他人のありがたみを知り、弱い自分と強い自分が協力して、新しい自分に出会えます。日常にもどったときには、まわりを見る力や考える力が、前より育っています。
+αで覚えておきたいこと
感覚のリセット:いつもの習慣から離れて、感覚を新しい状態にもどすことです。旅行先で景色が新鮮に見えるのは、これと近い働きだといわれます。
習慣と無意識:同じことをくり返すと、考えなくても体が動くようになります。便利ですが、まわりに注意を向ける力は弱くなりやすいです。
観察力と洞察力:観察力は、物事をよく見て気づく力です。洞察力は、目に見えない理由や中身まで見ぬく力です。
ミステリーツアー:行き先などを知らされずに出かける旅行のことです。何が起こるかわからないことを楽しみます。
好奇心:まだ知らないことを知りたいと思う気持ちのことです。予定にない行動を楽しむことで、好奇心は育ちやすくなります。
令和06年度(2024年度)大問2「「みんな違ってみんないい」のか?/山口裕之」
テーマ
「正しさは人それぞれと決めつけず、話し合って共に作っていくことが大切」
読み取りのポイント
「正しさは人それぞれ」という考え方が、意見が対立したときにどんな問題を生むのかを読み取りましょう。
「科学が客観的に正しい答えを教えてくれる」という考え方の限界を整理しましょう。
筆者が、正しさを作っていくために必要だと考える姿勢をつかみましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
「正しさは人それぞれ」と考えると、意見が対立したときに、力を持つ人の考えが通ってしまう。具体例
両立しない意見がぶつかる問題では、どちらかを選ばなければならない。具体例
話し合いをやめると、力を持つ人が自分の考えをそのまま実行できてしまう。
結論・メッセージ
科学に「客観的に正しい答え」を求める考え方にも、問題がある。具体例
科学者の中にも意見が分かれ、合意ができていない問題がある。具体例
研究のお金を出す側の考えに合う研究ばかりが行われるおそれがある。
結論・メッセージ
正しさは、人間が話し合いながら、共同で作っていくものである。具体例
人間の性質を前提にして、考えの違う人とも理解し合おうとする。具体例
傷つくことを恐れず対話を続けて、成長していく。
本文を対比関係で整理
正しさは人それぞれ↔︎どこでも通用する正しい答え
力で決まる正しさ↔︎話し合いで作る正しさ
一人で決める答え↔︎みんなで作る答え
傷つくことを避ける対話↔︎傷ついても続ける対話
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
「正しさは人それぞれ」では、力のある人の考えが通りやすい。
それを支える根拠
意見の正しさを比べる話し合いをしなくなり、決める力を持つ人が自分の考えを実行できるから。
結論・テーマ
人は、話し合って共に正しさを作る必要がある。
それを支える根拠
正しさは初めから決まっているものではなく、人間が理解し合いながら作るものだから。
文章の要約
「みんな違ってみんないい」「正しさは人それぞれ」という考えは、一見すると多様性を大切にしているようです。しかし、意見が対立したとき話し合いをやめてしまうため、力を持つ人の考えが通ってしまいます。かといって、科学が客観的に正しい答えを教えてくれるという考えも、科学者の間で意見が分かれる問題があるため、危うさがあります。筆者は、正しさは人間が他者と話し合い、共同で作るものだと述べます。そして、傷つくことを恐れず対話を続けることが、成長につながると伝えます。
テーマ解説
「正しさは人それぞれだ」という考え方は、一見すると、みんなを大切にしているように見えます。でも、意見が対立したときに話し合いをやめてしまうと、結局は力を持つ人の考えが通ってしまいます。かといって、科学が客観的に正しい答えを教えてくれると信じるのも危険です。科学者の中にも、意見が分かれる問題があるからです。筆者は、正しさとは人間が話し合って共同で作っていくものだと考えます。そのためには、傷つくことを恐れずに、自分と意見の違う人と向き合い、対話を続けることが必要です。
+αで覚えておきたいこと
相対主義:物事の正しさは、人や文化によってちがうという考え方です。
普遍主義:時代や場所に関わらず、だれにとっても正しいものがあるという考え方です。
多様性(ダイバーシティ):性別、国籍、考え方などの違いを大切にして、みんなが力を発揮できる社会をめざす考え方です。
合意形成:意見の違う人たちが話し合い、みんなが受け入れられる結論を探すことです。多数決だけで決めるよりも、納得感が高まりやすいとされます。
科学と社会の関わり:科学で明らかにできることと、社会が選ぶべきこと(価値観で決まること)は別です。たとえば発電の方法は、科学のデータとともに、人々の価値観も考えて決めます。
【女子校】出題文テーマ解説
桜蔭中学校
令和08年度(2026年度)/大問1「九回裏の「捨てる」考/藤原辰史」
テーマ
「ものを簡単に捨てる考え方は人まで捨てることにつながるので、できるだけ捨てない暮らしをめざしましょう。」
読み取りのポイント
傷や古さのあるものを「価値がない」と捨てず、直して新しい魅力を生み出す考え方がどう語られるかを読み取ります。
役に立つかどうかで区別して捨てる社会のしくみが、生き物や人間を簡単に捨てる考え方とどうつながるかをおさえます。
自然破壊が深刻な今、「捨てる」意味を考え直し、地道に再利用することの大切さを、野球のたとえでどう説明するか読み取ります。
本文を対比関係で整理
傷があるから捨てる↔傷を生かして新しく作り直す
役に立つかで区別する↔不完全さも傷もそのまま愛する
一気に解決する大ホームラン↔地道に塁を埋める四球
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
ものを簡単に捨てる習慣を見直し、できるだけ捨てない社会にするべきだ
それを支える根拠
ものを簡単に捨てる社会は、生き物や人間も、役に立たなければ簡単に捨ててしまうから
結論・テーマ
捨てることの意味を考え直し、地道に再利用していくべきだ
それを支える根拠
自然の破壊は後がないほど進んでおり、大量に作って捨てるしくみは今の取り組みだけでは変わらないから
文章の要約
傷のついた本をもう一度売る出版社や、割れた器を金でつなぐ金継ぎのように、傷を生かして新しい価値を生む考え方があります。また、ゴミと呼ばれるものにも、再利用できるクズがあります。ものを役に立つかどうかで区別して捨てる社会は、弱い人や傷ついた人まで簡単に捨てる考え方につながります。一方、地球の自然破壊は、野球でいえば九回裏のように、もう後がありません。日々のゴミを捨てる行いが自然を壊しているので、捨てる意味を考え直し、地道に再利用していくべきだと述べています。
テーマ解説
この文章は、「捨てる」ことを見直そうという話です。ふつう、傷のついたものは役に立たないと考えて、捨ててしまいます。でも、割れた茶わんを金でつなぐ金継ぎのように、傷を生かして新しい美しさを生み出すやり方もあります。筆者は、ものを役に立つかどうかだけで選ぶ考え方が、生き物や人間にも広がることを心配しています。体力が弱い人や、まわりと少しちがう人まで、「役に立たない」と考えてしまう社会です。だから、不完全さや傷をそのまま愛することが大切だと言います。また、地球の自然はすでに追いこまれているので、捨てるという毎日の行いの意味を考え直し、地道に再利用していくことが必要だと伝えています。
+αで覚えておきたいこと
【SDGsと3R】SDGsは、2015年に国連で決まった、世界がめざす17の目標です。ものの使い方に深く関わるのは、目標12「つくる責任、つかう責任」です。ごみを減らす取り組みには3R(リデュース、リユース、リサイクル)という言葉があります。リデュースは「ごみを出さない」、リユースは「くり返し使う」、リサイクルは「資源にもどして使う」ことです。大切なのは順番で、まず出さないことが一番、リサイクルは最後の手段です。
【ゼロ・ウェイスト】ごみをゼロに近づける考え方です。徳島県の上勝町は、2003年に宣言を出し、ごみを細かく分けて再利用する取り組みで知られています。
【金継ぎ】割れたり欠けたりした器を、うるしでつなぎ、金粉でかざる日本の技です。直した跡を、かざりとして楽しみます。
【大量生産・大量消費・大量廃棄】ものを大量に作り、大量に使い、大量に捨てるしくみです。便利になる一方で、資源のむだや環境への負担が問題になっています。
【食品ロス】まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことです。家庭でも店でも多く出ていて、減らすことが課題です。
令和08年度(2026年度)/大問2「月の子/木村綾子」
テーマ
「自分を守るために人を傷つけた後悔と、自分の弱さを受け入れて変わる難しさを描いた物語です。」
読み取りのポイント
仲間はずれになることをおそれる気持ちが、人の行動や、他の人へのひどい態度にどうつながるかを読み取ります。
人を助けたように見える行動でも、本当は自分の気分のためだったという、心の動きに注目して読み取ります。
本の主人公のように変わりたいと願いながら、自分の弱さを受け入れられずに悩み続ける心を読み取ります。
本文を対比関係で整理
自分が無視されるつらさ↔いじめる側に回って得た安心
助けたように見えた行動↔本当は自分のためだった気持ち
物語の主人公は変われた↔自分は弱さを受け入れられない
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
孤立をおそれる心の弱さが、いじめへの加担と後悔を生んだ
それを支える根拠
無視される経験をした「私」は、二度と一人にならないよう、いじめられる子に悪意を向ける側にまわったから
結論・テーマ
弱さを認めて自分から変わることは難しく、後悔は長く残る
それを支える根拠
本の主人公のようには変われず、大人になっても、にらまれ続けているように感じているから
登場人物
「私」/女性/小学5年生(語る今は大人)/いじめられるのも孤立もおそれ、同級生をかばう一方で、いじめる側にも回ってしまう。
イトケ(伊藤恵子)/女性/小学5年生/体のにおいのことで、同級生からいじめられている。卒業の日に「あんたのことが一番キライだった」と告げる。
バスチアン/男性/少年(年齢の記載なし)/「私」が図書室で読む『はてしない物語』の主人公。物語の中で、世界を望み通りに変える力を手に入れる。
同級生たち/男女/小学5年生/イトケや「私」を無視したり、いじめたりするクラスの子どもたち。
文章の要約
小学五年生の「私」は、体のにおいのせいでいじめられる同級生のイトケを見て、自分もそうなることをおそれていました。やがて「私」自身がクラスから無視され、図書室で『はてしない物語』を読んで心をなぐさめます。ある日、給食の列でイトケをかばいますが、それはイトケのためではなく、自分の気分のためでした。その後、友達の輪にもどった「私」は、二度と一人にならないよう、イトケに悪意を向ける側にまわります。卒業の日、イトケは「あんたのことが一番キライだった」と告げます。「私」は大人になった今も、変われなかった自分を思い返しています。
テーマ解説
この話は、いじめの中で心が弱くなった人の気持ちを描いています。「私」は、仲間はずれになることが何よりもこわい子です。だから、いじめられている子を見ると、自分も同じ目にあうかもしれないと感じます。給食のときにイトケをかばったのも、本当は相手のためではなく、自分が気持ちよくなりたかったからでした。そして、自分が友達の輪にもどると、一人にならないために、イトケに悪意を向ける側にまわります。物語の主人公のように変わりたいと願いながら、弱さを受け入れられない「私」は、大人になっても、そのことを引きずっています。人は弱さからひどいことをしてしまう、という点が中心です。
+αで覚えておきたいこと
【いじめの人間関係】いじめの場には、いじめる子、いじめられる子のほかに、おもしろがる子や、見て見ぬふりをする子がいると言われます。見て見ぬふりも、いじめを止められない力として働いてしまうことがあります。
【同調圧力】まわりと同じ行動をしないと仲間はずれにされる、という集団の中の強い力です。人は孤立をこわがるので、自分の気持ちに反しても、多数派に合わせてしまうことがあります。
【自己防衛】自分を守るために、無意識に相手を攻撃したり、見下したりする心の動きです。弱い立場にいるときほど、さらに弱い人に向かいやすいとも言われます。
【『はてしない物語』】ドイツの作家ミヒャエル・エンデが1979年に書いた物語です。いじめられていた少年バスチアンが、本の世界ファンタージェンに入り、願いをかなえる力を手にします。ところが、願いをかなえるたびに、大切な記憶を失っていきます。
【読むときのコツ】物語では、人物の行動と本心がずれている場面が大切です。「なぜそうしたか」と「本当はどう思っていたか」を分けて考えると、心の動きがつかめます。大人になった人が昔を思い出して語る文章では、今の考えと、当時の気持ちを区別して読みます。
令和07年度(2025年度)/大問1「〈弱いロボット〉から考える——人・社会・生きること/岡田美智男」
テーマ
「できないことがあるロボットは人の助けを引き出し、弱さを補い合う、しなやかな関係を作ります。」
読み取りのポイント
何でも一人でできる機械と、できないことが多い機械とで、まわりの人の反応がどうちがうかを読み取ります。
「弱さ」が人から手助けを引き出し、関係を作る力になるという考え方を、具体例といっしょに読み取ります。
おたがいの弱さを補い合うことで生まれる、しなやかな関係の例を、いくつかおさえて読み取ります。
本文を対比関係で整理
何でも一人でできる機械↔できないことを人に任せる機械
高い能力でまわりに無関心↔弱さで人の手助けを引き出す
弱さを隠して強がる↔弱さを見せて強みを引き出す
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
弱さをもつことは、人との関係を作る「のりしろ」になる
それを支える根拠
不完全なロボットを見た人は、思わず手を貸したくなり、そこから関わりが生まれるから
結論・テーマ
おたがいの弱さを補い合うと、しなやかな関係が生まれる
それを支える根拠
ハサミと手、認知症のスタッフとお客のように、弱さが相手の強みを引き出す例があるから
文章の要約
ゴミ箱の形をしたロボットは、ゴミを自分では拾えず、頼りなく動きまわります。ところが、子どもたちはその姿を見て手助けしたくなり、ゴミをロボットの中に入れてあげます。能力を足して何でもできるようにするより、できないところを人に助けてもらうほうが、よい関係が生まれました。また、ハサミと人間の手のように、おたがいの弱さを補い合える関係もあります。注文をまちがえるスタッフがいるレストランでは、お客が思わず手助けをし、あたたかい場になっていました。弱さは、人をつなぐ「のりしろ」になると説明しています。
テーマ解説
ふつう、ロボットは「何でもできるほどよい」と考えられがちです。でも、この文章では、できないことがあるからこそ、人の助けを引き出せるという考えが語られます。ゴミを自分で拾えないゴミ箱型のロボットは、頼りなく動くだけなのに、子どもたちが思わず手伝いたくなります。反対に、できることをどんどん増やしていくと、予想外のことに弱く、人が手を出しにくくなってしまいます。また、ハサミと人の手のように、おたがいの弱さを補い合う関係もあります。弱さは人と人をつなぐ「のりしろ」になり、しなやかで温かい関係を作るのです。
+αで覚えておきたいこと
【弱いロボット】日本の研究者が提案している、わざと不完全に作ったロボットです。たとえば、ゴミを自分で拾えず、人に手伝ってもらうゴミ箱の形のロボットがあります。一人ではできないことを人に助けてもらうことで、人との関わりを引き出します。
【足し算と引き算のデザイン】便利な機械は、できることを増やす「足し算」で作られがちです。足し算をすると、動きが複雑になり、こわれやすくなり、人は手を出しにくくなります。一方、できないことをあえて残して、人の力を借りる作り方を、引き算のデザインと考えることができます。
【のりしろ】紙と紙をはり合わせるために、重ねる部分のことです。弱さは、人と人をつなぐ「のりしろ」のように働きます。
【共生】ちがいのある人どうしが、おたがいを認め、助け合って生きることです。高齢の人、障がいのある人、子どもなどが、ともに暮らす社会を目指す考え方で、「だれにも迷惑をかけない」ことより、助け合えることが大切にされます。
【自立】自立とは、何もかも一人でやることではないと考えられています。必要なときに助けを求められることも、自立の大切な力です。
【読むときのコツ】新しい考え方を説明する文章では、これまでの考え方(強さ・便利さ)と、その反対の考え方(弱さ・不便さ)を対比して整理すると、主張が見えてきます。
令和07年度(2025年度)/大問2「イザベラ・バードと侍ボーイ/植松三十里」
テーマ
「自分の国の貧しさを外国人に知られたくない思いと、事実を伝える意味を考える物語です。」
読み取りのポイント
良かれと思ってした行動を相手に否定されたとき、人がどんな気持ちになるのかを、理由といっしょに読み取ります。
自分の国を誇りに思う人が、貧しい地域を外国人に見られたり、書かれたりすることをなぜつらく感じるかを読み取ります。
外国人の旅行家が、貧しい村のありのままを書いて伝えようとする目的や考えを読み取ります。
本文を対比関係で整理
日本を誇りに思う気持ち↔貧しい田舎を知られたくない恥ずかしさ
良かれと思ってした行動↔相手からはとがめられた
貧しさを知られたくない鶴吉↔ありのままを伝えたいイザベラ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
貧しい日本の姿を、ありのままに伝える意味がある
それを支える根拠
旅行家は、貧しさの中にある村人の純朴な心を、本当の日本の姿として伝えたいと考えているから
結論・テーマ
通訳の鶴吉は、田舎の貧しさを外国人に知られることに強く反発した
それを支える根拠
日本の教育や医療を誇りに思い、弱みをイギリスに知られて、国を乗っ取られることを心配したから
登場人物
鶴吉(伊藤鶴吉)/男性/20歳ごろ(史実より。本文に記載なし)/イザベラに同行する日本人の通訳。日本を誇りに思い、貧しい田舎を外国人に見られることを嫌う。
イザベラ・バード/女性/40代後半(史実より。本文に記載なし)/イギリス人の旅行家。日本の奥地を旅し、見たままを本に書こうとしている。
村人たち/男女/さまざま/会津の山あいで、医者にかかれずに暮らす貧しい人々。薬を分けてもらい、「サンキュー」と感謝を伝える。
宿の女中/女性/年齢の記載なし/粗末な食事を出し、鶴吉にきびしく問いつめられる。
文章の要約
日本人の通訳の鶴吉は、イギリス人の旅行家イザベラ・バードに同行して、会津の山あいの村々を旅しています。鶴吉は、のぞきに来た村人を追いはらい、粗末な食事を出した女中を問いつめましたが、イザベラにとがめられます。イザベラが貧しい村人に薬を分けると、村人は大喜びで見送ってくれました。やがて鶴吉は、イザベラが日本の貧しさを本に書こうとしていると知り、日本の弱みをイギリスに伝えて国を乗っ取るつもりかと怒ります。イザベラは、書きたいのは村人の純朴な心だと語り、鶴吉は心をゆさぶられます。
テーマ解説
この物語では、同じ旅の中にいる二人の、国をめぐる思いのちがいが描かれます。通訳の鶴吉は、日本を誇りに思っているので、貧しい村の様子を外国人に知られると恥ずかしく、くやしいと感じます。さらに、それが本に書かれたら、日本の弱みがイギリスに伝わり、国を乗っ取られるのではないかと心配しました。一方、旅行家のイザベラは、貧しさそのものより、そこで暮らす人たちのまっすぐな心を伝えたいと考えていました。鶴吉は、イザベラの考えにおどろき、貧しさを知られたくない気持ちとの間でゆれ動きます。自分の国を思う気持ちと、事実を伝える意味を考えさせる場面です。
+αで覚えておきたいこと
【明治時代の日本】1868年の明治維新のあと、日本は西洋の国ぐにに学びながら、急いで近代化をすすめました(文明開化)。一方、農村には、まだ貧しい暮らしが多く残っていました。
【イザベラ・バード】19世紀のイギリスの旅行家で、1878年に日本を旅しました。東京から北へ進み、北海道まで行った旅を『日本奥地紀行』という本にまとめています。この旅には、通訳の伊藤鶴吉が同行しました。
【植民地】ほかの国に支配された土地のことです。19世紀、ヨーロッパの国ぐには、アジアやアフリカで領土を広げていました。日本も植民地にされるかもしれないという不安をもっていたため、外国人に国の弱いところを知られることに、敏感な人もいました。
【寺子屋】江戸時代、町や村の子どもたちに、読み書きやそろばんを教えた学びの場です。そのため、日本人の読み書きできる人の割合は、当時の世界でも高いほうだったと言われます。
【読むときのコツ】登場人物が怒ったり、いらだったりする場面では、その人が何を大切にしているかを考えます。同じ出来事でも、立場がちがえば受け取り方が変わります。ありのままを伝えたい人と、見せたくない人のちがいが、すれちがいの理由になります。
令和06年度(2024年度)/大問1「恋できみが死なない理由/最果タヒ」
テーマ
「言葉は気持ちの細かな違いを表せませんが、わからなさをもつ言葉こそ、その人自身を伝えます。」
読み取りのポイント
「好き」のような一つの言葉で気持ちを表すと、細かな違いが消えてしまうという問題を読み取ります。
場の空気を大切にする話し言葉と、一人で向き合って書く書き言葉とのちがいを読み取ります。
相手に「わかってもらう」ことより、「わからなさ」をそのまま伝えることに意味があるという考えを読み取ります。
本文を対比関係で整理
場の空気に合わせる話し言葉↔自分の思いを書く書き言葉
わかりやすさで共感を求める↔わからなさを残して伝える
気持ちを一つの言葉にまとめる↔人それぞれの細かな感じ方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
言葉は気持ちの細かな違いを表せず、だれにでも同じものにしてしまう
それを支える根拠
感情は人それぞれの人生から生まれるが、言葉は違いを切りすてて、同じ形に整えてしまうから
結論・テーマ
わかりにくい言葉でも、その人自身が伝わることに価値がある
それを支える根拠
ちがう言葉選びがあたえる「異物感」が、読む人の心に強い手ざわりとして残るから
文章の要約
気持ちは人それぞれちがうのに、言葉にすると細かな違いが消え、だれにでも同じものになってしまいます。学生のころの「私」は、場の雰囲気に合わせて話すうちに、本当の気持ちを言えなくなりました。わかってもらうために言葉を選ぶことにつかれたとき、インターネットで書き言葉と出会います。そこでは、相手の反応を気にせず、自分の思いをそのまま言葉にできました。やがて「私」は詩を書き、わかってもらえなくても、「わからなさ」の中に「私」が宿ると考えます。その手ざわりが、読む人の本当の気持ちを思い出させるのではないかと述べています。
テーマ解説
この文章では、言葉で気持ちを表すことのむずかしさと、その先にある意味が語られます。たとえば「好き」という気持ちは、人によってちがうはずなのに、一つの言葉にすると、細かなちがいが消えて、みんな同じになってしまいます。学生のころの筆者は、まわりに合わせて話すうちに、自分の気持ちを言えなくなりました。そんなとき、相手の反応を気にしなくてよい場所で、自分の思いを書き言葉にしてみます。すると、わかってもらえなくてもよいと思えるようになりました。わかりにくい言葉にも、その人らしさが宿り、読む人の心に強く残ることがあります。それは、読む人が自分の本当の気持ちを思い出すきっかけにもなります。
+αで覚えておきたいこと
【話し言葉と書き言葉】話し言葉は、その場で相手に伝わり、すぐ消えます。声の調子や表情も使え、その場の空気にも合わせやすいです。書き言葉は、読み手が目の前にいなくても残り、あとから何度も読まれるので、言葉を選びぬく必要があります。
【言語化】気持ちや考えを言葉にすることです。言葉にすると整理できる一方で、言葉にできなかった部分がこぼれ落ちてしまうことがあります。
【同調圧力と空気を読む】まわりに合わせることを求める力が強いと、人は自分の意見を言いにくくなります。気持ちを正直に出せなくなり、苦しくなる人もいます。
【共感】相手の気持ちを、自分のことのように感じることです。共感は人をつなぎますが、共感しやすい部分だけが大事にされやすく、わかりにくい気持ちが見すごされることもあります。
【詩】短い言葉で、気持ちや世界を表す文学です。意味がすぐにはわからなくても、リズムや言葉の選び方から、読む人の心を動かします。
【読むときのコツ】随筆(エッセイ)では、体験の話と、そこから出てくる考えを分けて読みます。「たとえば」の後には体験、「つまり」の後には主張が来ることが多いです。
令和06年度(2024年度)/大問2「百年の藍/増山実」
テーマ
「居場所を見失った人が、人との縁で新しい居場所を見つけていく物語です。」
読み取りのポイント
長く過ごした場所に自分がいる意味を見失った人が、新しい人生を始めようとする気持ちを読み取ります。
無名の画家の作品を世に出す仕事を通して、人が自分の生き方を問われるという考えを読み取ります。
「居場所」という言葉が、人にとっても作品にとっても大切な意味をもつことを読み取ります。
本文を対比関係で整理
今までの場所に意味を見失う↔新しい場所で人生を始める
有名で評価の定まった画家↔無名で異端な才能ある画家
知識を身につけて学ぶ↔自分の目で才能を見つけ出す
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
人は居場所を得ることで、新しい人生を生きていける
それを支える根拠
主人公は、一軒の書店と出会い、そこで働くことで、新しい一歩をふみ出せたから
結論・テーマ
人や作品の居場所をつくる仕事では、自分の生き方が問われる
それを支える根拠
画家は命がけで作品に向き合っており、扱う側にも同じだけの覚悟が必要だから
登場人物
りょう/女性/60歳ごろに神戸へ来て、語る今は高齢/ジーンズの会社の社長の妻だったが、夫の死後、新しい人生を求めて神戸に来る。孫の静に昔の話を語る。
静/性別の記載なし/年齢の記載なし(りょうの孫)/祖母のりょうの思い出話を聞き、「居場所」という言葉を心に刻む。
杣田(そまた)さん/男性/35歳ごろ(りょうより25歳下)/海会堂書店の人。無名の画家の作品を世に出そうとし、のちにギャラリーを開く。
光太郎(こうたろう)/男性/53歳で亡くなる/りょうの夫で、ジーンズの会社の社長。亡くなったあと、りょうは新しい人生を探して神戸に向かう。
文章の要約
祖母のりょうは、孫の静に、昔の思い出を語ります。夫が社長をしていたジーンズの会社に、自分のいる意味はないと感じたりょうは、新しい人生を求めて神戸に向かいます。そこで出会った海会堂書店には、船の本がずらりと並んでいました。りょうは、幼いころに母から言われた言葉を思い出し、その書店で働き始めます。書店の杣田さんは、無名の画家の作品を世に出す仕事を目指し、「画家が命がけで向き合ったものに気づかなければならない」と語ります。社長をお払い箱になった杣田さんは、りょうとギャラリーを開き、そこが二人の「居場所」になりました。
テーマ解説
この物語のテーマは「居場所」です。居場所とは、そこにいてよいと思える場所のことです。主人公のりょうは、長く暮らした場所で、自分がいる意味を見失い、新しい人生を始めるために神戸を訪れました。そこで出会った書店で働くうちに、本に囲まれ、人と出会い、新しい居場所を見つけていきます。また、書店の人たちは、無名の画家の作品を世に出す仕事を通して、画家が命がけでかいた作品の居場所もつくろうとします。人生には思いがけない出会いがあり、人と人、人と作品が不思議な縁でつながることで、居場所が生まれる、という話です。
+αで覚えておきたいこと
【居場所】自分がそこにいてよいと感じられる場所のことです。家や学校だけでなく、友人、仕事、趣味など、人によってさまざまです。場所そのものより、安心して自分でいられるかどうかが大切です。
【縁】人と人が出会い、つながる、不思議なめぐり合わせのことです。「ご縁がある」のように使います。
【ギャラリー(画廊)】絵や彫刻などの作品を展示し、売ることもある場所です。まだ有名でない作家の作品を世に出す役目もあります。
【同族企業】創業者の家族や親せきが、社長などを代々引きつぐ会社のことです。身内で引きつぐので、経営の判断に家族の事情が入りやすいという特徴があります。
【入れ子の語り】物語の中で、登場人物が、さらに別の人の話を語る形です。だれが、だれに、いつの話をしているのかを整理すると、場面がつかみやすくなります。
【読むときのコツ】人生の転機をえがく小説では、きっかけとなる出来事と、そのとき心に浮かんだ思い出や言葉に注目します。ふだんは気にとめない物や場所が、心を動かす出来事になることがあります。
令和05年度(2023年度)/大問1「高橋源一郎の飛ぶ教室 はじまりのことば/高橋源一郎」
テーマ
「ことばは人を傷つける。だから慎重に使い、周りに流されず、自分で考えながら歩むことが大切です」
読み取りのポイント
正しいつもりで話したことばでも、人を傷つけることがあります。その事実に、どう向き合うべきかを読み取りましょう。
みんなが同じ意見でつながると世界がどうなるか、バラバラでいることにどんな良さがあるかを読み取りましょう。
周りに流されず、自分の力でゆっくり進む生き方が、何にたとえられ、なぜ大切にされているかを読み取りましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ ことばは人を傷つけるからこそ慎重に使い、周りに流されず、自分で確かめながらひとりで歩むことが大切である。
具体例 カミュは、ことばは病気をうつすように人を傷つけると考え、気をゆるめず、とまどい怯えながらことばを使った。
具体例 峯田和伸は、ネットで人々が同じ意見に集まることに違和感を持ち、バラバラだからおもしろく、世界は広いと語った。
具体例 筆者は、原発について基礎から教科書を読んで学び、納得するまでゆっくり考える歩み方を実行してきた。
本文を対比関係で整理
みんなが同じ意見でつながる世界↔︎バラバラだからおもしろく広い世界
自信たっぷりに発することば↔︎怯えながら慎重に発することば
考える前にとにかく跳ぶ↔︎一歩ずつ確かめてひとり歩く
本文を因果関係で整理
結論・テーマ ことばは、強い意志と緊張をもって発するべきだ。
それを支える根拠 正しいと思って発したことばでも、人を深く傷つけることがあるから。
結論・テーマ 周りに流されず、ひとりでゆっくり歩む生き方をしたい。
それを支える根拠 ネットで同じ意見ばかり集まると、世界が狭く息苦しくなり、考えのないことばも広がるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「だから、カミュのことばは、自信たっぷりではなく、とまどいながら、自分自身を疑いながら、怯えながら、書かれています。」
解説 「だから」は理由を受けて結論を述べる帰結の接続語です。「~ではなく」の否定の形で、自信とは反対の姿勢を強調しています。ことばが人を傷つける力を持つことへの強い警戒が分かります。
本文の表現 「バラバラだからおもしろい。バラバラだから、広い。」
解説 助詞「から」が理由を示し、同じ型をくり返して強調しています。意見がちがうことがおもしろさと広さを生む、という考えの中心を表しています。
本文の表現 「まるで目印のようにして」
解説 「まるで~ように」は比喩を作る呼応表現です。ひとりで進む生き物の一本の角を、目印にたとえて、ひとりでも自分の感覚で進む姿を伝えています。
本文の表現 「けれども、「犀のようにただひとり歩む」ことを忘れたくないとも、強く思うのです」
解説 逆接の「けれども」です。思い切って行動することも好きだと認めたうえで、本当に大切にしたい姿勢を後半で強調する、重要な構成です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者はラジオで、カミュの小説にある、ことばは病気のように人を傷つけるという考えを紹介します。だからカミュは、とまどい、怯えながら、慎重にことばを選びました。次に、歌手の峯田和伸さんは、ネットで人々が同じ意見でつながることに違和感を持ち、バラバラだからおもしろいと話します。筆者は、周りに流されず、ひとりでゆっくり進む犀のような生き方を目指します。思い切って行動することも好きですが、この歩み方を忘れたくないと強く思っています。
テーマ解説
ことばは、便利な道具であると同時に、人を傷つける力も持っています。正しいと思って話したことでも、相手を深く傷つけることがあります。だから、ことばを使うときは、とまどいや怖さを忘れず、慎重になる必要があります。また、インターネットでは多くの人が同じ意見に集まりやすく、ちがう意見は排除されやすくなります。すると世界は狭く息苦しくなります。反対に、意見がバラバラであることは、世界を広くします。だから、人の勢いに流されず、自分の頭で調べ、時間をかけて考えながら歩むことが大切です。
+αで覚えておきたいこと
同調圧力とは、周りと同じにするようにと、無言で求められる力のことです。意見が少数派でも、言いにくくなります。インターネットでは、似た意見の人が集まって同じ意見ばかり聞こえるエコーチェンバーという現象も起こります。自分の意見が世界の全部のように感じてしまう点が問題です。
ことばには相手を傷つける面と相手を支える面があります。ことばは口から出ると取り消せません。文字は残り、広がります。発言する前に、本当にそう言えるか、相手がどう受けとるかを考える習慣が役立ちます。
考えを深める方法としては、基礎から順に学ぶことがあります。むずかしい問題ほど、入門書から読み、少しずつ理解を積み重ねると、人の意見に流されにくくなります。また、立場や意見のちがう人の主張を知ることも大切です。
行動することと考えることは、どちらが正しいという話ではありません。思い切って動くよさもあれば、慎重に確かめるよさもあります。場面に応じて使い分けられることが、成熟した態度です。
令和05年度(2023年度)/大問2「ひみつの犬/岩瀬成子」
テーマ
「人は簡単に、いい人と悪い人に分けられない。自分の親切の気持ちもふり返ることが大切です」
読み取りのポイント
うわさで悪い人だと聞いた人を、実際に見たときの印象とのちがいから、決めつけの危うさを読み取りましょう。
親切にしたつもりが相手を苦しめた経験から、人が何に気づいたのかを読み取りましょう。
年上の人が、年下の子に自分の失敗を話した理由と、そこにこめた思いを読み取りましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人はまるごと良い人や悪い人に分けられないので、決めつけず、自分の親切の動機も見つめることが大切である。
具体例 悪いことをしたと言われる今井さんが、重い荷物を持つ姿では、やさしそうなおばあさんにも見えた。
具体例 お姉ちゃんは、友だちの役に立ちたいと手伝ったが、「もう来ないで」と言われた。
具体例 お姉ちゃんは、親切にするほうは気持ちいいが、される側は苦しいかもしれないと気づいた。
本文を対比関係で整理
悪いと言われる人↔︎荷物を持つやさしい人
親切にする側の気持ちよさ↔︎親切にされる側の苦しさ
いい人と悪い人に分ける見方↔︎簡単には分けられない見方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ お姉ちゃんは、人を簡単に決めつけてはいけないと羽美に話した。
それを支える根拠 羽美が、誰が悪いことをしているのかと、いろいろな人を疑っていたから。
結論・テーマ お姉ちゃんは、いい人間になろうとして何かするのはまちがいだったと考えた。
それを支える根拠 自分の親切の中に、いい人間になれるという気持ちがあり、相手を苦しめたかもしれないと気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「いい人がまるごといい人ってわけじゃないし、悪い人だと言われてる人がまるごと悪いわけではない」
解説 「~わけではない」は、ある決めつけを部分的に打ち消す否定の表現です。人をいい人か悪い人かの二つに分けることへの注意を、短く言いきっています。
本文の表現 「親切にしてあげてるほうはいい気もちになれるけど、ずっと親切にされるのって苦しいかもしれない」
解説 助詞「けど」の逆接で、親切にする側とされる側の気持ちを対比しています。一つの親切が、立場によってちがう意味を持つことを示す重要な部分です。
本文の表現 「いい人間になろうと自分で思って何かするってことはまちがいだった」
解説 自分の行動をふり返って出した結論を、言いきった形です。親切の中に、よく見られたい気持ちがあったと認めており、この文章の中心的な気づきです。
本文の表現 「だから、いい悪いは簡単には言えないよ」
解説 「だから」は、前に述べた理由を受けて結論を述べる接続語です。人の行いには、いい面も悪い面も混ざっているという考えをまとめて伝えています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
羽美/女子/年齢は書かれていません/語り手。お姉ちゃんと一緒に今井さんを手伝う。今井さんが悪い行いをした犯人だと思い、いろいろな人を疑っている。
お姉ちゃん/女性/年齢は書かれていません/羽美の姉。今井さんの荷物を一緒に運ぶ。過去の失敗を羽美に話して、人を決めつけないよう伝える。
今井さん/女性/高齢(おばあさん)/重い荷物を持って歩いていたところを、羽美とお姉ちゃんに助けられる。生ゴミや悪口の手紙の犯人だと羽美に疑われている。
かすみちゃん/女子/年齢は書かれていません/お姉ちゃんの過去の友だち。お母さんが病気で、お姉ちゃんが手伝っていたが、「もう来ないで」と言った。
文章の要約
羽美はお姉ちゃんと、重い荷物を持つ今井さんを手伝います。羽美は、今井さんが生ゴミを捨て、悪口の手紙を配った人だと言いますが、やさしそうな人にも見えて不思議に思います。二人は公園で休み、お姉ちゃんは友だちのかすみちゃんの話をします。役に立ちたいと手伝っていたのに、「もう来ないで」と言われ、親切ぶっていたからかもしれないと気づいたのです。お姉ちゃんは、人は簡単にいい人と悪い人に分けられないと、羽美に伝えます。
テーマ解説
人は、うわさや一つの行動だけで、いい人か悪い人かを決めつけてしまいがちです。しかし、実際の人は、いい面も悪い面も持っています。また、親切にする気持ちの中には、役に立ちたい思いだけでなく、よく見られたい気持ちが混ざることがあります。親切にされる側は、それを感じて苦しくなることもあります。だから、人を簡単に分けず、自分の行いのわけも見つめることが大切です。相手の立場で考えることは、むずかしいことですが、とても大切です。
+αで覚えておきたいこと
レッテル貼りとは、人に「あの人は悪い人」のような決まった名前をつけて、その人全体を決めつけることです。一部分しか見ていないのに全体を判断してしまうと、本当の姿を見失います。
うわさは、事実とちがって伝わることがあります。誰が言ったのか、実際に見たのか、他の理由はないか、と考える確かめる習慣が大切です。うわさを聞いただけで、その人を悪い人だと思いこむのは、とても危険です。
善意は、いつも相手を喜ばせるとは限りません。相手が求めていない親切は、ありがた迷惑と呼ばれることがあります。親切をするときは、相手の気持ちや立場を想像して、相手が本当に望んでいることを考える必要があります。
人の心の動きを読むときは、表に見える行動と心の中の動機を分けて考えるとよいでしょう。同じ行動でも、その理由が人によってちがうからです。登場人物が、過去の自分をふり返って気づく場面は、物語の中心になることがよくあります。
自分の考えのまちがいを認めて話すことは、勇気がいることです。しかし、その話は、聞く人が同じ失敗をしないための大切な助言にもなります。
令和04年度(2022年度)/大問1「僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回/森田真生」
テーマ
「食べることは体が食べ物と入れかわること。自然とのつながりに気づくと、感謝と喜びが生まれます」
読み取りのポイント
食べることは、栄養やエネルギーをとるだけでなく、体の材料が食べ物と入れかわることでもある、という考え方をつかみましょう。
食べ物が育つまでの、海や土や太陽などのつながりを想像すると、どんな気持ちが生まれるのかを読み取りましょう。
自然からもらったり拾ったりする経験が、子どもの成長に何をもたらし、お金で買う社会とどうちがうのかを読み取りましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 食べることは体の一部が食べ物と入れかわることであり、そのつながりを想像すると、感動と喜びが生まれる。
具体例 体の材料に目印をつけてネズミに食べさせると、食べた物の半分以上が、体のさまざまな部分の一部になっていた。
具体例 車は燃料を入れても部品は変わらないが、人は食べた物が自分の体の部品そのものになる。
具体例 食卓の大豆や魚は、海や土、遠い太陽の光に支えられて育ち、それぞれ別の進化の歴史を歩んできた。
結論・メッセージ 自然の豊かさはお金で買うだけのものではなく、子どもたちに「もらう」「拾う」経験をしてほしい。
具体例 落ち葉からできた土を、みんなが好きなだけ持ち帰れるようにする取り組みがある。
具体例 子どもが石や枝を拾い、「こんなにもらってしまった」と驚きと感謝を味わう。
本文を対比関係で整理
食べ物は栄養とエネルギー↔︎食べ物は体の材料になる
車は燃料を燃やすだけ↔︎人は食べ物が体の一部になる
お金で買う商品としての自然↔︎もらって拾う贈り物の自然
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 食べ物のつながりを想像すると、感動としみじみとした喜びを覚える。
それを支える根拠 食べ物は海・大気・土・太陽の光に支えられ、約三五億年の生命の歴史の上にあるから。
結論・テーマ 子どもたちには、自然から「もらう」「拾う」経験をしてほしい。
それを支える根拠 自然の豊かさがお金で買う商品になった社会では、驚きと感謝を通して贈り合う輪に加わる機会が失われているから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「だが、本当にそうなのだろうか。」
解説 逆接の「だが」と疑問の形が合わさっています。「食べ物は栄養とエネルギー」という一般的な考えに疑いを向け、これから述べる本当のテーマへ読み手を導く合図です。
本文の表現 「ところが僕たちがえんどう豆や魚やリンゴを食べるときには」
解説 逆接の「ところが」です。燃料を入れても部品が変わらない車と、食べた物が体の部品になる人を分けて、人の食べ方の特別さを強調しています。
本文の表現 「まるでカメレオンのように」
解説 「まるで~ように」は比喩を作る表現です。食べた物に姿を変えていく体のようすを、色を変える生き物にたとえて伝えています。
本文の表現 「自然の圧倒的に潤沢な富を、僕たちの社会はお金を払わなければ買えない商品に変えてしまう」
解説 昔は自然からもらっていたものが、今はお金で買うものになった、という重要な対比を示しています。「もらう・拾う」経験の大切さを訴える理由になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
食べることは栄養やエネルギーをとることだと思われがちです。しかし実験からは、食べた物の多くが体の一部になることが分かりました。食べるとは、体の材料が食べ物と入れかわる出来事です。筆者は食卓の食材のつながりを想像し、三五億年の生命の歴史を感じて喜びを覚えます。一方、今の社会は自然の豊かさをお金で買う商品に変えました。筆者は、子どもたちが自然から「もらう」「拾う」経験をして、驚きと感謝を知り、贈り合う輪の一員になってほしいと願っています。
テーマ解説
食べ物は、ただの燃料ではありません。食べた物は体の材料に変わり、体の材料はまた入れかわっていきます。つまり、私たちの体は食べ物と一緒に、いつも新しくなり続けています。さらに食卓を見ると、海や土、太陽の光、そして長い進化の歴史が、一皿の中につながっています。こうして自然とのつながりに気づくと、ふだんの食事も驚きと喜びに満ちたものに見えてきます。また、自然の豊かさは、本来お金を払わなくてももらったり拾ったりできるものでした。その経験は、感謝の気持ちを育て、人と人が物を贈り合う関係にもつながっていきます。
+αで覚えておきたいこと
動的平衡という考え方があります。生き物の体は形が同じに見えても、中の分子は食べ物と入れかわり続けているという見方です。川の水が流れ続けても川の形が保たれる様子に似ています。この考えは、ルドルフ・シェーンハイマーという科学者の実験が土台になりました。同位体という目印をつけた物質を食べさせ、体の中でどう動くかを追う方法です。
食べ物のつながりは生態系や食物連鎖とも関わります。植物は光合成で太陽の光から養分をつくり、動物はそれを食べて育ちます。落ち葉は微生物に分解されて土にもどり、また植物を育てます。命は、食べる・食べられる・分解されるという流れの中で、くり返し使われています。
社会の仕組みにも二つの型があります。商品経済は、お金と物を交換する仕組みです。贈与は、見返りを決めずに物や好意を渡す仕組みです。贈り物を受け取った人は、感謝の気持ちから、別の誰かに何かを渡したくなることがあります。この連続が「贈り合いの連鎖」です。自然の恵みは、もともと贈り物に近いものだと考えられています。
最後に、エコロジーは、生き物と環境のつながりを考える学問や考え方を指します。身近な食事から、自分も大きな自然の一部だと気づくことが、その第一歩です。
令和04年度(2022年度)/大問2「そらのことばが降ってくる 保健室の俳句会/高柳克弘」
テーマ
「気持ちが伝わらず友だちを傷つけても、正直にあやまり許し合えば、友情に気づけます」
読み取りのポイント
友だちを傷つけてしまった人が、どんな気持ちであやまりに行き、何を伝えようとしたのかを読み取りましょう。
傷つけられた人の気持ちが、怒りからあきれ、そして許す気持ちへ変わる流れを、言葉や行動から読み取りましょう。
相手を許したとき、すでに友だちだったと気づくことで、気持ちがどう変わるのかを読み取りましょう。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 友だちになるとは、すれちがいを乗りこえて、相手の好きなものや本音を受け入れることである。
具体例 俳句が好きな人が、うまく伝わらなかった句について、相手の家まで行ってあやまる。
具体例 「下手くそ」と落ちこむ姿を見て、相手の怒りはあきれに、そして許す気持ちに変わる。
具体例 許したとき、すでに友だちとして向き合っていたと気づき、種を取っておくと伝える。
本文を対比関係で整理
友だちに贈るつもりの句↔︎相手を傷つけた結果
怒りや不快な気持ち↔︎あきれと許す気持ち
古い友への追悼の句↔︎新しい友へのあいさつの句
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 傷つけられた人が、相手を許した。
それを支える根拠 相手が俳句を大切にする人で、悪意で句を作る人ではないと分かっていたから。
結論・テーマ 許したあと、仲直りできる安心と喜びが生まれた。
それを支える根拠 許す言葉が出た瞬間に、相手がすでに友だちだと気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「まるでスポーツみたいだね」
解説 「まるで~みたい」は比喩の表現です。俳句を、勝ち負けや勢いのあるスポーツにたとえて、ふだんの暗い気持ちとは別の、明るくはずんだ空気を表しています。
本文の表現 「ソラに謝っているというよりも、自分の俳句の下手さにしょげているようになった」
解説 「Aというよりも、B」は、Bが本当の気持ちだと強調する表現です。あやまることより、自分の力不足を嘆く気持ちの方が強いと分かります。
本文の表現 「怒りや不快感よりも、呆れる気持ちが強くなってきた」
解説 気持ちの変わり目を示す表現です。怒りが弱まり、あきれが強まることで、許す方向へ心が動いていくと分かります。
本文の表現 「そうか、僕にとっては、ハセオはもう友だちなんだ」
解説 気づきを表す「そうか」の直後に、中心となる内容が来ます。許す気持ちの正体が、すでに友だちとして見ていたことだと分かる、大切な一文です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ソラ/男子/中学生(正確な年齢は書かれていません)/同級生のいじめがきっかけで教室に行けなくなり、保健室で過ごしている。ホクロを句に詠まれて怒る。
ハセオ/男子/中学生(正確な年齢は書かれていません)/保健室に通う俳句好きの生徒。いつも俳句を作っている。ソラを傷つけたことをあやまりに、家まで訪ねる。
北村先生/書かれていません/大人(年齢は書かれていません)/保健室の先生。花壇の世話をし、ハセオに俳句を教えている。
ソラの母/女性/大人(年齢は書かれていません)/ソラの家を訪ねてきたハセオを迎え、ソラに知らせる。
文章の要約
いじめで教室に行けなくなったソラは、保健室で俳句好きのハセオと出会います。ハセオはソラのホクロを「ヒマワリの種」にたとえた句を詠みますが、ソラは傷ついて怒り、帰ってしまいます。ハセオは北村先生から住所を聞き、ソラの家まで来てあやまります。友だちへのあいさつのつもりが失敗したと話し、自分の俳句の下手さを嘆きます。その姿を見て、ソラは怒りよりあきれが強くなり、許す言葉を口にします。そのとき、ハセオがすでに友だちだと気づき、ヒマワリの種を取っておくと伝えます。
テーマ解説
テーマはすれちがいと仲直りです。人は、好意で伝えたつもりの言葉でも、相手を傷つけてしまうことがあります。大切なのは、そのあとです。正直にあやまる人と、その姿を見て相手の本当の気持ちを理解する人がいれば、気持ちは少しずつ変わります。怒りがあきれに変わり、やがて許す気持ちになったとき、人は「この人はもう友だちだ」と気づくことがあります。友情は、特別な出来事で突然生まれるのではなく、すれちがいを乗りこえる中で育つものだと描かれています。
+αで覚えておきたいこと
俳句は、五・七・五の十七音でつくる短い詩です。季節を表す季語を入れるのが基本で、「向日葵」は夏の季語です。短い言葉の中に、見た景色や気持ちをぎゅっとこめます。
挨拶句は、人に贈る気持ちをこめた句です。相手への親しみや感謝、おくやみなどを伝えます。亡くなった人をしのんでつくる句は追悼句と呼ばれます。句は、ただの作品ではなく、人と人をつなぐ手紙のような役目も持ちます。
句や文章では、比喩がよく使われます。「ようだ」「みたいだ」「ごとし」を使うたとえは直喩、使わないたとえは隠喩といいます。たとえられた物が相手にどう受け取られるかは、人によって変わります。同じ言葉でも、相手を喜ばせることも、傷つけることもあります。
登場人物の気持ちは、言葉・表情・行動に表れます。気持ちが変わる場面では、「怒りから、あきれへ」のように、どこからどこへ変わったのかをはっきりさせましょう。また、「あやまる」ことと「許す」ことは別の行動です。許す側にも、時間や気づきが必要な場合があります。
令和03年度(2021年度)/大問1「はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密/稲垣栄洋」
テーマ
「一面だけで決めつけず、苦手を捨てずに自分の得意を見つけよう」
読み取りのポイント
ゾウやオオカミの例から、「一面だけで判断すると本当の姿を見失う」という考えを読み取ります。
周りが作った「らしさ」を捨てて、自分らしさを探す生き方を、雑草の例から読み取ります。
苦手と決めつけず、戦わずに自分が一番になれる場所を探す考えを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人や物事にはいろいろな面があるので、一面だけで決めつけてはいけない。
具体例 ゾウは見た部分によって、ヘビや槍やうちわのような生き物だと言われる(群盲象を評す)。
具体例 オオカミは恐ろしいと言われるが、家族思いのやさしい動物でもある。
具体例 人間も「おとなしい子」などのレッテルを貼られやすい。
結論・メッセージ 苦手だと決めつけずに続け、戦わずに自分が一番になれる場所を見つけるとよい。
具体例 歩くのが苦手なペンギンは、水中を自由に泳ぐ。
具体例 木登りが上手でないモモンガは、木から滑空して移動する。
具体例 リフティングが苦手でも、強いシュートが打てるサッカー選手がいる。
具体例 生き物は戦いに負けながら、一番になれる場所を見つけて生き残ってきた。
本文を対比関係で整理
一面だけを見る判断↔いろいろな面を知る見方
周りが作る「らしさ」↔図鑑にとらわれない雑草
苦手と決めつけて捨てる↔得意を探して続ける
戦って勝つ↔戦わずに一番になれる場所
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 自分らしさを探すには、周りが作った「らしさ」を捨てることが必要である。
それを支える根拠 「らしさ」は、まわりの人たちが作り上げた幻想だから。
結論・テーマ 苦手と決めつけず、得意を探し続けるほうがよい。
それを支える根拠 別の面で得意が見つかる可能性があり、すぐに捨てると見つけられなくなるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「まわりの人たちが作り上げた幻想ではないでしょうか」
解説 「らしさ」の正体を、疑問の形で問いかけています。「幻想」は、実際にはないのに、あるように思いこんでいるものです。これが筆者の中心的な主張です。
本文の表現 「勝手に苦手だと判断しないほうが良いかもしれません」
解説 苦手かどうかを自分で決めつけないよう呼びかける部分です。次に出てくる、苦手に見えるものを続けて得意を見つける例とつながります。
本文の表現 「最後は、得意なところで勝負すればいい」
解説 「最後は」は、話をまとめる結論のしるしです。苦手を決めつけずに試したうえで、得意なところに力を入れる、という筆者の結論を示します。
本文の表現 「ナンバー1になれるオンリー1のポジション」
解説 生き物が戦いを避けて見つけた、自分だけが一番になれる場所のことです。「戦わない戦略」というキーワードを支える大切な言い方です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
ゾウは、さわった場所によって、ヘビのようにも槍のようにも言われます。オオカミも、恐ろしい面と家族思いの面を持ちます。人間も一面だけで見られやすいので、周りが作った「らしさ」を捨てて自分らしさを探すことが大切だと筆者は言います。また、生き物は戦いに負けながら、戦わずに一番になれる場所を見つけて生き残りました。苦手と決めつけず、続けるうちに得意が見つかるので、最後は得意なところで勝負すればよいとまとめます。
テーマ解説
この文章のテーマは、「決めつけない」ことが自分の可能性を広げるということです。ゾウの例のように、物事は見る場所によって姿が変わります。人間も同じで、周りの人に「おとなしい子」と見られても、それはその人の一面にすぎません。筆者は、周りが作った「らしさ」にしばられないことをすすめます。さらに、生き物の進化を例に、苦手なことで無理に戦うより、自分が一番になれる場所を探すことが大切だと述べます。ただし、苦手だとすぐに捨てるのではなく、続けるうちに別の得意が見つかることもあります。
+αで覚えておきたいこと
「群盲象を評す」は、目の見えない人たちがゾウをさわって、それぞれ違う感想を言う、インドの昔話です。一部分だけを知って、全体を分かったつもりになることへの戒めとして使われます。
「レッテル」は、物やその人に貼られる評価のことです。いったん貼られると、その人のすべてだと思われやすいという困った面があります。
「ナンバー1」と「オンリー1」は、よく対比されます。ナンバー1は、同じ場所での競争に勝った人で、オンリー1は、ほかにだれもいない場所で唯一の人です。生き物は、競争が激しすぎない場所を見つけることで、生き残ってきました。
「孫子」は、古代中国の兵法書で、戦わずに勝つことが最もよいという考えが書かれています。強い相手と正面から戦わない工夫は、人間にも当てはまります。
令和03年度(2021年度)/大問2「あの子がにがて/森絵都」
テーマ
「うまく言葉にできない気持ちに名前をつけると、心が軽くなる」
読み取りのポイント
水穂が、にがてな同級生の真紀ちゃんをどう思い、何に悩んでいるかを読み取ります。
塾仲間のミーヤンの「馬が合わへん」という言葉で、水穂の気持ちが変わる様子を読み取ります。
犬のタロへの語りかけに、水穂の気持ちの整理がどう表れているかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ はっきりしない気持ちに合う言葉を見つけると、悩みが整理されて心が軽くなる。
具体例 水穂は、にがてな真紀ちゃんから強い言葉を言われ、深く傷つく。
具体例 「人と仲良くしなければならない」と言われるほど、気持ちが苦しくなる。
具体例 ミーヤンに「馬が合わへん」と言われ、「うちと真紀ちゃんは馬が合わへん」と何度も心でつぶやくと、むねが軽くなる。
具体例 「馬が合わない」「虫が好かない」は、腹立ちを馬や虫に託した言い方だと気づく。
本文を対比関係で整理
人と仲良くすべきという世間のルール↔真紀ちゃんが嫌いという本音
言葉にならないぎくしゃくした感じ↔「馬が合わへん」という言葉
どちらが悪いと考える↔ただ相性が悪いと考える
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 水穂は、むねがすうっと軽くなった。
それを支える根拠 言葉にならなかった真紀ちゃんとの関係に、「馬が合わへん」という名前がついたから。
結論・テーマ 水穂は、真紀ちゃんとの関係が続いても、あまり悩まなくなった。
それを支える根拠 だれが悪いのでもなく、ただ相性が悪いだけだと考えられるようになったから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「うちと真紀ちゃんは馬が合わへん」
解説 何度もくり返される短い言葉です。くり返すうちに、ぎくしゃくした気持ちの理由が少しずつ分かり、水穂の心が変わっていきます。
本文の表現 「すうっとむねが軽なった」
解説 気持ちに言葉を与えた結果を、体の感覚で表した部分です。読むときは、軽くなる前と後で水穂の気持ちがどう違うかをくらべましょう。
本文の表現 「どっちがええとか、あかんとかの話ちゃうやん」
解説 ミーヤンの言葉です。「ちゃう」は「違う」という意味の関西の言い方で、「~ではなく、ただ~だ」と否定して言い直す形になっています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
水穂(うち)/女/年齢の記載なし(小学生ぐらい)/関西の言葉で話す語り手。真紀ちゃんをにがてに思い、悩んでいる。
真紀ちゃん(中沢真紀)/女/水穂と同い年ぐらい/水穂と同じクラスの子。水穂に強い言葉を言う。
ミーヤン/女/水穂と同い年ぐらい/水穂の塾仲間。六人きょうだいの長女で、水穂の悩みを聞く。
タロ/オス/年齢の記載なし/水穂が飼っている柴犬。水穂が語りかける相手。
クリストファー/オス/年齢の記載なし/タロがにがてなアフガンハウンド。
文章の要約
水穂は、同じクラスの真紀ちゃんがにがてです。真紀ちゃんも自分をきらっていると思い、真紀ちゃんの強い言葉に傷つきました。先生や親は「仲良くしなさい」と言いますが、水穂は苦しくなります。そこで塾仲間のミーヤンに打ち明けると、「生まれつき馬が合わへんだけや」と言われます。水穂は「馬が合わへん」と心でくり返すうちに、むねが軽くなりました。最後に、愛犬のタロに、にがてな犬との付き合い方を語りかけながら、自分に言い聞かせます。
テーマ解説
この文章のテーマは、言葉にならない気持ちに、ぴったりの言葉を見つけると、心が整理されることです。水穂は、真紀ちゃんが苦手なのに「仲良くしなければ」と思い、苦しんでいました。しかし、ミーヤンの「馬が合わへん」という言葉を知り、どちらが悪いのでもなく、ただ相性が合わないだけだと分かります。もやもやした気持ちに名前がつくと、気持ちが落ち着きます。読むときは、言葉を知る前と後での水穂の気持ちの変化に注目しましょう。
+αで覚えておきたいこと
「馬が合わない」は、気が合わないことを表す慣用句です。もとは、乗る人と馬の息が合わないという意味から来ています。同じような言い方に、「虫が好かない」があります。これは、理由もなく何となく気にくわないという意味です。
「犬猿の仲」は、とても仲が悪いことのたとえです。犬と猿は仲が悪いと考えられてきたことから生まれました。
この文章のように、はっきりしない感情を言葉にすることで、気持ちが整理されることは、日常でもよくあります。「イライラ」「モヤモヤ」などを、自分の言葉で言い直すと、冷静になりやすくなります。
人との間には、だれが悪いわけでもない「相性」があります。すべての人と仲良くなれなくても、ていねいにつきあえば十分だ、という考え方も大切です。
令和02年度(2020年度)/大問1「エベレストには登らない/角幡唯介」
テーマ
「登山や冒険の本質は、自分で判断し自然と関わって得る自由な感覚にある」
読み取りのポイント
スポーツと登山の違いから、筆者が考える「登山の本質」を読み取ります。
GPSを使うと、冒険の何が変わってしまうのかを、地図やコンパスと比べて読み取ります。
筆者が北極圏で感じた「妙なもどかしさ」の理由を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 登山の本質は、自分で舞台を作り、状況に応じて判断する自由な旅にある。
具体例 スポーツは、競技の舞台が用意され、安全も主催者が守る。
具体例 登山は、ルートを変えたり目的地を変えたりでき、自分で舞台を作る。
具体例 今日の判断が明日の成り行きを決める旅であり、予定通りに終わらない。
結論・メッセージ GPSは、冒険の本質を変えてしまう。
具体例 地図とコンパスでは、自分で自然に働きかけて位置を確かめる。
具体例 GPSでは、位置が簡単に分かり、自然と関わる感覚が弱くなる。
具体例 筆者は北極圏で、自然とかみあっている感覚が得られなかった。
本文を対比関係で整理
舞台が用意されたスポーツ↔自分で舞台を作る登山
地図とコンパスで位置を知る↔GPSで位置を知る
予定どおりに終わる↔状況で内容が変わる旅
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は北極圏の旅で、妙なもどかしさを感じた。
それを支える根拠 位置を知る基本的な作業を、GPSという機械に任せたから。
結論・テーマ GPSは、冒険の本質を変えてしまうおそれがある。
それを支える根拠 難しいはずの位置の確認が簡単になり、自然に働きかけて自分を確かめる感覚が弱まるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「本質」
解説 筆者が登山を語るときの大切な言葉です。物事の外見ではなく、いちばん中心にある性質のことです。筆者は、登山の本質を「旅」に見ています。
本文の表現 「純粋なかたちでの自由」
解説 スポーツでは味わえない、登山ならではの自由な感覚のことです。決まったルールや予定に縛られず、自分の判断で進むことを表します。
本文の表現 「コペルニクス的な転回」
解説 物の見方が正反対に変わるほど大きな変化を表す比喩です。GPSによって、いちばん難しい作業が簡単になるという逆転が起こることを指します。
本文の表現 「自己存在確認の感覚」
解説 自然に働きかけることで、自分が確かにここにいると感じる感覚です。筆者は、これが冒険の魅力であり本質だと考えています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、登山がスポーツかどうかを考えます。スポーツは競技の舞台が用意されていますが、登山は自分で舞台を作る自己完結型の行為で、判断しだいで進み方が変わる「旅」が本質だと述べます。そこに生まれる純粋な自由こそが魅力です。また、北極圏の旅でGPSを使った筆者は、位置を知る作業が簡単になり、自然とかみあっている感覚を得られませんでした。GPSは冒険の本質を変えてしまうかもしれない、と筆者は考えます。
テーマ解説
この文章のテーマは、登山や冒険の本質は、自分で判断し、自然に直接働きかけて得られる自由な感覚にあるということです。スポーツは舞台とルールが用意されていますが、登山は自分で舞台を作り、その場の状況で進み方を変える旅です。そこに、スポーツでは味わえない自由があります。筆者は、GPSによって位置が簡単に分かると、自然に働きかける機会が減り、冒険のいちばん大切な部分が失われるのではないかと考えます。便利な道具が、物事の本質を変えることもある、という視点が大切です。
+αで覚えておきたいこと
「GPS」は、人工衛星からの電波を使って、自分のいる場所を知るしくみです。スマートフォンやカーナビにも使われ、とても便利ですが、道具に頼りすぎると自分で考える力が弱まることもあります。
「六分儀」は、太陽や星の高さを測って、船の位置を求める道具です。地図やコンパスと同じく、人間が自然を観察して位置を知るための古い方法です。
「コペルニクス」は、地球が太陽のまわりを回るという地動説を唱えた人です。それまでの天動説を逆転させたので、考え方を大きくひっくり返すことを「コペルニクス的転回」と呼びます。
「本質」とは、物事を物事たらしめている、いちばん大切な性質のことです。入試の文章では、「本質」が出たら、筆者の最も言いたいことが近いサインです。
令和02年度(2020年度)/大問2「思いはいのり、言葉はつばさ/まはら三桃」
テーマ
「文字や言葉は、離れた人の幸せを願う気持ちを届け、人を支える」
読み取りのポイント
チャオミンが、文字を覚えて書けるようになったときの喜びを読み取ります。
結婚するシューインが、実家から届いた三朝書をどう受け止めたかを読み取ります。
母のヤン・インシェンが、手紙に込めた思いを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 文字には、離れた人の幸せを願う思いを伝え、その人を支える力がある。
具体例 チャオミンは、イーレイおばあさんから女の人の文字を習い、手本なしで書けるようになって喜ぶ。
具体例 結婚する人へは、幸せを願う手紙「三朝書」が贈られる。
具体例 シューインは、見知らぬ人たちの中で暮らす不安の中、三朝書を胸に抱いて愛おしさを感じる。
具体例 母の手紙には、苦しいときは歌いましょうと書かれていた。
本文を対比関係で整理
文字を持たない暮らし↔女の人だけが使う文字
見知らぬ人々との新しい生活の不安↔愛する人々からの言葉の支え
書けない状態↔手本なしで書ける喜び
本文を因果関係で整理
結論・テーマ シューインは、三朝書を愛おしく感じた。
それを支える根拠 愛する人たちから、自分の幸せを願う言葉が贈られたから。
結論・テーマ 母のヤン・インシェンは、手紙に歌のことを書いた。
それを支える根拠 文字や歌が、つらい時に心を支えると、自分の経験から知っていたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「胸の内からあぶくのような喜びが噴きだすようにこみあげてきた」
解説 「あぶくのような」は比喩で、泡が次々わき上がるように、喜びが止まらないことを表します。チャオミンの誇らしさが伝わります。
本文の表現 「愛おしい重さ」
解説 三朝書という手紙の重さを、気持ちの重さと重ねた表現です。ただの紙ではなく、愛する人たちの思いが詰まっていることを表します。
本文の表現 「苦しいときは、歌いましょう」
解説 母が手紙に書いた言葉です。文字や歌には、つらい時に人を励ます力があることを、これから嫁ぐシューインに伝えています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
チャオミン/女/少女(年齢の記載なし)/文字を習いたいと願う。三朝書を書いて、シューインの幸せを祈る。
ヤン・インシェン/女/大人(年齢の記載なし)/チャオミンの母。結婚する人へ、手紙に歌の言葉を書く。
イーレイおばあさん/女/高齢(年齢の記載なし)/チャオミンの近所に住み、女の人の文字を教える。
シューイン/女/若い女性(年齢の記載なし)/結婚して遠くへ行く。チャオミンが「お姉さん」と呼んでしたう。
ユンエイ/女/年齢の記載なし/シューインの親しい人。三朝書に言葉を書く。
文章の要約
チャオミンは、イーレイおばあさんから女の人だけの文字を習い、手本を見なくても書けるようになって、大きな喜びを感じます。やがて、結婚して遠くへ行くシューインのために、幸せを願う手紙「三朝書」を仲間と書きます。シューインは、知らない人ばかりの町へ向かう不安の中、実家から届いた三朝書を胸に抱き、愛おしさを感じます。母の手紙には「苦しいときは、歌いましょう」とあり、文字や言葉が人を支える力を持つことが伝わります。
テーマ解説
この文章のテーマは、文字や言葉には、離れた人の幸せを願う思いを届け、その人を支える力があるということです。結婚して見知らぬ土地へ行くシューインは、不安でいっぱいでした。そこへ、愛する人たちから贈られた三朝書が届きます。自分の幸せを願う言葉が、不安な心を支えてくれたのです。母のヤン・インシェンも、つらいときに文字や歌で自分を励ましてきた経験があったから、その力を娘のような存在に伝えたいと思いました。読むときは、言葉が人の心をどう動かしたかを追いましょう。
+αで覚えておきたいこと
この文章の「女の人だけの文字」は、実在する中国の女書(ニュウシュ)をもとにしています。女性たちが、親しい人に気持ちを伝えるために使ったと言われます。結婚する人に贈る手紙は「三朝書」と呼ばれました。
昔は、結婚すると、これまでの家族や友人と簡単には会えなくなることがよくありました。そのため、手紙や言葉は、遠く離れた人とつながる大切な手段でした。
「言霊(ことだま)」は、言葉には不思議な力が宿るという昔からの考え方です。「祈り」を言葉にして届ける、という行為は、この考えと近いものです。
言葉の力を信じる体験は、日常にもあります。手紙や、励ましの一言で心が軽くなった経験を思い出してみましょう。
令和01年度(2019年度)/大問1「ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」/山極寿一」
テーマ
「人の時間は他者と重なっており、効率ばかりの使い方は孤独を生む」
読み取りのポイント
人間もゴリラも、時間が仲間とつながっているという考え方を読み取ります。
時間をお金のように節約する考え方が、人間にとって何が問題かを読み取ります。
経済的な時間の考え方と、孤独な人が増えることとの関係を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人間にとっての時間は、他者と重なっているものであり、効率だけで使うと孤独になる。
具体例 ゴリラは、仲間と同じ時間をいっしょに過ごして信頼関係をつくる。
具体例 人間も、ともに生きる仲間の時間に速度を合わせて暮らしてきた。
具体例 時間をコストと考え、金に換算する考え方が広まり、自分だけの時間を節約するようになった。
具体例 その結果、世界には孤独な人間が増えている。
本文を対比関係で整理
仲間と重ね合わせる時間↔自分だけで使う時間
時間をコストと考える経済的な見方↔時間を信頼を育てるものと見る
ゴリラや昔の人間の暮らし↔効率を求める現代の人間
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 人間の使う時間は、必ず他者とつながっている。
それを支える根拠 人間は、ひとりで時間を使うようにできていないから。
結論・テーマ 世界に孤独な人間が増えている。
それを支える根拠 時間を効率で考える経済的な時間の考え方が、人を他者から切り離したから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「時間が必ず他者とつながっている」
解説 筆者が時間について述べる、いちばん大切な考えです。人は、自分の時間を、ともに生きる仲間の時間と合わせながら使います。
本文の表現 「時間はコストであり、金に換算できる」
解説 時間を、節約したりお金に交換したりするものとみる考え方です。この考え方が現代人の時間の使い方を変えたと筆者は考えます。
本文の表現 「そもそも人間がひとりで時間を使うようにできていない」
解説 「そもそも」は、物事のいちばんもとにある性質を示す言い方です。ここから、人間にとっての時間の本質が述べられます。
本文の表現 「孤独な人間が増えている」
解説 効率を求める時間の使い方が引きおこした問題として示されます。筆者が現代社会に鳴らす警告の中心です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、ゴリラは仲間と同じ時間を過ごして信頼を深めると述べます。人間も、本来は仲間の時間と速度を合わせて暮らしてきました。しかし、時間をコストとみて、お金に換算し、効率的に使う考え方が広まりました。人は、他人に邪魔されない自分だけの時間を求め、節約するようになりました。けれども、人間はそもそもひとりで時間を使うようにできていません。その結果、世界では孤独な人が増えていると筆者は警告します。
テーマ解説
この文章のテーマは、人間にとっての時間は、他者と重ね合わせるものであるということです。ゴリラは、仲間といっしょにいる時間が信頼を生みます。人間も昔は同じでした。ところが、時間をお金のように節約して、効率的に使うようになりました。そして、自分だけの時間を求めるうちに、他者との関係が弱まっていきました。筆者は、効率ばかりの時間の使い方は、人間の本質に合わないと考え、孤独な人が増えていることに警告を出しています。
+αで覚えておきたいこと
「コスト」は、何かをするためにかかる費用や手間のことです。「時間はコスト」という言い方は、時間を無駄にしないように節約したい、という考えを表しています。
人間は、進化の過程で仲間と助け合う力(共感力)を身につけてきました。人間が、他人と協力して生きる生き物であることを知っておくと、筆者の主張が理解しやすくなります。
「ゴリラ研究」は、人間の暮らしを見直すヒントになります。筆者の山極寿一さんは、ゴリラの研究者で、動物の行動から人間らしさを考える文章を多く書いています。
効率的な行動が悪いわけではありません。効率と、人とのつながりのバランスをとることが大切だと考えておきましょう。
令和01年度(2019年度)/大問2「神に守られた島/中脇初枝」
テーマ
「戦争は「死んで神になれ」という呪いをかけ、生きる当たり前を奪う」
読み取りのポイント
特攻に使われるのが練習機であることから、戦争末期の日本の様子を読み取ります。
生き残って苦しむ伍長に、カミの言葉がどう届いたのかを読み取ります。
カミが伍長に手を振らなかった理由を、父や兄の出征と重ねて読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 特攻で死んで神になれという考えは、人を死に向かわせる呪いである。
具体例 じゃーじゃは、特攻の志願が、実際は断れない空気の中で行われたと知る。
具体例 特攻に使われるのが練習機であり、日本に戦う力が残っていないことが分かる。
具体例 生き残った伍長は、「死んで神になるはずだったのに」と苦しむ。
具体例 カミは、人形がかけられた「死ねという呪い」に気づいてとまどう。
結論・メッセージ 生きることは当たり前であり、それを認める言葉が人を救う。
具体例 カミが「ずっとここにいれば」と言うと、伍長は涙を流す。
具体例 伍長は最後に「生きてよかった」とつぶやく。
本文を対比関係で整理
死んで神になることをたたえる考え↔生きていることを当たり前とする考え
「お国のため」と送り出した島の人々↔後悔したカミ
特攻をたたえる話↔志願の裏にある理不尽さ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 伍長は、自分が生き残ったことを深く恥じて苦しんだ。
それを支える根拠 みんなと死んで神になるはずだったのに、エンジンの故障で生き残ったと思いこんでいたから。
結論・テーマ カミは、伍長に手を振らなかった。
それを支える根拠 父や兄を、疑いもせず「お国のため」と笑顔で見送った後悔を思い出したから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「みんなと一緒に死ぬはずだったのに。死んで神になるはずだったのに」
解説 伍長の苦しみを表す叫びです。「死んで神になる」という考えが、本人を縛る呪いになっていることが分かります。
本文の表現 「もうヤマトゥに戻らないで、ずっとここにいれば?」
解説 カミの言葉です。生きることを当然とする考えが、伍長の呪いを解くきっかけになります。「ヤマトゥ」は、本土のことです。
本文の表現 「神さまは島を守っていたわけじゃなかった」
解説 「ぼく」の気づきです。特攻隊員は神になって守ってくれていたのではなく、ただ死んでいった人々だったと理解したことを表します。
本文の表現 「わたしは決して、命を惜しんだわけではありません。エンジンの故障だったんです」
解説 「決して~ない」という否定の呼応です。生き残ったことを後ろめたく感じる伍長の気持ちが強く出ています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ぼく/男/子ども(年齢の記載なし)/島の少年。語り手で、伍長やカミとのやりとりを見つめる。
カミ/女/子ども(年齢の記載なし)/ぼくの友だち。伍長が手を振っても、手を振り返せなかった。
西島伍長/男/若い男性(年齢の記載なし)/特攻隊員。エンジンの故障で島に降り、生き残ったことに苦しむ。
じゃーじゃ/男/高齢(年齢の記載なし)/島の人。孫を特攻で亡くしている。
文章の要約
戦争の末期、島に特攻隊の伍長がやって来ます。じゃーじゃは、孫も特攻で亡くしており、特攻の志願の裏にある理不尽さを知ります。島の少年「ぼく」は、特攻機が練習機だと聞き、日本の苦しい状況を感じます。伍長は、エンジンの故障で生き残ったことを恥じ、「死んで神になるはずだった」と苦しみます。カミが「ずっとここにいれば」と声をかけると、伍長は少し救われ、「生きてよかった」とつぶやきます。
テーマ解説
この文章のテーマは、戦争が、人に「死んで神になれ」という呪いをかけ、生きる当たり前を奪うということです。特攻隊員は「神になる」とたたえられましたが、それは死を当然のこととして押しつける考えでした。伍長は、生き残ったことを恥じ、苦しみます。そこへ、カミが「ずっとここにいれば」と声をかけます。生きることは当たり前だという言葉が、伍長の呪いを解きました。カミも、父や兄を笑顔で見送った自分に、同じ過ちがあったと気づきます。
+αで覚えておきたいこと
「特攻」は、特別攻撃隊の略です。太平洋戦争の末期、日本軍は飛行機や船ごと敵に体当たりする攻撃を行いました。成功しても、乗っていた兵士は必ず亡くなりました。
当時は、「お国のために命をささげるのは立派だ」と教えられ、本人も周りも、疑問を口に出しにくい空気がありました。志願の形をとっていても、実際は断りにくかったと言われています。
「ヤマトゥ」は、沖縄の言葉で、本土の日本(沖縄以外の地域)を指す言い方です。この物語の島は、沖縄にあるという設定です。
「出征(しゅっせい)」は、兵士として戦地へ出かけることです。見送る人も、苦しい気持ちをおさえて明るくふるまうことが多くありました。
平成30年度(2018年度)/大問1「五月の庭で/大久保雨咲」
テーマ
「命は突然生まれ、突然終わる。亡き人は生きる人の成長を願っている」
読み取りのポイント
かえちゃんが、亡くなったばあばやじいじと芍薬の庭で出会う場面を読み取ります。
「かえちゃんだって、とつぜん、やってきた」の言葉が、何を伝えているかを読み取ります。
「ゆっくりおいで」という言葉に込められた、ばあばとじいじの願いを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人は突然生まれ、突然死ぬ。亡くなった人は、生きている人が長く幸せに生きることを願っている。
具体例 ばあばは、ある日とつぜんいなくなった。
具体例 かえちゃんも、ある日とつぜん生まれてきた。
具体例 ちいさいばあばは、芍薬の花の中で楽しそうに遊ぶ。
具体例 最後に「うんと、うーんと、ゆっくりおいで」という声が遠くで聞こえる。
本文を対比関係で整理
ばあばがいた日↔ばあばがいなくなった日
現実の世界↔芍薬の花の中の不思議な世界
もっとおおきくなる(成長)↔ゆっくりおいで(長生き)
本文を因果関係で整理
結論・テーマ かえちゃんは、ばあばと出会って元気になった。
それを支える根拠 ばあばも、かえちゃんと同じように突然生まれ、命が続いていると教えてもらえたから。
結論・テーマ ばあばとじいじは、かえちゃんに「ゆっくりおいで」と言った。
それを支える根拠 かえちゃんに大きく成長し、長生きして、人生を楽しんでほしいと願っているから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「かえちゃんだって、とつぜん、やってきたんだよ」
解説 「だって」は「~も同様に」の意味です。ばあばがとつぜん死んだように、かえちゃんもとつぜん生まれた、と言い、命のつながりを示します。
本文の表現 「うんと、うーんと、ゆっくりおいで」
解説 かっこ( )に変わっていて、声が遠くなり、現実にもどりつつあることを表します。亡き人からの、長く生きてほしいという願いです。
本文の表現 「いま、ちいさくなっているところ。じゃましないで」
解説 ばあばの言葉です。芍薬の花に入りたかった夢をかなえた、うれしい様子が分かります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
かえちゃん/女/幼い子ども(年齢の記載なし)/庭で芍薬の花を見ていて、ばあばやじいじの声を聞く。
ばあば/女/高齢/かえちゃんのおばあさん。亡くなっていて、芍薬の花の中の小さな世界にいる。
じいじ/男/高齢/かえちゃんのおじいさん。亡くなっていて、声だけで登場する。
文章の要約
五月の庭で、かえちゃんは芍薬の花を見ています。花がゆれると、亡くなったばあばとじいじの声が聞こえてきます。ちいさくなったばあばは、うすもも色の芍薬の花の中に入る夢がかなって、楽しそうです。ばあばは、かえちゃんもとつぜんやってきたと言い、命は突然生まれ、突然終わると伝えます。最後に、ばあばとじいじは「うんと、うーんと、ゆっくりおいで」と、かえちゃんが長く生きることを願います。
テーマ解説
この文章のテーマは、命は突然生まれ、突然終わるものであり、亡くなった人は、生きている人に長く幸せに生きてほしいと願っているということです。ばあばは、ある日とつぜんいなくなりました。そのばあばが、かえちゃんも「とつぜん、やってきた」と言います。これは、かえちゃんも、ばあばと同じように、命の始まりと終わりを持つ存在だということを表しています。最後の「ゆっくりおいで」は、「長く生きてね」という、やさしい願いです。
+αで覚えておきたいこと
「芍薬」は、初夏に大きな花を咲かせる植物です。昔から、美しい人の姿をたとえる花として使われてきました。この文章では、命や思い出の世界へのとびらとして描かれています。
「七五調」は、七音と五音をくり返すリズムです。童謡や詩によく使われ、やさしい印象を与えます。この文章にも、七五調が使われています。
「擬態語(ぎたいご)」は、様子を音で表す言葉で、「ゆんら、ゆら」などがそうです。花の動きをやさしく、おだやかに伝える効果があります。
亡くなった人とのつながりを、物語の中で表す方法は多くあります。夢や不思議な世界を通して、心の中での再会を描くのは、よくある表現です。
平成30年度(2018年度)/大問2「ひとまず、信じない 情報氾濫時代の生き方/押井守」
テーマ
「人の見る現実はそれぞれ違い、ネットは「ニセ情報」を生みやすい」
読み取りのポイント
人によって、同じものでも見え方が違うという考えを、若葉の緑の例から読み取ります。
湾岸戦争の映像の例から、情報がどのように作られて流れるかを読み取ります。
インターネットが、なぜニセ情報を生む仕組みになるのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 人が知覚する現実は、人によって違うので、「ひとつの真実」は簡単に分からない。
具体例 同じ若葉を見ても、他人の緑が自分の緑と同じとは言えない。
具体例 犬や虫は、人間とは違う色の世界を見ている。
具体例 脳は、外の世界を、自分の脳の中で作り上げている。
結論・メッセージ ネットが全人類をつなぐと考えるのは「大いなるフェイク」で、リアルタイムの情報はニセ情報を生みやすい。
具体例 戦争の映像は、軍事施設だけを狙う、テレビゲームのような映像だった。
具体例 ネットの情報は、それぞれの立場や、知った範囲から切り出されたものである。
具体例 「自分が見たいものが見たい」という心理が、ニセ情報を作る動機になる。
本文を対比関係で整理
自分に見える緑↔他人や動物に見える緑
リアルタイムの情報(検証前)↔時間をかけて検証された情報
ネットで人類が一つになるという期待↔実際に生まれるニセ情報
本文を因果関係で整理
結論・テーマ ネットは、フェイクニュースを生みやすい。
それを支える根拠 ネットの情報は、立場や知った範囲で切り出されたもので、検証されないまま広がるから。
結論・テーマ ニセ情報を作る人が出てくる。
それを支える根拠 「嘘でもいいから、自分が見たいものが見たい」という人間の心理に基づいて情報が発信されるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「ローマ人は味と色については議論しない」
解説 「人によって感じ方が違うものは、議論しても仕方がない」という意味のことわざです。この文章の「知覚」の話につながる大切な言葉です。
本文の表現 「まるでテレビゲームのような」
解説 「まるで~ような」は比喩です。多国籍軍の攻撃が、人が死ぬ様子のない、きれいな映像で伝えられたことを表します。
本文の表現 「リアルタイムで真実を追求するというインターネットの構造そのものが、フェイクニュースを生み出す仕組みになっている」
解説 筆者の中心的な主張です。「そのもの」と強調し、ネットの便利な特長が、そのまま弱点になることを示しています。
本文の表現 「嘘でもいいから、自分が見たいものが見たい」
解説 人間の根本的な心理を表す言葉です。この心理が、ニセ情報を作る動機になると筆者は考えます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、人によって見えている現実が違うと述べます。若葉の緑が、自分と他人で同じに見えている保証はなく、動物と人間では見え方がまったく違うからです。次に、湾岸戦争の映像を例に、報道される映像が、一部だけを切り出したものであることを示します。インターネットでも、情報は立場や知った範囲から切り出され、検証されずに広がります。そのため、「リアルタイムで真実を追求する」ネットは、むしろフェイクニュースを生む仕組みだと筆者は言います。
テーマ解説
この文章のテーマは、人が見ている現実は人それぞれ違い、ネットの情報は、ニセ情報になりやすいということです。若葉の緑でも、他人が同じ色を見ている証拠はありません。人間は、自分の脳が作った世界を見ています。そのため、情報の送り手も、自分の立場や知った範囲でしか情報を出せません。しかも、ネットの情報はすぐ広がり、検証される時間がありません。さらに、「自分が見たいものを見たい」という心理が、ニセ情報を作る力にもなります。だから筆者は「ひとまず信じない」姿勢が大切だと考えます。
+αで覚えておきたいこと
「フェイクニュース」は、うそや、まちがった内容を、本当のニュースのように見せかけた情報です。ネットでは、短時間で広がるため、被害が大きくなりやすいと言われます。
「知覚」は、目や耳などを通して、外の世界を感じ取ることです。人間は自分の脳を通して世界を理解しているので、他人と全く同じ見え方をしているとは限りません。
「インセンティブ」は、人にある行動をさせる、動機やごほうびのことです。ネット上では、注目やお金を得るために、ニセ情報が作られることがあります。
情報を受け取るときは、だれが、どんな立場で、どの範囲を知って発信しているかを考えることが大切です。
平成29年度(2017年度)/大問1「生きていくうえで、かけがえのないこと/吉村萬壱」
テーマ
「言葉を超えた未知の世界から宝を持ち帰る詩人のすごさと、散文家の自覚」
読み取りのポイント
筆者が夕焼けを見て、「見た」と思ったことが、なぜ思い込みなのかを読み取ります。
「向こう側の世界」と「こちら側の世界」が、それぞれ何を表すかを読み取ります。
詩人に対する筆者の尊敬と、自分が散文家であるという自覚を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 詩人は、言葉を超えた世界へ行き、宝のような言葉を持ち帰る。筆者は、自分は散文家だと自覚している。
具体例 筆者は、夕焼けを見て「見た」と思ったが、それは頭の中の思い込みにすぎなかった。
具体例 「こちら側の世界」は、言葉で言い表せる、見慣れた日常の世界。
具体例 「向こう側の世界」は、言葉にならない、豊かで未知の世界。
具体例 詩人は、二つの世界を行き来して宝を持ち帰る、勇気のある人たち。
本文を対比関係で整理
こちら側の世界(言葉で表せる日常)↔向こう側の世界(言葉を超えた未知)
「見た」という思い込み↔純粋な目でものを見ること
詩人(宝を持ち帰る)↔散文家(向こう側へ行くのは死の時)
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、夕焼けを本当には見ていなかったと気づく。
それを支える根拠 頭の中にある既知の夕焼けを、なぞっていただけだったから。
結論・テーマ 筆者は、自分は散文家だと考える。
それを支える根拠 言葉を超えた世界へ飛びこむ勇気より、日常の世界で言葉を使う資質が自分にあると自覚したから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「頭の中の思い込み」
解説 筆者が気づいた、見ることの落とし穴です。夕焼けを「見た」と思っても、すでに知っているイメージを当てはめていただけでした。
本文の表現 「こちら側の世界」と「向こう側の世界」
解説 「向こう側」は、言葉を超えた豊かな世界です。この二つの対比が、文章全体を整理するカギになります。
本文の表現 「宝」
解説 向こう側の世界から持ち帰るもので、詩人がつむぐ宝石のような言葉を指します。詩人の仕事の価値を表す比喩です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、夕焼けをじっくりながめて「見た」と思って立ち上がりましたが、実は頭の中のイメージをなぞっていただけだと気づきます。ここから、言葉で言い表せる「こちら側の世界」と、言葉を超えた「向こう側の世界」の話に進みます。詩人は、向こう側へ行って、宝のような言葉を持ち帰る人たちです。筆者は、その勇気を尊敬しながら、自分は散文家であり、向こう側に行くのは死の時と思い定めていると述べます。
テーマ解説
この文章のテーマは、言葉では言い表せない未知の世界に飛びこんで、宝のような言葉を持ち帰る詩人の営みです。筆者は、夕焼けを見て、すでに知っている景色を、頭の中でなぞっていただけだと気づきます。私たちが「見た」と思うものは、思い込みのことが多いのです。詩人は、言葉の外にある豊かな世界へ行き、新しい美しさを持ち帰ります。筆者は、それに憧れつつも、自分は日常の言葉で書く散文家だと自覚します。
+αで覚えておきたいこと
「詩」と「散文」の違いを知っておきましょう。詩は、リズムや比喩を使い、散文では伝えにくい感覚や美しさをとらえる文章です。散文は、ふつうの文章のことで、筋道を立てて説明するのに向いています。
「往還(おうかん)」は、行って帰ってくることです。詩人は、日常と未知の世界を行き来する人としてえがかれています。
「既知」は、すでに知っていること、「未知」は、まだ知らないことです。既知と未知の対比は、評論でよく使われます。
同じ景色を見ても、何に注目するかは人によって違うことも覚えておきましょう。見なれたものを新しく見ようとすることが、感性を育てます。
平成29年度(2017年度)/大問2「木になった魚/竹西寛子」
テーマ
「自分にしか見えないものは、見たと言えるのかという少女のまよい」
読み取りのポイント
少女が、沖縄の伯父さんを楽しみにして待っている気持ちを読み取ります。
マンゴーの種を見て、「木になった魚」と言った少女の発見を読み取ります。
見ることについて、少女がかかえている迷いと孤独を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 自分には見えても、人に見えないものは、見たことになるのか。少女はそれに迷い、ひとりぼっちの気持ちになる。
具体例 少女は、沖縄の伯父さんを楽しみに待っていたが、来られなくなった。
具体例 伯父さんから、マンゴーが送られてきた。
具体例 マンゴーの種を見た少女は、「海のお魚が木になっている」と感じる。
具体例 母は少女の言葉に、おどろきつつも一瞬気持ちが通じる。
具体例 少女は、この発見をだれにも分かってもらえないのではと考える。
本文を対比関係で整理
少女に見えたもの(木になった魚)↔ほかの人には見えないもの
美しいマンゴーの実↔動物の骨のような種
少女の発見に驚く母↔母以外の友だち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 少女は、孤独を感じた。
それを支える根拠 自分に見えたものが、友だちのだれにも理解されないかもしれないと考えたから。
結論・テーマ 母は、不思議な気分になった。
それを支える根拠 南国のくだものと、動物の骨のような種の姿が、結びつかなかったから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「海のお魚が木になっている」
解説 少女がマンゴーの種を見て思いついた表現です。毛が生えた種を、魚のように見た、少女ならではの新しい発見を表します。
本文の表現 「たとえ自分に見えても人に見えないものは、見たことにはならないのか」
解説 少女の迷いを示す中心の言葉です。「見る」ことが、自分だけでなく、他の人と共有できるかどうかに関わると、少女は考えています。
本文の表現 「なぜ自分は自分であって他の何者かではないのか」
解説 文章の終わりに出てくる、少女の深い疑問です。人は一人ひとり別の存在であるという、孤独や不思議を表します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
少女/女/子ども(年齢の記載なし)/伯父さんを楽しみに待つ。マンゴーの種を見て、「木になった魚」と感じる。
母/女/大人(年齢の記載なし)/少女の母。少女を思いやり、少女の言葉に不思議な気分になる。
父/男/大人(年齢の記載なし)/少女の父。果物が苦手で和菓子を好む。
伯父さん/男/大人(年齢の記載なし)/母の兄。沖縄に住み、マンゴーを送る。
文章の要約
少女は、沖縄に住む伯父さんが来るのを楽しみにして、夏休み中、図書館に通っていました。しかし、伯父さんは急に来られなくなります。かわりに伯父さんから、マンゴーが送られてきました。父は果物が苦手なので、少女と母が食べます。少女は、マンゴーの種を見て、「海のお魚が木になっている」と思い、母は不思議な気分になります。少女は、この発見を、友だちのだれにも分かってもらえないかもしれないと考えます。
テーマ解説
この文章のテーマは、「見る」とはどういうことか、自分にしか見えないものは見たことになるのかという疑問です。少女は、マンゴーの種を見て、魚が木になっているようだと感じました。母は驚きますが、少女は、この発見がほかの人には理解されないかもしれないと感じます。そのため少女は、自分の見たものを、人と分かち合いたい気持ちと、それが難しいという孤独の間で揺れています。読むときは、少女の気持ちの変化に注意しましょう。
+αで覚えておきたいこと
「マンゴー」は、南国で育つくだものです。この文章が書かれた時代の日本では、とても珍しい高級なくだものでした。
「見る」ことには、目に入るだけでなく、注意を向けて意味を感じ取ることも含まれます。同じものを見ても、人によって見え方や感じ方が違います。
「共有」は、同じ体験や気持ちを、ほかの人と分かち合うことです。「自分と同じように感じる人がいる」という安心は、孤独をやわらげます。
新しい見方に出会ったとき、驚きがものの見方を広げるきっかけになります。少女のように、ふつうとは違う見方をすることは、感性の豊かさでもあります。
平成28年度(2016年度)/大問1「建築を愛する人の十二章/香山壽夫」
テーマ
「門は、人が内と外をつなぎ、新しい関係に踏みこむために必要な場所」
読み取りのポイント
「門」を単なる出入り口ではなく、人間関係の入り口として見る筆者の考えを読み取ります。
門の前で、人が立ち止まりためらう心の動きを読み取ります。
現代の建築が門を軽く見ていることへの、筆者の批判を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 門は、内と外、自分と他人とをつなぎ、また分ける、人間にとって大切な空間である。
具体例 大学の門や家の門は、入る人と入れない人を分け、受け入れる場でもある。
具体例 門の前で人は、入るかどうか迷い、自分の心を確かめる。
具体例 門をくぐることで、新しい人間関係や世界に踏みこむ。
具体例 モダニズムの建築は、門を古い権威のしるしとして否定的に扱った。
本文を対比関係で整理
内(私)↔外(他)
門を開く(受け入れる)↔門を閉じる(拒む)
単なるオン・オフの機構↔人の心や行動を受けとめる構え
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 人が住む空間には、門や入口が必要である。
それを支える根拠 内と外、私と他がつながったり、拒んだりする場所が必要だから。
結論・テーマ 門の前で、人は立ち止まって迷う。
それを支える根拠 門をくぐることが、新しい人間関係や世界に入ることになるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「狭き門より入れ」
解説 聖書の言葉で、入るのが難しい門こそ、価値のある道への入口だという意味です。この文章では、門の難しさや、入る者を選ぶ性質を表す例として出てきます。
本文の表現 「門は単なるオン・オフの機構ではない」
解説 「単なる~ではない」は、否定してから主張を述べる形です。門が、ただ開け閉めする装置ではなく、心の動きを含む場所だという筆者の主張を表します。
本文の表現 「ここは、私の入口だということに価値がある」
解説 入口が、人にとって「私の入口だ」と感じられる場所であることの大切さを述べています。受け入れられる安心が、門の価値だと分かります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、門が建物の出入り口というだけでなく、内と外、自分と他人をつなぎ、また分ける大切な空間だと述べます。たとえば、大学の門や家の門は、入る人を選び、受け入れる場です。人は、門の前で、入ろうか迷い、自分の心を確かめます。そして、決断して門をくぐると、新しい人間関係や世界に入ります。ところが、モダニズムの建築では、門は古い権威のしるしとされ、軽く見られました。筆者は、門の大切さをもう一度考えようと呼びかけます。
テーマ解説
この文章のテーマは、門は、人が内と外をつなぎ、新しい人間関係へ踏みこむための大切な空間であるということです。門には、入る人を受け入れる働きと、入れない人をことわる働きがあります。人は門の前で、入るべきか迷い、自分の心の求めるものを確かめます。つまり、門は人の心の動きを受けとめる場所です。筆者は、現代の建築が門を軽く見ていることを残念に思い、その役割をもう一度考えるよう伝えています。
+αで覚えておきたいこと
「モダニズム」は、古いかざりや伝統をやめて、機能的で新しい形を求める建築や芸術の動きです。この文章では、モダニズムの建築が、門を古い権威のしるしとして軽く見たことが、批判されています。
「入門」ということばには、師や集団に入って、教えを受けるという意味があります。門は、それほど意味のある境目です。
「境界」は、内と外を分ける線のことです。境界があるから、「内」の居心地のよさや安心感が生まれるという面があります。
建築は、人の心や行動に、深く関わっていることを覚えておきましょう。住む空間の形が、人間関係のあり方にも影響します。
平成28年度(2016年度)/大問2「岸辺のヤービ/梨木香歩」
テーマ
「名まえは区別のための記号であり、人を縛るものにも自由にするものにもなる」
読み取りのポイント
ヤービ族の名まえの決まり方と、それが生む不便さを読み取ります。
「ほのおの革命家」の名まえが、どんなイメージを人々に残しているかを読み取ります。
ヤービが、自分だけの特別な名まえについてどう感じているかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 名まえは、人を区別する記号であると同時に、人の印象や生き方に影響する。
具体例 ヤービ族の名まえは、ヤービ・マミジロ・セジロの三種類しかない。
具体例 同じ名まえの人が多く、歴史を読む人は、だれのことか分からなくなる。
具体例 「ほのおの革命家」の名まえは、強い行動力のイメージを残した。
具体例 自分だけの特別な名まえは、その名まえに縛られて不自由かもしれない。
本文を対比関係で整理
同じ名まえが多い不便さ↔特別な名まえを持つ区別のしやすさ
自分だけの名まえに縛られる不自由↔代々の名まえの気楽さ
名まえは単なる記号↔名まえは人のイメージを作る
本文を因果関係で整理
結論・テーマ ヤービは、代々受けつがれる名まえのほうが気楽だと考えた。
それを支える根拠 自分だけの名まえをいつも呼ばれると、その名まえどおりでなければならない気がして、ひりひりするから。
結論・テーマ 「ほのおの革命家」の名まえは、歴史に残った。
それを支える根拠 強い行動力で社会を変えた人物のイメージが、名まえと結びついたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「名まえって、ちょっとしたコートのようなものなんじゃないでしょうか」
解説 「~のようなもの」は比喩です。名まえは、着たり脱いだりできる、体を守るコートのように、気楽に自分を包んでくれるものだと言っています。
本文の表現 「たった二つの自分だけとくべつの名まえがあって、それをしょっちゅう呼ばれるなんて、なんだかひりひりする感じなんじゃないでしょうか」
解説 自分だけの名まえを、くり返し呼ばれる窮屈さを表します。名まえが人を縛ることもあると、ヤービは考えています。
本文の表現 「「ほのお」と「革命」という二つの文字がくっついたところが、なんとも刺激的で」
解説 「ほのおの革命家」という名まえが、強い印象をあたえることを表します。名まえが、その人のイメージを作ることの例になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ヤービ/男/子ども(年齢の記載なし)/ふわふわの毛の二本足で歩くヤービ族の男の子。名まえについて考える。
パパ・ヤービ/男/大人(年齢の記載なし)/ヤービのパパ。「クーイ族史」を書いている。
マミジロ/男/大人(年齢の記載なし)/パパ・ヤービの弟で詩人。
セジロ/女/子ども(年齢の記載なし)/ヤービと仲のよいいとこ。
わたし/性別・年齢の記載なし/人間/ヤービが岸辺で出会い、話を聞く。
文章の要約
ヤービ族の名まえは、ヤービ・マミジロ・セジロの三種類しかなく、生まれた順などを加えて区別します。そのため、歴史を読むと、どのヤービのことか分からなくなります。ヤービは、「ほのおの革命家」という名まえが、強い行動力のイメージとともに歴史に残ったことを話します。そして、自分だけのとくべつな名まえで呼ばれ続けると、ひりひりして不自由かもしれないと考えます。むしろ、代々受けつがれた名まえは、コートのように気楽だと、ヤービは「わたし」に話します。
テーマ解説
この文章のテーマは、名まえは、人を区別する記号であると同時に、その人の印象や生き方にも影響するということです。ヤービ族は、同じ名まえの人が多いので不便です。しかし、ヤービは、自分だけの特別な名まえを持つと、その名まえどおりでなければならない気がして、不自由に感じるのではないかと考えます。むしろ、多くの人と同じ名まえのほうが、気楽に自分でいられるという考え方です。名まえの便利さと窮屈さの両面に注目しましょう。
+αで覚えておきたいこと
「記号」は、何かを表すためのしるしのことです。名まえは、人を区別するための、いちばん身近な記号です。
名まえには、意味や願いがこめられていることが多くあります。日本でも、名まえに漢字を選ぶとき、親が願いをこめます。しかし、その名まえが、本人の期待や重荷になることもあります。
「ほのおの革命家」のように、名まえが、その人の行いのイメージと結びつくこともあります。歴史上の人物の呼び名は、そのよい例です。
「個性」と「共通」の考え方も大切です。みんなと同じことで安心できる面と、自分だけの特別さを持つうれしさは、どちらも人間にとって必要です。
平成27年度(2015年度)/大問1「浮遊する自由からの学び/林ナツミ」
テーマ
「コンプレックスは無理に克服せず、うまく付き合って自分らしい学びを作る」
読み取りのポイント
筆者が、写真が「真を写さない」ことに気づき、研究に没頭した流れを読み取ります。
技術が足りないというコンプレックスを、筆者がどう受けとめたかを読み取ります。
コンプレックスを無理に克服しない考え方を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ コンプレックスを無理になくそうとせず、付き合いながら自分らしい作品を作ればよい。
具体例 筆者は、写真が「真を写さない」ことに気づき、浮遊した写真を撮り続けた。
具体例 アイデアは出せても、技術に弱いというコンプレックスがあった。
具体例 技術が高いパートナーに、無条件で手伝ってもらうことで、作品が実現した。
具体例 「技術を習得しなければ」というスイッチをOFFにして、自分の強みを生かした。
本文を対比関係で整理
アイデアに強い自分↔技術に弱い自分
コンプレックスを克服する↔コンプレックスと共存する
「技術を習得しなければ」というオキテ↔自分らしい学び方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、「技術を習得しなければ」というスイッチをOFFにした。
それを支える根拠 コンプレックスを克服するより、付き合うほうが作品作りに役立つと気づいたから。
結論・テーマ 筆者の作品は、実現できた。
それを支える根拠 技術に長けたパートナーが、無条件で手伝ってくれたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「真を写さない」
解説 「写真」は「真を写す」ものですが、筆者はあえて「真を写さない」写真を目指しました。ふつうの考えを逆にした、筆者の学びの出発点です。
本文の表現 「技術を習得しなければならない」
解説 筆者が自分に課していた思い込み(オキテ)です。ここでは、否定される対象として出てきます。
本文の表現 「アイデンティティの一部」
解説 コンプレックスを、自分をつくる大切な要素として見る言い方です。弱みも含めて自分だと受け入れる筆者の姿勢が分かります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、写真で自分の学びを作っています。ジャンプしている人を撮った写真が、「真を写さない」ことに偶然気づき、その研究に没頭しました。しかし、アイデアは出せても、技術に弱いというコンプレックスがありました。そこで、技術に長けたパートナーに無条件で手伝ってもらい、作品を実現します。筆者は、「写真を撮るには技術を習得しなければならない」という考えのスイッチをOFFにし、コンプレックスと付き合いながら自分らしい学びを作ります。
テーマ解説
この文章のテーマは、コンプレックスを無理になくそうとせず、付き合いながら自分らしい学びを作るということです。筆者は、アイデアが豊かでも、技術に弱いという悩みがありました。ふつうは、技術を身につけて弱点を克服しようとします。しかし筆者は、得意な人の力を借り、自分は得意なことに力を入れる方法を選びました。コンプレックスも、自分らしさの一部だと受け入れることで、かえって作品が生まれたのです。
+αで覚えておきたいこと
「コンプレックス」は、人より劣っていると感じる気持ちです。本来は心理学の用語で、「劣等感」とは少し違いますが、日常では同じような意味で使われます。
「アイデンティティ」は、自分は何者か、という感覚のことです。弱点も含めて、自分らしさを作ります。
「オキテ(掟)」は、守らなければならない決まりです。自分で自分に作った決まりが、かえって自分を苦しめることもあります。
「分業」の考え方も大切です。自分の得意を生かし、苦手は得意な人に頼ることで、一人ではできないことが実現します。
平成27年度(2015年度)/大問2「櫛挽道守/木内昇」
テーマ
「憧れの父の仕事に認められ、仕事の奥深さと父への敬意を知る」
読み取りのポイント
登瀬が、父の櫛挽きの仕事にどれほど憧れていたかを読み取ります。
父が、自分の座を登瀬に譲る場面での、登瀬の驚きを読み取ります。
父と並んで歯挽き鋸を挽いたとき、登瀬が何を感じたかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 登瀬は、父の仕事に認められ、仕事の奥深さと父の愛情を実感する。
具体例 登瀬は、櫛を挽く父の仕事に憧れていたが、女なので手伝いを許されていなかった。
具体例 成長して、櫛磨きや粗削りを任されるようになった。
具体例 十八歳のある日、父が長年座った場所に座ることを許された。
具体例 父に教わり、父のそばで歯挽き鋸を挽く。
結論・メッセージ 仕事を通して、登瀬は父への深い敬意を抱く。
具体例 等しい拍子を身体で刻めることが、櫛作りに大切だと思う。
具体例 父の一生を懸けた仕事の奥深さに驚く。
本文を対比関係で整理
女である登瀬↔男の仕事とされた櫛挽き
手伝いのみを許された日々↔父の座に座ることを許された日
父との師弟の信頼↔娘を思う父の愛情
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 登瀬は、驚き、胸が熱くなった。
それを支える根拠 父のそばで鋸を挽き、仕事の奥深さと、この仕事に打ち込んだ父の一生を実感したから。
結論・テーマ 登瀬は、父の座に座ることを許された。
それを支える根拠 成長し、櫛挽きの仕事の腕が認められたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「挽いてみろ」
解説 父が登瀬に告げる短い言葉です。父が、これまで許さなかった作業を、娘にまかせる決意を示します。
本文の表現 「雑念を取り払って」
解説 櫛を挽くときの心がまえです。拍子をそろえるために、余計なことを考えず、仕事に集中する大切さを表します。
本文の表現 「父は意外にも立ち上がり、自分の座を娘に譲ったのである」
解説 「意外にも」は、登瀬の予想外の気持ちを表します。長年の座を譲る行動が、父が娘を認めた証であることがわかります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
登瀬/女/十八歳(結婚の話が出ている)/木曽の宿場町に住む娘。櫛挽きの父の仕事に憧れる。
吾助/男/大人(年齢の記載なし)/登瀬の父で、櫛挽き職人。歯挽き鋸を挽く腕が確かな人。
松枝/女/大人(年齢の記載なし)/登瀬の母。縁談を気にかける。
文章の要約
登瀬は、木曽の宿場町で、櫛を作る父の吾助の仕事に憧れて育ちました。女であるため、手伝いは許されませんでしたが、成長するにつれて、櫛磨きや粗削りを任されます。十八歳のある日、父は長年座り続けた場所を登瀬に譲り、歯挽き鋸を挽くように言います。登瀬は、父に教わりながら、並んで鋸を挽き、櫛挽きの仕事の奥深さに驚きます。父の仕事への敬意と、父の娘に生まれた幸せを、登瀬は胸に感じました。
テーマ解説
この文章のテーマは、仕事を通して、父と娘の信頼や敬意が深まるということです。登瀬は、父の仕事に憧れていましたが、女という理由で、仕事の中心を担えませんでした。それが、結婚を控えたある日、父が自分の座を譲り、いっしょに歯挽き鋸を挽くことを許します。登瀬は、仕事の奥深さと、仕事に打ち込んできた父の一生を実感します。同時に、自分が父の娘であることの幸せも感じました。読むときは、父の言葉の少なさの中にある、愛情を読み取りましょう。
+αで覚えておきたいこと
「櫛挽き(くしひき)」は、木の板から、櫛の歯を一本ずつ挽いて作る職人の仕事です。この物語の舞台の木曽の薮原は、お六櫛という櫛の産地として知られていました。
「師弟(してい)」は、先生と弟子の関係です。技術は、見て、まねして、手を動かして身につけるものでした。
昔は、家の仕事は、男の子が継ぐものとされることが多くありました。女性は、結婚して他の家に入ることが多かったため、家業を担えないことが少なくありません。
「拍子(ひょうし)」は、リズムのことです。職人の技には、体で覚えたリズムが大切です。毎日同じ動きを、同じ調子で続けることが、すぐれた仕事を生みます。
平成26年度(2014年度)/大問1「物語ること、生きること/上橋菜穂子・瀧晴巳」
テーマ
「違いを認めて自分も変わることが、本当の自由と理解につながる」
読み取りのポイント
「あきらめる」「捨てる」ことが、なぜ本当の自由を意味するのかを読み取ります。
「わたし的には」という言い方を、筆者が好ましく思わない理由を読み取ります。
弱者が、世界のシステムを敵とみなす論理を、筆者がどう批判するかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 自分の持っているものにしばられず、別のものを選べることが本当の自由である。
具体例 『指輪物語』は、指輪を捨てに行く物語である。
具体例 「あきらめる」「捨てる」は、悪いことではなく、別のものを選ぶ自由を表す。
具体例 自由を持つことで、自分も変わり、人と理解し合える。
結論・メッセージ 相手と一線を引く態度や、敵を作る論理は、理解を妨げる。
具体例 「わたし的には」という言い方は、「あなたはあなた」と距離を置く。
具体例 弱者が、苦しい原因を世界のシステムのせいにして、敵を作る。
具体例 その敵には、生まれたばかりの赤ちゃんのように責任のない者まで含まれる。
本文を対比関係で整理
しばられる生き方↔別のものを選べる自由
「わたしはわたし」と一線を引く↔相手とわかり合おうとする
自分を変えない↔自分も変容して理解を進める
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 「あきらめる」「捨てる」ことは、本当の自由を意味する。
それを支える根拠 持っているものにしばられず、別のものを選べるようになり、他者との理解が進むから。
結論・テーマ 筆者は、「わたし的には」という言葉を好ましく思わない。
それを支える根拠 相手と距離を置き、わかり合えないままになってしまう恐れがあるから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「「わたし的には」という言葉が流行っています」
解説 筆者が気になる言葉として取り上げています。ここから、相手との距離の取り方の話に入ります。「流行っています」は、今の風潮を批判的にとらえる言い方です。
本文の表現 「相対主義の罠」
解説 「相対主義」は、価値は人や文化で違うので、どれが正しいとは言えない、という考え方です。「罠」は、これが落とし穴になる、という筆者の見方を表します。
本文の表現 「あきらめること」「捨てること」
解説 一般には否定的に聞こえる言葉を、筆者は、別の面から見直しています。言葉を逆の角度から見る、評論のねらいをつかむカギです。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座」
文章の要約
筆者は、『指輪物語』が指輪を捨てに行く物語であることから、「あきらめる」「捨てる」とは何かを考えます。それは、自分の持っているものにしばられず、別のものを選べるという本当の自由だと言います。次に、「わたし的には」という言葉が流行っていることを取り上げ、相手と距離を置き、わかり合えなくなる恐れがあると述べます。最後に、苦しい立場の人が世界のシステムを敵とみなす論理は、赤ちゃんまで敵にしてしまう理不尽なものだと示します。
テーマ解説
この文章のテーマは、自分の考えにしばられず、違いを認めて自分も変わることが、人と理解し合う力になるということです。筆者は、「あきらめる」「捨てる」を、悪いことではなく、別のものを選べる自由だと考えます。また、「わたし的には」という言い方は、相手と一線を引くので、分かり合いにくくなります。違いを認めたうえで、自分も変わる柔らかさを持つことが、他者との理解を進めると筆者は考えています。
+αで覚えておきたいこと
「相対主義」は、物事の正しさは、人や文化によって違うと考える立場です。一見、おだやかですが、「人それぞれ」と言って話し合うことをやめると、理解が進みません。
『指輪物語』は、イギリスの作家トールキンの長編ファンタジーです。主人公たちは、強い力を持つ指輪を、手に入れるのではなく、捨てるために旅に出ます。
「テロリズム」は、暴力で政治的な要求を通そうとすることです。筆者は、自分たちを弱者と考える人が、システムを敵と見て暴力を使う、その論理の理不尽さを指摘しています。
「多文化」を理解するには、自分の文化の見方をいったん手放す柔軟さが必要です。
平成26年度(2014年度)/大問2「かんかん橋を渡ったら/あさのあつこ」
テーマ
「自分の感覚を言葉にすると、自分の強みに気づき、成長につながる」
読み取りのポイント
試合で降板させられた恭介の、くやしさとほっとした気持ちを読み取ります。
監督に課された、「打たれた理由を書く」レポートに、恭介がどう取り組むかを読み取ります。
監督が、恭介のレポートの何を高く評価したのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 自分の感覚を言葉にすることで、人は自分の本当の強みに気づける。
具体例 恭介は、降板させられ、代打を出されて、悔しさとほっとした気持ちの両方を感じた。
具体例 監督から、打たれた理由をレポートに書くよう言われた。
具体例 恭介は、何度も書き直し、マウンドとつながっている感覚を言葉にした。
具体例 監督は、そのレポートを読んで、詩人のような感性だと感心した。
本文を対比関係で整理
くやしい気持ち↔ほっとした気持ち
打たれた理由を考えることをさぼる恭介↔言葉にして書く恭介
野球の技術↔詩人のような感性
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 恭介は、胸がどきどきして気持ちが高ぶった。
それを支える根拠 マウンドとの一体感を言葉にして、確かめることができたから。
結論・テーマ 監督は、恭介を励まし、応援したいと思った。
それを支える根拠 レポートのマウンドの捉え方が鋭く、詩人のような感性があると感じたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「調子のいいときは、自分の足でマウンドに立っていることが、わかる」
解説 恭介が書いたレポートの一部です。体の感覚を、自分の言葉で表した大切な部分で、監督が評価するきっかけになります。
本文の表現 「しっかり、下から支えてもらっていると感じられる」
解説 「しっかり」は、確かさを強調します。ピッチャーがマウンドとつながり、支えられている感覚を、とても鋭く言葉にしていることを表します。
本文の表現 「自分とマウンドがつながっているんだなあと感じる」
解説 「つながっている」は、マウンドと自分を一体としてとらえる比喩です。恭介の感覚の豊かさを表しています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
恭介/男/中学二年生(十四歳ごろ)/野球部のエースピッチャー。試合で降板し、レポートを書く。
蘆守監督/男/大人(年齢の記載なし)/国語の教師で、野球部の監督。恭介のレポートを読み、感心する。
チームメイト/男/中学生/恭介と同じ野球部の仲間。
文章の要約
中学二年生の恭介は、野球部のエースですが、試合で打たれて降板させられ、代打を出されました。悔しい思いの一方で、ほっとした自分にも気づきます。後日、国語の教師でもある蘆守監督から、なぜ打たれたのかをレポートに書くように言われます。恭介は、何度も書き直し、自分とマウンドがつながっているという感覚を言葉にしました。監督はそれを読んで、詩人のような感性だと感心し、恭介を励まします。
テーマ解説
この文章のテーマは、自分の感覚を言葉にすることで、自分の力や成長のきっかけに気づくということです。恭介は、ピッチャーとして打たれた理由を、技術だけでなく、マウンドとの一体感という感覚から言葉にしました。これを、監督は詩人のような鋭い感性として評価します。野球の練習と、言葉で考えることは、一見ちがうようでも、自分を深く知ることでつながっているのです。恭介は、言葉にする楽しさと、自分への自信を得ました。
+αで覚えておきたいこと
「降板(こうばん)」は、ピッチャーが試合の途中で交代することです。代打を出されることは、選手にとって悔しく、ときにほっとする、複雑な出来事です。
「言語化(げんごか)」は、もやもやした感覚や考えを、言葉にすることです。言葉にすると、自分の考えが整理され、次の行動につなげやすくなります。
「感性」は、物事を感じ取る力です。感性が豊かだと、同じ出来事からも、深い発見ができます。
「レポート」を書く作業は、自分の経験を見つめ直す練習です。うまくいかなかったことを書き出すことは、成長に役立ちます。
平成25年度(2013年度)/大問1「孤独な少年の部屋/中島義道」
テーマ
「役に立たないことに夢中になる力は、心のゆとりと生命力の表れである」
読み取りのポイント
筆者が子どものころ、昆虫や植物の採集にどんな気持ちで取り組んだかを読み取ります。
牧野富太郎の植物採集の様子から、その人の性格がどう表れているかを読み取ります。
貧しくても何の役にも立たないことに夢中になる少年たちを、筆者がどう見ているかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 貧しい中でも、役に立たないことに夢中になる少年たちには、心のゆとりと生命力がある。
具体例 筆者は、子どものころ、昆虫採集に夢中になり、世界一長い名前をつけて得意になった。
具体例 中学生になると、植物採集の標本を作り、ラテン語の学名を記して得意になった。
具体例 牧野富太郎も、毎日欠かさず新聞紙をかえ、植物の手入れを続けた。
具体例 少年たちは、母に「手伝ってよ」と言われても、植物採集を続けた。
本文を対比関係で整理
何の役にも立たないこと↔生活のために必要なこと
貧しさで心のゆとりを失う↔貧しくても心のゆとりを失わない
まじめ一徹の人(根気強い)↔要領の悪い人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 筆者は、少年たちの採集を「すこぶる『健全な』こと」と考えた。
それを支える根拠 貧しく狭い部屋で暮らしても、何の役にも立たないことに心躍らせ続けた生命力を感じたから。
結論・テーマ 筆者は、牧野富太郎に、まじめ一徹で要領の悪い性格を感じた。
それを支える根拠 毎日、湿った新聞紙を乾かして使い回すなど、手間をかけて採集を続けたから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「そんなことする暇があったら、手伝ってよ!」
解説 母の言葉です。生活の苦しさの中で、役に立たない遊びが許されにくい様子がわかります。この状況と対比して、少年たちの心のゆとりが示されます。
本文の表現 「何の役にも立たないこと」
解説 筆者がこの文章で、ほめている行いです。「役に立つ」ことだけが価値ではないという、筆者の考えが表れています。
本文の表現 「すこぶる『健全な』こと」
解説 「すこぶる」は、とても、という意味です。「健全な」にかぎかっこがつくのは、ふつうの意味の健全ではなく、筆者の独自の使い方だからです。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、子どものころ、昆虫採集に夢中になり、キリギリスに世界で一番長い名前をつけて得意になりました。中学生になると、植物採集で標本を作り、ラテン語の学名を記して得意になります。そこで、牧野富太郎が書いた植物採集の方法を紹介します。それは、毎日新聞紙をかえるなど、まじめで根気のいる作業でした。筆者は、貧しい少年たちが、母に「手伝って」と言われながらも採集を続けたことを、「健全」だと感じます。
テーマ解説
この文章のテーマは、役に立たないことに夢中になれるのは、心のゆとりと生命力があるからだということです。筆者は、貧しく狭い部屋で、家族の目を気にしながらも、何の役にも立たない採集を心躍らせて続けた少年たちを思い出します。生活に追われると、人はふつう心のゆとりを失いがちです。けれども少年たちは、やりたいことに夢中になる力を失いませんでした。筆者は、そこに生きる力の強さを感じ、「健全」と述べました。
+αで覚えておきたいこと
「牧野富太郎」は、日本の植物学者です。日本の多くの植物に名前をつけ、「日本植物学の父」と呼ばれます。子どもの頃から植物に夢中で、独学で学びました。
「学名」は、生き物に世界共通でつける名前で、ふつうラテン語で書きます。「和名」は、それぞれの国で使う名前です。
「無用の用」ということばがあります。一見役に立たないものが、実は大切な働きをしているという意味です。何かに夢中になった経験は、あとで、人生を支えることがあります。
「採集」「標本」は、生き物を集めて観察や研究に役立てる活動です。夏休みの自由研究にもつながります。
平成25年度(2013年度)/大問2「あたらしい図鑑/長薗安浩」
テーマ
「言葉にならないもやもやを見つめると、自分の中の豊かさに気づける」
読み取りのポイント
「ぼく」が、詩人の村田さんから教わった「もやもやの採集」の方法を読み取ります。
ひまわりや足形を見て、「ぼく」が感じた、不思議な気持ちの正体を読み取ります。
「ぼく」の気持ちが、どう変わっていくのかを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ 言葉にならないもやもやを大切に見つめると、自分の中にある深さや豊かさに気づく。
具体例 詩人の村田さんは、もやもやを感じた瞬間を採集して、スケッチブックに貼るよう教えた。
具体例 「ぼく」は、しおれたひまわりと足形を紙に貼った。
具体例 足形が自分のようだと感じ、言葉にならない気持ちを実感する。
具体例 村田さんは、「あなたの中にある何かが、すっとよみがえる」と言う。
本文を対比関係で整理
言葉にならないもやもや↔言葉になった気持ち
今まで見たことがあるもの↔紙の上に固定すると別物のように見えるもの
村田さんの話がわからない「ぼく」↔実感する「ぼく」
本文を因果関係で整理
結論・テーマ 「ぼく」は、とまどいを感じた。
それを支える根拠 足形が自分の姿や気持ちを映すようで、しおれたひまわりも彼女を思い出させ、言葉にならないもやもやを味わったから。
結論・テーマ 「ぼく」は、自分の中の深さや豊かさに気づき始めた。
それを支える根拠 村田さんの言う通り、もやもやを採集して、じっくり向き合ったから。
重要コアフレーズ
本文の表現 「もやもやして言葉にならないものを、このスケッチブックの紙に貼りつけるんだ」
解説 村田さんの教える方法です。気持ちを無理に言葉にせず、そのまま保存する、という発想が大切です。
本文の表現 「きっと、少年の世界がちょっとだけ広く、深くなるぜ」
解説 「きっと」は、強い予想を示します。村田さんの言う通りにすることで、「ぼく」の世界が実際に広がっていくことが、後の場面で確かめられます。
本文の表現 「言葉は知らなくても、気分だけはもうぼくの中にある」
解説 「ぼく」の気づきを表します。名前をつけられなくても、気持ちは確かにここにある、という実感を示す言葉です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ぼく/男/中学一年生(十二、三歳)/整形外科病院に通う。詩人の村田さんから教わり、もやもやを採集する。
村田さん/男/高齢(年齢の記載なし)/詩人。病院の待合室で「ぼく」と出会い、スケッチブックをくれる。
図書館の彼女/女/年齢の記載なし/「ぼく」が気になっている相手。ひまわりを見ると思い出す。
お母さん/女/大人(年齢の記載なし)/「ぼく」の母。
文章の要約
中学一年生の「ぼく」は、病院の待合室で、詩人の村田さんと出会い、家を訪ねます。村田さんは、もやもやして言葉にならないものを、スケッチブックに貼るようすすめます。「ぼく」は、図書館の彼女を思い出すしおれたひまわりと、自分の足形を貼りつけました。足形を見て、自分の姿や気持ちが映っているように感じ、言葉にならないもやもやを実感します。そして、自分の中の深さや豊かさに気づき始めます。
テーマ解説
この文章のテーマは、言葉にならないもやもやを大切にして向き合うと、自分の中の豊かさに気づけるということです。「ぼく」は、村田さんの教えで、もやもやを感じた瞬間を採集して、紙に貼りました。すると、足形が自分自身のように見え、名前のない気持ちを実感します。ふつうは、分からない気持ちを無視しがちですが、じっくり向き合うことで、世界の見え方が広がるのです。これが、題名の「あたらしい図鑑」の意味でもあります。
+αで覚えておきたいこと
「図鑑」は、物事を分類して、名前や特徴を説明した本です。この文章では、「ぼく」自身が、気持ちのあたらしい図鑑を作ります。
「採集」は、虫や植物を集めることですが、ここでは心の動きを集めるという比喩として使われています。
「詩」は、言葉にしにくい感覚を、短く表現する文章です。詩人は、もやもやした気持ちを、ことばでとらえようとします。
気持ちを言葉にすることを、「言語化」と言います。「モヤモヤ」を無理にまとめず、しばらく眺めることも、自分を知る大切な方法です。
女子学院中学校
令和08年度(2026年度)/第1回大問1「父のビスコ/平松洋子」
テーマ
「小さな金平糖やドロップスには、運命を左右するほどの重みがつまっています。」
読み取りのポイント
筆者がドロップスを「おみくじ」に似ていると感じた理由に注目しましょう。
母が、空襲や父の帰りを思い出して語る場面から、母の気持ちを読み取りましょう。
「もしも」を重ねる筆者の思いと、金平糖と運命のつながりをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
自分で選べない偶然↔︎出てくる味を楽しむ気持ち
かわいい見た目↔︎運命を左右する重み
戦争中のきびしい日々↔︎甘い金平糖のよろこび
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
金平糖やドロップスは、おみくじに似ています。
それを支える根拠
自分の意志では選べず、偶然に結果が決まるからです。
結論・テーマ
筆者は、自分が今ここにいることの重みを感じます。
それを支える根拠
父が無事に帰らなければ、自分は存在しなかったかもしれないからです。
文章の要約
筆者はサクマのドロップスを振って出す楽しみが、おみくじに似ていると考えます。母が子どものころ、岡山の空襲を逃れ、戦地の父が帰ってきたとき、土産の金平糖を兄弟で取り合いました。母は、父が命がけで持ち帰ったものを喧嘩のたねにして、祖母にきびしく叱られました。筆者は、父が戦争で亡くなっていたら自分はいないと考えます。そして、ドロップスも金平糖も、おみくじのように、運命を左右する小さな存在だと感じます。
テーマ解説
この文章のテーマは、小さなお菓子にこめられた、運命の重みです。ドロップスや金平糖は、愛らしい見た目をしています。でも、母の思い出には、戦争と父の帰りが重なります。筆者は「もしも」を考えて、自分が生まれたのは偶然だと気づきます。そして、自分では選べない運命が、小さな甘いお菓子の中につまっていると感じます。
+αで覚えておきたいこと
随筆(エッセイ)
筆者が体験や思い出をもとに、自由に考えを書く文章です。この文章も、母の話から筆者の思いが広がります。
金平糖
砂糖でつくる、小さなツノのあるお菓子です。長い時間をかけて、砂糖のかたまりに少しずつ蜜をかけ、ツノが育ちます。
岡山大空襲
昭和二十年六月二十九日に、岡山市がアメリカ軍の爆撃を受けた出来事です。多くの人が家を失いました。
玉音放送
昭和二十年八月十五日に、天皇がラジオで戦争の終わりを国民に伝えた放送です。
もしもの連打
「もしも〜だったら」を重ねて、ありえたかもしれない世界を想像する書き方です。今の自分の存在の不思議さを強めます。
喩えの読み方
おみくじのように、見た目は同じでも中身が分からないものがあります。作者が何と何を重ねているかを見つけると、主題が分かります。
令和08年度(2026年度)/第1回大問2「俳句部、はじめました/神野紗希」
テーマ
「俳句は、ものの見方を変えて、むずかしい今を生きぬく力をくれます。」
読み取りのポイント
俳句が「世界のとらえ方を変える」とは、どういうことなのかに注目しましょう。
子規の俳句の例から、つらいことを前向きに見直す方法を読み取りましょう。
「今日と同じ日は二度と来ない」という気づきが、俳句とどうつながるかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
科学:病気を治す↔︎文学:ものの見方を変える
病気をいやがる気持ち↔︎病気もうれしいと見直す
ふつうの毎日↔︎一度きりの大切な今
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
俳句は、困難な時代を生きる力になります。
それを支える根拠
常識とちがう見方を取り入れ、自分らしさを失わずに生きられるからです。
結論・テーマ
俳句をはじめると、毎日の小さな変化に気づきます。
それを支える根拠
今日と同じ日は二度と来ないと感じられるようになるからです。
文章の要約
科学は病気を治し、文学は世界のとらえ方を変えます。俳句の「俳」には、逆の方へ向くという意味があり、常識にそむく力が生まれます。子規は病気で入院中も、苺をもらって「病気はうれしい」と詠み、つらい状況を明るく変えました。現代は答えの出ない問題が多い時代ですが、俳句の考え方を身につければ、自分らしく生きるヒントになります。また、俳句は一度きりの今をとらえ、他者と心を通わせる詩です。
テーマ解説
この文章のテーマは、俳句が見方を変える力です。科学は病気を治しますが、俳句はものの見方を変えます。子規は、病気でもうれしいことを見つけて、逆境を明るくとらえ直しました。この発想の転換は、今の私たちにも役立ちます。さらに、俳句は今日と同じ日は二度と来ないことに気づかせ、他者と心を通わせる手助けもしてくれます。
+αで覚えておきたいこと
俳句
五・七・五の十七音でつくる短い詩です。季語を入れるのが基本で、短い言葉で情景や気持ちを表します。
季語
季節を表す言葉です。たとえば「花吹雪」は春、「苺」は初夏の季語です。
正岡子規
明治時代の俳人で、病気と闘いながら俳句や短歌の改革をしました。見たままを写す「写生」を広めました。
又吉直樹
お笑い芸人で、小説『火花』で芥川賞を受賞しました。俳句にも親しんでいます。
俳諧
俳句のもとになった、ことば遊びを楽しむ詩の形です。江戸時代に、芭蕉などが大きく発展させました。
発想の転換
ものごとを今までと違う角度から見ることです。マイナスに思えたことを、プラスに受け止め直す力があります。
令和07年度(2025年度)/第1回大問1「オオカミのこと/星野道夫」
テーマ
「違うものの存在を認めることが、私たち自身を支える多様性につながります。」
読み取りのポイント
筆者がアラスカで出会ったオオカミへの思いが、どう変わっていくのかに注目しましょう。
ムースが減った理由が、実はオオカミではなかったと分かる流れを読み取りましょう。
「違うものの存在を認める」ことが、人間にとってなぜ必要なのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
悪者とされたオオカミ↔︎自然の一部のオオカミ
人間の都合で殺す↔︎生き物の存在を認める
一つの価値観↔︎さまざまな価値観
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
人間は、オオカミを悪者にして殺し続けました。
それを支える根拠
食物がなくなったオオカミが家畜を襲い、悪魔のイメージが広まったからです。
結論・テーマ
私たちにとって、多様性は欠かせないものです。
それを支える根拠
違うものを認めないと、自分たちも追いつめられるからです。
文章の要約
筆者はアラスカで、オオカミと出会いました。その頃、ムースが減り、人間はオオカミを殺し始めましたが、実際の原因はグリズリーでした。アメリカでは、人間とオオカミの対立が深まり、オオカミは悪者として殺されました。筆者は、生物の多様性が、人間の文化にも大切だと考えます。そして、一つの価値観だけで異なるものを排除すると、いつか自分も追いつめられると述べています。
テーマ解説
この文章のテーマは、多様性を認めることです。筆者は、オオカミの減少をめぐる出来事から、人間が悪者を決めつけてしまうことを学びました。ムースが減った本当の理由は、グリズリーでした。オオカミは、悪魔のイメージだけで殺されたのです。だから、違うものの存在を認めることが、自分たちを守ることにもつながるのです。
+αで覚えておきたいこと
星野道夫
写真家で、アラスカの自然や動物を撮り続けました。文章でも、自然と人間の関わりを深く語っています。
多様性
さまざまな種類や考え方があることです。生物の多様性は、自然が長く続くために必要です。
食物連鎖
生き物が、食べる・食べられる関係でつながっていることです。オオカミは、シカやムースを食べる上位の動物です。
ムース
ヘラジカのことで、大きなシカの仲間です。北アメリカの寒い地域に住み、オオカミやクマに狙われます。
随筆の読み方
体験の話が、あとの意見にどうつながるかを見ます。最後の段落に、筆者の考えがまとまることが多いです。
袋小路
行きどまりの道のことです。ここでは、考え方が一つしかなくなり、逃げ場を失う様子をたとえています。
令和07年度(2025年度)/第1回大問2「桜の木が見守るキャフェ/標野凪」
テーマ
「贈り物は、相手を想像して選ぶ気持ちそのものです。」
読み取りのポイント
可奈が、お菓子や作品を選ぶとき、何を大切にしているかに注目しましょう。
緋桜が、都子からもらったポーチを思い出す場面から、贈り物の意味を読み取りましょう。
「言い淀む緋桜」の気持ちが、最後にどう変わっていくのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
効率よく作る方法↔︎相手を想像して作る方法
その人だけの作品↔︎店の用意した作品
言い淀む緋桜↔︎受け止めてくれる可奈
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
可奈は、使う人に合わせた作品づくりにこだわります。
それを支える根拠
面と向かって相手を理解したうえで作ると、喜ばれると考えているからです。
結論・テーマ
緋桜は、贈り物の意味に気づきました。
それを支える根拠
選んで贈るという行為そのものが、相手を思う気持ちだと分かったからです。
登場人物
緋桜(ひざくら)/女性/年齢不明/桜の木のそばでカフェを営む店主。お客さんの気持ちを考えながら、もてなす。
可奈(かな)/女性/年齢不明/手づくりのバッグや小物を作る人。使う人に合わせたデザインにこだわる。
都子(みやこ)/女性/年齢不明/緋桜に、ミニポーチを贈った人。使い勝手のよさなど、緋桜を思って選んだ。
文章の要約
カフェを営む緋桜のところへ、バッグ作家の可奈が訪れます。可奈は、使う人の癖やライフスタイルを聞いたうえで、その人だけの作品を作ることを大切にしています。緋桜は、可奈の作品に似たミニポーチを、以前友人の都子から贈られたことを思い出します。しかし、それは可奈が作ったものではなく、緋桜は、そのことを言い出せません。それでも、可奈は、贈り物は選ぶ行為そのものが尊いと伝え、緋桜は気持ちが楽になります。
テーマ解説
この場面のテーマは、相手を思って選ぶことの大切さです。可奈は、使う人の気持ちを考えて作品をつくります。緋桜は、都子の贈ってくれたポーチが可奈の作品ではないことで、言い出しにくい気持ちになります。でも、可奈は、選んで贈ることも贈り物だと言います。この言葉で、緋桜は安心します。人の思いは、作ることでも、選ぶことでも伝わるのです。
+αで覚えておきたいこと
標野凪
食べ物や、人との温かいふれあいをテーマにした小説を書く作家です。お店を舞台にした物語が多いです。
オーダーメイドとセミオーダー
オーダーメイドは、客の注文に合わせて作ること。セミオーダーは、一部だけ客の注文を取り入れることです。
「れる」の意味
「れる」には、受け身・可能・自発・尊敬の四つの意味があります。文の中での使われ方で見分けます。
言い淀む
言いにくくて、言葉につまることです。ためらい、迷う気持ちが、様子に表れています。
情景描写
木や季節の様子などから、登場人物の気持ちを間接的に表す書き方です。桜の木は、見守る存在として描かれます。
心情の変化を読む
会話のあとに、人物がほっとしたり、不安になったりする様子を見ると、気持ちの変化が分かります。
令和06年度(2024年度)/第1回大問1「その日の墨/篠田桃紅」
テーマ
「空から写した田んぼの写真が、疎開先の忘れられないお米の味をよびさまします。」
読み取りのポイント
筆者が、田んぼの写真を見て、どんな美しさを感じたのかに注目しましょう。
疎開していた頃の、田植えの様子と人々の気持ちを読み取りましょう。
筆者が「きっとおいしい」と思った理由を、思い出と重ねてつかみましょう。
本文を対比関係で整理
区画がふぞろいな田んぼ↔︎一枚ずつ色の違う水
疎開してきた筆者↔︎田植えをする人々
今の写真の田んぼ↔︎昔の疎開先の田んぼ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
筆者は、写真の田んぼのお米をおいしいと思いました。
それを支える根拠
疎開先の継ぎ足しの田んぼで取れたお米の味が、似ているからです。
結論・テーマ
筆者は、人々の心が明るくひらくのを感じました。
それを支える根拠
田植えの準備を、楽しく張りのある気持ちで進めていたからです。
文章の要約
筆者は、青森の水田を空から写した写真を見て、この田んぼで取れるお米は、きっとおいしいと思います。田んぼは区画がふぞろいで、一枚ずつ水の色が違い、まるでガラス絵のようです。筆者は、戦争末期に疎開した東北の村を思い出します。その村では、田植えの準備をする人々が楽しそうでした。そこで食べたお米は、今も忘れられないほどおいしいものでした。だから写真の田んぼのお米も、おいしいに違いないと思いました。
テーマ解説
この文章のテーマは、田んぼの写真から広がる思い出です。筆者は、空から写した田んぼを見て、ふぞろいで美しい様子に心を動かされます。そこから、疎開していた村の田植えの様子を思い出します。人々は心を一つにして苗を植え、筆者は楽しい張りのある気持ちを感じました。そして、そこで食べたおいしいお米の味が、写真の田んぼと重なったのです。
+αで覚えておきたいこと
篠田桃紅
墨で抽象的な絵を描いた美術家で、随筆でも知られます。百歳を過ぎても活躍しました。
疎開
戦争の空襲をさけるため、都市から地方へ人や学校が移ることです。子どもたちが親元をはなれて移ることもありました。
四字熟語
「一日千秋」「一心不乱」「心機一転」などの言葉です。数字の「一」を使った熟語は、意味とあわせて覚えましょう。
田園風景の言葉
区画(くかく)、田植え、疎開(そかい)など、この文章に出る言葉です。景色を想像すると、意味が分かります。
情景から思い出へ
写真など、一つのものから、過去の記憶へ話が広がる書き方です。随筆でよく使われます。
比喩
田んぼをガラス絵にたとえるなど、ものを別のものにたとえる表現です。筆者の感動がよく伝わります。
令和06年度(2024年度)/第1回大問2「見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗」
テーマ
「失敗と思えた絵の中に、あこがれた遠近感を生み出す道がありました。」
読み取りのポイント
筆者が、マンガ写しの絵にどんな「感じ」を見つけたのかに注目しましょう。
図工展で、自分の絵と受賞作との間に感じた「距離」の意味を読み取りましょう。
最後に、失敗した絵がなぜ「遠近感」をもたらしたのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
友達の正確な形↔︎自分の温かい雰囲気
マンガ写しの絵↔︎大人の世界の絵
落選した失敗の絵↔︎遠近感のある絵
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
筆者は、図工展の絵にショックを受けました。
それを支える根拠
マンガ写しとは異なる、大人の世界の絵に出会ったからです。
結論・テーマ
筆者は、あこがれた遠近感にたどり着きました。
それを支える根拠
失敗した絵に青の薄い膜を重ねたら、さまざまな色が浮き上がったからです。
文章の要約
小学生の筆者は、マンガ写しに夢中になり、友達の絵と自分の絵では、形と雰囲気が違うことに気づきます。やがて、区の図工展に行った筆者は、受賞作の水彩風景画に、マンガ写しとは違う遠近法を感じて、ショックを受けます。中学では高い画材が買えず、失敗した絵の上に薄い色を塗り重ねて描き直しました。ある日、青の透明液を重ねると、元の絵の色が浮き上がり、小学生の頃にあこがれた遠近感が生まれました。
テーマ解説
この文章のテーマは、失敗の中にある新しい発見です。筆者は、マンガ写しで、形と雰囲気は別物だと知りました。さらに図工展で、自分の絵にはない距離を感じて、ショックを受けます。でも、あとで失敗した絵に青い膜を重ねると、遠近感が生まれました。この体験で、筆者は今までの失敗や経験も、すべて自分の力になると感じました。
+αで覚えておきたいこと
大竹伸朗
現代美術家で、絵や立体、音楽など、さまざまな表現を行います。この文章は、少年時代の絵の記憶を語ります。
遠近法
近くのものを大きく、遠くのものを小さく描いて、奥行きを表す方法です。絵に立体感を出します。
マンガ写し
マンガのコマを、紙に写して描く遊びです。形を写すだけでなく、線のタッチや雰囲気を学ぶ練習にもなります。
一目置く
相手の能力が優れていると認めて、敬意を払うことです。もとは囲碁で、弱い方が先に石を一つ置くことから来ています。
腑に落ちる
納得して、よく分かることです。「腑」は、内臓のことで、心の奥で理解するイメージです。
降参する
「白旗を掲げる」と言い、負けを認めることです。「白旗」は、戦う意思がないことを示す旗です。
豊島岡女子学園中学校
令和08年度(2026年度)/第1回大問1「ことばが変われば社会が変わる/中村桃子」
テーマ
「ことばの使い方を、決まりに任せず、自分で選ぶ自由について考えます。」
読み取りのポイント
日本語を話す人が、夫や妻などのパートナーの呼び方に困ってしまう理由を読み取ります。
「正しい日本語観」が、二つの考え方でできていることをつかみます。
筆者が海外で経験した「自分で選ぶ」場面と、日本の考え方の違いを比べます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
日本語を話す人は、正しい呼び方を誰かに決めてほしいと考えがちだが、呼び方は相手との関係に合わせて自分で選べる。具体例
筆者は留学先で、先生を何と呼ぶかを自分で決めるように言われた。具体例
カナダの小学校では、折り紙を習うかどうかを子どもが自分で選んでいた。具体例
アンケートでは、「誰かに呼び名を決めてほしい」という声が多く見られた。具体例
「看護婦」から「看護師」への変更は、法律で決まると広く受け入れられた。
本文を対比関係で整理
正しい話し方のルールに従う↔︎自分の考えで話し方を選ぶ
ルールを変える権利も責任もない↔︎関係に合う呼び方を自分で選ぶ
国が決めた呼び名を受け入れる↔︎自分で呼び名を決める
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
日本語を話す人は、パートナーの呼び方を誰かに決めてほしいと考えやすい。
それを支える根拠
「正しい話し方のルールに従うこと」を大切にし、ルールを変える権利も責任もないと考えているから。
結論・テーマ
国が決めた新しい呼び名は、広く受け入れられた。
それを支える根拠
日本語を話す人は、法律などの決定があれば、新しい呼び名への抵抗感が小さいから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「正しい日本語観は、主に二つの考え方から成っている」解説
「主に二つ」は、あとで「一つ目」「二つ目」と順に説明するという予告です。列挙の合図になります。
本文の表現
「自分の考えで選択するよりも、「正しい話し方」のルールを優先する」解説
「AよりもB」は、Bのほうを強く言いたいときの形です。筆者が問題にしているのはルール優先の傾向です。
本文の表現
「自分ではなく、「誰かに正しい呼び名を決めてほしい」という他力本願な姿勢」解説
「××ではなく○○」は、○○が本当に言いたいことです。自分で決めず他人任せになる姿勢を指摘しています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
日本語を話す人は、パートナーの呼び方に迷いやすい。その背景には、正しい話し方のルールに従うことを大切にし、ルールを変える権利も責任もないと考える「正しい日本語観」がある。筆者は留学先で呼び方を自分で選ぶ経験をし、カナダの小学校でも子どもが自分で選ぶ場面を見た。日本では国が決めた呼び名が受け入れられやすい。筆者は、関係に合う呼び方を自分で選ぶ自由に目を向けようと述べる。
テーマ解説
私たちは「お母さん」「先生」など、相手に合わせて呼び方を使い分けています。ところが、夫や妻のような相手には、これだという呼び方がなく、迷う人が多いそうです。このとき日本では「どれが正しい呼び方か」を探しがちです。これは、ことばには正解があり、それに従うのがよいという考え方です。一方、筆者が海外で見たのは、相手との関係をどう表したいかを考えて、自分で呼び方を選ぶという態度でした。本文は、正解探しをやめて、選ぶ自由をもつことが大切だと伝えています。
+αで覚えておきたいこと
ことばは時代や社会とともに変わります。たとえば「看護婦」は、男女の区別をしない「看護師」という呼び名に変わりました。このように、ことばの変化は、社会の考え方の変化とつながっています。また、敬語は上下関係だけでなく、相手との距離感を表す道具でもあります。どの呼び方を選ぶかは、「あなたとどんな関係でいたいか」という気持ちを伝える行動なのです。「言語イデオロギー」とは、ことばについて人々が当たり前だと思っている考え方のことで、「正しい日本語」という考えもその一つです。
令和08年度(2026年度)/第1回大問2「丘の上の洋食屋オリオン はなむけのひと皿/沖田円」
テーマ
「大切なペットの死を受け入れ、思い出を支えに前へ進む心の動き。」
読み取りのポイント
ペットの病気が悪くなるにつれ、飼い主が苦しさや罪悪感を抱く心の動きを読み取ります。
つらい別れのあとで、悲しみの受けとめ方がどう変わったのかを、前後で比べます。
動物の命が、人の心を支える存在として描かれている点に注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
大切な存在を失う悲しみは、ともに過ごした小さな幸せを思い出すことで、前向きな気持ちに変わっていく。具体例
看病中は、おいしいものを食べても心から楽しめず、罪悪感を抱く。具体例
別れのあと、茶々と過ごした日々を「一生の宝物」と言える思い出として受けとめる。具体例
店の猫が、骨壺の置かれた椅子を見つめ、別れをそっと受けとめる。
本文を対比関係で整理
悲しみとつらさ↔︎前向きな気持ち
看病中の罪悪感↔︎別れを経た落ち着き
満たされない心↔︎思い出の幸せ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
主人公は、食事を楽しめず苦しんでいた。
それを支える根拠
茶々の病気が悪くなり、自分だけ幸せを感じてはいけないと思ったから。
結論・テーマ
主人公は、前向きになれそうだと感じた。
それを支える根拠
茶々と過ごした日々を「小さな幸せ」として思い出し、宝物だと気づいたから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「なのに、食べても、食べても、心から美味しいと思うことができない」解説
「なのに」は逆接です。おいしい料理があるのに楽しめないという、主人公のつらさが強調されます。
本文の表現
「落ち込んでいるときも、悩んでいても、オリオンに来てお腹がいっぱいになったら、全部が大丈夫と思えるようになった」解説
「ても」は逆接の助詞です。以前の主人公にとって、この店の料理が心の支えだったことが分かります。
本文の表現
「かけがえのない大事なものは、他の何で満たそうとしても足りない」解説
「ても」でほかのものでは代わりにならないことを強めています。茶々の大きさを表す中心の表現です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
文/女性/年齢不明(30代以上と考えられます)/語り手の「わたし」。老猫の茶々を看病し、見送る。
賢吾/男性/年齢不明/文の夫。ともに茶々を看病し、文を支える。
茶々/猫/20年以上生きた老猫/文が12歳のときに出会った飼い猫。病気が悪くなり、亡くなる。
ネロ/猫/18歳/洋食屋オリオンの看板猫。客席に寄りそう、おだやかな存在。
くるみちゃん/女性/年齢不明/オリオンで働く人。文の気持ちに寄りそう。
真湖さん/女性/年齢不明/オリオンで働く人。デザートづくりを担当している。
文章の要約
文は、夫の賢吾と、病気が悪くなる老猫の茶々を看病している。気分転換に洋食屋オリオンへ行くが、心から料理を楽しめない。やがて茶々は亡くなる。文は悲しみの中で、茶々と過ごした日々を思い出し、小さな幸せの積み重ねが「一生の宝物」だと気づく。オリオンの猫ネロも、茶々の骨壺の置かれた席を見つめ、別れを静かに受けとめていた。
テーマ解説
家族の一員であるペットの死は、とてもつらい出来事です。この文章では、看病しているときの苦しさと、別れたあとの前向きな気持ちが対比して描かれます。看病中は「自分だけ楽しんではいけない」という罪悪感が心を重くしました。しかし、茶々と過ごした毎日を思い返すうちに、ありふれた日々こそがかけがえのない宝物だと気づきます。悲しみは消えなくても、思い出を支えにして前へ進めることを、本文は伝えています。
+αで覚えておきたいこと
人は大きな悲しみにあうと、「もっとこうしてあげればよかった」と自分を責めがちです。これを後悔や罪悪感といいます。心の整理には時間が必要で、泣くことや、思い出を人に話すことも大切な過程です。また、食事や景色などの身近なものが心を支えることがあります。物語では、動物は人の気持ちに寄りそう存在として描かれることが多く、ことばを話さなくても心を通わせる姿が、読む人の心を動かします。「情景描写」とは、天気や景色で登場人物の心の様子を表す書き方です。「重たい夏の空気」のような表現が、暗い気分を表す例です。
令和07年度(2025年度)/第1回大問1「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。/川上和人」
テーマ
「回転する動きが、野生の動物にほとんど見られない理由。」
読み取りのポイント
車輪のような回転が、人間の道具にはあるのに動物にはほぼない事実に注目します。
回転すると目が回って視界が保てないなど、回転が不利になる理由をつかみます。
動物以外に目を向けると、回転を利用する生き物がいた点を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
回転運動は人間にとって便利だが、野生の動物にはほとんど進化しなかった。視覚が大切な動物にとって、回転は不利だからである。具体例
車輪は人間の発明で、野生動物の体には車輪のしくみがない。具体例
回転すると視界が乱れ、えさや敵を見つけにくくなる。具体例
鳥は飛ぶときに回転せず、頭を安定させて視界を保つ。具体例
視覚を使わない植物は、タネを回転させて遠くへ運ぶ。
本文を対比関係で整理
回転を使いこなす人間↔︎回転を使わない野生動物
視界を保つ必要がある動物↔︎視界が不要な植物
エレガントで便利な回転↔︎効率が悪くなる回転
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
野生の動物では、回転する動きは進化しなかった。
それを支える根拠
野生では、効率の悪さが命を落とすことにつながり、回転は視界を失う危険があるから。
結論・テーマ
植物には回転を使うものがいる。
それを支える根拠
植物は目で周りを見る必要がなく、回転しても困らないから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「野生の世界では効率の悪さは死に直結する」解説
動物が無駄な動きを避けるわけを示す中心の一文で、理由のもとになる考え方です。
本文の表現
「一方で回転運動はエレガントだ」解説
「一方」は対比の接続語です。人間にとって便利な回転と、野生で不利な点を対比させています。
本文の表現
「回転運動は、野生動物では未採用なのだ」解説
本文の結論にあたる言い方です。進化の中で、回転は採用されなかったと述べています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
車輪のような回転運動は人間の暮らしを大きく変えたが、野生の動物にはほとんど見られない。野生では効率の悪さが死に直結し、回転すると視界が乱れて危険だからである。筆者は、鳥の飛行など動物の例を探したが見つからなかった。回転は体を動かす行為だと思い込んでいたため、植物に目が向かなかった。植物は視覚が不要で、タネの回転を使っている。
テーマ解説
自転車や車の車輪はとても便利ですが、動物の体には車輪がありません。それは、回転すると周りがよく見えなくなるからです。動物は、えさを探し、敵から逃げるために、目で見た情報にたよって生きています。一方、植物は動き回らず、見る必要もないので、タネを回転させて風に乗ることができます。本文は「なぜ動物には回転が少ないのか」という疑問から、生き物の体のつくりには理由があることを教えてくれます。
+αで覚えておきたいこと
生き物の形や動きは、長い時間をかけた「進化」でできています。環境に合って生き残りやすいものが増えていく考え方を自然選択といいます。また、生き物のしくみを人間の技術に生かすことをバイオミメティクス(生物模倣)といいます。たとえば、カワセミのくちばしの形をまねて、新幹線の先頭の形が工夫されました。植物では、カエデのタネが回りながら落ちて遠くへ運ばれる仕組みが知られ、ヘリコプターの発想にも通じます。筆者のように、思い込みに気づいて見方を変えることも、研究で大切な力です。
令和07年度(2025年度)/第1回大問2「息のかたち/いしいしんじ」
テーマ
「見えるものをそのまま描く難しさと、自分らしい表現を信じる勇気。」
読み取りのポイント
主人公が自分の進む道を、周りの人とのやりとりを通して決めていく過程を読み取ります。
特別な見え方をもつ主人公が、それをずるいと感じた理由を読み取ります。
先生のことばで、主人公の考えがどう変わったのかに注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
人が見ているものや感じているものはそれぞれ違い、見えたとおりに描くことが、その人らしい表現になる。具体例
主人公には、人が吐く息が色のついた形で見える。具体例
主人公は、見える色を使うことを「ずるではないか」と悩む。具体例
先生は、有名な画家たちも、人とは違う見え方をしていたと伝える。
本文を対比関係で整理
人と違う見え方をずるいと悩む↔︎見えるとおりに描いてよいと知る
世間の決めた進路を考える↔︎自分で選んで進もうとする
あきらめかけた気持ち↔︎表現への前向きな気持ち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
主人公は、自分の見え方を「ずるい」と考えた。
それを支える根拠
ほかの学生は、頭の中で想像するしかないのに、自分だけ色が見えていると思ったから。
結論・テーマ
主人公の悩みは軽くなった。
それを支える根拠
先生が、有名な画家たちも「そう見えていた」と伝えたから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「ただ、さまざまにくっつきあった事情の、ゆるい結び目のような箇所に、…」解説
「ただ」は、前の内容に少しつけ加え、別の事情を示す逆接の接続語です。進路の悩みの原因が一つではないと分かります。
本文の表現
「それはどっちでもかまへんけど、メシはうちで食えよ」解説
「けど」は逆接の助詞です。父が進路に口を出さず、気づかいを示す場面です。
本文の表現
「ずるではないのか」解説
主人公の不安を示す疑問の形です。この不安が、物語を動かす中心になります。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
夏実/女性/高校3年生から浪人生/語り手。陸上部で活躍したあと、絵の道に進む。人の吐息が色つきで見える。
崇/男性/年齢不明/夏実の父。進路を見守り、夏実を支える。
祖母/女性/高齢/夏実の祖母。台所で孫を気づかう。
宗/男性/年齢不明/美術予備校の教室長。夏実の悩みに答える。
文章の要約
陸上部の夏実は、部活動を引退し、美術の道に進むことを決める。夏実には、人の吐息が色のついた形に見える。予備校で絵を描くとき、その見え方を使うのは「ずるではないか」と悩む。教室長の宗は、有名な画家たちも、人とは違う世界が「そう見えていた」のだと伝える。夏実は気持ちが楽になり、見えたとおりに描こうと思う。
テーマ解説
人の目に映る世界は、みな同じとは限りません。画家は、自分にしか見えない世界を、絵という形で人に伝える仕事です。この文章の主人公は、自分の見え方を「ずるい」と感じました。しかし先生は、見えたものを正直に描くことがその人らしい表現になると教えます。自分の感じ方を信じることの大切さが、このお話のテーマです。
+αで覚えておきたいこと
人によって感じ方が違う現象を共感覚といいます。たとえば、音に色を感じたり、文字に色を感じたりする人がいます。画家のゴッホは、星空を渦のように描きました。それは、自分が感じた世界をそのまま絵にした結果だと考えられています。芸術では、写真のように正確に写すことより、自分がどう感じたかを表すことが大切にされる場合もあります。また、自分の持つ力を「ずるい」と感じるのは、まじめな人ほど起こりやすい悩みです。
令和06年度(2024年度)/第1回大問1「神さまと神はどう違うのか?/上枝美典」
テーマ
「人は死んだらどうなるのか、宗教がどう答えてきたか。」
読み取りのポイント
人が死んだあとどうなるかについて、考え方が四つに分かれることをつかみます。
「魂」と「身体」を別のものとする考え方を、ほかの考え方と比べます。
宗教が、死への不安にどう答えようとしてきたのかに注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
死んだあとのことは、大きく四つの考え方で説明できる。宗教は、魂が身体から離れて生き続けるという物語で、死の不安に答えてきた。具体例
死ねばすべて終わりとする考え方は、科学を重視する人に多い。具体例
生まれ変わりを信じる考え方は、仏教やヒンドゥー教などにある。具体例
天国や地獄に行くという考え方は、キリスト教やイスラム教などにある。具体例
魂が身体から離れ、あの世にいるという考え方もある。
本文を対比関係で整理
死ねば終わりとする考え↔︎死後も何かが続くとする考え
身体と魂が一つとする考え↔︎身体と魂が別とする考え
科学で説明できること↔︎科学で確かめにくいこと
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
宗教は、死後の世界を物語として語ってきた。
それを支える根拠
人は死への不安をもち、死んだあとがどうなるかを知りたいと考えるから。
結論・テーマ
死後の物語は、「魂」があるという前提で成り立つ。
それを支える根拠
身体がなくなったあとにも、何かが残らなければ、あの世で生きる存在がいなくなるから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「死とは何かが曖昧であれば、死によって区切られるはずの生について深く考えることはできません」解説
「Aでなければ、Bできない」の形で、死を考えることが生き方を考える土台になると述べています。
本文の表現
「魂の不死を主張する論」解説
本文が最終的にしぼりこむ考え方です。魂は身体と別のもので、なくならないという立場を指します。
本文の表現
「大きく分けて四つの答え」解説
数をはじめに示す言い方は、列挙の合図です。「一つは」「二つ目は」と整理して読みます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
死んだらどうなるかという問いは、宗教にとって重要である。この問いへの答えは、大きく四つに分けられる。死ねばすべて終わるという考え、生まれ変わるという考え、天国や地獄へ行くという考え、そして魂が身体から離れて生き続けるという考えである。筆者は、宗教の物語が成り立つには、身体とは別の「魂」の存在が前提になると述べ、その考えを中心に検討する。
テーマ解説
人はだれでもいつか死にます。その死んだあとがどうなるのかは、昔から多くの人が考えてきた問いです。宗教は、この問いに物語で答えることで、人々の不安をやわらげてきました。たとえば、死んだ人は天国にいる、また生まれ変わる、というお話です。これらの物語が成り立つには、体がなくなっても残る「魂」という考え方が必要です。本文は、死後の世界の考え方を整理しながら、魂とは何かを考える入り口になっています。
+αで覚えておきたいこと
日本人は、神道と仏教を合わせて受けいれてきたといわれます。仏教の「輪廻」は、生き物が何度も生まれ変わるという考え方で、極楽浄土は阿弥陀如来の世界とされます。キリスト教やイスラム教では、世の終わりに「最後の審判」があると教えます。一方、「唯物論」は、世界は物質だけでできていて、魂のような目に見えないものはないとする考え方です。「ニヒリズム」は、人生に意味や価値はないとする立場です。どの考え方にも、人が死の不安とどう向き合うかという工夫があります。
令和06年度(2024年度)/第1回大問2「成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈」
テーマ
「友人との関わりの中で、自分の挑戦や将来を見つめ直す姿。」
読み取りのポイント
成瀬が決めた挑戦を、途中でやめたことで、まわりの人にどう影響したかを読み取ります。
友人の何気ない一言で、成瀬が行動を変えていく場面に注目します。
二つの文章を比べ、同じ場面を別の人の目からどう見るかをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
友人のことばに影響されながらも、自分なりの目標をもって生きる成瀬のまっすぐさが描かれている。具体例
成瀬は、友人の一言で、のばしていた髪を切ってしまう。具体例
幼なじみの島崎は、成瀬の挑戦が途中で終わることをさびしく思う。具体例
成瀬は、将来に大津にデパートを建てたいという夢を語る。
本文を対比関係で整理
挑戦を見守る島崎↔︎挑戦を途中でやめる成瀬
夢を堂々と語る成瀬↔︎現実を心配する大貫
成瀬の視点で見た場面↔︎大貫の視点で見た場面
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
島崎は、がっかりした。
それを支える根拠
成瀬が、自分で決めた挑戦を、友人の一言で途中でやめたから。
結論・テーマ
大貫は、成瀬の夢に驚いた。
それを支える根拠
成瀬が、ふつうでは考えにくい大きな目標を、まじめに語ったから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「しかし、大貫は切らないほうがいいと言ったじゃないか」解説
「しかし」は逆接です。成瀬が自分で決めた挑戦と、友人のことばとのずれを示します。
本文の表現
「こんなふうに目標とも夢ともつかないことを気安く口に出せたらどんなに楽だろう」解説
「どんなに〜だろう」は強い思いを表す形です。語り手が成瀬をうらやましく思う気持ちが表れます。
本文の表現
「やはり大貫」解説
「やはり」は、予想どおりだという気持ちを表します。成瀬が以前から大貫を意識していたことを示します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
成瀬あかり/女性/中学生から高校生/幼いころから挑戦を続ける、まっすぐな性格の少女。
島崎みゆき/女性/高校3年生/成瀬の幼なじみ。成瀬の挑戦を見守ってきた。
大貫かえで/女性/高校1年生から/成瀬の同級生。文章Ⅱの「わたし」。
文章の要約
島崎は、幼いころから成瀬の挑戦を間近で見てきた。成瀬は、のばしていた髪を友人の一言で切ってしまい、島崎をがっかりさせる。東京の大学へ進む島崎は、成瀬と別れの時が近いことも意識する。別の場面では、高校一年生の大貫が成瀬と東京へ行き、成瀬が大津にデパートを建てたいという夢を語るのを聞く。大貫は成瀬の思いを受けとめる。
テーマ解説
この文章の中心は、成瀬というまっすぐな人物を、周りの人の目から描いていることです。島崎は、成瀬の挑戦を見守ることをうれしく思っていました。だから、成瀬が友人のことばだけで挑戦をやめたことに、がっかりします。一方、大貫は、成瀬の大きすぎるような夢を、おどろきながら受けとめます。同じ人物でも、見る人によって印象が変わることがよく分かります。
+αで覚えておきたいこと
小説では、誰の目から語るかを「視点」といいます。三人称の語りなら、まわりの様子を外から見て語ります。一人称なら「わたし」の気持ちが直接伝わります。複数の文章を読み比べるときは、同じ出来事が視点によってどう違って見えるかに注目します。また、「挑戦」「夢」は、人の心を動かす大切な力です。大きな夢をもつ人を、周りは笑ったり心配したりしますが、そこからお互いを理解していくこともあります。
令和05年度(2023年度)/第1回大問1「勉強する気はなぜ起こらないのか/外山美樹」
テーマ
「やる気とは何か。内からのやる気と外からのやる気の違い。」
読み取りのポイント
「やる気」が、行動を起こして続ける心の力だという説明をつかみます。
やる気を、内からのやる気と外からのやる気に分けて、その違いを比べます。
やる気の研究の歴史から、考え方が変わった流れを読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
やる気は、行動を引き起こして続ける心の力で、自分の内から出るものと、外から与えられるものに分けられる。具体例
ロボット掃除機は外から電力をもらうが、人は内側から動ける。具体例
楽しいから勉強するのは内からのやる気、しかられたくないからするのは外からのやる気。具体例
ネズミにえさをあたえて行動を覚えさせる実験が、昔の心理学で行われた。
本文を対比関係で整理
楽しいからやる(内からのやる気)↔︎ほめられたくてやる(外からのやる気)
行動そのものが目的↔︎行動は目的を達成する手段
昔の外からの働きかけ重視↔︎今の心の内側の重視
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
内からのやる気は、長く続きやすい。
それを支える根拠
行動そのものが楽しく、ほうびがなくても続けたいと思えるから。
結論・テーマ
昔の心理学は、外からの働きかけを重視した。
それを支える根拠
目に見える行動だけを調べる立場で、心の中は調べにくいと考えていたから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「すなわち、電力によって動力を得ているからです」解説
「すなわち」は換言の接続語で、前の内容を言いかえます。外から力をもらって動く、機械の説明です。
本文の表現
「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」解説
本文の中心となる二つの用語です。内からのやる気と外からのやる気に対応します。
本文の表現
「言い換えれば、「目的・手段」の観点から」解説
「言い換えれば」は換言の合図です。二つのやる気の違いを、目的と手段の関係で整理します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
やる気とは、行動を引き起こし、それを続けさせる心の力である。ロボット掃除機は外から電力をもらって動くが、人は心の内側から動ける。やる気は、行動そのものが目的の「内からのやる気」と、行動が目的を達成する手段である「外からのやる気」に分けられる。昔の心理学は目に見える行動に注目し、外からの働きかけを中心に考えたが、のちに心の内側も重視されるようになった。
テーマ解説
「やる気」と聞くと、気合のようなものを思いうかべます。でも心理学では、やる気は行動を始め、続けさせる心の力と考えます。この力には二つのタイプがあります。内からのやる気は、おもしろいから、知りたいからと思ってやる気持ちです。外からのやる気は、ほめられたい、しかられたくないなど、ごほうびやばつのためにやる気持ちです。本文は、この二つの違いを整理して、勉強への気持ちをどう育てるかを考える土台を作っています。
+αで覚えておきたいこと
心理学には、考え方の流れがあります。行動主義は、目に見える行動だけを調べる立場で、ねずみの実験などが有名です。その後、心の中のはたらきを調べる認知心理学が広がりました。また、ごほうびを与えすぎると、もともと楽しかった活動が、ごほうびのためだけになる「アンダーマイニング効果」が知られています。やる気を保つには、自分で選んでいる感覚や、できるようになった実感が大切だといわれます。「動機づけ」とは、やる気を引き出す仕組みや働きかけのことです。
令和05年度(2023年度)/第1回大問2「博士の長靴/瀧羽麻子」
テーマ
「親子のすれちがいと、相手の本当の姿に気づくこと。」
読み取りのポイント
気象の研究に夢中な父親と、その息子との心の距離を読み取ります。
家庭教師の「僕」が、息子の気持ちにどう寄りそったかに注目します。
父親のスケッチブックを通して、息子の見方がどう変わるかをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
身近な人の意外な一面に気づくことで、すれちがっていた親子の気持ちは近づく。具体例
先生は研究に夢中で、家族との会話が少ない。具体例
先生は毎日空の絵を描き続けており、息子はそのことを知らなかった。具体例
絵を見た息子は、父親への見方を変える。
本文を対比関係で整理
父親を理解できない息子↔︎父親の一面を知った息子
研究に夢中な博士↔︎絵をていねいに描く父
家庭の外から見る「僕」↔︎家族として悩む和也
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
和也は、父親に不満を感じていた。
それを支える根拠
父親が研究に夢中で、自分に関心をもっていないように思えたから。
結論・テーマ
和也の気持ちは変わり始めた。
それを支える根拠
父親が毎日描いた空の絵を見て、家族を大切に思う気持ちを知ったから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「だからこそ、おもしろい」解説
「こそ」は強調の助詞です。わからないことがあるから研究はおもしろいという、先生の考えを表します。
本文の表現
「少なからず責任を感じたからだ」解説
「少なからず」は「かなり」という意味の二重否定の形です。僕の心の重さを強く伝えています。
本文の表現
「親父があんなに楽しそうにしてるの、はじめて見たよ」解説
「はじめて」は、それまでと違う驚きを表します。和也の父への見方が動くきっかけです。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
僕/男性/大学院生/語り手で、和也の家庭教師。和也の気持ちを受けとめる。
和也/男性/15歳/藤巻先生の息子。父との関係に悩んでいる。
藤巻先生/男性/年齢不明/気象を研究する博士で和也の父。研究に夢中だが、空の絵を描き続けている。
奥さん/女性/年齢不明/和也の母。家族を静かに支える。
文章の要約
家庭教師の「僕」は、気象学者の藤巻先生の家を訪ねる。先生は研究に夢中で、息子の和也との会話は少ない。和也は父に冷たい態度をとるが、先生が毎日空の絵を描いていることを知る。「僕」は、自分が親の話を聞いた十五歳のころを思い出し、和也の気持ちに寄りそう。和也は、父のスケッチブックを見て、意外な一面に気づく。
テーマ解説
家族でも、相手のことをよく知らないことはあります。この文章の和也は、父親は研究だけが大事で、自分には関心がないと思っていました。しかし、家庭教師の「僕」と話し、父のスケッチブックを見ることで、父が毎日の空を大切に見つめていたことを知ります。人は、見えている部分だけで相手を決めつけやすいものです。本文は、相手のもう一つの顔に気づくことで、気持ちがやわらいでいく様子を描いています。
+αで覚えておきたいこと
気象の仕事では、台風や雨雲を観測して天気を予報します。「気象庁」は、雲や風のデータを集め、災害への注意を呼びかけています。小説では、登場人物の発言と行動のずれに注目すると、本心が読み取れます。「冗談めかして」のように、軽い言い方でごまかしながら本音を言う場面もあります。また、ほかの家庭を外から見る「僕」の立場は、中立に気持ちを受けとめる役を果たします。二十四節気では、「処暑」は夏の暑さが落ち着くころで、八月の終わりごろにあたります。
令和04年度(2022年度)/第1回大問1「値段がわかれば社会がわかる はじめての経済学/徳田賢二」
テーマ
「商品を作る人が、費用・利益・リスクを考えて値段を決める仕組み。」
読み取りのポイント
商品を作るには、費用がかかり、その費用を回収する必要があることをつかみます。
費用・収入・利益の関係を、グラフで表す考え方を読み取ります。
売れるかどうか分からない「不確実性」が、値段にどう影響するかに注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
商品を作る人は、かかった費用と、必要な利益と、売れ残りなどのリスクを考えて値段を決めている。具体例
イチゴを作るには、苗や肥料、ハウスなどの費用がかかる。具体例
費用を上回る収入がないと、利益は出ない。具体例
台風や相場の変化で、予想より売れないことがある。
本文を対比関係で整理
収入が費用を上回る(利益が出る)↔︎収入が費用を下回る(損失が出る)
予想が当たる↔︎売れ残るかもしれない
高すぎる値段↔︎安すぎる値段
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
生産者は、売れたあとの利益まで考えて値段を決める。
それを支える根拠
来年の生産にも費用がかかり、その費用は今年の利益でまかなう必要があるから。
結論・テーマ
生産者は、売れるかどうか分からない不安を抱える。
それを支える根拠
生産を始めてから出荷まで時間がかかり、その間に買う人や天候が変わるから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「したがって、(今年度に必要な)収入は…」解説
「したがって」は帰結の接続語です。前に示した費用の計算から、必要な収入を導いています。
本文の表現
「ところが、生産者にとって、やっかいな不確実性とリスク」解説
「ところが」は逆接です。計算どおりにいくという話から、予想外の事情があるという話に流れが変わります。
本文の表現
「このように消費者に関わるリスク以外にも…」解説
「このように」は前をまとめる合図です。リスクが複数あることを整理しています。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
商品を作る人は、生産にかかる費用を回収し、利益を出せるように値段を決める。費用には、苗や肥料、ハウスなどのお金がある。費用を上回る収入が得られなければ、損失が出る。しかし、実際には、売れるかどうかが分からない不確実性や、他の生産者との競争、天災などのリスクがある。生産者は、これらを考え合わせて値段を判断している。
テーマ解説
スーパーのイチゴの値段は、どうやって決まるのでしょうか。作る人は、苗や肥料、ハウスなどの費用をまず支払います。その費用を売って取り戻し、さらに次の年の準備のための利益も必要です。しかし、売れるかどうかは分かりません。台風でだめになるかもしれないし、他の農家がもっと安く売るかもしれません。作る人は、これらのリスクを考えながら、値段を判断しています。
+αで覚えておきたいこと
経済の用語を確認しましょう。費用は商品を作るために使うお金、収入は商品を売って得るお金、利益は収入から費用を引いた残りです。逆に費用のほうが多ければ損失になります。また、商品の値段は、買いたい人の数(需要)と売りたい量(供給)の関係でも決まります。人気があって数が少ない商品は高くなり、ありふれた商品は安くなります。作る人も買う人も、将来の予想をもとに行動している点が、経済の特徴です。
令和04年度(2022年度)/第1回大問2「ハリネズミは月を見上げる/あさのあつこ」
テーマ
「独りになることを恐れる気持ちと、自分を認めてくれる人との出会い。」
読み取りのポイント
主人公が、学校で独りだと思われることを恐れる気持ちを読み取ります。
独りを恐れない同級生と接して、主人公の見方が変わる過程に注目します。
自分の書いた物語をほめられて、主人公が感じたことをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
ありのままの自分を認めてくれる人との出会いは、孤立への恐れをやわらげ、心に温かさをもたらす。具体例
主人公は、昼食を一緒に食べる友だちがいないことを恐れていた。具体例
同級生の菊池さんは、鳥の話を楽しそうに聞いてくれる。具体例
菊池さんは、主人公の書いた物語を「おもしろい」と言ってくれる。
本文を対比関係で整理
独りを恐れる主人公↔︎独りを恐れない菊池さん
集団に合わせようとする気持ち↔︎ありのままの自分を出す気持ち
暗く沈んだ気持ち↔︎温かく軽やかな気持ち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
主人公は、菊池さんに心をひらいた。
それを支える根拠
菊池さんが、自分の話や物語を否定せず、おもしろいと受けとめてくれたから。
結論・テーマ
主人公は、独りになることへの恐れが弱まった。
それを支える根拠
独りでも平気そうに見える菊池さんと話し、自分も無理に合わせなくてよいと感じたから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「独りでいいんだと、ふっと思ってしまう。独りになることを怖がらなくていいんじゃないか」解説
「ふっと」は、ふいに心が動く様子を表します。恐れから少し離れる、心の変化の始まりです。
本文の表現
「でも、わたしは誰にも嫌われたくない」解説
「でも」は逆接です。独りでいたい気持ちと、嫌われたくない気持ちが対立していることを示します。
本文の表現
「わたし自身をわたしを知っている他人も、おもしろいなんて思わない」解説
自分の価値を低く見ている言い方で、ありのままを認められた喜びの大きさが後から対比されます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
御蔵さん/女性/高校生/語り手の「わたし」。人間関係に敏感で、鳥と物語が好き。
菊池さん/女性/高校生(御蔵さんの同学年)/独りでもいられる、落ち着いた同級生。
祖母/女性/高齢/御蔵さんに鳥の話を教えた人。
文章の要約
御蔵さんは、集団の中で独りになるのを恐れている。ある日、同じ高校の菊池さんと話す機会ができ、鳥の話を楽しく交わす。御蔵さんは、祖母の家の庭に来ていた鳥の思い出を語る。菊池さんは、御蔵さんが国語の課題で書いた物語を「おもしろい」と言い、笑ってくれる。そのことばに、御蔵さんは、ありのままの自分が受け入れられたと感じる。
テーマ解説
学校では、「友だちがいない」と思われることを恐れる人が少なくありません。御蔵さんも、独りになることを怖がり、周りに合わせていました。しかし、独りでもいられる菊池さんと出会い、自分の話や物語をありのままに認めてもらうことで、気持ちが軽くなります。人はだれでも、自分を受け入れてくれる人がいると、安心して自分らしくいられます。本文はその喜びを描いています。
+αで覚えておきたいこと
「孤独」と「孤立」は似ていますが、少し違います。孤独は、ひとりでいる気持ちや状態、孤立は、まわりとのつながりを失った状態です。ひとりで過ごす時間は、自分を見つめる大切な時間にもなります。大切なのは、つながりたいときに、無理なくつながれることです。タイトルの「ハリネズミ」は、傷つかないようにトゲを立てる動物で、人間関係で身を守る心の比ゆとして使われることがあります。「月を見上げる」は、静かに遠くを見つめる姿勢を表しています。
令和03年度(2021年度)/第1回大問1「先生はえらい/内田樹」
テーマ
「学びは、学ぶ人自身が意味を見つけて成り立つということ。」
読み取りのポイント
先生がえらいかどうかは、学ぶ側の見方で決まる、という筆者の主張をつかみます。
「あなたの真価を理解しているのは私だけ」という考え方の意味を読み取ります。
学ぶ人が、先生のことばをどう受けとるかが大切だという点に注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
学びは、教える人の力だけでなく、学ぶ人が「この人から学びたい」と思うことで成り立つ。具体例
愛の告白では、「あなたの真価を理解しているのは私だけ」という思いこみが力になる。具体例
先生のことばを「教え」として受けとめるかどうかは、学ぶ人しだいである。具体例
先生が間違ったことを言っても、受けとめ方しだいで学びが生まれることがある。
本文を対比関係で整理
先生が教える↔︎弟子が学びとる
知識を与えられる↔︎自分で意味を見つける
みんなと同じになりたい人↔︎自分だけの学びを求める人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
学ぶ人は、先生から学びとることができる。
それを支える根拠
学ぶ人が、先生の中に「自分にしか分からない価値」を見つけようとするから。
結論・テーマ
学びは、一人ひとり違うものになる。
それを支える根拠
弟子は、同じ先生から違うものを、それぞれの器に合わせて学びとるから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「つまり、あなたは、誰にも認められない」解説
「つまり」は換言の接続語で、前の内容を言いかえてまとめています。愛の告白の例を説明する部分です。
本文の表現
「学ぶのは、〜ためではありません」解説
「〜ではなく」の否定構文で、ふつうの考え方を否定して、本当の考えを導きます。
本文の表現
「「学びの主体性」というのは、そういうことです」解説
キーワードを示す言い方です。学びの中心は、学ぶ側にあるという主張を表します。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
学びは、先生から同じことを学ぶのではなく、学ぶ人が自分にとって意味のあることを見つけて成り立つ。愛の告白のように、「あなたの真価を理解しているのは私だけ」という思いが、人を動かす。先生がえらいかどうかは、先生ではなく、学ぶ人が決める。先生から送られたことばを、受け取る側が「教え」と受けとめたとき、学びが成立する。
テーマ解説
「いい先生」とは、どんな人でしょうか。筆者は、先生がえらいのは、学ぶ側がそう受けとめるからだと考えます。同じ授業を聞いても、ある人は大きな発見をし、別の人は何も得ません。この違いは、学ぶ人が意味を見つけようとするかどうかから生まれます。筆者は愛の告白を例に、「自分にしか分からない価値がある」と信じる気持ちが人を動かすと説明します。学びも同じで、自分で学びをつくる態度が大切だと伝えています。
+αで覚えておきたいこと
「主体性」とは、自分で考えて自分から行動することです。反対に、言われたとおりに動くことを「受け身」といいます。古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、問答を通して相手に自分で考えさせる方法で学びを導きました。また、「師弟関係」は、ただ教える人と教わる人の関係ではなく、学ぶ人の尊敬や信頼があって成り立つといわれます。身近な例では、部活動のコーチや習い事の先生を、「自分にとってどんな人か」と考えてみると理解が深まります。
令和03年度(2021年度)/第1回大問2「好きって、きついよ。/ひこ・田中」
テーマ
「初めて人を好きになった少年が、戸惑いながら気持ちに向き合う姿。」
読み取りのポイント
主人公が、自分でも分からないまま、好きという気持ちにふり回される様子を読み取ります。
友だちとの会話から、主人公が自分の気持ちに気づいていく流れをつかみます。
好きだという気持ちが、うれしさだけでなく苦しさもともなう点に注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
人を好きになることは、うれしいだけでなく、不安やきつさもともなう、自分でもコントロールできない気持ちである。具体例
主人公は、同級生の中村を見るだけで胸がドキドキする。具体例
教室や運動場で、つい中村を目で追ってしまう。具体例
中村のことで頭がいっぱいになり、友だちの話にも集中できない。
本文を対比関係で整理
うれしい気持ち↔︎苦しい気持ち
友だちとして見ていたとき↔︎好きだと気づいたあと
自信のあるふだんの自分↔︎ふり回される今の自分
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
主人公は、ふだんどおりにいられなくなった。
それを支える根拠
中村を好きになり、いつも彼女のことを考えてしまうようになったから。
結論・テーマ
主人公は、自分の気持ちを持てあます。
それを支える根拠
好きという気持ちを、どう扱えばよいのか分からず、不安が大きくなるから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「ぼくは、中村が好きだ…」解説
自分の気持ちを言葉にする場面で、物語の転換点です。それまでの戸惑いが、はっきりした形になります。
本文の表現
「ぼくは今まで、中村を好きとか嫌いとか思ったことはなかったと思う」解説
「今まで〜なかった」は、以前との対比を示す言い方です。気持ちの変化の大きさを強調します。
本文の表現
「段々気になり始めて、好きって告白するって順番に進むことで、ぼくのはおかしいんじゃないか」解説
ふつうの順番と自分の気持ちの違いに戸惑う場面で、不安が強まる様子が読み取れます。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
ぼく(イオリ・西山)/男性/小学6年生(11歳)/語り手。眼鏡をかけている。中村への気持ちに戸惑う。
中村/女性/小学6年生/ぼくの同級生で、ツインテールが特徴の少女。
タクト/男性と考えられます/小学6年生/ぼくの友だち。気軽に相談できる相手。
ルイ/本文で性別は明記されていません/小学6年生/ぼくの友だち。
文章の要約
小学六年生のイオリは、授業が終わって家に帰ると、中村のことを考えて胸がどきどきする自分に気づく。中村のことが好きなのだと思うが、これまでそんな気持ちになったことはなかったので戸惑う。友だちのタクトやルイに相談し、あれこれ考えるうち、気持ちはさらに大きくなる。好きだという気持ちが、うれしさとともに苦しさをもたらすことをイオリは知る。
テーマ解説
この文章は、はじめて人を好きになる気持ちを、小学生の目線で描いたものです。主人公のイオリは、好きだと気づいたあと、うれしさだけでなく、苦しさや不安も感じます。相手を見てしまう、顔を見るとドキドキする、でも話しかけられない。そんな自分でもコントロールできない気持ちに、イオリは戸惑います。タイトルの「きつい」は、好きという気持ちの重さやつらさを表しています。
+αで覚えておきたいこと
気持ちが変化する年ごろは、「思春期」と呼ばれます。体や心が大人に近づき、自分でも説明できない感情をもつことが増えます。そのとき、友だちや家族に話すと、気持ちが整理されることがあります。また、小説の「一人称」では、「ぼく」の気持ちが直接語られるため、読む人は主人公と同じ目線で気持ちを体験できます。物語では、体の反応(胸がドキドキする、顔が熱くなる)で気持ちを表現することがよくあります。
令和02年度(2020年度)/第1回大問1「聞く技術・伝える技術/菅原裕子」
テーマ
「自分の思いこみを外して、相手の話をありのままに聞く大切さ。」
読み取りのポイント
「聞く」ことが、心の問題であり、能力として身につけられることをつかみます。
自分の考え方が相手の話をゆがめて聞かせている、という指摘を読み取ります。
聞き方を変えることで、人間関係や仕事がよくなる例に注目します。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
私たちは自分の考え方(観念)を通して相手の話を聞いてしまう。自分の観念に気づくことが、あるがままに聞く第一歩である。具体例
翻訳機つきの耳で聞くように、相手の言葉を自分の解釈に変えてしまう。具体例
「ハッシン」のように、聞くことを学ぶ場がほとんどない。具体例
経営者Mさんは、聞き方を変え、社員の信頼と会社の成長を得た。
本文を対比関係で整理
相手のあるがままの話↔︎自分の観念を通した話
自己内コミュニケーションに気づく↔︎気づかないまま聞く
聞き方を変えた経営者↔︎指示命令だけの経営者
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
私たちは相手の話を正しく聞けない。
それを支える根拠
自分の観念(思いこみ)がメガネになり、話を自分の都合で解釈してしまうから。
結論・テーマ
聞き方を変えると、人間関係がよくなる。
それを支える根拠
相手の話をそのまま受け入れることで、信頼が生まれ、社員の力が引き出されるから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「聞くことは心の問題であり、それは心理学や精神的な領域と捉えられてきた」解説
一般的な考えを紹介する部分です。このあと筆者は、聞くことを学べる「技術」と見る立場を示します。
本文の表現
「相手の話を聞いているのではありません」解説
否定の構文で、ふつうの思いこみを否定し、本当の問題点を示しています。
本文の表現
「聞くことの難しさは、相手の言葉を聞く以前に、自分の言葉を聞いてしまっているということにあります」解説
「AでなくB」の対比で、筆者が考える難しさの中心を示す、とても重要な一文です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
文章の要約
筆者は、聞き方に関する本が少ないことから、聞くことを学ぶ教室を開いた。聞くことは心の問題と考えられてきたが、技術として身につけられる。しかし、私たちは自分の観念というメガネを通して相手の話を聞いてしまう。まず自分の観念に気づき、相手のあるがままを受け入れる聞き方が大切である。経営者のMさんは聞き方を変え、社員の信頼と成長を得た。
テーマ解説
「ちゃんと聞いているよ」と思っていても、実は自分の考えにあてはめて聞いていることがあります。筆者はこれを、メガネ(観念)を通して聞いていると表現します。たとえば、「この人はこう言うはずだ」と決めつけると、相手の本当の気持ちに気づけません。聞く力を高めるには、まず自分の思いこみに気づくことが必要です。それができると、相手との信頼が深まり、人間関係もよくなります。
+αで覚えておきたいこと
「観念」とは、その人が心の中にもっている考えや思いこみのことです。似た言葉に「先入観」があり、実際に見たり聞いたりする前から持っている固定した見方を指します。傾聴という言葉は、相手の話を注意深く、ありのままに聞くことを意味し、カウンセリングで重要とされます。聞き上手の基本は、相づちをうつ、さえぎらない、まず受けとめることです。自分が話したい気持ちを少し置いておくだけでも、相手の話がよく聞こえます。
令和02年度(2020年度)/第1回大問2「ブロードキャスト/湊かなえ」
テーマ
「仲間のために自分の気持ちを抑える苦しさと、本音で向き合う勇気。」
読み取りのポイント
全国大会に行けるのが限られた人数だけという状況で、各人が抱える気持ちを読み取ります。
気づかいのつもりの行動が、かえって相手を傷つけることがある点に注目します。
本音を伝えられた人が、自分の態度をどう見つめ直すかをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
相手のためと思った気づかいより、本音で向き合うことが、本当に大切な場面がある。具体例
三年生は、一年生の宮本を全国大会に連れていこうとして、決めきれずに気まずくなる。具体例
宮本は、自分が行くかどうかより、作品と向き合うことが大切だと話す。具体例
部長は、気づかいが逆に宮本を傷つけていたと知り、恥じ入る。
本文を対比関係で整理
気づかいで黙る先輩↔︎本音を言う宮本
全国大会に行ける三年生↔︎行けない後輩たち
うわべの話し合い↔︎本気の話し合い
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
部長は、自分を恥じた。
それを支える根拠
宮本の気持ちを思いやったつもりが、実は一番大切なことを見落としていたと気づいたから。
結論・テーマ
宮本は、本音を話した。
それを支える根拠
作品について、先輩たちに本気で向き合ってほしいと思っていたから。
重要コアフレーズ
本文の表現
「だけど、正也を全国大会に連れて行かないのはおかしいと思っている」解説
「だけど」は逆接で、先輩たちの考えと、僕の意見がぶつかる場面です。
本文の表現
「黙っていても解決しません。話し合いをしようともしないなんて」解説
否定の言い方で、問題を避ける姿勢を批判しています。作品と向き合うことの大切さが見えてきます。
本文の表現
「正也は静かに、だけど、力強く遮った」解説
「だけど」は逆接で、おだやかさの中の強い意志を表現しています。宮本の本音が重く響く場面です。
cf.構造読解を可能にする「読解重要コアフレーズ130講座(新しいタブで開きます)」
登場人物
僕(町田くん)/男性/高校1年生/語り手。放送部員。宮本の気持ちを思いやる。
宮本正也/男性/高校1年生/放送部員。作品づくりに真剣で、本音を話す。
月村部長/性別は本文で明記されていません/高校3年生/放送部の部長。後輩の気持ちを思いやるつもりだった。
白井先輩・アツコ先輩ほか/本文で個別の説明は少なめです/高校の先輩/全国大会に行く人数をめぐって話し合う。
文章の要約
高校の放送部は、全国大会に出場できることになったが、行けるのは五人だけだった。三年生を優先する流れの中で、一年生の宮本正也は、作品づくりに大きく貢献したのに、行けないことになりそうだった。部長は宮本を気づかうが、宮本は、本当に大事なのは自分たちの作品と向き合うことだと伝える。部長は、自分の気づかいのずれに気づき、恥じ入った。
テーマ解説
人を思いやるとき、相手のためと思って黙ることが、かえって相手を傷つけることがあります。この文章では、先輩たちが宮本に気をつかって、はっきり話さない場面があります。しかし宮本は、行けるかどうかよりも、作品と本気で向き合うことが大切だと伝えます。この本音を聞いた部長は、自分の気づかいが本質からずれていたと気づきます。本音で向き合う勇気が、本当の信頼につながることを、物語は教えています。
+αで覚えておきたいこと
「建前」とは表向きの態度や言い方、「本音」とは心の中の本当の気持ちのことです。日本の社会では、相手に気をつかって本音を言わない場面がよくあります。しかし、話し合いを避けると、問題は解決しません。意見がぶつかるのは悪いことではなく、お互いを理解するきっかけになることもあります。また、「放送部」の活動では、ラジオドラマやドキュメンタリーなどの作品を作り、コンテストに出品します。作品について意見を言い合う経験は、表現を磨く大切な機会です。
フェリス女学院中学校
令和08年度(2026年度)大問1「うまねむる/河崎秋子」
テーマ
「動物の力を借りて生きる人は、その命への責任を静かに背負っている。」
読み取りのポイント
動物の体を守る仕事の人が、酒を飲まずにいつも注意して働く理由から、命をあつかう職人の覚悟と、お客さんの信らいの大切さを読み取りましょう。
動物が亡くなったとき、「だれか一人が悪いわけではない」と語る言葉の意味を、人の生活の事情や、動物が重い仕事をになう時代の背景とあわせて考えましょう。
少年が、仕事に向き合う大人の姿を見て、命の重さと仕事の責任をどのように感じ取っていくか、その気持ちの変化に注目しましょう。
本文を対比関係で整理
馬が働き手として活やくする時代↔︎車や機械に仕事がうつっていく時代
馬の体を守ろうとする職人の仕事↔︎生活のために馬を使いすぎる人の都合
あつかいに不慣れな人が起こした事故↔︎馬を知りつくした人のていねいな仕事
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
動物の命を預かる仕事では、かかわる人みなが責任を負う。
それを支える根拠
弱った原因は、不慣れな扱いや使いすぎなど、いくつも重なっているから。
結論・テーマ
職人は、動物の負担を減らす仕事で責任を果たす。
それを支える根拠
ひづめを守る鉄をつけるなど、毎日ていねいに働き、動物が長く働けるようにするから。
登場人物
鈴木雄一/男性/大人(思い出の中では小学5年生)/父の仕事を見て育った。今はダンプカーの運転手。
鈴木陽一/男性/大人/雄一の父。馬のひづめを守る鉄をつける、頑固でまじめな職人。
林先生/男性/若い大人/雄一の担任。農家育ちだが、馬の扱いに不慣れだった。
山口獣医師/男性/大人/倒れた馬を診て、最期を見とどけた。
文章の要約
大人になった雄一は、荷車を引く馬を車でせかす同僚の姿に強い怒りを覚え、子どものころを思い出します。昭和三十五年、江別で蹄鉄屋の父を見て育った小学五年の雄一は、学校の畑を耕す馬が、不慣れな先生のあつかいで脚を折り、亡くなる場面に立ち会います。父に「もともと脚が悪かったのか」とたずねると、「だれかだけが悪いわけではない」と答えます。馬の負担を軽くしたい職人として、責任の一部を静かに負う父の姿を、雄一は見つめました。
テーマ解説
昔の北海道では、馬は畑をたがやしたり、重い荷物を運んだりする大切な働き手でした。馬は毎日はげしく働くので、足のひづめがすり減ったり、脚を痛めたりしやすい生きものです。そこで、ひづめを守る鉄(蹄鉄)をつける蹄鉄屋という職人が必要とされました。蹄鉄屋は馬の体をよく知っていて、馬が長く元気に働けるよう、毎日ていねいに仕事をします。動物のそばで働く人は、動物の健康を守ることで、人の暮らしも支えているのです。馬を使いすぎてしまうのは、生活のためにやむを得ない人の都合でもあります。ですから、馬が亡くなったときは、一人だけを責めるのではなく、かかわった人みなが責任の一部を持っているという見方が生まれます。命を使って生きる人は、その重さを忘れず、できる形で責任を果たそうとします。この静かな覚悟が、人の心を打つのです。
+αで覚えておきたいこと
馬と人の関係の変化
北海道は明治時代から開拓が進み、農作業や木材の運び出しに馬が欠かせませんでした。昭和30年代(1955年ごろから)になると、トラクターやトラックが広まり、馬の仕事は少しずつ機械に置きかわりました。
蹄鉄とは
馬のひづめは、人のつめのようにのび続けます。そのため、1〜2か月ごとにひづめを整え、蹄鉄をつけかえる必要があります。蹄鉄はU字の形をした鉄で、ひづめを守り、すべりを防ぐはたらきがあります。
馬耕とばん馬
馬に「プラウ」という道具を引かせて畑の土をほり返す作業を、馬耕といいます。北海道では、重い荷を運ぶために、大きくて力の強い「ばん馬」が活やくしました。今でも帯広市では、ばん馬が重いそりを引いて競う「ばんえい競馬」が行われています。
馬の体の特ちょう
馬は体が大きい割に、脚がとても細く、おどろきやすい動物です。脚を大きく痛めると、体重を支えられなくなり、助けるのがむずかしい場合が多くあります。そのため、日ごろのひづめの手入れが大切にされてきました。
責任の考え方
出来事の原因は、一つとはかぎりません。人、道具、時間、お金など、いくつもの理由が重なって起こることが多くあります。一人だけを悪者にするのではなく、起きたことを見つめ直し、次に同じことが起きないようにする姿勢が大切です。
動物とともに生きる
今は「アニマルウェルフェア(動物福祉)」という考え方が世界に広がっています。動物が健康で、苦しみ少なく暮らせるように、人間が責任を持つという考えです。
令和08年度(2026年度)大問2「出会う/永井玲衣」
テーマ
「言葉は使い古されても、出会った人の生き方にせまる力を持っている。」
読み取りのポイント
一行の詩の言葉に出会って、心を大きくゆさぶられた人の体験から、言葉が人の心や生き方にあたえる力の大きさを読み取りましょう。
言葉があふれて使い古され、意味を失うことがあるという考えと、それでも力を失わない言葉のちがいに注目しましょう。
書いた人がもうこの世にいなくても、その言葉が今生きている人の心を動かし続ける様子を読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
使い古されて意味を失う言葉↔︎人の生にせまる生き生きとした言葉
言葉に出会う前の何気ない毎日↔︎一行の言葉に心を打たれた後の気持ち
書いた人がもういないという現実↔︎今も人の心を動かし続ける言葉
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
言葉との出会いは、人の心や生き方を大きくゆさぶることがある。
それを支える根拠
知らなかった詩の一行に出会い、強い衝撃で思わず写真をとった人がいたから。
結論・テーマ
言葉は、書いた人がいなくなっても生き続ける。
それを支える根拠
詩人はすでに亡くなっているのに、その言葉は今も人の心を強く脈打たせているから。
文章の要約
インタビューで出会ったカメラマンは、たまたま出会った詩の一行に心をゆさぶられ、思わず写真をとったと話します。その詩は、谷川俊太郎の「かなしみ」でした。書き手のわたしは、その話を聞いて胸をつかれます。言葉は、ふみしめられて味がなくなったり、道ばたに捨てられたりすることもあります。それでも、一人の生にせまるほどの力を持つ言葉があること、そして詩人がもういないのに言葉は今も生きていることに気づきます。
テーマ解説
私たちは毎日、たくさんの言葉を目にし、耳にします。同じ言い回しがくり返されると、言葉は使い古されて、本当の意味や力を失いやすくなります。ところが、ふと出会った一行の言葉が、自分の生き方にせまってくるほどの強い力を持つことがあります。それは言葉そのものが変わったからではなく、受け取る人の心の状態や、そのときの出来事と結びつくからです。たとえば、悲しいときに出会った言葉は、ふだんよりずっと深く心にしみます。また、言葉は書いた人がいなくなっても残ります。言葉は書いた人の命をこえて、今生きている人の心を動かし続けるのです。だから、言葉と出会うことは、人と出会うことに似ているといえます。
+αで覚えておきたいこと
詩とは 少ない言葉で、気持ちや景色を表す文章です。たとえ(比喩)や行の区切りによって、読む人が自由に思いを広げられます。同じ詩でも、読む人や読むときによって、感じ方がちがうのが特ちょうです。
谷川俊太郎 日本を代表する詩人で、2024年に亡くなりました。詩集『二十億光年の孤独』、絵本『もこ もこもこ』、『ことばあそびうた』、アニメ『鉄腕アトム』の主題歌の作詞などで知られます。
使い古される言葉 何度も使われて、新鮮さがなくなった言葉のことです。決まり文句は、わかったつもりになって、深く考えずに使いやすい面があります。自分の言葉で言いかえてみると、本当の意味を考え直すきっかけになります。
「出会う」という表現 人にだけでなく、言葉や本、音楽にも使えます。出会ったことで、見える世界やものの考え方が変わることを表します。
随筆の読み方 随筆は、筆者の体験と、そこから考えたことが組み合わさった文章です。「どんな体験があったか」と「そこからどんな考えを持ったか」を分けて整理すると、読みやすくなります。
「生」という言葉 ここでの「生」は、命や、人が生きること、人生という意味です。「生にせまる」とは、その人の生き方に深くかかわってくる、ということです。
令和07年度(2025年度)大問1「幻年時代/坂口恭平」
テーマ
「友だちとの冒険を通して、子どもは家族の外の世界へ成長していく。」
読み取りのポイント
近所のよごれた川を冒険の場にして、友だちと進むことで、子どもの目に世界がどう変わって見えるかを読み取りましょう。
一人ではこわい暗やみも、仲間がいれば立ち向かえるという、気持ちの変化に注目しましょう。また、冒険の中での歌やくふうの役わりも読み取りましょう。
家族とはちがう仲間とつながる場面を通して、子どもが成長していく様子と、家族に対する気持ちの変化を読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
親に守られた家族との毎日↔︎自分たちで進む友だちとの冒険
一人で歩くときの暗やみへの恐怖↔︎仲間がいて立ち向かえる勇気
母がにぎってくれる安心の手↔︎仲間と助け合いをちかう手
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
友だちとの冒険は、子どもを家族の外の世界へ成長させる。
それを支える根拠
暗いトンネルを仲間とぬけた経験で、強い結びつきが生まれたから。
結論・テーマ
仲間の手は、助け合いをちかう新しい関係のしるしになる。
それを支える根拠
親にも話せない秘密の冒険を分かち合い、手をにぎり合ったから。
登場人物
僕(恭くん)/男性/4歳/タカちゃんと冒険に出る、ひかえめな男の子。
タカちゃん/男性/年齢は書かれていないが僕と同じくらい/冒険の首長。自然にくわしく、頼りになる。
吉村/男性/小学1年生/でっぷりとして力が強い、近くの集落の男の子。
田村/男性/小学1年生/細身で頭がよい、吉村の友だち。
文章の要約
僕は、冒険が好きなタカちゃんと、家の近くのドブ川の冒険に出ます。懐中電灯をたよりに暗いトンネルを進み、虫のガガンボにおびえながらも、「コバヤン」という歌で恐怖をはらいます。途中で出会った小学一年生の吉村と田村も、発ぽうスチロールの船に乗って冒険に加わります。四人はトンネルの出口で海辺に出て、新しい部族のような仲間になります。帰り道でにぎった手は、家族をこえるつながりのはじまりを感じさせました。
テーマ解説
子どもは成長すると、家族に守られた世界から、友だちとつくる世界へと少しずつ歩み出します。家の近くの川を冒険の場所にして、友だちと進む体験は、子どもにとって世界を広げる大きなできごとです。暗やみやこわいものも、仲間がいると立ち向かえます。そして仲間が増えるほど、冒険の様子も変わっていきます。最後に四人が手をにぎり合う場面では、家族とはちがう、自分たちで選んだ仲間とのつながりが生まれたことが示されます。それは親にも話しきれない、自分だけの新しい世界のはじまりでもあります。親とつなぐ手が安心をくれるのに対し、仲間とつなぐ手は、助け合いをちかう合図になるのです。
+αで覚えておきたいこと
通過儀礼 人が成長の節目で通る儀式や体験のことです。七五三や成人式がその例です。子どもの冒険も、大人に近づくための通過儀礼の一つと見ることができます。
共同体 同じ目的や気持ちでつながった人の集まりです。家族のように血のつながりがなくても、助け合う仲間は共同体になります。
見立て ふつうのものを、別のものにたとえて遊ぶことです。子どもは、川を海に、発ぽうスチロールを船に見立てて、ふだんの場所を物語の舞台に変えます。
冒険物語の型 冒険の物語は、「出発→困難→仲間との出会い→帰還」という流れが多くあります。童話『エルマーのぼうけん』のような作品も同じ型です。主人公が前よりも成長して帰ってくる点に注目します。
歌やおまじないの力 こわいときに歌ったり、おまじないをとなえたりすると、気持ちが落ち着くことがあります。恐怖を笑いに変えることは、人が不安に立ち向かうためのくふうの一つです。
坂口恭平 熊本県出身の作家で、画家や建築家としても活動しています。『0円ハウス』や『独立国家のつくりかた』などの作品があります。
令和07年度(2025年度)大問2「建築家のアタマのなか/小堀哲夫」
テーマ
「個人的な空想こそが、人の心を動かす建築をつくる力になる。」
読み取りのポイント
課題を解決するだけでは人を感動させる建築はできない、という考えと、空想する力が必要な理由を読み取りましょう。
「空想」と「想像」はどうちがうのか、言葉の意味のちがいに注目して読み取りましょう。
「なぜそんなことを考えるの?」と言われるような個人的な思いが、新しいものを生む力になることを読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
課題を解決するだけの建築↔︎人を感動させる建築
目に見えないものを思いうかべる想像↔︎常識をこえて欲求を追う空想
合理的で効率を求める考え方↔︎個人的で不合理に見える空想
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
空想力は、人を感動させる建築をつくるために必要である。
それを支える根拠
課題解決だけでは、便利なものはできても、人の心を動かすものはつくれないから。
結論・テーマ
個人的な空想は、否定せずに大切にするべきである。
それを支える根拠
常識をこえた個人的な思いが、建築をつくる原動力になるから。
文章の要約
建築家にとって大切なのは、空想する力です。課題を解決するだけでは、機能的なものはつくれても、人を感動させる建築はできません。人々の夢や思いを重ねる空想力が必要だからです。空想は、常識をこえた個人的な欲求であり、想像とはちがいます。子どものころはだれでも空想をふくらませますが、大人になると人の目を気にしてやめてしまいます。しかし、とっぴょうしもない空想こそが、建築をつくる原動力になります。たとえば、ピラミッドも人の強い空想から生まれました。
テーマ解説
建築家は、安全のきまりや使いやすさなど、解決すべき課題をたくさん考えて建物を設計します。しかし、課題を解決するだけでは、便利でも人の心を動かす建築にはなりません。人の心を動かすには、使う人の夢や思いを重ねる必要があり、そこで空想する力が役に立ちます。空想は、目に見えないものを思いうかべる想像とはちがい、ふつうの考えをこえて、自分の欲求のままに思いをふくらませることです。子どものころは自由に空想できますが、大人になると人の目や評価を気にして、空想をやめてしまいます。人から「なぜそんなことを?」と思われても、そうした個人的な思いこそが、新しいものをつくる原動力になるのです。
+αで覚えておきたいこと
空想と想像のちがい 想像は、目に見えないものを思いうかべることです。空想は、ふつうとはちがう状態や、現実ばなれしたことまで自由に思いえがくことです。このちがいを知っておくと、似た言葉を読み分けやすくなります。
建築家の仕事 建築家は、建物の形や中のつくりを考えて設計する人です。建物は、法律(建築基準法など)の決まりを守る必要があります。そのうえで、人が心地よく感動する場所をつくります。
ピラミッド エジプトのギザにある大ピラミッドは、約4500年前につくられた巨大な建物です。昔の人の強い思いと空想がなければ、あれほどの建物は生まれなかったと考えられます。
理由を自分に問う 新しい発想は、「なぜだろう」「どうしてほしいのだろう」と、自分の気持ちを見つめることから生まれます。他の人の評価を気にしすぎると、自分らしいアイデアがしぼんでしまいます。
大阪・関西万博 2025年に大阪で開かれた万国博覧会(万博)です。世界の国や企業が、未来の技術やくらしを紹介する建物(パビリオン)を出しました。建築家は、こうした建物でも、人の心を動かす形を考えます。
令和06年度(2024年度)大問1「兵隊宿/竹西寛子」
テーマ
「出征する人とのふれあいを通して、少年は別れの悲しみと心の成長を知る。」
読み取りのポイント
戦争のころ、軍人が家に泊まる暮らしの中で、少年や周りの大人が見せる態度のちがいを読み取りましょう。
馬が好きな少年が、軍人たちとのふれあいを通して、ふだんにない安心や親しみを感じる様子に注目しましょう。
軍人たちが去ったあとに届いた手紙や写真から、少年が知った別れの悲しみと心の変化を読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
軍人を心からもてなす母親↔︎不満をもらす手伝いの小母さん
馬の絵をかいて楽しく過ごす毎日↔︎軍人たちの運命を思うたまらなさ
軍人と過ごしていたころの親しみ↔︎別れた後に感じた深い悲しみ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
戦争中の別れは、子どもの心にも深い悲しみを残す。
それを支える根拠
いっしょに過ごした軍人が戦地へ向かい、その運命を思わずにいられなかったから。
結論・テーマ
人は、人とのふれあいを通して新しい感情の世界を知る。
それを支える根拠
家族にも言えない別れの意味を一人で受けとめ、悲しみの中で心が一歩進んだから。
登場人物
ひさし/男性/小学4年生/馬が大好きで、馬の絵がうまい少年。
ひさしの母親/女性/大人/泊まる軍人たちに、お茶やお菓子で心をこめてもてなす。
小母さん/女性/大人/住みこみで家の手伝いをし、軍人たちの世話に不満をもらす。
背の高い将校/男性/20代に見える若者/馬が好きなひさしにやさしく話しかける。
文章の要約
戦争のころ、馬の絵が好きな少年ひさしの家に、出征をひかえた三人の将校が泊まります。母親は心をつくして世話をし、小母さんは不満をもらします。ひさしは毎朝、将校たちを見送り、乗っている馬をながめて親しみを感じます。出発の前に、将校たちを神社へ案内し、戦死者の墓地に頭を下げる姿を見ます。やがて将校から写真と手紙が届き、ひさしは別れの悲しみの中で、新しい感情の世界に一歩入ったことを知ります。
テーマ解説
戦争のころ、出征する軍人たちは、出発を待つあいだ、ふつうの家に泊まることがありました。少年は、馬が好きという気持ちから、軍人たちに親しみを持ちます。しかし、軍人たちは戦地へ向かう人たちであり、もう会えないかもしれないとも感じさせます。少年は、短いふれあいの中で、人が人とわかれる悲しみを、体で感じました。それは、だれにも言えない、自分だけの新しい気持ちでした。人は、つらい出来事や別れを通して、心が大人に近づいていきます。戦争という大きな出来事の中でも、一人の子どもの心にこうした変化が起きていた、という点が大切です。
+αで覚えておきたいこと
兵隊宿 戦争のころ、出征する軍人たちが、決まった期間、ふつうの家に泊まらせてもらう制度です。家の人は、寝る場所の提供や、食事や入浴の世話を求められることがありました。
出征と戦死 出征とは、軍人として戦地へ出かけることです。戦死とは、戦争で命を落とすことで、戦死した人をまつる場所が各地にありました。
軍馬 戦争で、人を乗せたり、荷物や大砲を運んだりするために使われた馬のことです。馬も人と同じように、戦地へ連れていかれました。
検閲 手紙などの内容を、国が調べることです。戦争のころは、軍人の手紙にも検閲があり、いる場所などは書けませんでした。「検閲済」のスタンプは、その印です。
心情の読み取り方 小説では、気持ちが直接書かれないことが多くあります。行動やしぐさ、手紙や写真などの小道具から、登場人物の気持ちを考えます。
竹西寛子 広島県出身の作家で、戦争の体験をふまえた作品を多くえがいてきました。
令和06年度(2024年度)大問2「考え方のコツ/松浦弥太郎」
テーマ
「知識をためすぎず、自分で考えることが大切だ。」
読み取りのポイント
「知識があること」と「考えること」はちがう、という主張の理由を読み取りましょう。
インターネットで答えをすぐ見つけられる時代に、どんな力が失われるのかという心配に注目して、読み取りましょう。
知識をふやしすぎず、知らないことを楽しんで自分で考える生き方の良さを読み取りましょう。
本文を対比関係で整理
知識を集めてくること↔︎自分のアイデアで考え出すこと
検索ですぐ答えを見つける楽な道↔︎自分で探して旅をする手間のかかる道
知識がふえすぎた状態↔︎何も知らないまっさらな状態
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
考えることを大切にし、知識にたよりすぎないほうがよい。
それを支える根拠
検索で答えを得る習慣が、考える力や人間として大切な機能を失わせるから。
結論・テーマ
知らないことは、すばらしい。
それを支える根拠
知識がないほうが、自分の心と向き合い、自分だけの答えを見つけられるから。
文章の要約
考えることと、知識を得ることはまったく別のことです。知識を集めてくるだけでは「自分で考えた」とは言えません。インターネットで検索すれば答えがすぐ手に入り、考える手間が省かれて、人間として大切な機能が失われていきます。そこで書き手は、あえて情報をしゃ断し、増えすぎた知識を捨てて、知らないことのすばらしさを思い出すようにしています。知識がないほうが、自分の心と向き合い、自分だけの答えを見つけられるからです。
テーマ解説
知識とは、すでにある情報を集めて、自分のものにしたことです。一方、考えるとは、自分の頭で何かを新しく生み出すことです。今は、インターネットですぐに答えがわかります。便利ですが、自分で調べて考える手間がなくなるため、考える力がおとろえてしまいます。また、知識が多すぎると、知識が考えのじゃまをして、自分らしいアイデアが出にくくなることがあります。だから書き手は、情報をあえて遠ざけ、知識をためすぎないようにしています。何も知らない状態は、自分の心と向き合い、自分だけの答えを見つける大きなチャンスなのです。ただし、知識そのものが悪いわけではありません。
+αで覚えておきたいこと
知識と思考のちがい 知識は、すでにある情報をたくわえたものです。思考は、その情報をもとに、自分で考えて、新しい答えや意見をつくり出すはたらきです。知識はあくまで材料であり、使い方は自分の思考で決まります。
検索と情報の見きわめ インターネットの情報は、正しいとはかぎりません。情報を見るときは、「だれが書いたのか」「ほかの情報とちがわないか」を確かめる習慣が大切です。
たとえ表現 考えることを「探検」や「旅」、答えをすぐ手に入れることを「家にいながら宝を受け取る」ことにたとえる書き方があります。たとえを読み解くと、書き手の考えがつかみやすくなります。
論説の読み方 論説は、筆者の主張とその理由を述べる文章です。「何が大切だと言っているか」と「なぜそう言えるのか」を分けて整理すると、全体がつかみやすくなります。
自分で考える習慣 答えをすぐ調べる前に、まず自分の考えを書き出してみると、思考力がきたえられます。そのあとで調べると、自分の考えと比べながら、知識を深めることができます。
松浦弥太郎 エッセイストで、雑誌『暮しの手帖』の編集長を務めた人です。くらしや考え方についての文章を数多く書いています。
【共学校】出題文テーマ解説
早稲田大学系属早稲田実業学校
令和08年度(2026年度)/大問1「居残りの彼女/津村記久子」
テーマ
「仲間に合わせてがまんする苦しさと、自分の好きを大切にする勇気」
読み取りのポイント
友だちグループの中で、自分の気持ちをがまんして周りに合わせてしまう苦しさと、その気持ちの動きに注目します。
年齢や立場がちがう人との出会いが、人の気持ちをどう軽くするのかを読み取ります。
周りの目を気にしすぎず、自分の「好き」を大切にしようと決める気持ちの変化をつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
周りに合わせすぎず、自分が心から好きなものを大切にすると、気持ちが楽になります。具体例
五人グループの中で、四人用のテーブルに座れず、さなえはがまんして泣きそうになりました。具体例
居残り授業で出会った六年生の堀内さんは、年上ぶらず、対等に話してくれました。具体例
家庭科室で玉結びを教わるなど、グループの外に居場所ができました。具体例
最後に、むらさき色を使って図工の作品を作ろうと決めました。
本文を対比関係で整理
グループに合わせて気をつかう自分↔︎好きな色を選ぼうとする自分
いつも気をつかう教室↔︎ほっとできる家庭科室
同じ学年のグループの友だち↔︎学年がちがう堀内さん
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
さなえは、グループの外に新しい居場所を見つけ、自分らしさを取りもどし始めました。
それを支える根拠
グループでは気をつかって苦しかったのに、堀内さんの前では自然に話せて、新しいことも教えてもらえたからです。
結論・テーマ
さなえは、むらさき色を使おうと決めました。
それを支える根拠
周りにどう見られても、自分の「好き」を大切にしたいと思えるようになったからです。
登場人物
いとうさなえ/女性/小学四年生(九〜十歳ごろ)/五人の女子グループにいるが、気をつかってがまんしがちな主人公。居残り授業をきっかけに堀内さんと出会う。
堀内さん/女性とみられる/小学六年生(十一〜十二歳ごろ)/四年生のとき病気で入院し、算数が苦手になった。さなえに優しく接し、玉結びも教える。
山村さん/女性/小学四年生(九〜十歳ごろ)/さなえのグループの中心的な存在。さなえはグループの事情を言われて、がまんしてしまう。
ゆうきちゃんと大沢さん/女性/小学四年生(九〜十歳ごろ)/さなえと同じグループの友だち。水色のテーブルのことで、さなえと気持ちがすれちがう。
文章の要約
小学四年生のさなえは、五人の女子グループにいますが、気をつかってがまんする毎日で、苦しい思いをしていました。ある日、算数の居残り授業で六年生の堀内さんと出会い、対等に話してくれる堀内さんといると、ほっとできました。家庭科室で玉結びを教わるなど、グループの外にも居場所を見つけます。そして、周りにどう見られても、自分の好きなむらさき色を使って図工の作品を作ろうと決めます。
テーマ解説
学校やクラスには、仲のよい友だちグループができやすいです。グループにいると安心できますが、みんなに合わせようとするあまり、自分の気持ちをがまんしてしまうことがあります。がまんが続くと苦しくなり、自分が何を好きなのかも分からなくなってしまいます。大切なのは、自分の「好き」や「いやだ」を、自分でちゃんと感じ取ることです。そして、グループの外にも話せる人や安心できる場所があると、心に余裕が生まれ、人の目を気にしすぎずに自分らしい選択ができるようになります。友だちと仲よくすることと、自分を大切にすることは、どちらも大事です。
+αで覚えておきたいこと
「同調圧力」とは、周りと同じ行動や考え方をするよう求める、目に見えない空気のことです。だれかがはっきり命令しなくても、仲間はずれが怖くて、自分から合わせてしまうことがあります。
人には、いくつかの「居場所」があると安心できます。家、学校のクラス、習いごと、クラブ活動などです。居場所が一つだけだと、そこでうまくいかないときに逃げ場がなくなります。居場所がいくつかあると、気持ちに余裕が生まれます。
年齢や学年がちがう人との交流には、よさがあります。同じ学年だと、成績や人気をくらべ合いがちですが、ちがう学年の人とは、くらべ合わずに、素直に教え合ったり話したりしやすいことがあります。
友だち関係でがまんが続いて苦しいときは、信頼できる大人や友だちに話してみることも大切です。話すだけで、気持ちが整理されることがあります。
「好き」を選ぶことは、小さなことから始められます。持ち物の色、使う文房具、休み時間の過ごし方など、自分で選ぶ経験を重ねると、自分らしさが育ちます。
令和08年度(2026年度)/大問2「自炊者になるための26週/三浦哲哉」
テーマ
「同じ味に広がった食の中で、土地ごとの風味の違いを楽しむ大切さ」
読み取りのポイント
食べ物が効率よく大量に作られて広まった結果、本来の風味が失われたという問題をつかみます。
風味を大切にする料理の運動が生まれたことと、「食べてはならない」というルールが強くなりすぎる心配に注目します。
食べ物の風味は、土地や時代、人々のルーツのちがいを映すものであり、そのちがいを楽しむ見方をつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
食べ物の風味は、ちがう土地や時代の文化を映しているので、その違いを楽しむことが、食を豊かにします。具体例
アメリカの大都市では、移民が持ちこんださまざまな国の料理が楽しめます。具体例
フランス南部の食文化を映すレストランは、フランスの映画の世界を思い出させます。具体例
多様な料理が集まる都市は、いろいろな映画が見られる大きな映画館にたとえられています。
結論・メッセージ
大量生産で食べ物が同じようになり、風味が失われるという危機感から、対抗する運動が起こりました。具体例
スーパーマーケットや冷蔵庫が広まり、規格の同じ食品が行きわたりました。具体例
新鮮な素材を、できるだけ手を加えずに味わう料理の運動が広がりました。具体例
健康のために「食べてはならない」という決まりが増え、行きすぎる心配も出てきました。
本文を対比関係で整理
大量生産で同じ味になった食品↔︎土地や時代ごとにちがう風味
便利さと効率を重んじる食↔︎素材の風味を活かす食
「食べてはならない」と決めつける道徳↔︎ちがいをおもしろがる態度
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
食べ物の画一化が進み、自然の風味を取りもどそうとする運動が起こりました。
それを支える根拠
技術の進歩で食べ物が大量に作られ、どこでも同じ規格品が買えるようになり、風味が失われたからです。
結論・テーマ
筆者は、風味のちがいを楽しむことが大切だと考えています。
それを支える根拠
風味は、異なる土地や時代の食文化を映す入り口なので、ちがいを味わうと世界の多様さに気づけるからです。
文章の要約
食べ物は、技術の進歩で効率よく大量に作られるようになり、どこでも同じ規格の商品が手に入る豊かな社会になりました。しかし、そのかわりに自然の風味や、家庭の伝統の味が失われました。そこで、素材の風味を活かして食べようとする運動が生まれましたが、「これは食べてはいけない」と決めつける行きすぎた道徳になる心配もあります。筆者はアメリカの都市での体験から、風味はさまざまな土地や時代の食文化を映すものだと考え、そのちがいをおもしろがることが大切だと述べます。
テーマ解説
昔は、その土地でとれた食材を、家庭ごとのやり方で料理していました。ところが、技術が進み、店に並ぶ食べ物の多くが工場などで大量に、同じ形や味で作られるようになりました。これを「画一化」といいます。便利になった反面、食材ならではの香りや味わい、つまり「風味」が失われていきました。そこで、地元の新鮮な素材を使い、風味を大切にしようという考えが広がりました。ただし、「これはダメ」と決めすぎると、かえって窮屈になります。大切なのは、世界にはいろいろな食文化があり、風味のちがいは、土地や人の歴史のちがいを表していると知って、そのちがいを楽しむことです。
+αで覚えておきたいこと
食べ物が同じ形や味に整えられていくことを「画一化」といいます。効率はよくなりますが、地域ごとの個性は消えやすくなります。
「風味」とは、舌で感じる味だけでなく、香りや食感、見た目なども合わせた、食べ物の感じ方のことです。同じ「おいしい」でも、風味は土地や素材によって大きく変わります。
「スローフード」は、ファストフードに対して、地域の食文化や食材を大切にしようという運動で、イタリアで始まりました。また「地産地消」は、地元でとれたものを地元で食べることです。輸送のエネルギーが減り、新鮮なものが食べられます。
食文化は、人の移動によっても広がります。移民が、自分たちの国の料理を新しい土地に持ちこむことで、その土地の食が豊かになります。日本のカレーやラーメンも、外国から来た料理が、日本の中で変化したものです。
何を食べるかのルールが強くなりすぎると、食事が窮屈になります。健康や環境への意識は大切ですが、人を責めるような「食べてはいけない」の押しつけには注意が必要です。
令和07年度(2025年度)/大問1「透明なルール/佐藤いつ子」
テーマ
「周りの目を気にして、自分で作ってしまう見えないルールに縛られること」
読み取りのポイント
目立たないように周りに合わせようとする気持ちが、友だち関係や学校生活をどう苦しくするのかに注目します。
周りが求める「同調圧力」と、自分で作ってしまう「見えないルール」のちがいを読み取ります。
過去を人に話すことで、人が自分の思いこみに気づいていく流れをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
周りに合わせなければという気持ちは、実は自分が自分に作った「透明なルール」であることもあります。具体例
愛は、数学の才能が目立つとグループから外されると考え、才能をかくそうとしました。具体例
周りの反応を確かめずに決めつけてしまい、苦しくなって学校に行けなくなりました。具体例
転校先の友だちに過去を話すなかで、「縛られていただけかも」と気づきました。
本文を対比関係で整理
周りが作る同調圧力↔︎自分が作る透明なルール
目立つ才能を持つ自分↔︎目立たないでいたい自分
相手の反応を決めつける↔︎ちゃんと言葉にして確かめる
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
愛は、学校を休むほど追いつめられました。
それを支える根拠
才能が目立つと友だちからねたまれ、仲間から浮くかもしれないと考えて、不安が大きくなったからです。
結論・テーマ
愛は、自分が「透明なルール」に縛られていたのかもしれないと気づきました。
それを支える根拠
友だちに過去を話すなかで、自分が周りの反応を決めつけていたかもしれないと考え直せたからです。
登場人物
愛/女性/中学二年生(十三〜十四歳ごろ)/明星女学院から転校してきた主人公。数学が得意で、目立つことを恐れて苦しんだ過去がある。
優希/女性とみられる/中学二年生(十三〜十四歳ごろ)/愛の転校先の同級生。愛の話を静かに聞き、考えをめぐらせる。
誠/男性とみられる/中学二年生(十三〜十四歳ごろ)/愛の転校先の同級生。愛の話に相づちを打ちながら聞く。
マーヤ/女性/中学二年生(十三〜十四歳ごろ)/前の学校で愛が所属していたグループの中心的な存在。
D先生/不明/大人/前の学校の数学の先生。愛の才能をほめ、数学オリンピックをすすめる。
文章の要約
転校生の愛は、同じクラスの優希と誠に、前の学校での思い出を話します。愛は数学が得意でしたが、先生にほめられるたびに目立ってしまい、友だちのグループとの関係がこわれることを恐れました。そして、学校に行けなくなってしまいます。愛は話しながら、周りが作る同調圧力だけでなく、自分が自分に作ってしまった「透明なルール」に縛られていたのかもしれないと気づきます。
テーマ解説
友だち関係では、周りに合わせないと仲間はずれにされるかもしれないという不安を感じることがあります。このとき、実際にはだれかから強く言われなくても、「こうしなければ」と自分で決めてしまう場合があります。これを、目に見えない透明なルールと呼べます。透明なルールは、相手がどう思うかをたしかめないまま決めつけてしまうことから生まれやすく、自分を苦しめます。もちろん、周りに合わせるよう求める空気(同調圧力)が、本当にある場合もあります。大切なのは、実際に起きていることと、自分の思いこみを分けて考えることです。気持ちを言葉にして人に話すと、その区別がしやすくなります。
+αで覚えておきたいこと
「同調圧力」とは、多数の人と同じ考えや行動をするよう、周りから求められる空気のことです。学校や職場など、集団の中で起こりやすいです。
一方で、実際には求められていないのに、「みんなはこう思うはず」と自分で決めつけてしまうこともあります。確かめる前に思いこむことは、不安が強いときに起こりやすいです。
相手の気持ちを、確かめずに決めつけてしまうことを、「心の読みすぎ」と呼ぶこともあります。人の心は、見ただけでは正確には分かりません。
自分の考えを言葉にして人に話すと、気持ちが整理されて、何が本当で何が思いこみなのかを見分けやすくなります。信頼できる人に話すことは、大切な方法です。
得意なことや才能を目立たせると、ねたまれるのではないかと心配する人もいます。才能を持つことは悪いことではなく、その使い方や、周りとの関わり方を考えることが大切です。
学校に行きづらくなることは、だれにでも起こり得ます。そのときは、がまんしすぎずに、家族や先生、相談できる人に助けを求めてよいのです。
令和07年度(2025年度)/大問2「ひとりになること 花をおくるよ/植本一子・滝口悠生」
テーマ
「子どもの選択を信じて見守り、安心できる居場所を作る大人の役割」
読み取りのポイント
子どもの進む道を、親が先回りして決めず、子ども自身の選択を信じて見守る考え方に注目します。
損得を考えて最善を選ぼうとする考え方が、なぜ人を疲れさせるのかを読み取ります。
学校や家以外の「逃げ場所」や「拠り所」が、子どもにとってなぜ大切かをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
親や大人の役割は、子どもの選択を信じて見守り、安心して帰れる場所と逃げ場所を用意することです。具体例
高校選びでは、子どもがやりたい道を、親が先回りして止めずに見守ります。具体例
傷ついても、その責任は子ども自身が背負うと考え、手を出しすぎません。具体例
習いごとの先生の教室が、学校や家から離れた拠り所になることもあります。
結論・メッセージ
損得ばかりで考えると、人は疲れてしまいます。具体例
進学や子育てで、損をしないための最善を選ぼうとすると、気持ちがすり減ります。具体例
ふつうの考え方とは少しちがう大人と出会えたことが、心の支えになりました。
本文を対比関係で整理
子どもの選択を信じて見守る親↔︎先回りして決めてしまう親
損得を考えて最善を選ぶ生き方↔︎役に立つか分からない世界に触れる生き方
学校や家だけが世界だと思う↔︎ほかにも逃げ場所があると知る
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
子どもを信じて、安心して帰れる場所を作ることが、親の役割だと考えられます。
それを支える根拠
子どもの人生の責任は子ども自身が背負うものであり、親が先回りすると、傷つく権利まで奪ってしまうからです。
結論・テーマ
目の前の世界だけが全てではないと、子どもに伝えることが大切です。
それを支える根拠
学校や家で絶望しても、別の場所や大人との出会いがあれば、気持ちが救われるからです。
文章の要約
二人の作家が、子育てについて手紙をやり取りします。一人目の筆者は、子どもの進む道について、先回りせずに子どもの選択を信じて見守り、安心して帰れる場所を作ることが親の役割だと書きます。二人目の筆者は、損得を考えて最善を選ぶ考え方に疲れを感じると述べます。そして、自分が子どものころに通った絵画教室の先生のように、学校や家とはちがう拠り所があって救われたと語り、子どもが絶望したときには「目の前の世界だけが全てではない」と伝えたいと書きます。
テーマ解説
子どもが進む道を決めるとき、大人はつい「失敗しないように」と先回りしがちです。でも、自分の道を選び、その責任を自分で引き受けることは、子どもが成長するために大切な経験です。大人にできるのは、決めつけずに見守り、つらいときに安心して帰ってこられる場所を作ることです。また、損か得かだけで選ぶと、心が疲れてしまいます。学校や家の外にも、自分を受け入れてくれる場所や人があれば、行きづまったときの逃げ場所になります。目の前の世界だけが全てではないと知っていることは、子どもだけでなく、大人にとっても心の支えです。
+αで覚えておきたいこと
「往復書簡」とは、二人の人が手紙(メッセージ)を交互に送り合う形の文章のことです。相手に語りかけるので、考えがやわらかく、本音が出やすいのが特徴です。
「損得勘定」とは、自分にとって得か損かだけで物事を決める考え方です。くらしの中では大切な場面もありますが、すべてをそれで決めると、心が疲れたり、大切なものを見落としたりします。
「居場所」は、一つだけでなくてかまいません。家や学校のほかに、習いごと、地域の場所、本の中の世界なども、気持ちを休められる拠り所になります。複数あるほど、一つがうまくいかなくても安心です。
美術などの芸術は、すぐには役に立たないように見えても、見方や考え方を広げてくれるものです。「役に立つかどうか」だけで価値を決めない見方も、世界を広くします。
「見守る」ことと「ほうっておく」ことはちがいます。見守るとは、相手を信じながら、必要なときに手を差しのべられるようにそばにいることです。
自分のことを自分で決める力を、「自己決定」といいます。失敗や後悔もふくめて経験することで、少しずつ身についていきます。
令和06年度(2024年度)/大問1「インセン/須賀敦子」
テーマ
「差別や戦争の影の中でも、明るくたくましく生きる友人への尊敬」
読み取りのポイント
戦争や植民地支配の歴史が、一九五〇年代のフランスで暮らす若者たちの関係に、どんな影を落としていたかをつかみます。
肌の色や国のちがいを越えて、親しくなっていく友人関係の様子を読み取ります。
試験に失敗してもくじけず、明るくふるまう人の強さと、それに感心する人の気持ちをつかみます。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
戦争や差別の影があっても、明るくたくましく生きる人の強さは、周りの人の心を打ちます。具体例
寮では、肌の色や食べ物のちがいで、自然と仲間が分かれていました。具体例
故郷が戦争で分断された人もいて、国や民族の問題を身近にかかえていました。具体例
インセンは試験に落ちても、くよくよせず、なぐさめに来た二人にお茶をいれてくれました。具体例
結婚式で美しく踊るインセンを見て、二人は「かなわない」と感心しました。
本文を対比関係で整理
肌の色や国で分かれる仲間関係↔︎国をこえて親しくなる友人関係
戦争や差別で傷ついた歴史↔︎明るくたくましく今を生きる姿
落ちこむと予想した周りの人↔︎くじけず明るくふるまう本人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
筆者は、友人インセンの強さに感心し、尊敬しました。
それを支える根拠
試験の失敗や、差別の残る環境でも、明るさを失わず、周りをはげます姿を見たからです。
結論・テーマ
寮の人たちは、出身ごとに自然と分かれて過ごしました。
それを支える根拠
戦争や植民地支配の歴史が、人々の間に、見えない壁を作っていたからです。
登場人物
私(筆者)/女性/二十代前半(推定)/パリに留学している日本人。インセンやマリーと親しくなる。
インセン/女性/二十一歳/ヴェトナム生まれの中国人。医学部の準備課程の学生で、試験に失敗したあと、レストランの女主人になる。
インイン/女性/二十歳前後(推定)/インセンの妹。薬学部に進み、入学と同時に婚約を発表するなど、ちゃっかりした性格。
マリー・キム/女性/二十代前半(推定)/韓国から来た学生。戦争で北から南に逃げてきた。医学部をめざしている。
文章の要約
パリの女子学生寮で暮らしていた筆者は、ヴェトナム生まれの中国人インセンや、韓国から来たマリー・キムと仲よくなります。当時は戦争や植民地支配の影が残り、寮では肌の色や出身国で自然に仲間が分かれていました。インセンは医学部の試験に失敗しますが、なぐさめに来た筆者たちの前で、明るくふるまいます。その後インセンは医者の道をあきらめ、結婚してレストランの女主人になります。結婚式で美しく踊るインセンを見て、筆者たちは、もう一度インセンにはかなわないと思います。
テーマ解説
この文章の舞台は、戦争や植民地支配が終わって間もない時代のフランスです。国と国との争いや、支配する側とされる側の歴史は、個人どうしの関係にも見えない壁を作ることがあります。同じ寮に住んでいても、出身や肌の色で自然と仲間が分かれてしまいました。それでも、国をこえて親しくなった友人もいます。さらに、思うようにいかないことがあっても、明るさを失わずに自分の道を選び取っていく人の姿は、周りの人の心を動かします。この文章は、歴史や差別の影の中でも、人の強さと温かさを、筆者がふり返って見つめた回想です。
+αで覚えておきたいこと
「植民地」とは、ほかの国に支配され、政治や経済を自由に決められない土地のことです。ベトナムは長いあいだフランスの植民地でした。
ベトナムでは、独立をめざして、フランスとの戦争(インドシナ戦争)が一九四六年から一九五四年まで続きました。戦争のあと、国は南北に分かれました。朝鮮半島も、一九五〇年からの戦争を経て、南北に分かれたままです。
このように、戦争や国の分断は、そこに住む人々の暮らしや、国をこえた人間関係にも影響を与えました。同じ場所で学んでいても、出身国の歴史が、おたがいの距離感に影を落とすことがあります。
「差別」とは、肌の色、国籍、性別などを理由に、人を不当に低く扱うことです。「偏見」は、よく知らないまま持ってしまう決めつけの考え方です。
「随筆」は、筆者が体験や感じたことを、自由な形で書いた文章です。年月がたってからふり返って書かれることが多く、「あのとき、自分はこう感じた」「今ならこう思う」という二つの時点の気持ちが重なる点に注目すると、深く読めます。
令和06年度(2024年度)/大問2「ゼロからの「資本論」/斎藤幸平」
テーマ
「お金もうけが目的の社会では、本当に必要なものとずれたものが作られる」
読み取りのポイント
商品が「役に立つ力」と「ほかの物と交換できる力」という二つの顔を持つことを、分けて理解します。
お金もうけが目的の社会で、「売れそうなもの」と「本当に必要なもの」がずれてしまう理由をつかみます。
人が作った商品の値打ちに、人のほうが振り回されてしまう「物象化」という考え方を読み取ります。
本文を抽象具体関係で整理
結論・メッセージ
お金もうけを目的にする社会では、本当に必要なものよりも、売れそうなものが優先されてしまいます。具体例
感染症が広まったときマスクは足りなくなり、落ち着くと余って叩き売りされました。具体例
流行を取り入れた安い服は、使い捨てられやすく、環境への負担も大きくなります。具体例
ヒットしそうなものを多くの会社が作りすぎて、売れ残って困ることがあります。
結論・メッセージ
人は自分が作った商品の値打ちに、かえって振り回されます。具体例
何をどれだけ作るかは、作ったあとで市場の評価を見て決めるしかありません。具体例
みんなが必要なものが足りなかったり、必要ないものが余ったりします。
本文を対比関係で整理
使用価値(役に立つ力)↔︎価値(交換できる力)
儲かるモノ(売れそうなもの)↔︎必要なモノ(本当に役立つもの)
物を使っていた人間↔︎物に振り回される人間
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
資本主義では、必要なものと儲かるものがずれてしまいます。
それを支える根拠
会社は、役に立つかどうかより、売れて利益が出るかどうかを重視して商品を作るからです。
結論・テーマ
人間は、作った物に振り回されるようになります。
それを支える根拠
人々がばらばらに作る商品を、作ったあとで市場が評価するため、何をどれだけ作るかを事前に調整できないからです。
文章の要約
資本主義の社会の商品には、「使用価値」(役に立つ力)と「価値」(ほかの物と交換できる力)という二つの顔があります。会社は、必要かどうかより、売れて儲かるかどうかを重視して商品を作ります。そのため、マスクや流行の服のように、不足したり余ったり、環境に負担をかけたりします。さらに、人は自分が作った商品の値打ちに振り回されるようになります。マルクスはこれを「物象化」と呼んだと、筆者は説明します。
テーマ解説
お店に並ぶ品物には、二つの顔があります。一つは、人の役に立つ力(使用価値)です。水は、のどのかわきをうるおします。もう一つは、ほかの物と交換できる力(価値)です。値札がつき、お金と交換できます。空気のように、とても役に立つのに値段がつかないものもあれば、ダイヤモンドのように、役に立つ度合いは小さいのに高い値段がつくものもあります。ところが、お金もうけを目的にする社会では、売れて儲かるものが優先され、本当に必要なものとずれてしまいます。その結果、品物が余ったり足りなかったり、自然にも負担がかかります。
+αで覚えておきたいこと
「資本主義」とは、会社などがお金もうけ(利益)を目的に、商品を作って売る仕組みのことです。今の日本を含む多くの国が、この仕組みで動いています。
『資本論』は、一九世紀のドイツの経済学者マルクスが書いた本です。マルクスは、商品の価値は、それを作るのにかかった労働の時間によって決まると考えました。
「需要」は買いたい量、「供給」は売りたい量のことです。供給が多すぎると売れ残り、少なすぎると足りなくなります。会社がそれぞれ勝手に作ると、このバランスがとりにくくなります。
大量に作り、大量に買い、大量に捨てる社会では、資源やごみの問題が起こります。そこで、国連のSDGsでは、「つくる責任 つかう責任」が目標の一つに入っています。
「物象化」とは、人と人との関係や、人の行動が、まるでモノの動きに支配されているように見える現象のことです。たとえば、値段の上がり下がりで、人の暮らしや仕事が大きく左右されることです。
渋谷教育学園幕張中学校
令和08年度(2026年度)/第1回大問1「物語化批判の哲学〈わたしの人生〉を遊びなおすために/難波優輝」
テーマ
「人生をゲームにたとえると、数字や結果ばかり見て、大切なものが見えなくなります。」
読み取りのポイント
「人生はゲームだ」という言い方が、何を目立たせて、何を見えなくするのかに注目しましょう。
人生を攻略するものと考えると、人の考え方や行動がどう変わっていくのかを読み取りましょう。
ルールを守るだけでなく、ルールそのものを見直して作り直す考え方がなぜ大切かをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
人生を攻略すべきゲームと見る↔︎数字にならない価値を大切にする
決まったルールの中で勝つ↔︎ルール自体をよりよく作り直す
自分だけが得をする↔︎みんなが楽しめる仕組みをつくる
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
人生をゲームにたとえる見方は、大切なものを見えなくします。
それを支える根拠
結果や数字だけを追い求め、数にならない困難や幸せ、失敗から学ぶ価値を見落とすからです。
結論・テーマ
ルールは、みんなで見直して作り直せるものだと考える必要があります。
それを支える根拠
ルールを攻略することだけを考えると、不平等が広がり、ゲームそのものが成り立たなくなるからです。
文章の要約
「人生はゲームだ」という見方は、人生を攻略するものとして考えるたとえです。このたとえでは、進学や就職がステージになり、成績や仕事の成果が数字で表されます。すると、結果を出すことが何より大事になり、うまくできない人は努力が足りないとみなされがちです。しかし、現実の人生には、数字にならない困難や幸せ、失敗から学ぶ価値があります。また、ルールをうまく利用して自分だけが得をすると、社会に不平等が広がります。筆者は、ゲームを作る人のように、ルールそのものをよりよく作り直す立場にも目を向けるべきだと述べます。
テーマ解説
「人生はゲームだ」という言い方は、人生を攻略するものとして見る、たとえ話です。このたとえを使うと、テストの点やお金、フォロワーの数など、数字で表せるものばかりが大事に見えます。そして、うまくいかない人は「努力が足りない」と責められやすくなります。でも、本当の人生には、数字にならない苦しみや幸せ、失敗から学ぶことがたくさんあります。たとえ話は、何かを目立たせる代わりに、別のものをかくしてしまうのです。さらに、ルールを利用して自分だけ得をする人が増えると、社会に不平等が広がります。だから、ルールを守るだけでなく、みんなのためにルールを作り直す視点も必要だと筆者は考えています。
+αで覚えておきたいこと
メタファー(隠喩)
「〜のようだ」を使わずに、あるものを別のものにたとえる表現です。「人生はゲームだ」も、その一つです。
たとえが見せるものと隠すもの
どんなたとえも、ある面を強く見せる一方で、他の面を見えにくくします。たとえを使うときは、何が隠れるかも考えることが大切です。
結果主義
結果や成果だけで物事の良し悪しを決める考え方です。過程や努力、事情のちがいが見えにくくなる問題があります。
ハックとチート
ハックは、決まりの中の工夫やすき間を使って、うまくやることです。チートは、ルール違反をして得をすることで、ゲームでも不正とされます。
ルールの見直し
学校の決まりや法律も、人がつくったものなので、不公平があれば話し合って変えることができます。ゲームでも、遊びやすくするために、あとからルールを直します。
ゲームデザイン
ゲームをつくる仕事のことです。遊ぶ人みんなが楽しめるよう、何度も試して、不公平な部分を直していきます。この考え方は社会づくりにも役立ちます。
令和08年度(2026年度)/第1回大問2「夜の蝉/北村薫」
テーマ
「幼い頃の恐怖の記憶から、姉が自分を守ってくれた心の温かさに、妹が気づいていきます。」
読み取りのポイント
旅先の何気ない会話から、「私」が姉との昔の出来事を思い出していく流れに注目しましょう。
蝉の鳴き声が、子どもの頃の「私」の恐怖と、姉との関わりをどう結びつけているかを読み取りましょう。
「私」の姉への気持ちが、距離のある気持ちから、姉の思いに気づく気持ちへ変わる点をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
姉に感じていた緊張感↔︎姉が守ってくれた温かさ
恐ろしい暴君のような姉↔︎妹を思う優しい姉
心を閉ざしていた自分↔︎姉の思いに気づいた自分
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
「私」は、姉が自分を守ってくれる優しい人だと気づきました。
それを支える根拠
蝉におびえたとき、姉が妹を受け止めて、同じ血を持つ姉妹だと実感したからです。
結論・テーマ
姉の温かさが、これまで伝わらなかったのは、「私」の心の問題でした。
それを支える根拠
「私」が姉に心を閉ざしていたせいで、姉の心の温かさを感じられなかったからです。
登場人物
私/女性/大学生/語り手の妹。幼い頃の姉との出来事を、旅先で思い出し、姉への気持ちを見つめ直す。
姉/女性/年齢不明/気性が激しい時期があったが、旅先では穏やかに妹と過ごす。幼い妹を守ろうとした経験がある。
母/女性/年齢不明/幼い頃の「私」と姉が育った家で暮らす。ある夜、家を空けていた。
父/男性/年齢不明/幼い頃の「私」と姉が育った家で暮らす。ある夜、家に帰っていなかった。
文章の要約
大学生の「私」は、姉に誘われて新潟県の弥彦へ旅行に来ています。姉は昔、気性が激しく、「私」は今も姉に少し緊張感を抱いています。朝、二人は弥彦神社へ向かい、小さな会話を重ねます。境内で蝉の鳴き声を聞いた「私」は、子どもの頃の夜を思い出します。大きな蝉が部屋に飛び込み、おびえた「私」は、泣きながら姉の胸にしがみつきました。そのとき姉は、妹を守ってくれました。けれども当時の「私」は、姉に心を閉ざしていたため、その温かさに気づけませんでした。
テーマ解説
この場面のテーマは、幼い頃の恐怖の記憶を通して、姉の本当の優しさに気づくことです。子どもの頃の「私」は、姉をこわい人だと思い、心を閉ざしていました。でも蝉におびえた夜、姉は妹をしっかり受け止めてくれました。「私」は理屈ではなく、自分たちは同じ血を持つ姉妹だと感じて、姉として守ってくれる姿に気づきます。ただ、そのときは、姉の温かさをまだ十分に感じられませんでした。それは姉のせいではなく、自分が姉に心を閉ざしていたからだったのです。大人になった今、旅先の蝉の声が、そのことを静かに気づかせてくれます。
+αで覚えておきたいこと
情景(じょうけい)描写
小説で、景色や音、季節の様子をえがくことです。登場人物の気持ちを、直接書かずにあらわす役目があります。
蝉(せみ)の象徴
蝉の声は、夏の始まりや命の力強さ、時間の流れを感じさせます。この小説では、昔の記憶を呼びおこす大切な道具になっています。
回想(かいそう)
過去の出来事を思い出して語る書き方です。いまの場面と過去の場面が行き来するので、時の切りかえに注意して読みます。
きょうだい関係の描き方
小説では、きょうだいの間の遠慮や緊張、思いやりなどが、小さな会話や行動の中にそっと描かれます。
弥彦神社
新潟県にある神社で、越後一宮として古くから信仰を集めてきました。自然に囲まれた場所にあり、旅の舞台としても知られています。
登場人物の心の変化
「はじめ」と「終わり」の気持ちの差に注目します。何がきっかけで変わったのかを探すと、場面の意味がつかめます。
令和07年度(2025年度)/第1回大問1「水中の哲学者たち/永井玲衣」
テーマ
「人間は、小さな日常の断片が無数に集まった存在で、その考えをていねいに聞くことが哲学です。」
読み取りのポイント
人間を「宇宙の質量が詰まったサイコロ」にたとえている意味を、読み取りましょう。
有名な考えや専門用語ではなく、ふだんの小さな出来事や感覚が、なぜ大切にされるのかに注目しましょう。
手渡された考えを落としてしまうことが、なぜこわいのかを、人と人との関わりからつかみましょう。
本文を対比関係で整理
小さく見える日常の断片↔︎人間を形づくる大切なもの
専門用語で語る哲学↔︎身近な言葉で語る哲学
考えを軽く扱うこと↔︎相手の考えを大切に聞くこと
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
人間は、無数の小さな出来事が詰まった、大切な存在です。
それを支える根拠
歴史や知覚、思考のつながりが、一人の人の中にぎゅうぎゅうに詰まっているからです。
結論・テーマ
だれかの考えを軽く扱うことは、その人自身を損ねることになります。
それを支える根拠
考えは、ただの音ではなく、その人そのものだからです。
文章の要約
筆者は、人間を宇宙の質量が詰まったサイコロにたとえます。人は、無数の歴史や知覚、思考のつらなりを、小さな身体に抱えているからです。ふだん私たちは、ドラマチックな出来事ばかりに目を向けますが、哲学は、日常の小さな断片をていねいに扱う営みです。筆者は、哲学対話の場で、専門用語ばかりの会話に違和感を覚えた経験を語ります。また、おばあさんが話した木の話の方が、ずっと価値があったと気づきます。だからこそ、だれかが差し出した考えを手から落とすことを、筆者はおそれると述べます。
テーマ解説
筆者は、人間を宇宙の質量が詰まったサイコロにたとえます。人は、見えないところに無数の記憶や感覚、考えのつらなりを持っていて、それが小さな身体に詰まっているからです。ふつう、私たちはドラマチックな出来事ばかり大切にしがちです。でも哲学は、日常の小さな断片をていねいに聞くところから始まります。専門用語や有名な人の名前ではなく、身近な言葉で話せることが大切です。そして、だれかが差し出した考えは、その人そのものです。それを軽く扱って落としてしまうことは、相手を傷つけることにもなります。だから筆者は、それを心からおそれるのです。
+αで覚えておきたいこと
哲学
「なぜ?」「本当にそうなのか?」と、物事の根本を考える学問です。難しい言葉を使わなくても、日常の疑問から始められます。
哲学対話
決まった答えを出すのではなく、参加者が自由に問いを出して、一緒に考える話し合いです。他の人の考えを聞き、受け止める練習にもなります。
ファシリテーター
話し合いが円滑に進むよう、進行を助ける人のことです。自分の意見を押しつけず、みんなの発言を引き出します。
比喩(ひゆ)
ある物を別の物にたとえる表現です。ここでは、人間をサイコロにたとえて、小さな身体に大きな中身があることを表しています。
自由律俳句
五・七・五や季語にしばられず、自由に作る俳句です。種田山頭火や尾崎放哉が有名で、日常の気持ちを短い言葉で表します。
「聴く」ということ
ただ音として「聞く」のではなく、相手の気持ちや考えに心を向けてじっくり「聴く」ことは、人を大切にする第一歩です。
令和07年度(2025年度)/第1回大問2「球の行方/安岡章太郎」
テーマ
「思いこみやプライドを捨てて、まわりの人と素直に関わることの大切さに気づいていきます。」
読み取りのポイント
転校してきた「私」が、弘前の子どもたちに対して、どんな思いこみを持っていたのかに注目しましょう。
シャープペンシルやグローブなど、持ち物が「私」の気持ちにどう関わっているのかを読み取りましょう。
松の木の上から、野球をする子どもたちを見る「私」の気持ちが、どう変わったのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
下に見ていた弘前の子↔︎野球がうまかった弘前の子
自分を優れていると思う↔︎みじめな姿をさらして恥じる
都会風の持ち物の自慢↔︎実力がつり合わない現実
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
「私」は、自分の思いこみに気づいて、恥ずかしさを感じました。
それを支える根拠
田舎の子に野球はできないと思っていたのに、実際はずっとうまかったからです。
結論・テーマ
「私」は、仲間に加わることをためらうようになりました。
それを支える根拠
立派なグローブに実力がつり合わず、プライドが傷つけられたからです。
登場人物
私/男性/十歳ごろ/朝鮮から青森県の弘前に移り住んだ日本人の少年。標準語を話し、都会風な物にあこがれがあるが、野球が苦手。
F(エフ)/男性/年齢不明(年上の子)/弘前の子どもたちの一人。野球が上手で、「私」に声をかけて、グローブを貸すなど親切に接する。
母/女性/年齢不明/「私」の母。野球のグローブとバットを買い与える。「私」の様子を気づかう。
叔母/女性/年齢不明/東京に住む「私」の親戚。「私」にグローブとバットを贈ってくれる。
文章の要約
「私」は、朝鮮から弘前に移り住んだ少年です。標準語で話すことや、都会風の持ち物に自信を持っていましたが、あるとき新しいシャープペンシルのことで恥ずかしい思いをします。のちに、叔母から野球のグローブとバットが送られてきて、「私」は喜んで、弘前の子どもたちと野球をしようと出かけます。ところが、実際の弘前の子どもたちは野球がとても上手で、「私」は球を捕れず、恥ずかしい姿をさらします。「私」は一人で松の木に登り、子どもたちの様子をながめながら、自分の思いこみを悔やみました。
テーマ解説
この文章は、「私」が思いこみを打ちくだかれる場面をえがいています。「私」は、転校先を田舎だと下に見ていました。そして、東京から届いた立派なグローブがあれば、野球ではみんなに一目おかれると信じていました。ところが、弘前の子どもたちは「私」よりずっと野球がうまく、「私」の実力はグローブにふさわしくありませんでした。そのため「私」は、自分が思っていたほど優れていないと気づき、強い恥ずかしさを感じます。松の木の上から、子どもたちを遠く小さく見つめる姿には、孤独とみじめさ、そして素直になれない気持ちがこめられています。
+αで覚えておきたいこと
植民地
他の国に支配された土地のことです。この作品の時代、日本は朝鮮半島を植民地にしていて、日本人の家族が住んでいました。
標準語と方言
全国どこでも通じるように定められた言葉が標準語です。地域ごとの言葉を方言といいます。言葉のちがいで、疎外感を覚える場合があります。
劣等感と優越感
自分が人より劣っていると感じる気持ちが劣等感、優れていると感じる気持ちが優越感です。小説では、この二つが入れかわる場面が心情の変化を表します。
弘前(ひろさき)
青森県にある城下町です。冬は雪が深く、この作品ではスキーや野球が子どもたちの遊びとして出てきます。
第三の新人・安岡章太郎
戦後の文学で、日常の身近なできごとや、自分のみじめな体験を、ユーモアをまじえて描いた作家たちの一人です。
持ち物と気持ち
小説では、持ち物(グローブなど)が、登場人物のプライドや不安を表す大切なしるしになることがあります。
令和06年度(2024年度)/第1回大問1「「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性/信原幸弘」
テーマ
「計画ばかりでも、行き当たりばったりでもなく、臨機応変な力と計画のバランスが大切です。」
読み取りのポイント
「アジャイル」とは何か、なぜ計画を立てすぎるのは効率が悪いのかに注目しましょう。
計画を立てることへの「病的な恐怖」が、どんな問題を引きおこすのかを読み取りましょう。
臨機応変の能力は、どのように身につくのか、そして計画とのバランスをどうとるのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
細かい計画を立てる↔︎その場で対応する(アジャイル)
失敗への病的な恐怖↔︎適切な恐怖と対処
身体知の高い人↔︎臨機応変が苦手な人
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
計画とアジャイルを、よいバランスで使うことが大切です。
それを支える根拠
計画に頼りすぎると無駄が多く、その場任せにするとうまくいかない場合があるからです。
結論・テーマ
臨機応変の能力は、練習や経験で育てられます。
それを支える根拠
訓練や実地経験によって、その場の状況に対応する身体知が身につくからです。
文章の要約
完全な計画は不可能なので、その場の状況に応じて対処する「アジャイル」という進め方が役に立ちます。細かい計画ばかり立てても、起こりうることを全部想定するのは難しく、大半は無駄になります。それでも計画にこだわるのは、失敗への「病的な恐怖」があるからです。成功するためには、臨機応変に対応する能力が欠かせません。この能力は、状況に応じて適切に行動し、考える力で、身体知の一種です。訓練や経験で伸ばせますが、人によって差があります。だから、自分の能力を自覚し、計画とアジャイルのバランスをとることが大切です。
テーマ解説
世の中では、きちんと計画を立てるのがよいことと思われがちです。でも、起こりうることを全部予想するのはほとんど不可能で、細かい計画は大半が無駄になります。それでも計画にこだわる人は、失敗を病的に恐れていることが多いのです。そこで役に立つのが、その場の状況を見て、うまく対処していくアジャイルという進め方です。このとき必要なのが、臨機応変の能力です。これは、体で覚えた知識(身体知)にもとづき、状況に合わせて行動し、考える力です。ただし、人によって差があるので、自分の力を知った上で、計画とアジャイルをよいバランスで使うことが大切です。
+αで覚えておきたいこと
アジャイル
もともとは「すばやい」「身軽な」という意味の英語です。ソフトウェアの開発では、小さな単位で作って試し、直しながら進める手法をいいます。
臨機応変(りんきおうへん)
その時の状況に合わせて、適切に対応することです。ふだんの練習や経験があって、はじめて上手にできます。
身体知(しんたいち)
頭だけでなく、体にもしみこんだ知識や技のことです。自転車に乗る、楽器を弾くなど、言葉で説明しにくいものも多いです。
PDCAとアジャイル
計画(Plan)・実行(Do)・確認(Check)・改善(Action)をくり返す考え方もあります。どちらも、やりながら直していく点が似ています。
病的な恐怖
危険の大きさに見合わない、行きすぎた恐怖のことです。ほどよい不安は役に立つ一方、行きすぎると行動をじゃまします。
計画と余裕
旅行や勉強でも、予定を詰めこみすぎると、うまくいかなかった時に立て直せません。あらかじめ余裕を持った計画をつくると、臨機応変にも動きやすくなります。
令和06年度(2024年度)/第1回大問2「或る朝/志賀直哉」
テーマ
「祖母と孫の気持ちのすれちがいが、小さな出来事をきっかけに、思いやりへと変わっていきます。」
読み取りのポイント
信太郎が、祖母に起こされても起きようとしない様子と、その時の気持ちに注目しましょう。
信太郎の態度に対して、祖母がどう反応し、二人の関係がどう動いたのかを読み取りましょう。
最後の場面で、信太郎が祖母に対して感じた気持ちと、その気持ちが生まれた理由をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
意地を張って起きない信太郎↔︎起こそうとする祖母
祖母に向けた反発の気持ち↔︎祖母への愛情と申し訳なさ
冷たい態度↔︎素直なやさしい気持ち
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
信太郎は、祖母への思いやりに気づいて、素直になりました。
それを支える根拠
祖母が自分の言うことを聞き、昔買ってきた筆を大切にしまう姿を見たからです。
結論・テーマ
祖母と信太郎は、はじめ、意地の張り合いでけんかになりました。
それを支える根拠
信太郎が起きないので、祖母が何度も起こしに来て、双方が腹を立てたからです。
登場人物
信太郎(しんたろう)/男性/年齢不明(若者)/祖父の三回忌の前の朝、祖母に起こされても意地を張って起きない孫。のちに素直な気持ちになる。
祖母/女性/七十三歳/信太郎を何度も起こしに来る。信太郎に冷たくされても、孫を大切に思っている。
信三(しんぞう)/男性/幼い子ども/信太郎の弟。元気で、西郷隆盛のまねをして皆を笑わせる。
芳子(よしこ)/女性/幼い子ども/信太郎の妹。おてだまなど遊びに夢中になる、にぎやかな妹。
文章の要約
祖父の三回忌の前の晩、信太郎は寝床で小説を読み、遅くまで起きていました。翌朝、祖母が何度も起こしに来ますが、信太郎は意地を張って返事だけして、起きようとしません。祖母はとうとう怒って「不孝者」と言いますが、信太郎は黙って冷たい態度をとります。やがて信太郎は起きて着替えますが、祖母に謝る気にはなれません。その後、祖母が、信太郎が昔買ってきた筆を大切にしまっていると知り、信太郎は祖母の素直な様子にうたれ、意地を張る気持ちがなくなります。涙がこぼれる中で、祖母への愛情に気づきました。
テーマ解説
この場面のテーマは、意地の張り合いの中で気づく、祖母への愛情です。信太郎は、祖母に何度も起こされて、うるさく感じ、あえて冷たい態度をとります。祖母も、思うようにいかず、腹を立ててしまいます。それでも信太郎は、あとで自分の意地を後悔します。そして、祖母が素直に自分の言うことを聞き、買ってきたつまらない筆を大切にしまう姿を見て、胸を打たれます。このとき、信太郎の中で、祖母への愛情がわき上がり、意地を張る気持ちが消えていきます。何気ない朝のやりとりに、家族のぬくもりが描かれているのです。
+αで覚えておきたいこと
志賀直哉
「小説の神様」とよばれた作家です。短い言葉で、場面や気持ちをくっきり描くことで知られ、「城の崎にて」「和解」などが有名です。
白樺派(しらかばは)
明治時代の終わりに生まれた文学のグループです。人間の自然な気持ちや、個性を大切にしました。志賀直哉は、その中心的な作家です。
三回忌(さんかいき)
亡くなった人の三年目の命日に行う法事です。親族が集まって、供養をします。
心理描写
登場人物の心の動きを、言葉や行動、動作を通してえがく方法です。この作品では、起きたくない気持ちや、祖母への愛情が細かく描かれています。
意地を張る
自分の考えや気持ちを、周りのことを考えずに押し通そうとすることです。気持ちと行動がずれて、自分でも後悔する場合があります。
家族を描く小説
何気ない朝の出来事のように、特別ではない日常の場面が、実は登場人物の気持ちが大きく変わる大切な場面になることがあります。
市川中学校
令和08年度(2026年度)/第1回大問1「能力主義をケアでほぐす/竹端寛」
テーマ
「だれもが弱さをもつと認め、弱さを土台にしたつながりをつくることが大切です。」
読み取りのポイント
「がんばれば報われる」という考えが、人によってスタート条件がちがうため公平でない点に注目しましょう。
成果で人を測る考え方と、相手の状況に合わせて支え合う考え方のちがいを読み取りましょう。
自分の弱さを認めて周りに伝え、相手の弱さも受け止める関係が、なぜ安心できる社会につながるかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
成果で人を評価する考え方↔︎相手に合わせて支え合う考え方
「強さ」を求めるつながり↔︎「弱さ」を土台にしたつながり
努力すれば報われる考え↔︎努力の条件は人それぞれ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
弱さを認め合う関係づくりが、安心できる社会につながります。
それを支える根拠
人はみな体も心ももろく、まわりの環境に左右される、ひとりひとりちがう存在だからです。
結論・テーマ
「努力すれば報われる」という考えは、公平とは言えません。
それを支える根拠
家庭の事情や体調など、努力できる条件が人によって大きくちがうからです。
文章の要約
筆者は、仕事で成果を出すことを大切にしてきた父親でした。ところが子どもが生まれ、妻や娘の体調や気持ちに合わせて予定を変える毎日の中で、成果で人を測る考え方がゆらぎます。そこで出会ったのが、人はだれでも弱く、まわりの環境に左右される存在だと考える「ケアの倫理」でした。また、努力すれば報われるという考えも、家庭の事情などで努力できる条件が人によってちがうため、公平ではないと気づきます。筆者は、自分の弱さを認めて周りに伝え、身近な人の弱さもそのまま受け止める関係から始めようと考えています。
テーマ解説
世の中では、がんばって成果を出した人が評価されるのが当たり前だと考えられがちです。でも、病気の家族を支える人や、お金に余裕のない家の子は、同じようにがんばりたくてもできないことがあります。つまり努力できる条件は人によってちがうのです。そこで筆者は、人はだれでも弱さをもっていると考えます。体も心もまわりの環境に左右されやすく、ひとりひとりちがうからです。だから、強がらずに自分の弱さを認めて伝え、相手の弱さもそのまま受け止める。そうして弱さを土台にしてつながる社会の方が、みんなが安心して暮らせると筆者は主張しています。
+αで覚えておきたいこと
ケア
病気の人や子どもなど、助けが必要な人の世話をしたり、気づかったりすることです。看護や介護、子育てもふくまれます。
能力主義
人の価値を、成績や仕事の成果など、見える能力で決める考え方です。努力が報われるように見えますが、生まれた環境の差が見えにくくなる問題があります。
ヤングケアラー
家族の世話や家事を、子どもが日常的に担っている状態、またはその子どものことです。勉強や遊びの時間が取れず、努力の条件が不利になることがあります。
脆弱性(ぜいじゃくせい)
もろくて弱い性質のことです。この文章では、人は体も人間関係も、まわりの環境から影響を受けやすいという意味で使われます。
ケアの倫理
人は支え合って生きる弱い存在だと考え、相手の状況に応えることを大切にする考え方です。決まったルールを守ることを大切にする「正義の倫理」と対にして語られます。
機会の平等
だれにでも同じチャンスがあることです。ただし、スタート地点の条件がちがえば、チャンスがあっても同じようには使えません。
令和08年度(2026年度)/第1回大問2「雲を紡ぐ/伊吹有喜」
テーマ
「言葉にならない気持ちは、急がせず、相手の思いに触れるつもりで受け止めることが大切です。」
読み取りのポイント
言いたいことを言えずにいる人に対して、まわりがどう接すればよいのかに注目しましょう。
糸や布の手ざわりの例えを通して、父親が伝えようとしていることを読み取りましょう。
家族それぞれの言葉や行動から、気持ちのすれちがいと、それが少しずつほどけていく変化をつかみましょう。
本文を対比関係で整理
気持ちを言わずにいる↔︎気持ちをていねいに受け止める
言葉だけで判断する↔︎手ざわりのように思いに触れる
急がせて結論を求める↔︎ゆっくり見守って待つ
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
相手の気持ちは、言葉より、ゆっくり向き合うことで伝わります。
それを支える根拠
うまく言えないだけで、言いたい気持ちはちゃんとあるからです。
結論・テーマ
最初はうまくいかなくても、一生けんめいな思いは大切にされるべきです。
それを支える根拠
初めて織った布は端がでこぼこでも、集中して続けた気持ちがこもっているからです。
登場人物
広志/男性/中年の大人/真紀の夫で美緒の父親。妻の真紀と娘の美緒を気づかうが、うまく言葉にできず、黙ってしまうことが多い。
真紀/女性/中年の大人/広志の妻で学校の先生。いじめの問題に向き合って疲れ、娘の美緒をたたいてしまったことを後悔している。
美緒/女性/高校生/広志と真紀の娘。学校になじめず不登校になり、家を出て岩手の祖父の家で糸紡ぎを学んでいる。
広志の父/男性/高齢/岩手の山あいで暮らす。糸を紡ぎ布を織る暮らしの例えを使って、真紀と広志に大切なことを伝える。
文章の要約
学校でうまくいかず不登校になった娘の美緒は、母の真紀にたたかれたことをきっかけに家を出て、岩手にある広志の父の家で暮らしています。ある日、真紀と広志は父の家を訪ね、三人で話します。真紀は疲れきった気持ちを打ち明けますが、広志は黙ったままです。父は、言えない気持ちは言うより強いという和歌を示し、美緒が織った花瓶敷きを二人に触らせます。端がでこぼこの布は、一生けんめい糸を紡いだ初めての作品でした。二人は、急がせず向き合うことの大切さに気づいていきます。
テーマ解説
この場面のテーマは、言葉にならない気持ちをどう受け止めるかです。真紀は疲れ、広志は黙り、美緒はうまく話せません。みんな気持ちがないのではなく、うまく言えないだけです。そこで広志の父は、美緒が初めて織った布を二人に触らせます。糸は太さがバラバラで、端もでこぼこです。でもそれは、集中して一生けんめい織った証拠です。目で見て決めつけるのではなく、手で触れて思いを感じ取るように、相手の気持ちにもそっと触れてみなさい、という教えです。言葉より、じっくり向き合う姿勢が、すれちがった家族をつなぎ直していきます。
+αで覚えておきたいこと
和歌
五・七・五・七・七の三十一音でつくる日本の伝統的な詩です。短い言葉に気持ちをこめるので、言い切らない美しさがあります。
「言わぬが花」の感覚
口に出さない思いの方が、深く強く伝わることがある、という日本の昔からの考え方です。ただし、言わなければ伝わらないこともあるので、使い分けが大切です。
心情を読み取る方法
小説では、気持ちが直接書かれないことが多いです。表情や動作、情景(まわりの様子)、くり返される言葉から気持ちを想像します。
例えの表現(比喩)
目に見えない気持ちを、糸や布など見えるものに置きかえて表すことです。小説では、中心になる例えが、そのまま作品のテーマにつながります。
不登校
何らかの理由で学校に行けない、または行かない状態です。本人も家族も悩むことが多く、まわりが急がせず見守ることが支えになる場合があります。
織物と糸紡ぎ
羊の毛などから糸をつくるのが糸紡ぎ、その糸で布を作るのが織物です。時間と根気が必要で、できあがった布には作った人の気持ちがあらわれます。
令和07年度(2025年度)/第1回大問1「わからない世界と向き合うために/中屋敷均」
テーマ
「リスクのない選択はなく、正解もないので、自分の選択をベストにする覚悟が大切です。」
読み取りのポイント
バンジージャンプと、命がけのナゴールを比べて、安全をだれが守るのかのちがいに注目しましょう。
リスクを気にしすぎると、なぜ何も選べなくなるのか、その理由を読み取りましょう。
正解のない世界で、どんな覚悟をもって選べば自分の人生を自分のものにできるのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
バンジー(安全が守られる)↔︎ナゴール(自分で命を守る)
リスクをさけて逃げる↔︎リスクを受け入れて選ぶ
他人に支配される人生↔︎自分の人生を自分で決める
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
正解がなくても、選んだ道をベストにする覚悟が大切です。
それを支える根拠
現実の世界には、どんな選択にもリスクがつきまとい、絶対の正解はないからです。
結論・テーマ
リスクをさけ続けると、他人に支配されてしまいます。
それを支える根拠
リスクから逃げて選ばずにいると、自分の人生を自分で決められなくなるからです。
文章の要約
南太平洋のバヌアツには、ナゴールという命がけの成人の儀式があります。ヤムイモのつるを足に巻いて高い塔から飛び降りるもので、安全を自分で守らなければなりません。筆者は、この儀式を野蛮と決めつけず、私たちもふだんからリスクの中で生きていると述べます。ただ、リスクを気にしすぎると、足がすくんで何も選べなくなります。現実の世界には絶対の正解がなく、どの選択にもリスクがあります。だから、自分の責任で選んだ道をベストにしていく覚悟こそが、自分の人生を自分のものにすることだと筆者は考えます。
テーマ解説
世の中には、絶対に安全な道も、絶対に正しい答えもありません。電車に乗っても、道を歩いても、小さな危険はあります。それなのに、リスクを気にしすぎると、何も選べなくなってしまいます。逆に、危険をさけ続けて選ぶことから逃げると、だれかに決めてもらうことになり、他人に支配されることにもなります。そこで筆者は、自分の責任で選び、その選択をベストにしていく覚悟が大切だと言います。バヌアツのナゴールのように、昔から人は、不安と向き合いながら自分で飛ぶ経験をして、大人になってきたのです。
+αで覚えておきたいこと
バンジージャンプとナゴール
どちらも高いところから飛びおりますが、バンジーは安全が保証されたレジャーです。ナゴールは自然のつるを使い、成人のための命がけの儀式です。
通過儀礼
子どもから大人になるなど、人生の節目で行う儀式のことです。七五三や成人式も、日本の通過儀礼です。
リスク
悪い結果が起きるかもしれない可能性のことです。危険(ハザード)そのものではなく、起きる確率と大きさで考えます。
確率で考える
飛行機事故にあう確率は、とても小さいと言われます。リスクは「ゼロか、ゼロでないか」ではなく、「どのくらいか」で考えることが大切です。
自己決定
自分のことを自分で考えて決めることです。決めた結果の責任も自分で引き受けることをふくみます。
学校の勉強と現実の世界のちがい
学校の問題には正解があることが多いですが、現実では正解が決まっていない問題の方がずっと多いです。そのため、情報を集めたあとは、自分で決める力が必要になります。
令和07年度(2025年度)/第1回大問2「かぞえる/森田真生」
テーマ
「数や計算の根っこには、人と心を通わせて共感する喜びがあります。」
読み取りのポイント
小さな子が「かぞえる」ようになる前から、まわりの人と心を通わせていることに注目しましょう。
ルールが、人と人とのやりとりから生まれて変わっていくことを読み取りましょう。
数に使われるのではなく、数を使いこなして社会を生きるとはどういうことかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
数を知る前の心のつながり↔︎数で世界を区切ったあと
人にしたがうだけのルール↔︎人がつくり変えるルール
数に使われる↔︎数を使いこなす
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
数や計算は、人と心を通わせる喜びから生まれました。
それを支える根拠
数を知るずっと前から、人は共感し合うことを楽しんでいたからです。
結論・テーマ
ルールは、時代に合わせて変わっていくものです。
それを支える根拠
人どうしのやりとりから生まれるものなので、状況が変われば新しい形が必要になるからです。
文章の要約
長い出張から帰った筆者は、六日ぶりに息子と再会します。数をまだ知らない息子は、「いち、に、さん」と数字を唱えますが、数の意味はわかっていません。それでも息子は、筆者と手を合わせて遊ぶことで、心がそろう喜びを味わっています。人は、まわりの人と共感し合いながら、あいさつなどのルールを自然に身につけていきます。そのルールは時代とともに変わります。筆者は、数や計算を学ぶ前から人と人は心を通わせていたと考え、これからは数に使われず、数を使いこなして新しいルールをつくる力が必要だと述べます。
テーマ解説
赤ちゃんは、数を知る前から、まわりの人と気持ちをそろえて遊ぶことができます。同じ動きをしてタイミングが合うと、うれしくなるのです。人は、そうした共感を通して、あいさつや食事の作法などのルールを身につけます。ルールは、人と人とのやりとりから生まれ、時代や場所によって変わるものです。数や計算も同じで、もともとは人が世界を分け合い、わかち合うための道具でした。だから、数に使われるのではなく、数を使いこなして、変わっていく社会に自分も参加することが大切だと、筆者は考えています。
+αで覚えておきたいこと
数学者・森田真生
数学の研究と、人の心や暮らしについての文章を書いている人です。数学を、人間が世界を理解する営みとして語ります。
数を数える前の世界
数がなくても、人は「たくさん」「ちょっと」などの感覚で世界を分けてきました。数は、そのやり方をさらに細かくした道具です。
共感
他の人の気持ちを、自分のことのように感じ取ることです。ただの理解ではなく、気持ちが重なる感覚をともないます。
ルールの変化
法律のように文章で決められたものだけでなく、あいさつなどの習慣もルールです。時代が変わると、守り方や中身も変わっていきます。
AI・デジタル時代の計算
コンピュータは計算がとても得意です。だからこそ人間には、計算結果をどう使うかを決める力や、他の人と心を通わせる力が、いっそう大切になります。
「かぞえる」の語源
古い日本語の「かぞへる」は、「日(か)をそへる」から来たという説があります。楽しみな日を待って、一日ずつ数えた気持ちが、言葉の始まりかもしれません。
令和06年度(2024年度)/第1回大問1「ジェンダーの社会学入門・戦争は女の顔をしていない/江原由美子・山田昌弘、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ」
テーマ
「「女らしさ」は実際の女性の姿ではなく、社会がつくった決まりごとです。」
読み取りのポイント
「女らしさ」が、現実の女性の特徴ではなく、「こうあるべき」という決まりごとであることに注目しましょう。
「女らしさ」が、女性の自立をさまたげる理由と、ことばの上での「男」と「女」の不つり合いを読み取りましょう。
戦場で戦った女性の体験から、「女らしさ」と「男らしさ」がどう求められたかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
現実の女性の姿↔︎社会がつくった「女らしさ」
「女」=人間の特別な形↔︎「男」=人間全体を指す
仕事で認められたい↔︎女らしくしなさいと言われる
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
「女らしさ」は、「こうあるべき」という社会の決まりごとです。
それを支える根拠
現実の女性たちが持つ特徴を、全部あてはめた姿ではないからです。
結論・テーマ
「女らしさ」は、女性が自立しようとするときの壁になります。
それを支える根拠
仕事で求められる力と、女らしさとされる特徴が、くいちがうからです。
文章の要約
男女ともに自立することが目標になっても、女性は「女らしさ」にしばられて自立をためらってしまいます。「女らしさ」とは、現実の女性たちの特徴ではなく、「女ならこうあるべきだ」という決まりごとです。仕事で認められるには強さや決断力が必要ですが、それは「男らしさ」とされるため、女性は両方を求められて矛盾します。また、言葉でも「人間」と言えば男性を指すことが多く、「女」と「男」は対等ではありません。第二次世界大戦で戦った女性の証言は、戦場では男性と同じ力を求められ、戦後は女らしさを求められたことを伝えています。
テーマ解説
私たちは、「女の子はやさしく、人の話を聞くもの」といった考えを、自然なものだと感じがちです。でも実際には、やさしい女性もいれば、力の強い女性もいます。「女らしさ」は、現実の女性の特徴ではなく、社会が「こうあるべきだ」と決めた規範(決まりごと)なのです。この規範は、女性が仕事で活躍しようとするときに、「強さ」と「女らしさ」の矛盾を生みます。さらに、「人間」という言葉が男性を中心に使われるなど、ことばの上でも男女は対等ではありません。こうした見えにくい決まりごとに気づくことが、ジェンダーを考える第一歩です。
+αで覚えておきたいこと
ジェンダー
生まれつきの体の性別ではなく、社会や文化によってつくられた「男らしさ・女らしさ」のことです。時代や国によって変わります。
性役割
「男は外で働き、女は家庭を守る」のように、性別によって決められた役割のことです。今では、その決めつけをなくそうという動きが広がっています。
規範
社会の中で、守るべきだと考えられている決まりごとです。法律とはちがい、書かれていなくても人の行動をしばることがあります。
フェミニズム
女性が男性と同じように自由に生き、平等にあつかわれることをめざす考え方や運動です。
ことばと不つり合い
「人間」と男性が同じ言葉で言われたり、「少年」には人間一般の意味があっても「少女」にはなかったりします。このように、ことばの中にも社会の見方が残っています。
戦場の女性たち
第二次世界大戦のソ連では、多くの女性が兵士として戦いました。戦争中は勇気や強さをほめられても、戦後は「女らしさ」を求められて苦しんだ人もいました。
令和06年度(2024年度)/第1回大問2「流人道中記/浅田次郎」
テーマ
「家やしきたりにしばられず、人として正しく生きる強さが本当の武士の姿です。」
読み取りのポイント
玄蕃が、武士という身分と家のしくみを、どう見直したのかに注目しましょう。
町人の子として育った経験が、玄蕃のものの見方にどう影響しているかを読み取りましょう。
最後の場面で、乙次郎の気持ちが玄蕃に対してどう変わったのかをつかみましょう。
本文を対比関係で整理
武士という身分の権威↔︎人としてのまことの強さ
家のしくみにしばられる↔︎しくみを疑って自分で決める
罪人をさげすむ見方↔︎人として尊敬する見方
本文を因果関係で整理
結論・テーマ
玄蕃は、武士の身分と家を捨てて、自分で罪をつぐなう道を選びました。
それを支える根拠
武士は存在そのものが理不尽で、家に縛られた古い考えだと気づいたからです。
結論・テーマ
乙次郎は、最後に玄蕃を立派な武士として尊敬するようになりました。
それを支える根拠
身分や罪に関係なく、人を思いやる玄蕃の本当の姿を見たからです。
登場人物
青山玄蕃(あおやまげんば)/男性/年齢不明/旗本の武士。大出対馬守に罪を押しつけられて、蝦夷(北海道)へ流される。町人として育った過去から、武士の考えに疑問をもつ。
石川乙次郎(いしかわおとじろう)/男性/十九歳/玄蕃を津軽まで送る護送役の若い武士。最初は玄蕃に反発するが、旅を通して考えが変わっていく。
大出対馬守(おおいでつしまのかみ)/男性/年齢不明/玄蕃の上司。自分の罪を玄蕃に押しつけた人物。
松前家の家来たち/男性/年齢不明/津軽の海辺で玄蕃を迎えに来た人たち。玄蕃を「新御番士」と、うやうやしくよぶ。
文章の要約
江戸時代の武士、青山玄蕃は、上司の大出対馬守に罪を押しつけられ、蝦夷へ流されることになります。護送役の若い武士、乙次郎は、玄蕃と二百里もの道のりを旅します。玄蕃は、戦のない平和な世でも家の格式やしきたりにしばられる武士の生き方を、理不尽だと考えて、武士の家を捨てる決意をしていました。乙次郎は、それを聞いて、身分にこだわらない玄蕃の考えを理解していきます。津軽の海辺で別れる時、乙次郎は丁重な言葉づかいで玄蕃を見送り、玄蕃はにっこりほほえみます。
テーマ解説
この場面のテーマは、身分や家にしばられる生き方を見直すことです。玄蕃は、旗本という武士の家に生まれたのではなく、町人の子として育ち、後に武士の養子になった人です。だから、武士の家のしくみが、時代に合わなくなっていると見抜くことができました。武士は、戦がなくなっても刀を持ち、権威だけを守っています。玄蕃は、そんな生き方を捨てて、自分の罪を自分でつぐなう道を選びます。乙次郎は旅の中でそれを知り、身分より、人としての高い志が大切だと気づきます。最後の丁重な別れの言葉には、玄蕃への深い尊敬が表れています。
+αで覚えておきたいこと
武士と身分制度
江戸時代は、武士・百姓・職人・町人などの身分が、生まれで決まっていました。武士は支配する側として特別なあつかいを受けました。
旗本(はたもと)
将軍に直接仕える武士のうち、身分の高い人たちです。江戸の町で暮らし、役職について政治をになっていました。
流罪(るざい)
罪を犯した人を、遠い土地へ送って暮らさせる刑です。江戸時代には、蝦夷(今の北海道)などへ送られる場合がありました。
切腹
武士が自ら腹を切って命を絶つことで、罪をつぐなう方法とされました。名誉を守る意味もありましたが、この小説の玄蕃は、あえてそれを拒みます。
養子
血のつながりのない子を、自分の子として家に迎えることです。武士の家では、家を絶やさないために養子をとることがよくありました。
小説の読み方
登場人物の言葉づかいの変化に注目すると、気持ちの変化がつかめます。たとえば、くだけた呼び方から、うやうやしい呼び方になる場合は、尊敬の気持ちが生まれたことを表します。

中学受験国語の論説文の頻出テーマについては、「【中学受験国語】説明文&論説文が得意になる用語150語(新しいタブで開きます)」にて解説しています。また、小説文の頻出テーマについては、「【中学受験国語】小説・物語読解 覚えるべき心情語180語(新しいタブで開きます)」にて解説しています。
過去問演習のコツ
制限時間を守って解く
塾のテキストや市販のドリルは、トレーニングのための教材です。一方で、過去問は、「実力測定のための問題」です。
「全部は解けない」
「知識があやふやだと時間がかかる」
「解ける問題を配置しつつ難問をちりばめている」
といった特徴を持つのが過去問です。「時間をかけて解けば点数が取れた」という評価軸は、過去問演習においては、重要ではありません。「制限時間内でいかに点数を取れるか」が大切です。必ず所定の制限時間を守って解きましょう。制限時間を守って解く事で、「理解や記憶があいまいな分野」をあぶり出すことが重要です。
どんな文章にも共通の読解法を用いる
出題される文章は毎回異なっても、共通のフレームワークにより読解を行いましょう。
読解で使用する共通フレームワーク
抽象具体の関係
対比の関係
因果関係
この3つで文章を整理できているかを確認しましょう。本記事では、有名中学校の文章のテーマ解説をおこなっていますが、上記3つのフレームワークで出題文を分析しています。このページをブックマークして、過去問もお供としてください。
難問ではなく、基本標準問題の復習に時間をかける
過去問は、実力養成のための問題ではありません。難問も含まれています。
基本・標準難易度問題
合格者が確実に得点している問題
難問
合格者でも正答率が低い問題
問題の難易度を上記2つに区分してみましょう。合格者は、難問を解けているから合格しているのではなく、基本標準難易度の問題を間違いなく正解しているから合格しているのです。
類似テーマが出題されるので、テーマ理解は知識・教養として深めておく
中学受験国語を難しく感じるのは、「知識・教養」が大人に比べて不足していることが大きな原因です。国語の文章であつかわれる話は、よく本を読む人にとっては「よくあるテーマ」であることが多いです。過去問で読んでいる文章のテーマは、今後も他の学校で出てくる可能性が高いですし、本番で類似のテーマが扱われることもしばしばあります。過去問で出会った文章の内容について、先生や親御さんの力を借りて、理解を深めておくと良いでしょう。本記事でも、各年度の文章のテーマ解説をおこなっています。
まとめ
本記事では、中学受験の国語過去問を元に出典のデータまとめと出題文解説を行なっていきました。受験勉強のお供にお使いください。

データは今後も更新されていきますので、ぜひブックマーク登録をお願いいたします。




